2017/04/11 のログ
東雲七生 > 「うー……
 俺は少しくらいマッチョになっても良いと思ってるんすけどね。
 もうかれこれ一年以上ずっと鍛えてるのに、マッチョになる気配ないし。」

腹筋は割れたけど、と羽織っただけのジャージの下の、素肌の腹をぽんぽんと叩く。
無駄な肉が一切削ぎ落とされた腹筋が確かにあった。

「別にモテたくてやってるわけでもないんで
 ……ううん、少なくとも今もモテてるわけでもないんで大丈夫っす。」

へにゃり、と微笑んで頷く。
スポドリを半分ほど飲んで満足げに息を吐いた。

VJ >  
「体質もあるでしょうけど。オーバーワークは筋肉を落とすわよ。
 ちゃんと食べて適度な鍛錬を心がけなさい。
 無謀と無茶の先にゴールがあるのは物語の中だけよ」

普段から夢見がちの権化のような脳内花畑のくせに、今日はこういうテンションのようだ。
無駄な肉がないということは、伸びしろがないとも言い換えることはできる。

「そして無茶と無謀を真の実力に変換するのが愛」

訂正、やはりいつもと変わらないようだ。

「愛する人のために振るう拳が一番強いのは古来から今までに伝わる唯一無二の真理よね。
 汝、人を愛しなさい」

悪い意味で。

東雲七生 > 「それも大丈夫っす、ちゃんと食ってるんすから。
 でも中々背とかも伸びないんすよね……。」

はーあ、と溜息を溢す様は春先に新たに入学した新入生と遜色ない。
しかしれきとした三年生である。

「愛……愛、っすかあ。
 そうは言われても、どういうもんなんすかね。」

愛って、と怪訝そうな顔で首を傾げる。
解りそうで解らない、何とも曖昧であやふやな心地の悪さだけが残る言葉だ、と。

VJ >  
「体格は才能だから、仕方ないわ。
 強くなりたいなら諦めて、その身体にあった努力をしながら祈りなさい。
 まあ女の子より大きいもの。大丈夫よ」

女の子を自称するアラサーは、早々と水を飲み干し、足らんと言わんばかりにもう一本追加した。

「愛はね、良いものよ」

そんな夢見る独身に説得力など求めてはいけないのだ。
人生常に片思い、恋の道まっしぐら。何かを愛する余裕はない。
その間に上下関係があれば、その限りでもないのだが。今のように。

「よーし。時間があるなら、身体でも動かす? 具体的に何してたか知らないけど」

答えに窮したからではない。

東雲七生 > 「そんな事言ってもあんまり変わんないじゃないっすか……。」

大体数センチの差しかない。
そして七生より背の高い女の子はいっぱい居るのだ。
少しだけ拗ねたように口を尖らせて、しかしすぐに思考を切り替える。
自分の身体に合った努力。現状でやっているほかに何が出来るだろうか、と。

「良いもの、っすか。」

さっぱりわからない。
けれどまあ、そこまで言い切られるからには悪いものではないのだろう、きっと。多分。
結局なんだか居心地悪いものが残ったままだったが、深く気にしなければ気になるものでも無いのでそっとしておくことにした。

「いや、俺はついさっきまで動かしてたんすけどね。限界まで。
 そんで仕方ないから動画で過去の試合記録とか見てたら、ずずーんって。」

何だったんすか、アレ。と話は振り出しに戻ってきた。

VJ >  
「限界なんて超えてナンボよ」

全く芯のない。
そして逃げの一手が呼び込むのはいつだって藪蛇である。

「んん……よっしゃついてきなさい」

子鹿を誘うのは、さっき出てきたばかりの部屋。
様々な術式・異能、破壊に環境耐性を備えた結界が張られた、核シェルターより強固な空間。
こんな扉一つで隔てられているのが信じられないくらいだ。
小規模に実践してみせるつもりなので、おいで。
東雲がホイホイついてきたならば、しっかりと扉を閉めて。

「私は水を操る力を持っているの。……ちなみに君は魔術師? それとも――っと、名前聞いてなかったわね」

だだっ広い空間である。なんとかと時の部屋を思わせる。

東雲七生 > 「滅茶苦茶だなあ……」

言ってる事が。
正直事故か何かを危惧して出て来ただけなので、
元居た部屋に戻って動画視聴の続きをしたいのが本当のところだったが。
一応相手は教員、一生徒の身としては従っておいた方が良いのではと考えてしまうもの。

「えっと、七生っす。東雲七生。
 一応異能を使うって事で生徒登録はされてると思うんすけど……」

実際のところ、授業でも自身の異能を行使することは少ない。
能力を隠しているというよりは、極力使用を避けたい意図があっただけなのだが。

VJ >  
「七生君。はい、耳塞いで踏ん張ってー」

指で拳銃の真似。田舎チョキとも言うが、イマドキは言わないのかもしれない。
そして彼女の人差し指の先には、雨粒よりも小さな水滴。

バーン。口で射撃音の真似をする。
彼女の能力によって導かれ、本物の銃弾のようにして飛んでいく水滴。
そもそも高速移動する透明な水滴など、目で追えたものではないが――。
直後。

二人の前方数十メートル先が、大爆発を起こした。
爆発のベクトルが水滴の進行方向にあるとはいえ、二人が居た位置にも相応の衝撃波と熱気がやってくる。
気を抜いていれば鍛えた大人でも押し倒されてしまうような。

「……まあこういうことよ」

そういうことだった。

東雲七生 > 「えっと……こう、っすか?」

言われた通り両手で耳を塞ぐ。
踏ん張りに関しては見た目よりも体重はある方で、重心は下半身にあるためにちょっとやそっとの事ではブレる事は無い。
しかし念の為、と僅かに腰を落として、あとは様子を見守り──

「……!?」

衝撃に目を瞬かせる。
念の為言われた通りに踏ん張っていなければ尻もちをついていただろう。
なるほど、さっきの衝撃と音はこれだったのか、と一つ頷いた。

「こういうことだったんすね。」

VJ >  
「今の量でこんなもんなのね……気をつけましょう」

自戒の言葉を呟いた。

「詳しい理由は難しいから分からないんだけど、とりあえず物を速く動かすと爆発するの術よ」

魔術ではないです。

「うん、まあ授業でも隣の施設からでさえ何か聞こえたことはないから、完全に邪魔しちゃったわね」

ごめんなさいねー、と。今更ながら。

東雲七生 > 「なるほど。
 物を早く動かすと爆発する……」

物理の授業で何か聞いた様な気がしないでもない。
しかし如何せんふわふわとした白昼夢の中で聞いたから定かではないけれど。

「ああ、えっと。
 別に気にしてはいないんで、大丈夫です。
 事故とかで怪我人とか居なくて良かったですし。」

ふるふる、と首を振って。

VJ >  
「まあ迷惑料がさっきのと思って」

スポドリ。よくよく考えなくても生徒の自主練を妨げた教師である。
現在進行形で。

「うん、そういうことで私は戻るとしましょう……本当にごめんね、邪魔しちゃって」

教育者である。生徒の自主的な学びを憚ったのは、普通に申し訳なく思っている。
別れの言葉と、片手をひらり。通路で別れたら、多分向かう先は真逆になるのだろう。

ご案内:「訓練施設」からVJさんが去りました。
東雲七生 > 「や、そんな気にしなくても良かったんすけど」

参ったな、と頭を掻いてともに部屋を出てから去り往く背を見送る。
少々風変わりなところはあったが、逆に割と普通なこの学園の先生だった様な気もする。

「ポーラ先生、か。えっと、長い方何てったっけ。
 えーと、べい……べいぱー……」

横文字を覚えるのは苦手である。
それが人名であれば尚更だし、女性の名前なら更に倍。
いずれ頭が重くなって上げられなくなる気がして来たので七生はそそくさと元居た部屋へと戻ってきた。

「だいぶ足腰も回復してきたし、ちょっと走ろうかな。」

まだだいぶ時間に余裕はある。
もう少しだけ身体を動かそうか、とぐるりと室内を見回した。

東雲七生 > 「今の身体で出来る努力か……。」

結局のところ、持久力を上げて手数と機動力を駆使する他に同年代の体型と渡り合う術は思いつかなかった。
他に何かあれば、とは思うものの一度固まってしまうと中々新しいひらめきは生まれないものである。
自分の頭の固さを恨みつつ、ふとついさっき見た光景を思い返す。

「物を早く動かすと爆発する、か。」

流石に爆発するほど速く動けるかと言われれば、絶対無理だろう。
確か空気抵抗とか、重力とか、なんかそんなものがきっと邪魔するはずだ。

「スタミナと、速さと……今んとこそれくらいしかないよなあ。」

やっぱり日々の鍛錬あるのみか、と少しだけ落胆して肩を落とす。

東雲七生 > 「あとは……やっぱ異能を使うか。」

そこら中に散らばっていた武器を拾い上げていく。
どれもこれも真っ赤な武器は七生の手の中で飴細工の様に形を変えてブレスレットやチョーカーといった装飾品になった。
それらを身に着けながら、七生はぼんやりと考える。

「……速さと機動力を生かした異能の使い道、か。」

何年経っても考えることは山積みで、それでも案外悪い気はしないなと思う七生であった。

ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「演習施設」にスノールさんが現れました。
ご案内:「演習施設」からスノールさんが去りました。
ご案内:「演習施設」にスノールさんが現れました。
スノール > その異形は、ただ其処に降り立った。
腕組みのまま、佇み、瞑目する。
その異形は竜人。
竜頭頂く異界の偉丈夫。
舞台に降り立つ目的は一つ。
 
ただ、相対する強者を待つ。
 

ご案内:「演習施設」にオルファさんが現れました。
オルファ > ニオイがするぜ……強そうな、ニオイがよ!!

(演習施設に現れたのはスノールより一回り小さい――しかし、獣人にしてはでかい狼だ。屈強な体で、スノールへといきなりのショルダータックルをぶち込もうと地面を蹴り、猛烈な速さで肉薄する!)

スノール > 括目と同時に、竜人は腰の剣を抜き、大地に突き立てる。
舗装された地面を叩き割り、聳え立つ蒼い大剣。
そして、そのまま振り抜き、瀑布の如き土煙と共に逆袈裟の切り上げを繰り出す。
迅雷を纏った、蒼剣の一閃。

オルファ > ふんっぐ……!!

(スパークをまとった蒼剣によって切り上げが決まり、身体が痺れを来す――が、そんなことは筋肉質の狼にはどうということはなかった。怯んだのは一瞬で、次の瞬間にはスノールの目の前に強靭な脚を踏み込み――)

喰らえや、竜野郎ッ!!

(叩き割ったコンクリートを踏み込みで更に破壊しつつ、握り締めた巨大な拳は岩の様に硬いまま――猛烈な勢いでスノールの鳩尾にくい込ませんと下から振り上げる!!)

スノール > 切り上げた蒼剣の斬撃はそのまま勢いに逆らわず、緩やかに切先を切り替えし……即座に唐竹割りの斬り降ろしへと軌道を変化させる。
一瞬でも怯めばそれで十二分。
剣戟の間は、刹那の間ですら長すぎる。
拳と剣では間合いの理は一目瞭然。
拳の到来よりも遥かに素早く剣撃が狼へと降り注ぐ。

オルファ > ……っ!

(拳を振りかぶる瞬間に上から迫る刃。切られるが――牙を食いしばって今度は怯まず。振り下ろしたスノールの腹へと打ち上げるように、やはり鋼鉄の如き拳を振り上げる!)

ざっけんなよ……グオォォォッ!!

(そして、咆哮と共に全身に魔力が迸る。紫色のスパークが全身を包み、元々筋肉質だった狼の全身が更に一回り膨れ上がる。攻撃力、防御力が上がったのは誰が見ても一目瞭然だろう。)

スノール > 「……!?」
 
全く減速せず、刃の内側にまで身を滑らせる事で、狼がついに拳の間合いにまで迫る。
剣の間合いよりも内に入られてしまえば、斬撃は勢いが乗り切る前に狼の身に届き、致命に至らせることは叶わなくなる。
肉を斬らせて骨を断つとは、正にこの事か。
 
一撃を受けるは必至。
即座に竜人も後方へと跳躍する事で衝撃を最小限に殺そうとするが、剣を振り切った後ではどうしても対応が遅れる。
狼のその小柄な体躯からは想像も出来ないほど重い拳が竜人の身を弾き飛ばし、互いの間合いを再び開かせる。
 
咄嗟に刃を地に突き立て、急制動させて体勢を立て直すが……その時、目前にあったのは、咆哮と共に膨れ上がった狼……否、魔狼の巨躯。
 
竜人は縦長の瞳孔を細めて、同じように咆哮で応え……疾駆する。
振るうは横薙ぎ一閃。
蒼い閃光と共に振るわれるその一閃は、閃光と共に放たれることで目視を困難とする。

オルファ > 顔色変わったな……!

(然しながら重い二発を立て続けに貰った狼はそれなりに体力を削られているようだ――が、呼吸の粗さは見せない。見せたらつけ込まれるからだ。)

ここからが勝負だ……覚悟しろよ竜野郎ッ!

(膨れ上がらせた巨躯に突っ込んでくる竜――その姿が、閃光によって視認できなくなる。だが……)

目潰しか――食らってやらァ!!!

(閃光の前に大体この辺りに来るだろうという見立てはあったが――応戦することはなく。反撃の拳を構えただけだ。そして、横薙ぎが炸裂。重く、スパークが迸る剣の一撃は喧嘩した中で一番の重さだ。だが――屈強になった狼はやはり、怯まずにスノールの顔面めがけて拳を振るう!!)

スノール > 魔狼の巨躯に食らいつく蒼い魔剣。
獣の血に塗れ、大地に強かに朱が彩られた直後。
 
「……!」
 
竜人が吼える。
その、咆哮はしかし、ただの咆哮ではない。
目前にまで迫った魔狼の拳。
しかし、その拳が竜人へと到達する前に……大地に滴る血を媒体として、竜人の魔術が発動。
舗装された地面を突き破って大地が隆起し、魔狼の拳を一瞬受け止め……砕け散り、土煙を産む。
その土煙と閃光に紛れて、魔狼の間合いの内側へと、竜人が迫る。
巨躯故に間合いの内は取り回しが利き辛い。
我が事でもあるが故、巨体の欠点は熟知している。

オルファ > チッ……何やりやがった……!

(鋭い舌打ちは確かに直撃したかに思われた拳が、硬い何か――恐らくは隆起した大地に阻まれた衝撃が間にあった。すなわち、竜人に直撃しなかった。奴はまだこの砂煙の中に居る――)

オォォォォッ!!

(巨大な魔狼の咆哮。巨躯は更に大きさを増し、スノールの三倍強――己ができる最大の大きさにまで、成長した。切り札の巨大化――これは普通に戦っても精々十分がいいところだ。土煙に紛れたスノールを、逆に巨大な脚で――10t以上の体重を以て、思い切り踏みつけようとする!)