2016/10/03 のログ
軍服の男 > 先から言葉一つ一つに反応を示してくる目の前の少年。
とても分かりやすいな、そう思わせるには十分で、言葉には出さないままに。

「戦いが怖いか、その考えを忘れては駄目だよ。
偉そうにいきなり上から目線で申し訳ないけど、それが大事だ。」

戦いに楽しみを見出し、溺れていく者は少なくない。
異能という普通の人にはない能力を持つものには特にその傾向が強くもある。

「ま、元教師からの助言程度に、頭の片隅に置いておいてくれると嬉しいかな」

滝川 浩一 > 「えぇ、戦いで痛い思いをするのは嫌ですよ。体に風穴開けられるのはもう御免です…」

苦い顔をしてそう告げる。

異能や魔法というのに魅了され、溺れていくのはアニメや漫画でよくある展開だ。
自分は異能を行使し、戦闘をしたいと思わないが色々な面倒ごとを異能で切り抜けたいという欲望はあった。
自身の所持している異能が異能なだけに、もしこれに頼り切りになれば自堕落な生活になってしまう。
その危機感からか、あまり自分のために異能は使わないようにしている。

「はい、しっかりと脳みそに刻んでおきますよ」

こめかみを指さし、その様に返す。

軍服の男 > 「おや、風穴を…それは災難だったね。だが生きてられるのは運がいい、とてもな」

普通は体に風穴など開けられてしまっては生きてはいられまい。
彼は運が良かったのだろう、それも尋常ではないぐらいの運の良さだ。

「ま、刻みすぎて使い物にならぬようにとかは気を付けてな――ふむ」

冗談を交え始め、それと同時に何かを考え始めたのか。
腕を組み静かに声を上げている。
が、それは直ぐに終わり、やめておこうと小さく独り言のように呟き

「それじゃ私は用事を済ませなければいけないからこれで、君もリュックサックを背負ってるぐらいだ。この施設から出るのだろう?」

滝川 浩一 > 「えぇ、常世島の医療様様、ですよ」

確かにあの時は運が良かった。直ぐに病院に搬送され、緊急治療してもらったからだ。
常世島の医療技術、魔法のお陰だろう、一般人があれだけの負傷をして日常生活に支障が出ないほどまで回復するのは恐らく珍しいだろう。
それとも或いは一般人とは違う何かをこの少年は持ってるのかもしれない。

「ははは…気を付けます」

苦笑いしてそのように返す。
入院前と同じく、最近はオーバーワークが目立ち始めており、的を得た彼の言葉に少しばかり弱った顔をする。
そして何かを考え、やめておこうと呟いた彼に疑問符を浮かべる。
気になる。しかしここで掘り下げるのは野暮だろうと声は敢えてかけず。

「えぇ、運動も終わりましたし、今日はここで退散するつもりですよ」

彼の言葉に反応し、リュックを背負い直す。

軍服の男 > 「ならここでさようならだ、また今度会えた時があれば――そうだな
君が迷惑でなければ、戦闘技術でも教えてあげようか。模擬戦というやつだ」

「私は教師の時には、歴史を教えてたのだが、戦闘などの技術面を教える方が得意でな。君に最も必要なモノだろうし、どうかね?」

そんな一つの提案。
最も彼がだいぶ前に起こしたことを知ってるものであれば、そんな提案など蹴ると思うのだが。

滝川 浩一 > 「いいんですか!?是非、ご教授お願いします!!」

彼の思わぬ提案に目を輝かせそう返す。
いままで我流でやってきたものの師をとるという事はしてなかったので期待がいっぱいという様子だ。
模擬戦というのも…初めてではないが体験できると楽しみが増える。

この少年は目の前の男性が何を起こしたのかを知らない。
それもそのはず、この少年はこの島に来て一ヶ月と少ししか経ってない。
相手の過去の行いを知らない。その事がいい結果を生むのか、悪い結果を生むのか、誰にもわからない。

滝川 浩一 > リュックサックからメモ帳とペンを取り出し、自身の連絡先を記入する。
そのメモを千切り、彼へと渡せばそれらをポケットにしまう。

「では戦闘指示、模擬戦のほどよろしくお願いします!バロム先生!!」

目の前の男性の正体も思惑も知らぬまま背を向け歩き出す。
そうして少年は元気よく手を振り訓練施設を去っていった。
彼の未来に黒雲が立ち込めていることも知らずに―――――――

ご案内:「訓練施設」から滝川 浩一さんが去りました。
軍服の男 > メモ帳を受取、それを胸ポケットに仕舞えば、自分もまた同じく連絡先等を教え、それを記した名刺を一枚手渡した。

「あぁ、ではその時は是非に」

再び会釈を行い、自身の用事を終わらせるために、この施設から出て行くだろう。
また楽しめそうだ、と、彼は自然と笑顔になってしまう顔を手で隠しながら、進んだ。

ご案内:「訓練施設」から軍服の男さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
結局、先日の討伐は起きてしまった。
何とも言い難い気分だ。

「……救ってやれなかった連中も居るんだよな……」

もっと早くに行動していれば、とも考える。
浄化術と言えど、使い手と術の質によって形が変わる。
転生に導く技、浄化し昇天させる技、破壊し再生を誘う技。
各々理念にあった技術を使う……まではいいのだが。

「……殺された者たちはどうなるんだろうな……」

自分の力の及ばない者たちが、どうなったのかがわからない。

寄月 秋輝 >  
両手を合わせ、腕を下におろす。
魔力を高め、広く結界を展開した。
数日の練習と研究で、かなりマシになった。

光の魔力と共に溢れさせる浄化の力。
霊力であり、巫術の欠片。

大規模にするなら、この演習施設を覆うことはたやすい。
しかし範囲を広げるほどに効力は下がる。
魔術と違い、資質が弱く、苦手な巫術だ。
狭い範囲に威力を叩き込むことはできるが、広範囲まんべんなく浄化することはできない。

そのせいで、結局自分一人で彼らを救うことは出来なかった。

寄月 秋輝 >  
寄月秋輝は時折、多くのことを高水準でこなすと思われることがあった。
軍属していたときもそうで、任務もこなしたし、戦闘も重要な局面では死なずに敵を削ってきた。

ただ、それは得意な面をとにかく限界まで鍛え上げたという結果があるからだ。
剣術も母から教わり、師に伸ばしてもらい、自分で技を編み出した。
魔術も素質を受け継ぎ、師によって極限まで引き延ばされた。
死ぬほどの努力をして、高水準へと至った。

それだけだ。

素質も弱く、しっかり鍛えたわけでもない霊術や巫術はひたすらに苦手。
治癒術が使えないのは、命がけで戦うことの多い前衛としては致命的。
刀は扱えるが、槍や短剣はもちろん、体術すら使いこなせず、自分のレンジ以外での戦いはとにかく不得手。

寄月秋輝は、天才でも万能でもなんでもない。
出来ることを出来るだけやっただけの、普通の人間だ。

寄月 秋輝 >  
もう少しだけ、器用に立ち回れる強さが欲しかった。
技術の幅が足りない。
とはいえ、これに関しては素質の面でしかない。
出来ないことは、誰かに頼るしかないのだが。

この島で戦う者たちは、子供が多い。
心身ともに未熟で、これから伸びていくべき子供たちが。
彼らには託すにはまだ早すぎるのだ。

だからこそ、多少足りなくとも自分がやるべきなのだろうが……

「……それが出来るほど、器用じゃないんだよな……」

まだまだ、足りない物が多すぎる。
そして、その大半が得られない物だとも理解出来ている。
それでもやらなければならない時が、必ず来る。

寄月 秋輝 >  
重ねた両手を離す。
考え事と覚悟をしながらも、かなりの消費をしてしまう程度の訓練は出来た。

「……本当に……巫術は疲れる……」

魔術戦、空中機動戦ならば十時間くらいなら戦い続けられるように訓練してあった。
しかし、慣れていない術の行使は、何倍もの速度で消耗するものだ。

「……だめだ、疲れた……」

限界まで使い込んだなら、あとは帰って休むに限る。
帰宅後にまた研究をして、自分を高めればいい。

十分な訓練を終えたということで、魔装を解き、普通の和服姿になった。
あとはのんびり、空を飛んで帰っていくだろう。

ご案内:「演習施設」から寄月 秋輝さんが去りました。