2017/06/25 のログ
暁 名無 > 「おお?……急に喧しくなったと思ったらデーダイン先生じゃないすか。」

急に馬鹿でかい声がして何事かと振り返ってみれば、怪しさという点でこの上ない男が居た。
いや、男か?女かもしれない。でも便宜上男ってことにしたい。仮に女だったとしてあんまり認めたくない。
そしてその怪しい男は、まあ、言うなれば先輩教師のデーダインその人だった。

「いや何、俺も光る汗と揺れる果実を求めて来たクチでしてね。
 つーか完全にデーダイン先生は運動する気満々じゃないっすか。
 ようやりますね、この梅雨時の不快指数高い中で。」

パッと見インドア派っぽそうなのに球技とは恐れ入る。
いや、インドア派っぽそうなのにアウトドア趣味なのは俺も人のこと言えないけど。

デーダイン > 「如何にも!デーダインだ。
ほう?出会い頭に喧しいとは貴様…!
喧嘩を売っているのかッッッ!!?クックック…!良いだろう―――

―――その喧嘩、完全無欠たる絶対悪のこの私、デーダインが買おうッッ!!」

暗黒神は決闘を申し込むのであった。
黄色いボールを突き付けているから多分ボールを使った決闘なのだろう。
勿論デーダインの決闘をお断りしても大丈夫なのである。
因みに、声は男であるから、一先ず安心してもそれも大丈夫ではなかろうか。

「フハハハハ!!光る汗と揺れる果実とは…貴様、分かっているではないか。
ああ、良いよなぁ、走って揺れるその……うむ!
何というか、着衣しているからこそのエロスがある。私はそう思うぞ青年。
とりわけ汗で透けたりしていたらそれは素晴らしいものではないか。」

腕組みしてうむうむと頷く。
仮面の表情はうかがえないが、声色は非常にむっつりである。

「いやぁ、少しな。バウンドするボールを扱ってみたが…
私にはどうもダメらしい。魔法使い職は物理面が弱いのさ。」

ぽむぽむとバスケットボールよろしく真っ白な手袋で地面に叩きつけて跳ね上がらせてを繰り返してみせ。

暁 名無 > 「はいはい絶対悪さん、
 完全無欠はいいけどそろそろ期末試験の問題作り始めないとマズイ時期っすからね。」

一応流しはするけどこの人がデスクワークする姿が想像出来ない。
いや、まあ想像できないだけでしてないわけじゃないんだろうけど……してんのか?
それはそうとボールを使った決闘って何をする気だ。二人しか居ねえのに。

「おっと、案外話が分かるじゃないっすか。
 まあでもご覧の有様、完全にアテが外れたわけっすけどね。
 この分じゃ屋内プールの方も望み薄っすかねー……。」

青年、って呼ばれてるけどそんなに年離れてない気はするんだよな……。
いやまあ、この人の素性を気にしてたらもう、それだけで敗けな気がするわけだが。
まあ、同好の士というのが判ればそれでいい。オープンかクローズかの差はあれど、男は大体スケベな生き物だ。

「ははぁん、やっぱINT極振りはスポーツ苦手なんすか。
 そもボールで何をしてたんで?しかも一人で。」

バスケだろうか、サッカーだろうか。
どちらにせよ、一人でやるには少し虚しい気がする。

デーダイン > 「クックック、余計な世話だ若造めぇッッ!!!…期末試験だと?
言われなくても作って居るわ!あと私の授業は実技試験多いものでな。

というか貴様マジで喧嘩売ってるだろ、絶対悪舐めてるだろう。
調子こいてると我が偉大なる暗黒の前に跪かせるぞッッ!!!
このボールの様に最初からこの世界に存在しなかった事にしてやるぞッッッ!!!」

手袋の掌を広げて暗黒の炎をメラメラと燃やす、するとあら不思議、ボールが消えて行くのだ…。
言葉遣いがなんとも俗っぽいのは不審者度を更に上げるだろう。
それは兎も角、こんななりでもちゃんと教師の仕事はしてる様だ。

「うーむ。残念だ。
というかもうプール開きしたのかね。まだ掃除されてないプールがあった気がするが。
……ふむ。
いや、しかしね、スクール水着というのもこれはこれでエロスがあると思うわけだが、
しかし体操服のソレには敵わないと私は思うのだ。」

語り始める不審者。
やっぱり類は友を呼ぶのだろうか。

「クックック、DEXにもMAGにも振らなきゃ魔法は使えんよ。
ああ、あれだ、ちょっとな、あー……アレ、アレ、アレ。
なんていうんだったか、こう、バスケットボールのゴールに入れる、アレだ!
アレをしていたのだッッッ!!!

まぁ魔法を使えば後ろ向いてても入るんだが、それだと味気もないだろう。」

パチンとやけに響きが良い音の指ぱっちんをすれば、消えた筈のボールが真っ黒な煤みたいなところから現れ、
そしてバスケットボールのゴールへ独りでに入って行き、
まるで意思を持つかの様に重力に逆らい、デーダインの手袋の上へと戻ってきた。
ほらな?と無表情の仮面は若干得意そうであるかもしれない。

暁 名無 > 「絶対悪に喧嘩売って俺にメリットが何も無いじゃないですか。
 売ってませんよ、買われても困るし。いやホントに。
 というか物は大事にしましょうね。まあそのボールは備品じゃないとは思いますけど。」

教師として物を教える立場でそれはいただけない。
物は大事に。誰しもが子供の頃親から言われた筈……だけど、俺は言われた覚えが無かった。

「プール開きも何も、屋内の方なら申請と掃除を済ませれば使えますよ。
 冬場に水着なんて、って考えが主流なだけで温水プールにだって出来たはずですしー。

 まあ女の子が着るならどんな水着でもそれなりにエロスはあるじゃないですか。
 甲乙つけるもんなじゃないっすよ、みな平等に素晴らしいものだということです。」

同僚の女性陣に聞かれたら一発で社会から抹消されそうな会話だ。
しかしまあ、これだけ閑古鳥が大合唱してるのだから、そんな恐れも無いだろう。

「おお、凄いっすね。
 俺もちゃちい魔術なら幾らか使えるんですけどね。
 やっぱ本職の人はちがうなーすごいなー」

いまいち心が篭らなかったのは、気のせいだ。
それで、結局一人でバスケしてたのだろうか、この人。
俺が言うのもなんだが、寂しい人である。

デーダイン > 「この私に勝利すれば、暗黒神殺しの勇者になれるぞ!!……もう結構いるがな。」

冷めた反応と暑苦しい言葉が飛び交う、ここはまさに地獄である。

「ふむ…そうか。屋内プール…なるほど、ここは色々あるな。
私は水泳と言う物をしないから知らんかった。」

いつでもどこでも真っ黒ローブとマントに仮面、それがデーダインである。
水泳なんてしたらアイデンティティ崩壊である。

「何を分かった風に語っている若造ッッ!!
それなら貴様が思う水着のエロスを語れッッッッ!!!!」

暑苦しさ、6割増しくらいで。
ごっつい白手袋で拳を作って震わせて問い掛けて。

「ハッハッハ…そろそろマジで消して良いか貴様ァッッ!
分かっているぞ、本心では全然すごくないってな。私もそう思うし。」

暗黒のオーラ(※何か良く分からないけど兎に角黒い!)を背中へ纏いながら、
どすどすと地面を踏み鳴らして暁名無に迫る暗黒。
彼我の距離、二歩と言ったところで不意に足を止めて。
何かがぶーぶー鳴っている。そう、異世界の暗黒神であっても、今日日便利な携帯端末と言う物を持ち歩き、使うのだ。
仮面は一瞥すらせず、音だけで要件を察したらしい。

「…ム…命拾いしたな、貴様!
これから私はミーティングと昼飯なのだ。
本来であれば、貴様を深淵よりも深き暗黒の底へと沈めたいのだが…
それはまたの機会にしてやろう―――それではなッッ!!」

デーダインは真っ赤なマントをはためかせて身を包み、視界を遮れば、
何処へやらと手品の様に消えてしまったのだった。

ご案内:「演習施設」からデーダインさんが去りました。
暁 名無 > 「いや、別にそんな物騒な肩書き要らないんすけど……。」

暗黒神殺し以前に同僚殺しだ。いや、本当に死ぬ事は無いと思うがそこはそれ。
そもそも今更勇者の肩書きなんざ御免被りたい。

「まあ、いっつもその格好っすもんね。
 語れって言われても……みな平等に素晴らしいって言ってるじゃないっすか。」

どう語れというのだろう。いや水着は好きだけど。
肝心なのは服より着てる人間の方だろう。うん、そうだろう。

「凄くないって自覚があったんすか!
 いやまあ、それくらい出来なきゃここの教師としてやってらんないじゃないっすかー……って。」

突然のバイブ音。一瞬自分のかと思ったが、特に何も用事は無かったはずだ。
そもそもマナーモード何それおいしいの状態なのでめっちゃ着メロが鳴り響く筈である。

「……あら、お疲れ様っす。
 魔術学科はこれからミーティングなんですね。」

俺も昼飯考えとかないとな、とぼんやり考えながらその場から消えたデーダイン先生を見送った。
いいな、あの移動方法。とてもじゃないが出来る気がしないけど。

暁 名無 > 「しかしまあ、話してみると案外趣味の合いそうな先生だったな。」

ただ素の温度差が壊滅的に合わない気がする。
いや、俺自身そこまでローテンションって訳じゃないとは思うが、あのテンションと較べたらどうしても低く見えるだろう。
普通に話してくれりゃ普通と普通で丁度良さそうなのにな。

「さてと、せっかく話題に上がったしプールの方も見に行ってみるか……」

ちょっとばかり期待しても良いのだろうか。
いや、過度な期待は良くない。良くないが期待せずにはいられない!

まあ、誰も居ないなら居ないで掃除でもして帰りゃ良いわけだし。
そう自分に言い聞かせて、俺はプールへと歩き出した。

暁 名無 > 「ああそうだ、昼飯も考えとかねえとだっけ。」

今日は休日、ひょんなことから弁当を作って貰う運びとなったわけだが、さすがに休日にまで作って貰うのはしのびない。
てなわけで、基本的に休日出勤の場合は自前で何とか済ませなければならないのだが。

「………どうせなら休みの日もうちまで作りに来てくれねえかなあ。」

ついつい本心が口から零れる。
やましい気持ちなんて全く無い。100パーセント純然たる「飯作るのめんどくせえ」の気持ちだ。
まあ現役の女子高生が手作り弁当持って来てくれるっていうだけで充分恵まれているとは思うんだけどな。

「っと、そんな事言ってたら着いたなプール。
 さーて、誰か居ますかねーっと……」

ふふん、と思わず鼻歌が漏れてしまう。
過度な期待は禁物、と言いつつやっぱり期待してしまうのは悲しい性というものか。

暁 名無 > 「……やっぱり、か。」

結果、収穫なし。
いや、普段話をしないような先生と話が出来ただけ僥倖だ。
これが異性であればいう事無しだったわけだけど、まあそれは仕方ない。

「さてと、そんじゃプール掃除して飯行きますかね!」

この口惜しさは明日の糧に。
俺は腕捲りをするとプール清掃の申請をするべく、内線で受付へと電話を掛けに向かうのだった。

ご案内:「演習施設」から暁 名無さんが去りました。