2016/09/06 のログ
滝川 浩一 > 「いやぁ…それなればこそ」

的を見据えてそう呟く。なればこそ、この場に来た。
相手を打倒する作戦を立て、自身の弱点を補う対策を講じ、勝利を掴み取る。
まぁ、しかして模擬戦ではあるものの…相手は恐らく、ほとんど手加減はしない。多分。

「ん?」

外から声が聞こえ、そちらの方を向く。
浅黒く、いかにも好青年といったような顔つきの少年が自身の訓練を見てもいいか?と問いかけて来た。

「えぇ、勿論OKですよ!どうぞどうぞ!」

部屋が空いてないという言葉に納得しつつ、笑顔で入り口の方へ行きドアを開ける。
確かに部屋を確保するのは苦労した、などと自分も心の中で同調する。

三谷 彰 > 「っと、悪いわざわざ」

 外から見ていれば良いと思っていたのだが予想以上に良い青年だ。まさか入れてくれるとは。
 別に断る理由も無いし素直に礼を述べ中に入る。
 そして邪魔にならなくて尚且つ外が見える位置に棒などを下ろした。

「悪いな邪魔しちまって、どうにも今から練習始めるっての見たら気になっちまってさ」

 素直に自分が声をかけた理由を言葉にする。
 別に隠す理由でもなければ誤魔化す内容でもない。まぁ少し馴れ馴れしいととられてしまうかもしれないが。

「違う部屋空いたら直ぐ出てくからそれまでちょっとだけな」

 もうしわけないとでもいいたげな表情を浮かべ片手ですまんのジェスチャーをとる。

滝川 浩一 > 「いえいえ」

ニッコリと青年に返すと扉を閉じて再度、的と向かい合う形で位置取りをする。
邪魔にならない場所に移動する青年をチラッと見る。
黒い棒…何だあれは、などと思うがあまりジロジロ見るのはダメだろう。すぐに視線を戻そうとするが

「あぁ、良いんですよ。自分も他人の異能やら魔術やらが気になるタイプの人間ですので」

声を掛けられ、そのように返す。
しかし、このように見学されるというのが多いのだろうか?
余り意識しなかったが部屋の外…あるいは部屋に入られ見学されるというのが多々あった。
まぁ、その行為を別段嫌悪してないからいいのだが。

「はい。つまんないかもですが」

すまんとジェスチャーする青年に苦笑いを浮かべ、的を見据える。

(さて、どうしたものか。
 接近された際に有効な反撃手段。近接武器はいいが何度か打ち合ったらこっちが切り伏せられる。
 で、あれば…)

的を見据えた顔は真剣そのものだった。粒子のような青い光を部屋に出現させる。
ランダムに動くそれらを制御し、右手を出せばそれらは右手に集い、武器を形作る。

一閃、青い閃光が走ると手元には銃のような武器を持っていた。
しかし、その銃はどこからどう見ても現代のそれではなく、近未来的なデザインをしていた。

三谷 彰 >  一瞬武器に視線が移ったのは見たがその後逸らそうとしているので話すのは止めておく、ベラベラと語るようなものでもないからだ。
 その後の相手の話を聞くと少しだけ懐かしい記憶が戻りクスリと笑いを浮かべた。

「やっぱり気になるよな、俺もこっちに来たばっかの時は色々と気になったもんだ」

 昔は自分もここなどに入り浸っては練習しながら他の人の能力を見てひとり盛り上がっていた記憶がある。
 それに比べればまだ彼はマシな方なのだろうか。
 つまらないかもしれないと言う言葉に返そうとするが相手が集中モードに入った為それ以上の話をするのを止める。
 周囲に漂う光が彼の異能なのだろうか。ランダムに不規則に動く的、それらを見据える彼の手に集まる光と銃を見て声を出す。

「へぇ」

 ここにいて1年だがこういった能力を見ることはあんまり無かった。召還とも違うのだろう。
 仮に召還だとしてもあんな武器を見たことは1度も無い。アニメやゲームなどでレーザー銃というとあんな感じのイメージではあるのかもしれないが。

「……面白い異能だな」

 思わず言葉に出してしまう。
 出してしまってから相手が練習中だと思い出し口を噤んだ。

滝川 浩一 > クスリという小さな笑いが聞こえ、横目でそちらを見る

「えぇ、自分はまさにその"来たばっか"の人物なので…」

サラリと転校生であることを暴露する
的に顔を向けたままだが、その横顔からは笑顔が読み取れるだろう。

一先ずは完成した。
近未来の銃。それはしっかりと銃床やトリガー、グリップはあるものの、銃身は大きく丸み帯びていた。
銃口は内部がうかがえるほどの大口径であり、内部は飛行機のファンのような物が回転しており複雑な内部構造は発熱しているかのようにオレンジ色の光が発光していた。
まるで銃身に飛行機のエンジンを取り付けたかのようなデザインだ。

銃を構え、的に狙いを定めると右手の指をトリガーに掛ける。
引き金を引き、その銃の威力を確かめる。
近未来の銃らしくレーザーやパルスライフルが出る…かと思いきや、銃口から放たれたのは空間を歪ませるほどの衝撃波であった。
空間の歪みの周りは強い風を引き起こし、空間の歪みは一直線に的へと向かっていった。

歪みが的に命中する。的は砕け、破片は部屋の奥の壁へと全て押し退けられた。

「こ、これは…」

想像してはいたがその威力に改めて驚嘆し、ビックリしたのかそそくさと銃を消し去る。

三谷 彰 > 「なるほどな」

 相手が転校生と聞いて納得の顔を浮かべる、本来ならもう少しお喋りしたいところではあるが相手の邪魔をするわけにはいかないのでそれ以上は何も言わなかった。
 銃を見ている限りそこまでの破壊力ではなく精々的が壊れる程度だと思っていたのだが。

「っ!?」

 彼がトリガーを引いた瞬間凄まじい衝撃が的を襲い砕け散る。

(今のはなんだ?)

 能力を発動していなかった今の自分には空間がゆがんだようにしか見えなかった。
 それでもそれが凄まじい威力をほこる何かである事くらいは掴むことができた。

「す、すっげぇ威力だな」

 その驚いた顔のまま声をだす。
 近距離でならともかく遠距離であそこまでの攻撃能力を叩き出すのはそうは見かけない。
 知らないだけかもしれないが少なくとも自分は知らない。

「って自分で出してなに驚いてんだよ」

 相手が驚いているのを見て少し笑ってしまう。
 想像以上に能力が強かったというところなのかもしれないが銃が消せたということは暴走ではないのだろう。

滝川 浩一 > 「……!」

粉々になった的を見据え、唖然としている。
見学していた青年の声を聞くとハッという声と共に我に返る。

「あ、あぁ…いえ、想像してたんですが…その、いざ見るとやっぱり驚きが隠せなくて…」

こちらを見て少し笑っている青年に対し、そう返す。
未だに先ほどの衝撃が忘れられず、返す言葉は覚束ない様子であった。
心臓の鼓動を治めるため、深呼吸を何回かする。

「すいません。少しばかり、見慣れない光景と味わったことのない感覚が襲ってきたので気圧されてしまって…」

胸を撫で下ろしながら苦笑いしつつ青年へそう発言する。

三谷 彰 > 「生き物撃ったわけじゃねぇんだし落ち着けって」

 どうにも落ち着いていない様子の彼を見て少し笑いを浮かべながらなだめる。
 それに気持ちもわからないでもない。わかっているのと目で見たのでは違うというのもあるのだろう。
 
「そりゃあんな光景を日常的に見慣れてる奴は数少ないわな」

 自分ですらあんな光景はそうは見たことが無い、ここに来たばかりという彼ならば尚更だろう。
 その後少し顎に手を添えて軽く頷く。

「あんたさえ良ければだが。何が飛んでったか見ようか? 俺の異能なら……透明なら無理だが形があるなら見れると思うし」

 目が良くなる異能だしなと呟き苦笑する。
 自分の興味というのもあるのだが相手も何がどうなってこうなったのか知りたいかもしれない。
 そう考えてその提案を切り出した。そして同時に異能を発動、目が黒から紅へと変わる。目が合うのなら普通の目とは違う違和感を感じるかもしれない。
 

滝川 浩一 > 「は、はい。すいません」

宥められて、どうにか落ち着く。
青年の言葉に安堵を覚えるが、後から不安がこみ上げてくる。
そうだ。元々生物に撃つ予定なのだ。

「は、はぁ…やっぱりそういうもんなんですかね?」

頬をかき、そのように返す。
やはり先ほどの光景はこの島でも珍しいものだったのだろう。

「見れるんですか?で、では…」

青年の言葉にその様に反応すると身構えて何が見えたのか聞き出そうとする。
少年の瞳が紅に変わると心の中で感銘の声をあげる。

三谷 彰 >  相手が落ち着いたのを見てこちらも一息を着く。

「ああ、俺は見たことは無い、近距離ならまぁ近いのは見たこともあるが」

 少し思い出しながらそう答える。
 空間が歪むほどはなくても周囲が吹き飛ぶ位ならば見たことはある、といってもそうは頻繁ではないが。
 相手が自分に話を聞く体制を取ると慌てたように手をブンブンと振った。

「ああ、まてまて。過去を見るわけじゃないからもう一発撃ってもらわないと無理だぞ流石に!」

 何かを勘違いされたのか今のを見ていたと思われてしまった。
 指で自身の目を指す。

「俺のは単純に目が良くなるだけなんだよ、さっきまで発動してなかったし空間が歪んでその歪みが突っ込んでった程度にしか見えてないぞ?」

 だから素直に自分の見えた通りの事を告げた。
 発動していない時の視力は普通の人間レベルと変わらないのだ。 

滝川 浩一 > 「はぇ~…」

近い物なら見たことあるという発言にその様に感銘の声を挙げる。
やはり衝撃波や斬撃といった類のものを放つ輩は多いようだ。

「な、何だ…」

てっきり過去を見ることができるのかと思い、あからさまに落ち込む。
目の前の人物にとても失礼だと気付いたのはその数秒後だ。
慌てて落ち込んだ様子を誤魔化しつつ、次の発言に反応する。

「空間が歪んで…」 (予想通りだ。衝撃波を放ったんだ…!)

彼の言葉を聞き、顎に手を添え何故だか納得したように頷く。
自身の生成した武器が想像通りの成果を出したようで嬉しかったようだ。

「それだけ分かれば満足です。ありがとうございます!
 ……えーっと、お、お名前お聞きしてもよろしいでしょうか?」

自分自身が放った際は見てなかった様子で改めて彼に礼をする。
と共に唐突に名前を聞き出そうとする。

三谷 彰 > 「わるいわるい」

 相手の落ち込んだ様子を見てハハハと頭を掻きながらなんでもないように答える。
 正直言ってしまえばそういう反応はされなれている。目の異能というと何人かは未来視だとか凄いものを想像する人が多い。
 
「ああ、後なんか風みたいなのを放ってたな。空気が押し出されただけかもしれねぇけど」

 思い出しながらもうひとつ思い出したことを付け加える。
 だが相手の納得する表情を見て役には立てたのかなと思っていると相手からの質問、そういえば勝手に見学を希望しておいて名前も名乗らないというのは少し失礼だったかもしれない。
 自身の能力を消し目が黒に戻ると口を開いた。

「そういえば言ってなかったな。俺は三谷彰、2年だ。あんたは?」

 自然にこちらも相手の名前を伺う。
 と、ここで相手が年上の可能性を考え。今まで思いっきりタメ口だったため一瞬慌てたがそれを表に出さないように笑顔で誤魔化す。 

滝川 浩一 > 相手があまり怒ってないようで安心し、胸を撫で下ろす。
やはりこの青年は優しさMAXの好青年なのだろう。何だかモテそうな雰囲気だ。

「風…ふむふむ」

青年の付け加えられた言葉に顎に手を添え頷く。
衝撃波の副作用か。どちらにせよこちらに有利な副作用で助かった。
目が黒に戻った青年の自己紹介をされ、自分の名前を問われる。

「あ、自分は滝川 浩一。同じく2年です!」

笑顔で自己紹介をする爽やか青年に、こちらも笑顔で自己紹介をする。
同じ学年ということで敬語を取っ払おうとしたが、一応は初対面の相手。敬語は続行するようだ。

「…あっ、いっけね…すいません三谷さん。自分別の用事があるのでここらへんで…!」

ふと時計を見ると、しまったと言った風な顔をして申し訳なさそうに青年の方を向く。
別の用事をすっかり忘れていて、時計を見てやっと思い出したようだ。

両手の平を合わせ、ごめんと言った風なジェスチャーを飛ばすとそそくさとその場を後にした。

ご案内:「訓練施設」から滝川 浩一さんが去りました。
三谷 彰 > 「あ、同じ2年かよかった。タメ口で話してたから先輩だったらどうしようかと思ったぞ」

 いやぁ良かったといった表情で一息吐き出す。
 時間が無いというとこちらこそ申し訳無さそうな表情になり。

「あぁ、そうだったのか。悪い結局最後まで世話になっちまったな。今度会った時ジュースでも奢るよ」

 ただでさえ少ない時間をこちらによって更に短くしてしまったという申し訳なさからそう告げる。
 結局出来たのは他者からの視点を告げただけなのだ。
 そうして彼を見送り一人残される部屋。
 部屋を使えるようになったので少しだけ自分も練習していこうかと思い自身の武器を手に取る。
 試すは土の属性を決戦兵装に練りこんだ上位魔法版。

「……」

 棒を構え魔力を練るが一瞬棒の先端に土が集まるもののすぐに砕ける。

「流石にこれは直ぐには出来ないか」

 ふぅと溜息を吐いて諦める。
 もう少し時間がかかりそうだななどと考えながら彼もまた練習を始めるのだった。

ご案内:「訓練施設」から三谷 彰さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
(演習施設の中心に立つ。
 自然体で眼を瞑り、精神統一をしているように見えるだろう。
 正確には自身の中の龍の力を引き出すために、自身の中に潜っているのだ。
 勿論比喩的な話であり、そう言う意味では精神統一で間違いは無い。)

――。

(自身の魔力特性を知り、それを利用した武器も手に入れた。
 しかしそれでもまだ足りない。
 身体を鍛えても奴らには勝てない。
 ならば、自分の中の使って居ない力を使うしかない。
 NGワードを言われた時のあの力を自由に引き出せれば、今よりも強くなれるはずだ。)

龍宮 鋼 >  
(深く、深く潜る。
 自身の身体を流れる龍の血の気配を辿り、その根源へと意識を集中させていく。
 僅かにだが、確実に龍の力へと至るにつれ、自身の周囲に気配が満ちていく。
 魔力が次第に重く濃くなり、周囲を覆っていく。)

――っ、――。

(汗が滲む。
 半龍とは言え、身体の半分は人間だ。
 龍の力が強くなるにつれて体の悲鳴が大きくなっていくのがわかる。
 だが、此処でやめては何も手に入らない。
 より強く濃く重く。
 力を求めて深く深く潜っていく。)

龍宮 鋼 >  
(深く潜るにつれて集中も深くなる。
 それに伴い自身の纏う空気と言うか気配と言うか、とにかく存在感が増していく。
 床や振動したり空気が震えたり、自身の魔力に当てられた周囲の環境すら悲鳴を上げている。
 しかし自身は気付かない。
 と言うよりそちらに注意を払っている余裕が無い。
 かなり自身の深いところまで潜っていて、龍の力の一旦を掴んでいるのだ。
 それを慎重に引き摺りだす作業はかなりの集中力を要する。
 外の様子に気を取られていたら、力は手を離れるどころか一気に弾け飛ぶだろう。
 そうなったらどうなるか分からない。
 天井知らずに膨れ上がる魔力が周囲の防壁から魔力を奪っている事にも気付かず、慎重に確実に龍の力を自身の中から引っ張り出していく。)

ご案内:「演習施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
さて訓練するか、と踏み込んだ……はいいが、内部の状況に眉をひそめる。
ありえない、防壁が薄くなっている。
それと対照的に、中心で魔力を吸い上げる存在。

(あれ爆発したらまずいな)

ぐるんと刀を手の中で回し、魔力を解放する。

魔力を奪われた防壁を再構築し、保険でその外側にさらに魔力結界を。

中の本人を止めたら、あれが暴発しかねない。
暴発されたら、止められるかどうかは五分といったところだ。
確実に、外への被害をゼロにする。