2016/06/16 のログ
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > この男が演習施設を訪れることはそう珍しいことではない。
授業、実習、実験、そしてそれらの準備。
しかしどんな場合でも、獅南はその扉を閉じようとはしなかった。
研究の成果を、己の力を隠すなどという考えは毛頭ない。

とは言え、今日は己の研究の成果を試しに来たわけではない。
彼の目的は、ルギウスから譲り受けた怪しげな魔導書に記されていた魔術の実験だった。

獅南蒼二 > 記されていたのはいわゆる付与魔法の一種。
と言っても特定の属性や指向性を付与するのではなく、ルーン文字を用いて“事象”や“結果”を付与する。
石ころでも銃弾でも同様に効果を発揮することが出来るだろうが、
ルーン文字などという古典的な言語を利用するのだから汎用性には欠ける。
そもそも、古代北欧の伝承にある有用なルーン文字の殆どは失われてしまっているのだ。

「まぁ、何にせよ、試してみるか。」

端末を操作して適当な標的を出現させる。
そしてポケットから、本当に自然な動作で拳銃を、M1911を取り出した。

獅南蒼二 > そしてごく自然な動作で引き金を引く。
魔力を込め,崩壊を意味するハガラズを刻んだ弾丸が撃ち出され,標的の中央に命中する。
刹那,弾丸が貫通するよりも早く,標的は内側から弾けるように破壊された。
が、そこへ次の弾丸が撃ち込まれる。

「………なるほど、言語が単純なだけに発動は早いな。」

小さく呟く獅南の眼前では、弾け飛んだ標的の破片が空中に浮かんだまま静止している。
その中央には2発目の弾丸。停止を意味するイサを刻んだ弾が、同様に静止して浮遊している。

獅南蒼二 > 獅南が次の弾丸を装填する間に、発動した魔術を維持するだけの魔力を消費し尽したイサの弾丸は力を失って落下し,
周囲の空中に静止していた標的の破片はまるで一時停止を解除した動画のように、再び四方へ弾け飛んで地面に散らばった。

「……これを片付けるのも面倒だからな。」

カノとウルズを刻んだ弾丸を散らばった破片の中央へ撃ち込んだ。
松明の炎は猛る雄牛の如く燃え上がり,弾け飛んだ標的の破片を焼き尽くす。

「おっと、間違えてしまった。」

事前に属性を付与してあるのだから、今この瞬間は引き金を引く以外にやることは無い。
だからこそ、余裕もある。
燃え盛る炎の中央に2発の弾丸を、続けて撃ち込む。

獅南蒼二 > エイワズの防御が炎を包み込み,パースが全てを闇の中へ隠す。
炎も破片も標的も、全てがまるで最初からそこに無かったかのように、消え失せてしまった。

「こんな所か……失われたルーンでも掘り出せば,もう少し応用が利くのだろうがな。」

いずれにしても,弾丸に刻む以上,全ては決め撃ちだ。
戦闘で使用するにはまだ応用力や即応力に課題が残るだろう。
とはいえ、この即時性は非常に魅力的でもある。
触媒の作成に精密な魔力操作が必要な点は問題だが……。

ご案内:「演習施設」に”マネキン”さんが現れました。
”マネキン” > 【施設の入り口に生徒と思しき人物がいる。
開いた扉に体重を委ねていた。拍手を送る。】

すごいですね、先生。
研究区の新技術ですか?

【彼は、フードを目深に被って目元を隠していた。】

獅南蒼二 > 木に逆さ吊りにでもされてみるか。
などと苦笑しながら、銃をポケットへとしまい込む。
代わりに煙草を取り出すが、背後から声を掛けられればそれをポケットへ戻す。

「そう見えるか? 残念だが,この術式は貰い物だ。
 拍手を送るのなら,構成を考えた人物に送ってやってくれ。
 尤も,ソイツが人間かどうかも分からんがな。」

視線をそちらへ向けることも無く、白衣の男はそうとだけ答えた。

”マネキン” > 【拍手を止めた。】

魔術ですか。
残念、僕そっちには才能がないんですよ。
どういう魔術なのかを聞くのがせいぜいですね。

煙は気にしませんよ。どうぞ遠慮なく。

【相手から見えなくとも、手のひらを差し出す。】

獅南蒼二 > 才能が無いという言葉には、苦笑をうかべて、
「才能が無いのは私も同じだ。」
そうとだけ呟いてから、視線を貴方へと向ける。
フードに隠された目元…僅かに目を細めたが、それ以上何も言及することはない。

「…言葉に甘えて、と言いたいところだが敷地内は禁煙だろう?
 こう堂々と目撃者に居られては困るからなぁ。」

楽しげに、けれどどこか相手の出方を探るように、呟いた。

”マネキン” > 【フードの正面を手で押さえる。】

そうですかね?
演習施設なんですから「演習のため」と言えば通りそうなものですけど。

煙草を扱う異能者とか、困るじゃないですか。
煙に由来する魔術もあるんじゃないですか?

気になるならこう、目線は下げておきますから。


ところで…ルーン、お詳しいんですか?

【頭部を下に傾けた。
視線が足元に転がっているイサの弾丸に向けられている。】

獅南蒼二 > 相手の顔を無理に見ようとは思わない。
透視魔法も使えないわけではないが、展開しようとはしなかった。
学生服を着ているのは確かだが、授業で見たことは無い。
正体が分からない以上、変に手札を切るべきではないと判断したのだろう。

「ははは、それは名案だな。
 今度からその言い訳を使わせてもらおう。」

楽しげに笑いながら,向けられた質問に小さく頷く。

「無論,魔術学者として一通りの知識は持っているつもりだ。
 尤もそこらの怪しげな占い師の方が詳しいかも知れんがね。」


「その文字…と言っても一本棒だが…それが表すのは“氷”だ。
 古代文字など深い意味も含みもない,単純なものだ。」

”マネキン” > 【顔は上げない。】

多少の火や煙が問題になるような場所じゃないでしょう。
でも本人がいいといってるなら、これ以上勧めるものじゃないですね。

ええ…最近、よく見る機会がありまして。イスのルーンについては、よく存じてます。
今使っている言語と比べるとあまりにも稚拙で、よく意味が間違わないものです。

さすが先生。
じゃあ一生徒として一つ質問してみてもいいですか?

もしルーン魔術師と相対したとき、先生ならどうします?

【彼は片手をポケットに入れた。
胸元にはふくらみがあるが、ポケットにはさほど膨らみはない。】

獅南蒼二 > 相手への不信感はあるが,質問に対しては小さく頷いて,

「質問の意図は分かるが,ルーン魔術師という分類は正確ではないな…。
 例えば,神話にあるような勝利のルーンを掲げた剣士も,ルーン魔術の範疇に含まれる。
 さらに言えば,ルーンの魔術はその大半が神話の時代に失われ,現代にそれを再現できる者は居ないだろう。」

えらく真面目な考察を述べた後に,少しだけ間が開いて…

「ルーン文字は魔術言語としては非常に単純で即時性に優れる。
 魔術で戦うのなら先手を取られることは想定するべきだろう。
 だが,ルーン文字は少なく,その上私はその大半の属性を知っている。
 であれば,属性に応じた防御術式を展開することは難しくないだろう。」

つまり,守るだけならさほど脅威にはならない、ということだろうか。

「だが一方で,ルーン魔術は高度な防御と呪術的側面をもっている。
 防御で言えばイチイの木を表すエイワズ,呪術で言えば先ほど例に挙げた勝利のルーン,テイワズなどがその類だ。
 これは厄介なルーンで,高度な術師が使えば運命そのものに干渉してくる。
 これを打ち破るのは容易ではないだろうが……。」

そんな使い手は見た事がないよ。と苦笑する。
だが、もし出会ったのなら……

「……まぁ、術式を書き換えて,運命をこちらに味方するよう書き換えてやればいいのかも知れんな。」

それはそれで、この男は対処する自信があるように見えるだろう。

”マネキン” > 【体重を預けていた扉から背を離した。】

なるほど。
いや、まったくよくわからないことがわかりました。
やっぱり僕には魔術の才能はないようです。

【肩をすくめる。】

属性に対処するとか、運命を書き換えるとか魔術師同士の戦闘はすさまじいですね。
先手を取れるとか銃とかいらないじゃないですか。

ルーンの経緯については少しかじってみたことがありますが、
なんでそんな便利なものが廃れたんでしょう。

【ポケットに入れていないフードを掴んでいた手を降ろした。】

獅南蒼二 > 相手の一挙一動に注目しているようにも見えるし,
それこそ,相手を取るに足らないと軽視しているようにも見える。
少なくとも,時には背を見せたり,視線を外したりと,
この白衣の男に隙が多いのは確かな事だ。

「属性などというのは簡単な事だ…火がついたら水をかけるだろう?
 それとさほど変わらんよ。」

「後は…まぁ,魔術を知りたいのなら学ぶことだ。それ以外に道は無い。」

男は楽しげに笑って…それから,つづけられた質問に軽く返す。

「簡単な事だ……信じる神様とやらが変わったからだろう?」

オーディン信仰が失われキリスト教化するとともに,古代の知識は悪魔の知識として抹殺される。
その一部が細々と,北欧の島々に生き残った。
ルーン文字や古代魔法の大半は,その欠片を元に再現しているに過ぎない。

”マネキン” > 【首を振る。】

学んだところでおそらく僕には無理でしょう。
使えないどころか、使えないために理解することすらできない。
さきほど先生も「才能がない」とおっしゃいましたよね。先生にすら才能が無いと言わせる魔術は選ばれすぎた技術だ。

信じる神…神を信じれば使える可能性があるんですかね?
先生は何か信仰がおありなんですか。

【一歩前に足を踏み出す。】


火がついたら水をかける。
じゃあもうひとつ質問です、先生。

その失われた…北欧神話の神々が復活したら、何をかけたらいいんでしょうか。

【フードから覗く口元が笑みの形に歪んでいた。】

獅南蒼二 > 「無理、と言うお前は、才能という言葉を便利な言い訳につかっているだけだろう。
 私に才能が無いというのは、生まれ持っての魔力親和性や内包魔力量が人より劣っているという意味だ。
 ……努力と研鑽によってのみ,魔術の力は高められる。」

相手が踏み出しても,退くこと,振り向くことももしない。

「そういう問題ではない。魔術は技術,そして知識だ…信仰は関係ない。
 私はお前の質問に対して,新しい信仰によって古い信仰が駆逐され,同時に古い信仰によって齎された知識が失われた,という歴史を語ったに過ぎん。」

信仰があるか、その質問に対しては、どこか呆れたようにそうとだけ返した。
それから、続けられた質問に……ククク、と楽しげに笑う。

「運命を超えて神々をも殺す技術を己の手で編み出すか……エッダでも呼んで弱点を研究しろ。
 まぁ,私なら真っ先に“酒”を用意するがな。」

本気か冗談か。獅南はそうとだけ言って,相変わらず楽しげに笑っていた。

”マネキン” > 【片足を踏み出した前傾姿勢のまま動きを止める。】

いやいや、こう見えて僕もいろいろ調べはしたんですよ?
でもさっぱりわかりませんでした。表面上をなぞるのが精一杯で。

魔力親和性や内包魔力量というのがなんなのか、からまず分かりませんよ。
煙に巻こうとしているわけじゃないんですよね、先生。

とりあえず信仰が必ず必要なものじゃない、ということはなんとなくわかりましたけど。

【再び首を振っていた。】


運命を超える必要がある、か…。
エッダはよんでみることにします。

酒、ですか…。すでに目をつけられていたら役に立ちそうには無いですね。
正直に言いましょう。復活した戦乙女に敗北すべき戦士だと選別されたみたいなんですよ、僕。

【首を振るのをやめ、ポケットに入れていたほうの手を取り出す。何も持ってはいない。
両の手のひらを差し出す”マネキン”の雰囲気は、生徒らしいものから生徒らしくないものに変わっていた。】

獅南蒼二 > 貴方が生徒だとは最初から思っていなかった。
だからこそその説明は非常に雑で,理解させるつもりがあるものとは思えない。
だが、そんな貴方が理由を語り何も持たぬその手を見せれば…獅南は笑うことをやめて,小さく頷き,

「私は神学者ではないのでな…そうそう詳しいわけではない。
 だが,運命は解釈次第だ。」

ポケットから煙草を取り出して,断ることも無く火をつけた。人差し指の先から生じさせた炎で。

「剣で死なない運命の戦士は石で打ち殺される。
 つまりだ……敗北すべき戦士だと選別されたとしたら,お前は戦士をやめればいい。
 敗北すべき男だと言われたのなら,男をやめればいい。」

「後は,そうだな……その戦乙女とやらを堕落させてしまえばいい。
 後ろ盾に見捨てられた下働きほど惨めなものは無いぞ?」