2017/08/11 のログ
■HMT-15 > 「異能は難しいが魔術なら身につける事は
可能と推測する。この島には魔術の教育制度が
整っているからな。あいにくボクは魔力探知と
魔術式解析ができるだけで魔術の知識は
ゼロに近いが。」
突発的な戦闘で姿を晒しながら近接戦闘に
対応するとなると魔術の会得が最も近道だろう。
そしてロボットの提案に相槌を打ちながら
理央が笑みを浮かべると
「タメになったようでなによりだ。
それと訓練の邪魔をして失礼だった。
続けてくれ、是非とも見てみたい。」
ロボットは前右足で演習スペースを指しながら
そんな事を合成音声で発する、
好奇心を蓄えた様子で。
■神代 理央 > 「やはり魔術を身につけるべき、か。初級魔術の講習は受講してはいるんだが、中々本腰を入れて取り組む時間が取れなくてな。だけど、これからはそうも言ってられん。風紀委員会に所属した以上、情けない様は見せられないからな。
…魔力探知は兎も角、魔術式の解析まで可能なのか。いやはや、げに恐ろしきは人類の叡智と言うべきか」
相手が語るスペックを記憶の片隅に留めつつ、その性能に感心した様に頷く。
異能や魔術に対して、人類が己の力――即ち、科学力――を研鑽し続けた一つの結果が彼なのかと思えば、其処に至るまでの努力労力に思いを馳せてしまうだろう。
「…余り大したものは見せられないと思うけど。まあ、期待はしないでいて欲しいな」
マニュアル通りの講義とは違い、誰かに見られながら異能の過負荷訓練を行うというのは些か小っ恥ずかしいものがある。
とはいえ、相手からの期待には応えようと意識を集中させて異能を発動させる。
一瞬の間が空いた後、大地から湧き出る様に現れる2体の異形。
見た目は普段少年が召喚している異形と大差無いが――
「…スモーク弾のイメージが上手く繋がっていれば良いんだが…」
小さく少年が呟いたと同時に2体の異形が1発ずつ砲弾を放つ。
その内1発は、発射された瞬間周囲を包み込むガソリンの匂いを交えた白煙を生み出し、もう1発は着弾した瞬間火薬の匂いが入り交じる白煙を撒き散らした。
幾分イメージと違ったのか、困った様な唸り声を上げながら軽く手で煙を追い払う。
■HMT-15 > 「魔術式の探知については過去に軍に居た時の
実戦データが積み重なって実用段階に至ったものだ。
式を見れば火が来るか雷が来るか風が来るか
といった属性やその強さがわかる。キミも
失敗を恐れず任務の経験を積み重ねれば
今よりももっと強くなる。これは間違いない。」
機械でいうデータ収集と人間でいう努力は
離れているようで似ている。
そうしているとロボットの要望に応えて
理央が訓練を見せてくれるようだった。感謝。
「むむ。」
地面から召喚された2つの金属の塊。
これは前回見た時とあまり変わらないが
その砲塔から放たれたのは
攻撃性能のある弾ではなく煙幕弾。
「可燃性ガスを検知。
興味深い戦術だ。視界妨害だけならず
いざとなった時の攻撃まで視野に入れているとは。」
まるで感心したようなセリフを
うなずきながら発する。
恐らく理央が思い描いたのは
これではない。
■神代 理央 > 「…軍に所属していたのか?てっきり、最初から此の島に居たものかと思っていたよ。まあ、余り詮索はしないけどさ。
経験、か。一番俺に不足しているものだな。正直なところ、通常の風紀委員会の任務よりも、攻撃的な性格を持つ任務につきたいとは考えているんだ。島の治安維持と、自分の戦闘訓練を兼ねるには、実戦を繰り返すしかないしさ」
相手の経歴に興味深そうな視線を向けるが、同じ委員会の同僚でもある相手の過去を掘り起こすのは差し控えた。もし問題が無ければ、相手の方から話してくれることもあるだろうし。
「あー……いや、すまない。狙ってしたものでは無いんだ。本当はより視界を撹乱する為の煙幕を張りたいんだが、俺の根源がそうなのか異能の特徴なのか、どうにも攻撃的なオプションを増やしてしまったみたいだな」
自分の失敗を告げるかどうか一瞬ためらったが、素直に自分が思い描いていたものでは無い事を告げる。
彼の言う通り、煙幕兼攻撃用としてならば使用出来るだろうが、もう少し補助要素の強い弾種を増やしたいところであった。
■HMT-15 > 「そうだ、元々は国連軍所属のプロトタイプだ。
ただ色々あって海に放り出されたみたいでな、
起動を再開したのはこの島で今年初めくらいの時だ。」
正直ブランクがどれくらい空いたかは把握できていない。
起動段階で軍所属時のデータは
戦闘データ等を除いてほぼ全て破損していた。
そしてより攻撃的な任務に就きたいと理央が
呟けば
「無理な近道は危ない。それに平時の任務で
委員会の信頼を稼がない事にはそういった
重要な任務は任せてもらえないと判断する。」
その点イチゴウはHMTという兵器であるので
こういった任務にほいほい駆り出される。
また同時に発生した煙幕を見ると
「ああ、これは想定と違うのか。
画期的だと思ったんだが。」
理央を見上げ頭を傾げながらそう呟く。
そして顔を戻して
「因みにボクは戦闘用プログラムの確認及び
耐久テストのために来たわけだが・・・」
ロボットは遅れながらも自分が来た目的を
理央へ告げると
「施設のシステムを使おうと思っていたが
理央、キミの異能で相手してみないか?
キミとしても性能を知れる良い機会だろう。」
変わった提案をしてみる。
この少年の異能を
身をもって知りたいと思ったのかもしれない。
ご案内:「演習施設」に神代 理央さんが現れました。
■神代 理央 > 「国連軍か。まあ、一国がお前みたいなスペックのHMTを手に入れてたらそれはそれで怖いもんなあ。
しかし、こうしてこの島に落ち着く事が出来て良かったんじゃないか?」
様々な経緯を経て此の島にたどり着いたらしい相手の話を聞けば、治外法権に近いこの島だからこそ、相手の処遇について国連軍も口出し出来ないのだろうかと思いを馳せる。
全てが妄想の域を出ないので、それを言及することはなく、曖昧なニュアンスの問いかけとなるのだろうが―
「戦闘訓練か!良いね、ぜひ行お――」
喜び勇んだ瞬間、演習施設に響き渡る携帯電話の着信音。
忌々しげにポケットから携帯を取り出して確認すれば、申し訳なさそうに相手に視線を向ける。
「…すまない。急用が出来てしまった。すまないが、今日は一旦引き返す事にするよ。
……もしそちらに問題がなければ、戦闘訓練は後日、きちんと行わせてくれると嬉しい」
憂い気な表情で己の状況を説明しつつ、相手に後日の戦闘訓練について提案してみる。
己の実力を試す事と、相手の戦闘用プログラムとやらは実に興味深かったのだが―
「…また、此方から連絡するよ。折角のお誘いを無碍にしてしまって本当にすまない。良ければ今度、御茶でも御馳走させてくれ」
再度鳴り響く携帯電話の着信音に溜息を吐き出せば、相手に謝罪の言葉を告げて憂鬱な足取りで演習施設を後にする事になる。
電話の相手――HMTと学園の情報を渇望する実家――には、必ず文句をつけようと心に決めながら―
■HMT-15 > 「・・・どこ所属だろうがボクの在り方は変わらない。」
理央の言葉を受けて発された
その冷たい機械音声はどこか淋しさを
含んでいるだろうか。
そしてイチゴウの提案した戦闘訓練に
理央も乗ったようだったが
彼の携帯電話によって遮られる。
「ああ、そうか、別に構わない。
ならば今日の演習は必要ないだろう。」
ロボットはそう言いながら
重い足取りで去っていく理央の後ろ姿を眺める。
「御茶・・・。」
ティータイムというヤツだろうかと
電子回路の中で思案を巡らせつつ
奇妙な多脚戦車もまたこの施設を後にするだろう。
ご案内:「演習施設」からHMT-15さんが去りました。
ご案内:「演習施設」にHMT-15さんが現れました。
ご案内:「演習施設」からHMT-15さんが去りました。