2017/07/25 のログ
■神代 理央 > 一瞬、何が起こったのか理解出来なかった。
己の召喚物にしては、妙に風流な金属音を立てるものだと呑気な事を考えていた始末。
だが、轟音と共に崩れ落ちる召喚物と、少女の凛とした声に浮かべていた笑みはより深くなる。
「成る程。確かにお前の言う通りだ。小柄な少女だと、侮ってはいけないようだな。そうでなくては面白く無い。おかげで、此方も愉しく訓練出来る」
此方が視界に捕える事の出来ない神速。華奢な外見だが、長刀を振るうということは相応に敏捷性も高いのだろう。
ならばどうするか。己の異能の性質では、取るべき行動は一つ――
「精々避け続けろ。その可愛い洋服に穴を空けられたくないだろう?」
召喚していた異形は5体。既に1体は行動不能。残った4体の金属の化物は、主の言葉と同時にギャリギャリと金属音を上げてその体を鳴動させ、少女に向けて一斉に銃弾の雨を降らせた。
「
■柊 真白 >
(彼の言葉の後、一斉に浴びせられる銃弾の雨。
それらを刀で弾き逸らし切り払うが、当然全ては捉え切れない。
速度を全開まで上げれば出来なくもないが、今はそこまでするつもりも無く。)
別に。
穴ぐらい空いても気にしない。
(だから脚で回避する。
迫りくる銃弾の内、自身の身体を貫く軌道のものだけを刀で防ぎつつ、それで出来た隙間を縫うように走る。
人間では無茶にもほどがあるが、こちらは速度に特化したバケモノだ。
あっさりとやってのけ、彼の目の前まで移動。)
■神代 理央 > 「身だしなみには気を遣うべきだと思うがな。煤まみれでは、男共の歓心は買えないんじゃないか?」
穴が空いても気にしない、と断言した彼女の言葉にクスクスと愉快そうに笑みを浮かべる。
だが、銃弾の雨を流れる様に避け続けるその姿には、素直に感嘆の溜息を吐き出した。
「フン、流石に簡単には当たらな――」
凄まじい速度で眼前に現れた彼女に、思わず小さく舌打ちする。
何せ接近戦は不得手どころの話ではない。というより、そもそも武器すら持っていない。己のフィジカルの無さを呪いつつ、咄嗟に異能を発動させ、少女と己の間に盾となる異形を召喚しようとする。
尤も、召喚までの猶予が与えられているかどうかすら、怪しいところではあるのだが―
■柊 真白 >
あなたこそ、偉そうにしてたら女の子に嫌われる。
(眼前で飄々と言ってのける。
刀は抜かず、すたすたと彼を中心に円を描くように歩く。
元より彼を打ち据えるようなつもりも無い。
いつ射撃が再開されても良いように警戒だけは解かないが。)
物量で押すにしても、接近されたときの対策がお粗末。
時間を稼ぐだけの技量を持っておくか、それが得意じゃないなら壁ぐらいは作っておいたほうが良い。
(あまつさえ、そんなアドバイスすらする始末。)
■神代 理央 > 「…自分を曲げてまで異性に好かれようとは思わないな。そんな息苦しい関係はゴメンだね」
召喚物は彼女に狙いを定めてはいるが、此処まで接近されてはどうしようもない。仮に銃弾を放った所で、彼女は回避し、己は蜂の巣になっているだろう。
深く溜息を吐き出し、視界に現れては消える少女に視線を向ける。
「…自覚はしている。していたが、こうもあっさり懐に潜られてはぐうの音も出ないな」
少女からの的確なアドバイスに不承不承、拗ねた様に頷く。
フィジカルの無さと接近戦での脆弱さは自分でも常々改善すべきと思っていた。それを、自分よりも小さな少女に指摘されるとは思っていなかったが。
しかし、敗北は敗北。先程まで見せていた高慢な態度も消え失せ――てはいないが、彼女の実力を認めて幾分その高慢さは鳴りを潜める。
「…此処まで懐に入られた以上、俺の負けは揺るがないだろう。散々偉そうな事を言って悪かったな」
溜息混じりに吐き出された言葉と同時に、召喚していた異形はゆっくりと大地に溶けるように消え始めた。
■柊 真白 >
――意外とあっさり引き下がる。
(敗北宣言を聞いて動きを止める。
彼はプライドが高そうだったし、そう言うタイプは敗北を認めたがらない者が多い。
彼もそう言うタイプかと思ったのだが、そうではないらしい。)
別に構わない。
気にしてないし。
(刀を提げた左手から力を抜き、戦闘態勢を解く。
機銃の姿が溶けていく様を興味深そうに眺めて。)
――十分に数を揃えられていたらわからなかった。
(機銃の数が四つだったからあっさりと近付けただけだ。
彼の限界がどの程度かはわからないが、数と種類が多ければ避けるぐらいしか出来なかっただろう。)
■神代 理央 > 「勝ち目の薄い戦いをダラダラ続けるよりは、負けを認めてそれを次に活かすべきだろう?再戦した時、俺が圧倒的な勝利を収められればそれでいい。時と場合によるがな」
フン、とそっぽを向きながら引き下がった理由を答える。
命がかかっているとか、己の評価に関わるとかならまだしも、訓練の場で意地を張って勝負を長引かせるのは己の美学に反した。自分よりも彼女の方が能力が高い。なら、次は勝つために努力する。己の力で圧倒するというのは、そういう事だと思っていた。
「……数を揃えられなかったのは俺の驕りと判断ミスによるものだし、お前のスピードについていけなかったからだ。その速度が異能なのか魔術なのか、はたまた訓練の賜物なのかは分からないが、素直に誇るべき力だと思う。自分の改善点も再確認出来たし、付き合ってくれた事には感謝してる」
慰めなのかただの感想なのかは分からないが、数を揃えられていたらと告げる彼女に淡々とした口調で返答する。
尤も、感謝の言葉まで告げてしまったのは軟弱だったかと、忌々しげに表情を顰める事になるのだが。
■柊 真白 >
それは同意。
(今現状で倒せないのなら、その場は引いて打倒し得る機会を待てば良いのだ。
訓練ならば、尚更。
言動は自身と正反対だが、そう言う状況判断の方向は自身と似ているらしい。)
異能でも魔術でもない。
そう言う種族。
――あなたも。
単独で戦略を組める力は、場合によっては強いと思う。
私の方こそ、ありがとう。
(勿論予備動作を読まれない技術は鍛錬で身につけたものだが、出した速度そのものは異種族としての特性だ。
僅かに笑顔を見せて、礼を言う。
素直にこちらの力を褒めてくれたこともそうだが。
感謝の言葉を口にした後に、それを悔いるかのような表情を見せたこと。
不遜な態度の彼ではあるが、その様子は年相応の少年である証明のような気がして、微笑ましかったから。)
■神代 理央 > そう言う種族、と口にした彼女に対して、納得した様な表情を浮かべる。尤も、人間だの異種族等で騒ぎ立てるつもりも、逆に過剰に擁護する道徳心も持ち合わせていないので―
「あの速度が得られるとは、人間として言わせて貰えば随分と羨ましい限りだ。俺も鍛えようと努力はしているのだがな…」
異種族である彼女に返す言葉は、愚痴と賞賛が入り混じった様な単純明快な感想になるだろう。
自分と違う種族だから何なのだ…というより、基本的には気にしていなかった。
「…そうやって笑顔を振りまいていれば、さぞかし異性同性問わず可愛がられると思うぞ。少しは愛想良くするのも悪くはないと思うがな?」
向けられた微かな笑顔に少し驚いた様に彼女の青い瞳を見つめるが、クツクツと誂う様な口調で首を傾げて笑うだろう。
■柊 真白 >
代償と言うほどでもないけど、力は弱い。
捕まえられたら、あなたぐらいの力でも勝てないと思う。
――教えようか。
(勿論、そう簡単に捕まるつもりもないけれど。
彼が近接戦闘の向上を望んでいるのなら、自分が力になれる。
先ほどのような上からの物言いではなく、提案。)
興味が無い。
それに異種族というだけで嫌うものはいる。
(自身にとって、交友を増やすことのメリットよりそれによるデメリットの方が大きいと。
先ほどの笑顔は一瞬で引っ込め、感情が見えない――いつもの無表情に戻ってしまった。)
■神代 理央 > 「確かに捕まえられたら話は早いだろうが…其処に至るまでに大分苦労をさせられそうだな。
―…ほう?それは是非ご教示願いたいな。フィジカル面の改善は前々から思っていたところだしな」
彼女からの提案には、興味津々といった体で視線を向けるだろう。
傍から見れば可憐な少女に近接戦闘の教えを乞うという情けない状況ではあるが、己の足りない部分を補えるというのであればそんな事を気にかける方がどうかしている。
第一、先程自分は完膚なきまでに彼女に敗北しているのだし。
「それは残念。学園のマスコットキャラとして見世物にされるお前も是非見てみたかったがな」
彼女の返答は予想の範疇だったのか、含み笑いを漏らしながら肩を竦める。
自分も本質は愛想が良いという程では無いし―
■柊 真白 >
この間模擬戦をした人には上手く捕まえられた。
速度は合わせてたけど。
――一人、教えてる人がいる。
あなたも彼も、兄弟弟子みたいな相手がいれば良い刺激になると思う。
それが嫌なら私が相手をするだけでもいい。
(捕まりはしたが、それは速度を落としていたからだ、と。
負けず嫌いが少し顔を出す。
教えるといっても、弟子入りしろと強制するわけではない。
彼が嫌ならば断っても構わない、と。)
目立つのは嫌い。
(「仕事」もやりにくくなる。
彼がいちいちからかってくる、と言うのは付き合いと言えるほどでもない僅かな時間でもわかった。
だから短い言葉で切り捨てた。)
――。
用事が出来た。
私はこれで。
(自身のスマホが鳴る。
飾り気のない短い電子音。
ポケットからスマホを取り出して確認し、彼にそう告げて踵を返す。
が、途中で引き返してきて、)
――連絡先。
(取り出したメモに番号とメールアドレスを書いて彼に差し出す。
それを受け取れば、今度こそ施設を後にする――)
ご案内:「演習施設」から柊 真白さんが去りました。
■神代 理央 > 「へえ?お前でも捕まる時は捕まるのか。なら、俄然やる気が出てきたな。
ふむ、弟子入り、か。別に嫌という事は無いが……」
僅かに感情を見せる少女をつい誂ってしまうのは己の悪い癖だろう。治すつもりは全く無いが。
しかし、碌な交友関係すら築いた事のない自分に取って、師匠だの兄弟子だのというのは正しく漫画の世界である。
滝に打たれる修行とかしているのだろうか、と最早ファンタジーの世界観だった。
「成る程。まあ、別に俺も強制はしない。円満な学園生活を過ごすための、同級生からの細やかな提案さ」
バッサリと切り捨てられれば、此方も特に追い縋る事もない。
しつこく粘ってしまっては、それは誂いでも軽口でもなくなってしまうことだし。
「ああ。長々と付き合わせてしまって悪かったな。施設を出る時は一応埃を払った方が――?」
此方も随分と長居してしまった。踵を返す彼女に軽く手を上げて見送り、自分も立ち去ろうとした矢先。此方に引き返してくる彼女に何事かと視線を向ければ―
「―あ、ああ。ありが、とう。登録させて貰う」
渡されたメモと彼女の言葉に、ぱちくりと瞳を瞬かせながら頷く。そのまま施設を後にする彼女をぽかんとした表情で見送っていたが、ふと手元のメモに視線を落とし―
「……取り敢えず、登録しておくか」
こういうのは同年代の友人と言って良いのだろうか。いや、多分違うだろうな、と小さく苦笑いを浮かべつつ、服についた埃を払って施設を後にした。
業務的な連絡にしか使用しないスマホに、少し危なっかしい手つきで連絡先を登録しながら。
ご案内:「演習施設」から神代 理央さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」にクロノさんが現れました。
■クロノ > (夏休みの季節、到来。…しかしながら人間でもないし生き物でもない男の子は、学園の備品という扱いなので住み処も学園の男子寮の一室、となっている。そんな男の子が訪れたのは、例によって射撃系の種目に用いられる訓練棟。すっかり使い馴れてきたスポーツバッグを担ぎつつ、利用者名簿に必要事項を記入しては訓練室内へと。)
……うぅん。日差しは無いとはいえ、やっぱり熱気が籠ってると暑いなぁ。
(…と、苦笑いで並ぶ窓を一つ一つ開けて、訓練室全体の風通しを確保する。ガラス越しだった蝉の鳴き声が直に聞こえれば、その儚くも力強い命の営みに、機械の男の子は少しの間、そっと日差しの照りつける窓の外の青葉を見つめた。)
■クロノ > (籠っていた熱気にも関わらず1滴の汗もかかない男の子は、少しの間、窓を通って抜けていく風にその黒髪を揺らしつつ、蝉の声に聞き入っていた。やがて「…よし」と何か意を決したようにひとりごちて、窓辺から離れては射手の入る訓練室の扉を開き、奥へと進む。)
…今日も、いい成果が出せますように…。
(やや小振りな弓と、数十本の矢。まだ扱いはじめてさほど長い年月は経っていないけど、いい感じに使い込まれて少し草臥れてきた弓と、もう大半が買い換えで入れ替わった練習用の矢。)
■クロノ > (ジージー、ウィンウィンと全身の駆動部から機械の唸る音を漏らしながら、男の子はてきぱきと準備運動らしい体操をして、道具の用意も整える。窓の外から聞こえる蝉の声と、時々小虫が舞い込む羽音、そしてむわっとするような湿気を含んだ夏の風が通りすぎていく感覚。)
…… ──── 。
(ランダムに立っては素早く倒れる可動式の的、その競技時間や速度を、射手の位置から程近いパネルを操作して設定する。入力する数値は日に日に難易度が増し…というよりは、もはや設定可能な値の上限めいっぱいであった。「スタート」のボタンを押し、射手の立ち位置に戻る。開始をカウントダウンするブザーが端末から流れる数秒の間、素早く弓を構えた男の子には、もういつものような穏やかな表情は無い。)
■クロノ > (男の子の形をした戦闘用高機動型ロボットの性能に合わせて作られた弓は、直立で扱う競技にも、騎乗位で扱う狩猟や戦闘にも応える、やや小振りな複合弓だ。そのしなやかさと復元力の強さは、一般の競技用の弓と然程変わらない外見とは裏腹、もはや生身の人間が扱うには厳しい張力を弦にもたらす。)
…… ── 、 … ── 、っ!!
(競技時間60秒の間に放たれた矢の数は90本、それらすべてが可動式の的のほぼ中央を射抜いて的を倒している。制限時間内に全ての手持ちの矢を射ち終えて、終了のブザーが鳴ると同時に男の子はそっと構えた弓を下ろした。)
…… ぅん、よし。まずまずって感じかな。
(ほんの1分の間に射ち出した矢の突き立ついくつもの的、それらの状態を見渡しながら、再び普段の表情を取り戻した男の子はそっと呟く。)
■クロノ > (撃ちっぱなしの銃弾と違うのは、練習用に用いる矢は手持ちを射ち終えたら都度、その全てを回収しなければならないという手間。男の子も例外なく、大きな矢籠を肩に掛けながら、一つ一つ的から矢を引き抜いて回収していく。そのときの、的其々への矢の当たり具合も確かめながら進める作業の時間は、そう長くは要さない。)
(全ての矢を回収し終えて、射手位置近くの操作盤に記されているスコアの内容を確認する男の子。表示されている成績にふむ、と頷きながら結果を受け入れつつも、何やら思うところがあるのか考える仕草で立ち止まること少し。)
■クロノ > (男の子の特技は今のところ直射による速射だが、今後の目標もとい課題は曲射により障害物越しの標的へ矢を確実に当てること。さらには、こういった専用設備の整った施設で行われる競技だけでなく、野外において、風や標的の移動、その他樹木などの無数の障害物を回避して標的へと矢を当てることだ。)
……── 。
(それら実用的なスキルが身に付くように、こうして毎回自分の今の状態を確かめながら、想定される課題への対処法を模索する鍛練の日々。…保健室の先生、公務補の大工仕事、夜間の当直警備その何れにもあまり使い道は無さそうだけど、いつかきっと、今学んでいるこの技術がここの生徒たちを守ることに役立つと信じて、今日も一人、黙々と訓練は続く。)
ご案内:「訓練施設」からクロノさんが去りました。