2016/07/11 のログ
ご案内:「訓練施設」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > ──訓練施設に幾つかある部屋の一つ、その中央で七生は床に胡坐をかいて座っていた。
何かしようと思って此処に来たのだが、実際に来てみたら目的をすっかり忘れていた。
というか、最近はやたらと訓練施設に来ること自体が目的となっている事がままある気がする。
ただ、せっかく来たのだから何かしていきたい、そう思って一部屋陣取ってみたものの。
これでは何だか道場破りを待ち受ける武道家の様であった。
「……んぬぬぬ……何か、何かしねえとなあ……。」
■東雲七生 > 室内に備えられた冷房が程よい室温を作り出して、うだる様な外の暑さを忘れさせてくれる。
テストも近い休日に何をやってるんだろうと言う気分が少しだけするが、
むしろテスト前だからこそこんな事をしてても許されるんじゃないかと思えた。
「……もういっそ看板でも立てて挑戦者とか募る?」
何の挑戦者かは分からない。
リア充対決だったら一向に勝てる気がしない。
ご案内:「訓練施設」に美澄 蘭さんが現れました。
■東雲七生 > このままRPGのラスボスみたいに構えていれば少しは格好良いだろうか。
そんなことを考え始めるくらいには、此処に来る道中でだいぶ暑さにやられていたらしい。
「でも俺、あんまりゲームとかしねえからなー」
RPGのラスボスってどんな感じなんだろう、と首を傾げる。
ちらっと友人たちがやっていたのを見れば、大抵大きくて、筋肉モリモリで角とか生えてた気がする。
……条件はどれもこれも何もかも全部満たされていなかった。
■美澄 蘭 > 先日の図書館の一件の後、早速汀から送られて来た物理防御盾術式の練習にと、「買い物」の用事そっちのけで訓練施設にやって来た蘭。
空いている訓練スペースを探すが…
「また埋まってるわね………って、東雲君?」
そのうちの一つには、胡座をかいて座っている友人の姿が。
(…精神集中の練習か何かかしら?
でも異能を使ってる様子はないわね…)
首を傾げながら、訓練スペースの窓に貼り付く格好で覗いている蘭。はっきり、挙動不審である。
■東雲七生 > そもそもラスボスっぽさっていうのはそれまでにボスや中ボスが居てこその物なのではないだろうか。
最初からラスボスが出て来てしまっては面白みがないのではないだろうか。
そんなことをつらつらと考えながら、ふと顔を上げれば。
「……あ、れ?美澄?」
窓から此方を除く姿に気付き、軽く首を傾げた。
■美澄 蘭 > 目が合ってしまって、首を傾げ返された。
「あ…こ、こんにちは?」
微妙に困ったように笑い、首の傾きを更につけながらも、挨拶をする。
音が通らなくても、口の動きくらいは伝わるはずだ。
■東雲七生 > 「よーっす、何やってんだこんなとこで!」
にぱっ、と満面の笑みを浮かべて訊ねる。
そういえば防音効果もばっちりだったっけか、などと思いだしてよっこいせ、と跳ねる様に立ち上がった。
特に何かしていたわけでもなく、動けない理由も無い。
とてとてと小走りで部屋のドアへと近寄ると、パッと開いて外に顔を出す。
■美澄 蘭 > 自分の気まずさとは対照的に、相手は満面の笑みで何かを言う。
…が、残念ながら防音効果ばっちりなので何を言っているかは聞き取れない。
と、相手もそれを思い出したようで軽やかに立ち上がると、部屋のドアを開いて顔を出して来た。
「…こんにちは。訓練熱心ね」
改めて、少しはにかむような笑みで挨拶をする。
■東雲七生 > 「よっす!」
にこにこと笑みを浮かべたまま、改めて挨拶をする。
訓練熱心と言われれば、少しだけ困った様に眉尻を下げて。
「いやあ、熱心て言うほどの事はしてねえよ?
今だって何するか悩んでただけで、なーんもしてなかったしさ!」
けらけら笑いつつ、あっけらかんとそんな事を。
■美澄 蘭 > 「何もしてなかった」とあっけらかんと言われると…目を丸くした後、ふっと吹き出し。
「…そうなの…集中してる様子なのに異能を使ってる風でもないから、何をしてるんだろうって思って気になっちゃったのよね。
…そう、何もしてなかったの…」
自分の疑問に対する答えが斜めの方から返って来たことと、七生の天真爛漫さがおかしいのだろうか、吹き出した後もくすくすと笑いが続いている。
■東雲七生 > 「うん、何もしてなかった!
何しようか考えてるとこに、ちょうど美澄が来たって感じかな。」
なんかおかしい事したかな、と首を傾げて。
それでもまあ、笑われてても不愉快な感じはしないので特に不満そうな顔もしないでいる。
「あ、ちょうどいいや。何か良い案ねえ?
なんか最近は一通りやった感じがして、そろそろ新しい事に挑戦してみてえんだよなっ」
■美澄 蘭 > ある程度笑って落ち着いたのと…七生の行き詰まり?に共感を寄せたらしい。通常の態度に戻って、
「そう…何をやったら良いのかピンとこなくて詰まってた、みたいな感じなのね」
と、顔に手を当て考えるような仕草をしながら。
「新しいこと…ね…
私は、東雲君が今まで何をやって来たのか、よく分からないから何とも言えないけど…
………あ、そういえば東雲君って、戦闘訓練もやってるのよね?
前に、転移荒野で魔物退治やってる、って言ってたし」
ふと、思いついたように尋ねる。
そこに、以前のような訝る調子はない。
■東雲七生 > 「そういう事。
ああ、そういや話したこと無かったっけ。」
今までに何をやってきたか。
どうも説明するのは苦手というか、説明しているうちに自分でもよく分からなくなってくるのだ。
だからはぐらかしたりして来たのだったが……。
「まあ、うん。
魔物退治というか、魔物相手に戦闘訓練というか……」
それが何かあるのだろうか、と小首を傾げる。
疑われているわけでは無いのだろうけれど、と。
■美澄 蘭 > 「ええ…異能の練習とか、身体を鍛えたり?はしてるみたいだけど、詳しいことはあんまり聞いたことなかったでしょう?
言い辛いなら、無理に聞くつもりはないけど…」
そう言って、わずかに目を伏せがちにし、それから、少し躊躇いがちに口を開いた。
「………私の方も、色々考えることがあってね。
それで、戦闘訓練にもちょっと興味が湧いて来てるの。
…東雲君は…戦闘訓練って、どんなことしてるの?」
そう尋ねる口ぶりは躊躇いがちだが、その瞳にはまっすぐな光が宿っていた。
■東雲七生 > 「言いづらいって言うか、上手く説明できないって言うか……
もうちょっと頭良ければ、説明出来ると思うんだけど。」
バツが悪そうに頭を掻きながら、僅かに眉根を寄せる。
しかし、続く質問にはやや真剣な面持ちで、美澄の瞳を正面から見返しながら、
「どんなことって……えっと、大体は普通の組手みたいなもんだよ。
ただ相手の大きさとか人間と全然違うから、勝手は違って来るけどさ。
魔法や異能が使えればまた話は違うんだろうけど、
俺あんまりそういうことで異能は使いたくなくって。」
そんな感じ、と最後に早口で付け足して、質問に正直に答えてみる。
■美澄 蘭 > 「そう…」
相手がばつが悪そうに頭をかくのを見て、そこは深く追求せず。
いずれ、本人が言葉を見つけることもあるだろう。
そして、早口に、正直に次の質問に答えられれば
「…人間よりも大きな相手に組手…凄いわね、私そこまで近づいたら竦んじゃいそう…
でも、東雲君の異能って血を流すこと前提だし、「自衛」って考えるとちょっと微妙よね」
と、感心したように目を大きく何度か瞬かせてから頷いた後。
………少し、考えるように視線を何度か動かす。そこに浮かぶのは、「相手にこんな提案をしていいのか」という躊躇いと…そして、好奇心。
しかし…最終的には好奇心と、訓練意欲が勝ったようだ。
「………東雲君、魔術の防御が破れるかどうかは、興味ある?」
そう、七生の顔を伺いながら尋ねた。
■東雲七生 > 「魔術の……防御?」
きょとんとした顔で美澄の言葉を復唱する。
その真意を測りかねて怪訝そうに首を傾げる。
なんだかさっきから首を傾げてばっかりだな、と内心自嘲しつつ。
「前に言ったかもしれねえけど、俺さ、魔法とか魔術とかはさっぱりなんだけど。」
それでも大丈夫かな、と頬を掻きながら戸惑いがちに尋ねる。
■美澄 蘭 > 「えっと、東雲君の方じゃなくて…
…今日は私、なぎささんに教えてもらった物理防御の術式の、実験のつもりで来たの」
そう言って、ブリーフケースから巻物を取り出す。
魔力感知能力があれば、その巻物には既に魔力が籠められていることが分かるだろう。
「…元々は雨とかを防げるようにってことでもらったんだけど、結構強度もあるみたいだから。
…東雲君の力で破れるものなのかどうか、ちょっと試してみるっていうのも面白いかな、って。
………流石に、色々と無謀かしら?」
説明をした後、自分で苦笑する。
自分で口に出して、まだ試したことのない防御術式に実際に攻撃を撃ち込ませるというのは、防御する側の蘭にとっても、攻撃する側の七生にとっても無謀なことのように改めて思ったからだ。
■東雲七生 > 「なぎささん……ああ、那岐夜車丸 汀?」
もしかして、と目を見開く。
あいつ、そんな事も出来るんだ、と感心した様子で何度か頷いてから、とりだされた巻物を見て。
生憎、魔術や魔法に関しては門外漢の七生には奇妙な巻物だな、くらいにしか感じなかった。
「ふうん……なるほど。
俺の力って言うけど、だいたい物理一辺倒だぞ、俺。
魔法とかって、物理でゴリ押し出来るもんなのか……?」
怪訝そうな顔で七生は訊ねる。
大抵の魔法や魔術の障壁は物理での突破が難しいイメージがあった。
なので七生が取る手段は魔法を使われる前に速攻で落とす、が主であった。
初めから展開されている障壁相手に攻撃するのは、流石に勝ち目が無さ過ぎるし、結果も見えているのではと七生は思ったのである。
■美澄 蘭 > 「そう、なぎささん」
共通の知己たる後輩のフルネームが出れば、にっこりと頷き。
…が、「破るのが可能なのか」と問題提起を受ければ、きょとんと首を傾げて
「…なぎささんからもらった術式自体は、狙撃も弾いたり出来る強度らしいんだけど…
ちゃんと隙なく発動させられるかは分からないし…場合によっては?」
と。
お嬢さん、それは限りなく無茶な水準です。
■東雲七生 > 「んー………。」
しばし思案。
話を聞く限りでは、相当高性能な防御の術式なのだろう。
きっと正面から殴りかかってどうにかできる代物では無さそうだ。
というか正面から殴って壊せました、では防御魔術として欠陥品だと、疎い七生にも分かる。
「……となると、異能で試すか。」
単純な強度比べであれば徒手空拳よりは勝ち目もあるだろうと思える。
ただ、異能の使用はどうも気が進まない。訓練であれば、尚更だ。
「……まあ、まずは素手で挑んでみても良さそうだな。
おっけー、やるだけやってみようぜ。」
どっちかと言えば俺よりは美澄の方の試運転だな、と笑いつつ承諾する。
■美澄 蘭 > 「ごめんなさいね…普段やってないこととはいえ、私の実験に付き合ってもらう形になっちゃって」
苦笑いをすると、七生から少し距離をとる。5mほどだろうか。
術式の展開範囲が読みきれないので、念のためだ。これだけ離れれば、まず問題はないと踏むが。
「…じゃあ、いくわね」
巻物の、応用編の部分を開き…念じる。
すると、そこに確かな質量の展開の空気感とともに…蘭全体を包むような、物理防御術式のシャボン玉が展開された。
その半径は2mほどだろうか。広くない道を通るには、少し都合が悪そうだ。
(…少し、大き過ぎたかしら…)
実用についてはそんなことを思うが、術式の強度的な隙はほとんど見当たらない。
「それじゃあ、試してみてもらっても良い?」
物理防御魔術の球体の中からでも、蘭の声は通常通りに通った。
■東雲七生 > 「良いの良いの、俺にとってもいい刺激になるしさ!」
とん、とん、と軽く跳躍をしながら術式の展開を待つ。
すぐに産毛が総毛立つ感覚と共に現れたシャボンを見て目を瞠った。
「なるほど、パッと見はあんまり頑丈そうじゃないけど。
ふんふん、とりあえず一発目は様子見で……」
一度足首を入念に回してから、今度は大きく跳躍。
とーん、とーん、と七生の足音が響き……
「美澄ぃー、狙いが狂うと危ないからそこから微動だにするなよー?」
そんな暢気そうな掛け声が聞こえたかと思えば。
4度目の跳躍、着地した直後の七生が一足飛びで一気に間合いを詰める。
さながら砲弾のような勢いで間合いを詰めた後は、その勢いを載せたままの回し蹴りが美澄の横、万一障壁が壊れても中の彼女に当たらない軌道で放たれた。
■美澄 蘭 > 「…そう言ってもらえると助かるわ」
軽く跳躍をしながら請け負ってくれる七生に、苦笑とともに感謝の言葉を述べる。
…と、相手が暢気ながらも危険を喚起する掛け声をかけてくれば
「…ええ」
真剣な面持ちで答えて、踏ん張るかのような仕草を見せた。
そこに勢いよく突っ込んでくる七生と、その勢いを活かした鋭い回し蹴り。
それに反応するように、ガキィンという強い音が響き、七生の回し蹴りを弾く。
「…!」
音に驚いた蘭が顔を上げるが、足は何とかその場に留めてしっかり立つ姿勢を保ったまま。
防御術式は、まだ無事を保っているようだ。
■東雲七生 > 「フゥー!すっげえ、思った以上によっぽど頑丈!」
様子見とはいえ、それなりな威力だと自負していたのだが。
まだその姿を残すシャボンのような障壁に、素直に感嘆する。
これならもう2、3発は打ち込んでも大丈夫そうだと目測を立てて。
「すっげーな、これ壊れるまで攻撃して良いのか?」
少しばかり上気した、興奮を隠しきれない顔で訊ねる。
とんとん、と再び小さく跳躍していることからも、まだまだ七生の方もやれる気である事が覗えるだろう。
■美澄 蘭 > どちらかといえば自分のための訓練に付き合ってもらう形ではあったが、初めての経験と、(物理的な意味でも、鍛錬的な意味でも)新しいタイプの障壁に、七生のテンションも上がっている。
「…ええ…でも、東雲君の蹴りも凄い威力」
まだ、ちょっと緊張というか、驚きを隠せない様子の蘭。明らかに力のぶつかり合いに慣れていない感じだ。
「そうね…もう少し、続けてみて」
障壁より前に、自分の心臓がこの衝撃音に持たないんじゃないだろうかという懸念を若干持ちつつ。
真顔で、七生の続行を了承した。
■東雲七生 > 「まあ、走り込みとかいろいろしてるからさ。」
元より腕力より脚量の方が勝っていた七生である。
型に嵌らない様な我流の足技ではあるが、それでも過度な鍛錬と七生の感性によって技としてそれなりな物にはなっているのだ。
「おっけー、じゃあ障壁が壊れるか、俺がバテるかの勝負って事で──」
気を抜くなよー、と注意掛けをしてから深呼吸。
一度目を閉じ、そして再び開くと、普段の爛漫な表情から一転して鋭い獣の様な表情へと変わる。
そこからは宣言通り、呼吸する間も惜しんだかの様な連撃が障壁へと打ち込まれ続けたのだった。
──障壁が壊れるのが先か、七生のスタミナが尽きるのが先か、美澄が完全に委縮してしまうのが先か。
果たして──
■美澄 蘭 > 「走り込み、か…」
そういえば、運動は去年のスポーツで軽く身体を動かしていたくらいで、あまり習慣化していなかった。
まあ、勉強やら魔術やらピアノやらの方が優先順位が高かったので、しょうがないだろう。
「…え、ええ…それじゃあ、そんな感じで」
七生の「勝負」ルール提案を承諾する。
足腰は今のところ無事だが、声は既に結構気が引けていた。
そうして…障壁に黄色信号が灯るか否かの頃合いで、蘭のメンタルが音を上げたのだった。音響効果凄い。
ご案内:「訓練施設」から美澄 蘭さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > その日は珍しく,演習施設の入り口に“危険”の文字が表示されていた。
実験内容によって任意に表示することが可能な電子掲示板だが,
獅南はこれまで,どのような実験を行う際もこの表示を変えることは無かった。
それは術式の制御に絶対の自信があったからでもあり,
同様にして,理論上,わずかでも制御できぬ可能性のある術式は決して用いなかったからである。
「……………。」
何も無い空間に獅南は立ち,そして両手を眼前の空間に翳す。