2017/03/12 のログ
ご案内:「訓練施設」に柊 真白さんが現れました。
■柊 真白 >
(突然ですがずぶ濡れです。
毎日身体を動かしていないと鈍るので訓練施設にやってきたまでは良かった。
おぼつかない手つきで端末を操作したら、ゲリラ豪雨のような雨に見舞われた。
それを止めようと端末を操作した結果、銃撃にあったり魔術のつるべ打ちにあったり竜巻が発生したり色々あって何とか止める事は出来た。
しかし濡れた服はどうしようもない。
何故か大量の案山子が乱立している部屋の隅でずぶ濡れになって立ち尽くす。)
――これだから機械は嫌いだ。
(ぶすっとした表情で近くの案山子を睨みつける。
案山子は何も教えてくれない。)
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > (……何だこれ…)
訓練施設に入って、まず真っ先に思ったのはそんな感想だった。
狙撃銃や魔術の訓練をしようと思い、申請をして足を運んだはいいのだが…この有様である。
何か無数に標的用の案山子が乱立しているわ、地面が濡れているわ、何か魔術で抉られたり風が吹き荒れた痕跡が残っている。
死んだ瞳で暫しそれらを眺めていたが、フと視線を隅っこへと向けた。
この距離からでも分かる程度には不機嫌そうだ。…もしや、彼女がやらかしたのだろうか?
「……どうも、真白さん。…これは貴女が?」
緩く、会釈と挨拶をしながらもそんな疑問符を重ねて尋ねようか。
■柊 真白 >
(とりあえず濡れた服や下着が身体に張り付いて不快なことこの上ない。
脱ぐか、と服に手を掛けた所で声が掛けられた。)
――私はなにもしていない。
(何もしていないのに勝手に壊れたと言う類のアレ。
彼が近付いていたのは知っていた。
動きを止めたのは声を掛けられて気が付いたからではなく、痛いところを突かれたからである。
当然彼に裸を見られることをためらったわけでもなく――それどころか今更な関係だ――、それを証明するように躊躇無く脱衣を再開。
がばりとスカートをたくし上げ、そのまますぽんと大量のフリルが大量の水を吸って重くなった服を脱いでしまう。)
■飛鷹与一 > 「……むしろ、スマホの件からして真白さん、機械と相性が悪いのでは…って、」
何でこの人いきなり脱衣始めてるんだろうか…!!
いや、確かにあの一夜で裸はそりゃもうたっぷりご拝見しましたが。
スカートをたくし上げたかと思えば、そのまま服を脱いでしまう少女に困り顔。
「……取り敢えず、その衣服ですが乾かしましょうか?一応、俺の魔術なら多分可能だと思いますけど」
と、一応は提案してみる。少年の魔術は熱量操作。温度操作に優れている。
ならば、温度調節をコントロールすれば、彼女の衣服を短時間で乾かす事も不可能ではない。
ついでに、提案しつつもスタスタと歩みを進めてコンソールの前へ。
慣れた手つきでそれを操作し、まず案山子を引っ込めて地面を整える。
ある程度、デフォルトに近い状態まで戻しておこうと。
■柊 真白 >
知らない。
分かりづらいのが悪い。
(とうとう責任を機械側に押し付けだす機械オンチの暗殺者。
ちなみに服の下は白ぱんつ一枚である。
ブラどころか晒しも何も付けていない。
必要ないから。)
お願い。
(ぎゅう、と服を軽く絞っただけでぼたぼたと水が零れ落ちる。
あまり強く絞ると皺になる――と言うか力はそんなに無いので強くは絞れないのだが。
余分な水分を追い出した後ばさばさと振って皺を伸ばし、彼に預けよう。
そんな事をしていれば案山子が引っ込んでいく。)
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「……そんなに難しい操作では無いと思うんですが…」
うーん、と首を緩く傾げながらもコンソールの操作を終了。
手馴れているように見えるが、これでも利用する回数は多い方ではない。
それで、この程度まで慣れたのだから相性の問題もあるのではなかろうか?あるいは苦手意識とか。
(……ブラどころか晒しも無しですか。と、いうか第三者が来たらマズいのではこれ)
主に自分が変質者扱いされかねない。ともあれ、彼女も了承したのでそちらに歩み寄って衣服を受け取る。
「……ん、じゃあ失礼しまして」
頭の中で式を組み立て、そこに魔力を通して最適効率化を図る。
温度調整は一瞬で完了。衣服の周囲の温度だけが急上昇していく。
急激に水分を蒸発させていきながら、やり過ぎないように調節は常に一定の状態をキープ。
「……取り敢えず、数分程度で乾くと思います」
■柊 真白 >
――難しいなんていってない。
(ふいと目を逸らしながら。
要は古い人間なのだ。
アナログに慣れすぎて、デジタルに適応仕切れていないと言うだけ。
だけ、と言うにはあまりに行き過ぎている気もするが、特に異能や体質と言う事は無い。)
ありがとう。
(マズい状況などお構いなし。
平然と彼に服を手渡し、自身は訓練所の真ん中へ。
左手の鞘から刀を抜き放ち、切り上げ、切り下ろし。
その動作を一呼吸どころか一動作とも思える速度で繰り出し、刀を投げる。
直後消えたようにすら見える速度で跳躍、一直線に飛んでいく刀を空中で掴み取り、半円を描くように振り上げる。
投げた刀を避けた者を、背中から両断するような一撃。)
■飛鷹与一 > 「……あ、ハイ」
何となく彼女がアナログに慣れ過ぎてデジタルに上手く適応しきれてないのを感じ取ったらしい。
察しが悪いという訳ではないので、それ以上は掘り返さないようにする。
下手すると峰打ちとかされかねない……多分。
「いえ、どういたしまして」
と、お礼に軽くそう答えながら、現在進行形で衣服を乾燥中。
一定の集中力と魔力のコントロールは欠かせないが、それを保ちながら彼女の訓練風景を眺める。
(……速過ぎて素人の俺には目で追い切れない…)
そんな感想を抱く。どれだけ超絶的な身のこなしなのだ彼女は。
…唯一、困った点を挙げるとすれば…下着一丁という凄い格好な事だが。
ともあれ、彼女がある程度剣をふるって区切りを迎える頃にはには丁度乾燥も終わるだろう。
「……凄いけど、俺はそもそも刀剣はからっきしだからな…」
狙撃術と格闘術、それに魔術を併用するのが一応の少年の戦闘スタイルだ。
とはいえ、彼女と例えば訓練しても勝てる算段がまるで浮かばない。
そもそもの身体能力が違いすぎるのだ。特にそのスピード。
■柊 真白 >
(パチン。
刀を空中で振って着地する頃には、既に刀は鞘へ納まっている。
何かしら気に入らない様子で自身の足元を睨みつけ、彼の元へ歩いていく。)
――こっちもお願い。
(乾いた服を受け取る前に靴を脱ぐ。
その下の白い靴下とぱんつも。
靴の中がぐちょぐちょで思ったように動けなかったのだ。
それらをずいと差し出し、変わりに服を受け取って頭から被る。)
私のは真似しようとしない方が良い。
(すぽんと服から頭を出してそう告げる。
自身の剣は邪道の剣だ。
相手を騙し、不意を突き、意識の外から殺す、ただそれだけの剣だ。
まともな者が使うようなものじゃないし、使って良いとも思わない。)
■飛鷹与一 > (……何か納得が行ってなさそうな顔だな?)
一応区切りが付いたらしいが、自身の足元を睨んでいる少女に不思議そうにそう思う。
そうしていれば、丁度乾燥も終了した。魔術を解除してから乾き具合を確かめる。
…問題ない、生地も特に痛んでいる様子は無い。あまりこういう使い方はしたことが無いが及第点ではあろう。
「…あ、ハイ分かりまし――って、え?」
条件反射的に白い靴下とパンツも受け取ってしまう。衣服は彼女がさっさと受け取って着込んでしまった。
(……靴下は兎も角、女子のパンツを乾かす風紀委員ってどうなの…)
何だこれ…と、真顔で思いつつも律儀に魔術を再発動。靴下とパンツの乾燥を始める。
…これって新手の羞恥プレイというものではなかろうか…!
「……え?あ、いえそもそも真似出来ません。格闘術の師匠からもお前は剣術は向いてないと言われてますし」
彼女の言葉に我に返りつつも、そこはそもそも真似出来ないのだと答える。
まず、致命的に身体能力が違いすぎるのだからどうしようもない。
■柊 真白 >
(こちらは気にした様子も無い。
元よりそう言う方向の羞恥心など無いに等しいのだ。
損をしないのなら躊躇う必要性も無い。)
そう。
――それ、練習しに来たんじゃないの。
(視線を送るのは彼の背にあるケース。
ケースの重心位置などから、中身はライフルだと見当がついている。
訓練施設にそれを持ち込むと言う事は、そう言うことだろう。)
■飛鷹与一 > 彼女は全く気にしてなさそうだ…まぁ、前回のラブホの時からそこは分かっていたのだけれど。
ケースに向けられた視線と言葉に、「えぇ、一応」と答えつつ靴下とパンツの乾燥終了。
長いようで短い羞恥ぷれいな時間だった…と、思いながらこれらも彼女に返そう。
それから、ライフルケースを下ろして中から一丁の狙撃銃を取り出す。
エアガンとかレプリカではない本物だ。ただし弾丸は当然というか非殺傷式の特殊弾頭だが。
この島だから学生の身分でも銃が持てるとも言える。それに、この銃は改造銃で試作品だ。
そのテストも兼ねて持たされている…テスターの側面もあるという事だ。
別にしまいこんでいたマガジンボックスを取り出し、それを銃身下部に装着。
ボルトアクション式なので、サイドにあるボルトを引き上げ、後ろにガシャリッと後退。再び前に引き戻して初弾の装填を完了。
「……じゃあ、次は俺がちょっと軽く射撃練習してきます」
そう言いつつ、コンソールへと歩み寄り手早く操作。
遠くの方に大きさも距離もまちまちのターゲットを5つ出現させる。
■柊 真白 >
(ぱんつと靴下も受け取って着用。
靴は濡れているが、まぁ問題あるまい。
つま先で地面を数度叩き、更に数度軽く跳躍して具合を確かめる。
問題なし。)
そう。
(彼の練習を見学。
自身も一応暗殺者の端くれだ。
銃器の類は使えないことも無いが、やはり気配を消して刀でずんばらりん、が性に合っている。
五つのターゲットを確認し、彼の方へ視線を送る。
と言うか、ガン見。)
■飛鷹与一 > (……何か必要以上にガン見されてる気が)
狙撃、というのはデリケートだ。周囲の温度、湿度、風向きやその強さなど。
色々と考慮しなければならない…なので、集中力が乱れるとやり難い。
「……スゥ」
が、銃を構えて狙撃態勢になれば彼女の視線も頭の中から消える。
ここで特異なのは、備え付けのスコープを少年は見ていない事だ。
その状態で、徐に射撃…1つ目の的…人型の上半身を象ったそれの胴体ど真ん中を撃ち抜く。
ガシャンッ、とボルトアクション…2射目、2つ目の的の頭…眉間を正確に撃ち抜いた。
更にボルトアクション…3射目、3つ目の的は心臓辺りをこれまた正確に撃ち抜く。
その間も無表情で目つきは何時もの死んだような状態だ。が、集中力は研ぎ澄まされている。
更にボルトアクション…4射目、4つ目の的の首元を撃ち抜く。
再度ボルトアクション…最後の5射目、5つ目の的の鳩尾辺りを撃ち抜く。
「………ん」
こんなものかな、という感じで一段落し狙撃態勢を解く。
全ての狙撃を「目視」と「勘」だけでこなした…静止目標ならまず外さない。
ある意味でぶっ飛んだ狙撃技能ではある。彼女とは対照的な遠距離特化に近い。
■柊 真白 >
(少年を見る。
いつスコープを覗くのか、と考えていたところに響く発砲音。
一瞬送れて的を見れば、心臓を打ち抜かれた標的。
驚いた顔で視線を戻せば、二射目の引き金を引く直前。
やはりスコープは覗いていない。
射撃のたびに的を見れば、そのどれもが即死もしくは致命傷を与える箇所へ着弾している。
スコープも覗かずレーザーポインターなどの補助器具も使わず。
当たると確信してから矢を放つ、弓の達人のような射撃。
思わず、驚いたように目を丸く見開く。)
私より――向いていると思う。
(辛うじて「何に」のところは口にしなかった。
彼が暗殺者ではない事が信じられないぐらいの技量――を通り越して最早天性の才を目にした上での言葉だ。
むしろよく思いとどまったと自分でも思う。)
■飛鷹与一 > 「……向いてる?…えーと、まぁ自分でも最近まで狙撃の才能があるって事は知らなかったんですよ。
風紀委員会に入って、先輩から冗談交じりに狙撃でもやってみたらどうだ?とか言われて始めたんですけどね…」
珍しく苦笑を浮かべながらそちらに向き直る。肝心の少年自身が一番自覚に乏しいのだが。
そして、彼女が口にしなかったので、そこは勿論思い当たることは無い。
…が、どちらかといえば裏の業界で通用しそうな技能である。
天性、というよりもある意味で異能じみた狙撃技能。スコープやレーザーポインターを使いもしない。
それに、狙撃で必要な気象条件による誤差修正なども少年は勘だけで全て調整しているのだ。
おそらく、暗殺者になればそれなりの人物になっているだろう。
この年齢でもうこの技量である。まぁ、実際の所は風紀の立場に収まっている訳だが。
■柊 真白 >
――そう。
(自覚していない。
いや、していない方が良いのかもしれない。
だから多くは語らなかった。
代わりに、歩を進めて彼の正面、的のあった辺りへ立つ。)
撃ってみて。
――私の訓練にもなるから。
(そう告げて、走る。
本気ではない。
彼の目でも追える程度の速度、しかし狙撃用のライフルで狙うには難易度の高い速度で細かく反転しながら左右へ変則的な反復横跳び。
並の狙撃主であればまず捉えきれないであろう、しかし腰溜めでばら撒けば何発かは捉えられるであろう動き。
勿論ただ撃たれるつもりもなく、被弾する弾丸は全て斬って落とすつもりだ)
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「……どうかしました?」
無自覚なのが、この場合は幸いなのだろうか?つまりは人を撃ち殺す才能に非常に長けている、というその事実を彼は自覚していない。
刀剣などの武器の類はからっきしで、其の分を全て狙撃へと振り切ったような極端さはあるが。
…と、片づけをしようかと思えば、こちらの正面へと立つ少女の姿。首を傾げるも…
「……え?いきなり何を言っ――ちょ、真白さん…!?」
慌てて声を掛けるも既に遅し。少女は動き始めている。それに流されるまにこちらも空のマガジンを外して新たなマガジンを装着。
弾数は先程と同じ5発だ。10発マガジンもあるが生憎とそちらは今回は持参していない。
ガシャンッ、とボルトアクションで初弾を装填すれば後は狙いをつけて撃つのみ。
しかし、かろうじて目で捉えられるとはいえ今度は動体目標…難易度は桁違いだ。
(……これは訓練…訓練…そう、訓練だ)
自分に言い聞かせてからゆっくりと目を閉じて深呼吸。
そして、瞳を開けばゆっくりと狙撃銃を構え――…
ダァンッ!! 1射目は今まさに彼女が変則的な動きで切り替えした直後を「正確に先読みして」狙い撃つ。
狙いは頭部…そこに躊躇は既に微塵も無い。まるで別人のように急所を狙う。
そして、命中を確認せずボルトアクション。2射目を1射目とは逆方向に撃ちだす。
1射目を回避、ないし切り捨てた後を狙った容赦の無い追い討ちだ。
更に、それを確認もせずにボルトアクション、3射目の発射態勢。
少女が手加減してくれているとはいえ、その動きを正確に捉えていなければ出来ない射撃だろうか。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■柊 真白 >
(何度目かの切り替えし。
地面を蹴った瞬間、発砲音。
速度に特化した自身は、その速度に対応するために当然動体視力も相応のものだ。
その目が、撃ち出された弾丸をスローモーションで捉える。)
――。
(その軌道は、何もしなければ確実に自身の頭蓋を捉える軌道。
地面に足を付く前に頭部へと着弾するであろうその弾丸を、神速の抜き打ちで斬って捨てる。
刀を鞘に納め、反転すべく地面を蹴った直後、二度目の発砲音。
やはり正確に自身へと吸い込まれるような弾丸。
あまりにも正確過ぎるその射撃は、やはり異常だ。
今度は斬り捨てずに刀で押して軌道を逸らす。
三度目の発砲音はまだ聞こえない。
ならばと地面を蹴る力を強くし、速度を上げる。
のみならず、前後への移動と体勢の変化も加え、速度以上に難易度を跳ね上げて。)
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 段々と集中力が研ぎ澄まされていく。彼女は気付いているだろうか?
ある意味で、彼女の行動で少年の集中力が更に増しているという事に。
まず、動いている少女をヒトとは思わない、ただの動く的だと仮定する。
余計な感情や思考は一切排除。必要以外の情報は全て脳内から追い出す。
目測、予測、感覚、全てを総動員して撃ち抜け、撃ち抜け、撃ち抜け。
(……前後の移動が追加、態勢の変化も有り、…パターンはランダム…)
3射目――狙いは頭部、胴体、…否、その足元。それも膝関節を撃ち抜いて砕く狙いの一射。
タイミングは前後移動と態勢変化が始まった”その直後”。
動きが変化した瞬間の僅かにも満たないタイムラグを狙い済ましての射撃だ。
そしてすかさずボルトアクション、4射目――不意に銃口が下がり、彼女の足元辺りを何故か射撃する。
当然、彼女には当たらず僅かに地面の土埃が舞い上がる――その瞬間、
ガシャンッ、5射目――土埃を貫いて心臓をこれまた異様な先読みで狙った一射を飛ばそう。
4射目をわざと外したのは、つまり意識を一瞬でもそちらに向けさせるのと…軽度の目晦ましだった。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■柊 真白 >
(人型の動く対象――しかも先ほどまで会話していた相手――に対し、こうも軽く引き金は引けない。
やはり才能がある。
狙撃の才能ではなく、銃弾で人を殺す才能。
風紀委員にそんな存在があると言う事を警戒する反面、人を撃ち殺す事に特化した才能を伸ばしたらどうなるか、と言う事に笑みさえ浮かぶ。)
――ち。
(地面を蹴った直後、これ以上無いタイミングで膝への射撃。
それを斬り払う。
四度目の発砲音の前に、パチリと言う納刀の音。
直後の発砲。
足元の床が弾ける。
射線が通っていなくても、兆弾などを狙ってくる可能性がある。
故に銃弾の動きは最後まで追う必要があった。
そして、発砲音。
次弾装填も相当に早い。)
――甘い。
(大きく前方に踏み込む。
直前の弾丸が自身へ向いていなかった、と言う時点で彼の狙いは読んでいた。
だからこそ、神速の抜き打ちで余裕を持って銃弾を斬り捨てる。
そう言う手段は何度も経験している。
装弾数は五発、それも先ほど見ている。
距離を詰めると同時に、刀を突き出して。
彼の首元直前で止められた切っ先は、彼がリロードを終える前に間に合っただろうか。)
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > そして、自身の「人殺しの才能」には気付いていない。
普通に考えれば狙撃=人を撃ち殺すという方程式は直ぐに分かるというのに。
無意識に考えないようにしているのか、本当に気付いていないのか…ただ。
(――駄目だ、小手先のフェイントは通用しない。詰んだ…)
結果が出るよりも僅かに早く。彼女が一度刀を納めた…4射目の牽制を放った直後に実感する。
そしてこちらの狙撃銃の弾数は5発。それ以上は残念ながら装填されていない。
故に、少女が前方へ――こちらへと大きく踏み込んだ瞬間、負けを悟る――負け?
(――”まだだ”)
5発目の最後の弾丸が切り捨てられた直後、”6発目”…ボルトアクション。
弾丸は無いが――ならば、代わりのモノを弾丸として撃てばいい。
(魔力装填…狙いは心臓…接射で撃ち抜く――!)
銃口の辺りに不意に幾何学模様の魔方陣のような赤いソレが浮かび上がる。
直後、そこから弾丸の形をした炎が発射され――首元に刃が添えられる。
無意識に負けを完全に認めた直後、銃口を逸らして炎の弾丸を明後日の方角へと撃ち放つ…これで終わりか。
「……降参です」
あと一瞬、あと一瞬早ければ少なくとも相打ちに近い所までは持ち込めたかもしれない。
だが、負けは負けだ。今の手を使えばまだ射撃は可能だが、首元に刃が添えられている時点でこちらの終了。
そもそも、別に殺し合いではないのだ…何で自分は撃ち殺す事を考えていたのだ?
(……駄目だ、これ以上深く考えたらいけない気がする)
なので、それ以上は考えないことにした。
■柊 真白 >
(刀を突き出す直前、銃口に魔法陣が見えた。
そもそもその前のありえないはずの装填動作。
それが見えた時点で、左手の鞘を手放した。
変わりに握るのは、スカートの裏に隠し持った投げナイフ。
それを銃口へと、)
――。
(弾丸は明後日の方向へと発射された。
あれが撃たれていたなら。
こちらの刺突は間に合っていただろうか。
投げナイフで防げる威力だっただろうか。
冷や汗が一筋、頬を伝う。)
――――速度差がある相手には、点より面や線の制圧が有効。
短機関銃か散弾銃を装備することを考えると良い。
(投げナイフを仕舞い、投げ捨てた鞘を拾う。
右手の長刀を鞘に収めながら、そんなアドバイス。
一応、風紀委員は敵対組織になるのだろう。
そんな敵に塩を送る行為をしているのは、理解している。)
個人的には散弾銃、出来れば半自動のものを勧める。
流石に、広範囲に散った多数の銃弾は打ち落とせない。
(そう告げて背を向けて。
彼が自身の才能に気が付いた時。
その際、どんな道を選ぶのか。
もしかしたら――。
そんなことは考えていないと言ったら――少しだけ、嘘になる。)
ご案内:「訓練施設」から柊 真白さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 今までと桁違いに、いやかつてない程に狙撃の訓練で集中力を研ぎ澄ませていた気がする。
異能があろうが魔術を使えようが、天性の狙撃の才能があろうが…それはそれ。
反動でドッと体に疲れが押し寄せる。緊張感から開放されたのもあるのだろう。
それでも、少女から告げられるアドバイスにゆっくりと頷いて。
「……つまり弾幕を張れる銃火器にしろ、という事ですか」
一理あるし合理的だ。まぁ、そもそも狙撃銃は何となく使っているだけに近い。
試してみた事はあるが、どうも自分は射撃に関する武器や銃火器ならどれも性能を引き出せるらしい。
(……と、いうかナイフまで持ってたのか真白さん…最後の射撃も多分無理だったかな)
例え射撃に成功したとしても、ナイフで銃口を塞がれて暴発、も有り得た。
もしも、の可能性を今考察してもしょうがないとはいえ。
「…半自動式の散弾銃、ですか……えーと、ハイ。一応参考にします」
そうなると、風紀委員の先輩とかに申請と携帯許可を貰わなければ。
早速今日辺り掛け合ってみよう。確か研究所から流れてきた試作品なども結構あった筈だ。
背を向けて一足先に立ち去るであろう少女を会釈で見送りつつ…思うのは…。
「………何で俺にこんな才能あるんだろうなぁ」
無意識に近い呟き。人を撃ち殺す才能を持つ者。首を緩く振ってから後片付けを手早くしておこう。
最後に、こちらもゆっくりとした足取りで訓練施設を後にするのだった。
ご案内:「訓練施設」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から飛鷹与一さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に宵町彼岸さんが現れました。
■宵町彼岸 > 「たーめしーうちー、たーめしーうちー」
訓練設定用のコンソールの前に人影が二つ。
のんびりと口ずさみながら画面を叩く一つは白衣の小さな姿と
その隣に佇む2Mを超えるであろう大きな体の黒衣の女性。
ある意味対比の取れた二つは設定が終わったのか訓練場の一室へと移動してく。
片方はふらふらと歩き、片方は滑るように……
実際黒衣の女性の足元は数センチ宙に浮いている。
「とーちゃーく
所要時間は30秒?もっと短い?まぁいいやぁ」
誰もいない室内は施設防御の設定だけされているのか
的のようなものは無く、距離や範囲を示すように
格子状に基準線だけが刻まれた部屋。
「動く目標に撃てたら一番なんだけどなぁ……
怒られるの面倒だししかたないよねぇ」
その中で0と刻まれた場所に立つ。
ゆっくりと部屋の奥を見つめ、唐突にその口の端が吊り上がった。
それは見るものをぞっとさせるような笑み。
「ダリアぁ、準備ぃ」
のんびりとした口調で告げるとじっと立ち尽くしていた女性が
ゆっくりと片手を掲げた。
「斉射開始」
その言葉と同時にその腕から立て続けに轟音と激しい閃光
そしてその正面広範囲に激しく破壊された地面の欠片が飛び散る。
それは一瞬の間に砂埃になり部屋を埋め尽くしていく。
■宵町彼岸 > 「停止ぃ。排気開始」
その声と共に激しい銃声が止み、部屋の排気装置が作動する。
数秒後には部屋の土埃はその濃度を薄れさせ、地面や壁が見えてくる。
其処には無数の弾痕が刻まれていた。
顔の真横で煙を上げる腕には目もくれず目測でその範囲と距離を測る。
範囲、距離、密度、共に十分な領域にある事を確認したがそれでも不満げに小首を傾げた。
「うーん……思ったより普通。つまんない」
記録カメラをスロー再生すれば黒衣の女性の手に仕込まれた銃口から
多数のショットシェルがはじき出されたことに気が付くだろう。
加えて飛距離調整もしてあったのか本来散弾では威力の落ちる範囲まで例外なく高密度で叩きこまれている。
それがまるで機関銃のような連射速度で広範囲にまき散らされたのだから
もしも範囲内に何かいたなら細切れで済めばいい程度の破壊力はあった。
■宵町彼岸 > 「小型拳銃程度なら射程外から行ける位かぁ……うーん…」
先ほどのぶっ飛んだ連射なら間違いなく人間なら即死だろう。
並みの感覚なら通常ほぼ不可能な散弾の連射が行われた等と
されたと気が付く前に細切れに吹き飛んでいる。
そもそもこんな滅茶苦茶な事をすれば普通は銃身が焼け切り
撃った本人も反動でただでは済まない。
最も射撃中は愚か、打ち切った後もその人影は微動だにしていないのだけれど。
それを傍目に首を傾げたままカリカリと地面をかく。
「鳩撃ちの範囲だよねぇ。これじゃぁ」
この島には装甲車並みの防御力を持つ者は珍しくはない。
いずれはこの島以外でもそうなるはず。
初速調整や弾丸の魔術拘束等により飛距離や面範囲の問題はクリアできたが……
「これなら私があの子で吹き飛ばした方が火力あるんだよねぇ
せめてもうちょっと"抜け"ないと意味ないんだよ。うん」
小さく呟いて地面にめり込んだ散弾の一つを穿り出し
焼けたそれを掌で転がし思案する。
「あ、散弾を全部圧縮榴弾にしたら威力あがるかな?
装甲抜く方法は別にいくらでもあるしなぁ」
その場合この着弾したほぼ全てが再度爆発を引き起こすことになる。
撃った瞬間文字通り爆風が吹き荒れ火柱が上がるだろう。
「いいねいいね。派手だね。それでいこっと」
実際に使用されれば随分とえげつない光景が展開されると予想されるが
それを口にする者の顔は実に無邪気で楽しそうだった。
■宵町彼岸 > 「換装。試験装備2に切り替え」
そちらには興味を失ったのかぽいっと散弾を投げ捨て部屋内のコンソールへと向かう。
そうしてご機嫌に口ずさみながらパネルを叩くと複数のヒト型の的が出てくる。
それはランダムな位置に現れ不規則な動きをした後ぱたりと倒れ、
また別の場所から現れランダムに動いては消えてと
まるで複数の敵が向かってくる事を想定したようなもの。
「3秒間ロック。時間経過後起動、実行ねぇ?」
そのままのんびりと指示を出す。
実戦ではリンクして居るため口に出さずともタイムラグなく動くけれど
今は試し打ち中。のんびりで全く問題なかった。
「3,2,1、今」
■宵町彼岸 > 時計も見ずに行われる正確なカウントダウンと同時に黒衣の人影が
静かについっと小さく指を横へ動かす。
それと同時にパタパタと軽い音。
的を見れば5つの首が奇麗に落ちている。
それは明らかな致命傷。
「んー……」
けれどやはりそれを見て出てくる声は
何か気に入らないといった印象のもの。
「複数対象だとやっぱこんな感じかぁ……
これなら瞬間起動でいいよねぇ」
わざわざタイムラグを設けて"使って"みたけれど
精度はあまり変わらないという結果は正直気に入らない。
対単数ならほぼ正確に捉えるけれど……
「今後の課題、かな?
まぁ実際のヒトはここまでランダムに動かないしぃ」
基本動けないともいうがそれは仕方がない事だ。
ランダムという表現は基本的に誤解されているのだから。
■宵町彼岸 > 「……まぁサブウェポンなんてこんなものでいいのかなぁ
もっと派手にしたいなぁ。こうぐわっとどかーんみたいな。
おねーちゃんもそうおもうでしょ?
うんうん、やっぱりそうだよねぇどうせなら派手がいいよね」
彼女と人形だけの部屋に空虚で明るい声が響いた。
まるで複数で遊んでいるかのような声はただ静寂と
的の動作音にかき消されていく。
「今日はこんなでいいやぁ
えっと……私用終わりって誰かに言わないとだっけ?
誰だっけ?そもそも許可取ったっけ?」
小さく小首を傾げると数秒停止する。
ああうん、全く思い出せない。
ならしかたない。うん。多分忘れるくらいだからどうでも良い事のはず。
「じゃぁ帰るよぉ?
あ、歩くの面倒になってきた……運んで-」
だるーっと静かに近づいてきた人形に抱え上げられる。
そのまま愛おしそうにその首に腕を回すが……
「……あれ?なんか動いてる」
先ほど設定した的は停止されていない為
新しく不規則に動き回っていた。
その動作音が耳につく。何だか五月蠅い。
既に自分が起動していたことは忘れていた。
■宵町彼岸 > 「……五月蠅いなぁ」
煩わし気な表情で的に目を向ける。
彼女の眼には人の顔は個人の物として映らない。
つまりはヒト型の的も、人と同じように映るという事で……。
その事を全く意にも介さず苛々とした表情で乱暴に腕を振る。
それと同時に的の全て動きが停止し
「うん、静かになった」
同時にコンソールの画面が赤く染まる
しかしそれに一切気にかけることはなく、むしろ気が付いてすらいなかった。
「じゃ、いこ?
何処か面白いもの探しに行かなくちゃ」
そうして人形に抱えられたまま、音もなく施設から出て行ってしまう。
その数秒後、的だった人形が全て崩れ落ちる。
それは関節、急所にあたる部分を走るように
細かな破片になるまで切り刻まれていた。
まるでシュレーッターにかけられた紙人形のような有様の残骸は
普段ならすぐに掃除され次の的が出てくるはず。
しかしそれは止まったままだった。
……次の利用者がそれを見つけるまで。
赤く染まったコンソールの画面にはこんな文字が躍っている。
「深刻なエラーを確認しました。
システムの物理防壁が損傷しています。
同様の実験を行う場合障壁レベルの再設定を行ってください」
その横の防壁レベルは生徒が設定できうる最大レベルの数値を表していた。
ご案内:「訓練施設」から宵町彼岸さんが去りました。