2015/06/16 のログ
ご案内:「転移荒野」にヒメナさんが現れました。
ご案内:「転移荒野」にケルンさんが現れました。
■ヒメナ > 「ん……あ、ぇ……?」
転移荒野。
未開拓地区の大半を占めるその荒野に、小さな湖がある。
そのほとりに、赤髪の女性。
身を起こし、周囲を確認している。
■ヒメナ > 「ケルン……?ケルンっ!?」
共に行動していたはずの、仲間がいない。
慌てて立ち上がり、近場の岩に飛び乗りふたたび周囲を確認する。
しかし、そこはまるで見たことのない場所。
見知ったものは、何一つも視界に入らない。
「ケルンっ!!どこにいるの、ケルンっ……!」
■ケルン > *バッシャアアアア*
突如辺りに派手な水音が響き渡り、ヒメナの視界の端で湖面から大きな水しぶきが上がった。
水面は暫く激しく波立っていたが、またすぐに静けさを取り戻す。
……波の中心地点に、ぶくぶくと泡が浮かんでいることを除けば。
ご案内:「転移荒野」からケルンさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にケルンさんが現れました。
■ヒメナ > (うわ、すごい……大きい水しぶき)
水しぶきが水滴となり、太陽光を乱反射して虹を浮かばせる。
それをしばらく眺め、また周囲を見渡す。
そうしてようやく、異変に気がつく。
そこらに散見される、動物。モンスターの類。
『元居た地域』では、見たことも無い生物。
おそらくは自らの常識と離れたどこかに来てしまったであろう事実。
そこまで周囲から情報を集め、また湖の中央に目を向ける。
(いったいどんな水生生物が暴れてるんだろう)
少しの恐怖と大きな興味の視線を、その水泡に向けていた。
■ケルン > 一度静けさを取り戻した水面が、再びゆらゆらと波立ち始める。
やがてその場所から、さばあという音と共に人間の男の頭が現れた。
「ぶ……なっ、え、水……っ!?」
黒い中短髪は水に濡れ、顔にべっとりと貼りついている。
男はざばざばと慣れない様子で水を掻き分けてもがき、かろうじて肩辺りまで水の上に出しながら岸に向かってほんのすこしずつ移動し始めた。
■ヒメナ > 水生生物が姿を現した。
その姿は、まるで、まるで人の頭のようで……
「………………け、ケルンーッ!?」
まさに想い人のそれそのものだった。
慌てて岩を飛び降り、泳げない彼女は湖の淵にしゃがみ込む。
「ほらっ、もうちょっとだよっ!がんばれ!がんばれっ!」
水生生物へと手を伸ばしながら応援をしている。
■ケルン > 「ぁ、ぶ、まって、僕泳げな……」
岸から聞こえる声に気付き、彼は目線を向けた。
「っぷは……ヒメ、ナ?」
よく知った赤髪の女の子を視界に入れ、混乱しながらも幾分か落ち着きを取り戻す。
落ち着いたところで、彼が泳ぎを全く知らないのに変わりはないのだが……無駄に力を入れて沈みそうになっている状態に気付くことは出来た。
力を抜き、靴を浮き上がらせる。
腕をゆっくり動かしてゆっくり前へ進む。
やがて彼の手が、ヒメナの腕をがしりと掴んだ。
■ヒメナ > 「……っそぉい!」
彼の手を掴む。そして、すぐに助けたい一心で、おもいきり腕を引く。
『異世界人の肉体』を更に鍛えた体を持つヒメナが、おもいきり、腕を、引く。
手を離すかなにかしないと、JUDOの技のように持ち上げられ、後ろの地面に叩きつけられそうだ。
■ケルン > 「ン゛!?」
予想外の勢いに反応出来ず、呻きとも悲鳴ともつかない声を喉から発す。
釣り上げられた魚の如く水しぶきと共に持ち上げられたケルンは、危機感から思わずヒメナの腕を離す。
……が、遅すぎた。
弧の最高到達点で手を離したケルンの身体は、ふわりと宙に浮いた。
急いで掴めば引き止められるかもしれないが、このままいけばケルンは勢いのまま後方へ吹き飛ぶだろう。
■ヒメナ > 当のヒメナは……そもそも、まるで気がついていない。
ケルンを引っ張りあげたつもりで、地面に仰向けに転がった。
■ケルン > (あっ、これは痛いぞ)
妙に冷静にそんなことを考えながら、つけられた勢いのままケルンは後方へ吹き飛んだ。
そして、鈍い音ともに地面へ肩から叩きつけられる。
「……オ゛……」
全身灰色や黒色ばかりの服装であるため、横向きに倒れたその姿はさながら打ち上げられた海藻の束か何かのようだ。
ケルンは暫くぴくりとも動かなかったが、やがて小刻みに震えながらその身をゆっくりと起こした。
■ヒメナ > 満足気に仰向けに寝転がり、体を起こして助けたはずの水生生物を見る。
が。そこには何もいなかった。
そして、いるはずの場所から程遠く離れたところに、その生物が叩きつけられるところを見た。
「あっ。 あー……。 ごーめんケルーン♪」
立ち上がり、手を振りながら青年の方へと歩き出した。
■ケルン > 「げっほ、げほ……」
胸を軽く叩きながら咳き込み、水棲生物は些か恨めしげな表情でヒメナを見上げる。
「ヒメナ。助かったけどさ、もう少し優しく引っ張ってくれても良いじゃないか……」
ゆるゆると立ち上がる。
思い切り叩きつけられた腰が心配だったが、じんじんと痛むものの骨に響いた感じは無い。
ケルンはため息をつき、ヒメナが近づくまでの間にぐるりと辺りを見回す。
「……僕ら、さっきまで街に居たよね?」
■ヒメナ > 「だって、あのままじゃ沈んじゃうかと思って……慌ててたんだよー。ごめんね?」
漸く青年の隣まで駆けてくる。
そして、ごめんなさいと言わんばかりに優しく背中をさする。
「うん……急に、なんか、落ちるような感覚がして……で、気付いたらここにいて、ケルンが楽しそうに泳いでで……」
考えこむように、頬に手を当てている。
■ケルン > 「それは泳いでたんじゃないよ……溺れてたんだよヒメナ……」
疲れきったような苦笑を浮かべながら、背中をさするヒメナの様子を見てその頭にそっと手を伸ばす。
「大丈夫だよ、君だって泳げないだろう。むしろ君まで水に落ちていなくて良かった」
ぽんぽんと頭を撫でながら、ヒメナの言葉を聞いたケルンは考え込むように僅か俯いた。
「ムーンゲートかな?それにしては、少し様子が違うような気もするけれど……」
■ヒメナ > 「もー……そういう言い方ずるい……ううん、無事ならよかったよー」
少し頬を染めなにかを一言小さく零し、また向き直る。
髪を撫ぜる感覚に表情を緩ませながら、ヒメナも同じく考える。
「うん、それに似てたような感じだったよね……。
だとしたら、出るところがあるかも。
ちょっと歩いてみようよ」
■ケルン > 「……?ずるいって、何が?」
ヒメナの言葉に心底不思議そうな顔で首を捻る。
「ああ……とにかく、そうだね。君の言うとおりだ。
この空間の主が、悪趣味な悪戯や強敵を配置するような人でなければ良いけれど」
頷きながら、水を吸って重くなった自分のコートを開く。
コートの内側に収められた得物のうち一本を徐ろに抜くと、それを空いているほうの手に握った。
「じゃあ、行こうか。
とは言っても……どうしようかな。
見渡す限り荒れた土地、って感じだね」
■ヒメナ > 「うん、そうしよう。
でも気をつけてね。さっき岩の上から周り眺めてたんだけど、知らない生き物がいっぱいだよ」
言いながらヒメナも同じく、戦闘準備をする。
パキパキと指や首を鳴らしながら、広い荒野を散策すべく歩き出した……。
■ケルン > 「知らない生き物?へえ。
敵性生物かは分からないけれど、やっぱり警戒したほうが良いね。
君も気をつけ……いや、君は大丈夫か。
むしろ僕が、足を引っ張らないよう気をつけなければいけないね」
ケルンはヒメナの様子を見て微笑むと、ヒメナの斜め後ろについて歩き出した。
ご案内:「転移荒野」からヒメナさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からケルンさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にテリメーラさんが現れました。
■テリメーラ > 魔物の出ない比較的安全な村に近いエリア。
日がやっと沈み終わった頃合いだろうか。
一頭の小さな白い竜がのっしのっしと歩いている。
(何だかこの姿でお散歩するのも久しぶりかも。偶にはいいな。)
と思いながら、少し上機嫌に尻尾をふりつつ歩いている。
(それにココなら、村が近いからドラゴンもあんまり居なさそうだしね)
自分が逆に危険視されて追われることに関しては全くすっぽぬけているようで、のんきにあくびをしながら歩いている。
ご案内:「転移荒野」にアルフェッカさんが現れました。
■アルフェッカ > 人気の無い、荒野の只中。
発電施設など無い筈のこの場に、一瞬、しかし激しく稲妻が走り、スパークを起こし、轟音が響く。
「…………。」
稲光が消えた後、先程まで誰も居なかった筈の荒野に、白い人影が膝をついている。
青みを帯びた銀髪、紫の瞳の、長身の少女。しなやかな肉付きの身体は、一糸まとわぬ生まれたままの姿だった。
■テリメーラ > 人よりも耳のいい彼女は、轟音を聞くと、ものすごくびっくり。
大慌てで向きをかえ、どすどすと走って距離を置いた。
背の高い草にギリギリ身を隠しつつ、首から先だけをそーっと出して、ちらちらとそちらをうかがっている。
(なんだろう・・雷?でもそんな雲じゃないし・・あの人が出したのかな・・裸だし・・)
いつもだったら恐怖で一目散に逃げ出す彼女であったが、今日はやや活動的であった。好奇心が勝り、おそるおそる、一歩ずつ近づいていく。
■アルフェッカ > 『…世界間転移の完了を確認しました。現在位置、不明。時刻は夜と推定。星の座標を確認・過去のアーカイブから、類似したパターンを検索中。――世界間転移に伴い、服をロスト。再構成します。』
少なくとも、日本語ではない言語で語りながら、少女は立ち上がる。同時に、まるでパズルがひとりでに組みあがるようにその身体に服が構成され、白いワンピースとジーンズが着こまれる。足は…裸足のままだった。
『……?』
ふと見ると、白い竜が近づいてきているのが目に入った。
『ドラゴンタイプの生命体を確認。原生生物…でしょうか? 念の為、意志疎通を試みてみましょうか。』
銀の髪の少女は、恐れるでもなく、近づいて来る白い竜を見ている。話しかける為の言葉を、選んでいるようだ。
■テリメーラ > こちらを見られていることに気付くと立ち止まる。
相手が喋れるならまずはお話してみよう、と、相手の出方を伺ってみようかな、の考えが一気に出てきていささか困惑してしまった。
そして、ここで止まったことで、さらにどうしていいか、次の行動を考え始めて、慣れていない彼女はさらに頭が混乱し、ピシっと固まってしまった。
やっとのことで、がぅ・・・・と小さな声を漏らすと、まず竜のままでは喋れないことに気が付いた。
■アルフェッカ > 『…………。』
目を向けると、白い竜は動きを止めてしまう。
襲い掛かって来ない所を見ると、こちらに害意を持って近づいてきたのではないのだろう…と推測は出来る。
どう話しかければよいのか…迷った所、アーカイブの検索結果から先程の星空と似たデータが発見された。
《検索結果参照…地球型世界・日本型国家の夜空に、類似データを数件発見。現在地を日本型国家と推定。ベーシック言語を、日本語に設定…完了しました。》
銀の髪の少女は、満面の笑顔を浮かべ、白い竜に話しかける。
「こんにちわ…じゃなくて、こんばんわ、でいいのでしょうか?」
■テリメーラ > 喋ろうとしたまま、とりあえず戻らなくちゃ、というときに話しかけられて、えっとえっと、といった具合にきょろきょろする。かなり焦っているようだ。
そのうち、いけないいけない、と首を横に振って深呼吸すると。
竜の身体は見る見る縮んで、少女の姿となる。
「えっと、こんばんは」
緊張からかぎこちなく笑って見せ、小さく会釈する。
■アルフェッカ > 「はい、こんばんわ! わぁ…人型への化身が可能なんだ、凄い凄い!」
竜が変じた少女を見て、銀の髪の少女は大はしゃぎする。
…態度だけを見ていると、どちらが子供なのか分からなくなって来る…。
一しきりはしゃぎ終えると、銀の髪の少女は何かに気が付いたようで、バツの悪そうな表情を浮かべながら、少女に尋ねる。
「あの、もし都合が悪くないなら教えて欲しいんだけど…ここ、どこでしょうか?」
■テリメーラ > 「あ、あ、どうもどうも」
急なべた褒めに、あわあわとしつつ、お礼を述べる。
大人しくしている、というよりは、はしゃぐ相手についていけずに、突っ立っている状態。
相手が落ち着くと
「ここは常世学園、ですよ。・・もしかして、お姉さんも今来たばかりですか?」
バツの悪そうな表情をみて、首をかしげ尋ねる。
■アルフェッカ > 「常世、学園…ですか?」
きょとんとした表情で、銀の髪の少女は首を傾げる。
《当単語を高速検索…該当データ、なし。では、ここは全く未知の世界? それに、今来たばかり…って? …尋ねてみようか。》
高速で思考を回転させながら、少女に答えを返す。
「んー…知らない所だな。間違えて来ちゃったのかもしれないですね。もしかして、私みたいに突然ここに来る人、多いんですか?」
能天気な表情を浮かべながら、出来るだけ不自然にならないように問いかけも混ぜる。
■テリメーラ > 「えと、えと、この間のお姉さんも突然来ちゃった・・っていう雰囲気だったようなー・・・。多いかどうかはわからないんですけどね」
何かを隠しているような下手な笑顔だ。
もしかしたらこのお姉さんは、自分の世界に帰る方法がわからないかも・・という事実を知らないのかもしれない。下手に言ってしまえば、悲しい気持ちになるのは間違いない・・という優しさからのつもりである。
■アルフェッカ > 「この間のお姉さんも…ん~、迷子さんが良く来る所なのかな、ここって。あ、教えてくれてありがとうです~。」
気の抜けた笑顔をふにゃ、と浮かべながら少女に礼を述べる。
その間にも、頭脳はしっかりと稼働していた。
《なにここ…私の転移とは全然別の世界間転移っぽい反応がごろごろしてるんだけど!? ここって、よその世界から来た人が引き寄せられやすい場所なのかな。》
目の前の少女は何かを隠しているような笑顔を浮かべている。…本人は多いかどうか分からない、と言っていたが、数値にすると充分多いのかも知れない。それを知られたくなかったのだろうか。
そんな事を考えていると、不意にコミュニケーションに大事な事を一つ忘れている事に気が付いた。
「あーっと、そういえばすっかり忘れてた! あなたのお名前、教えてもらえますか? 嫌なら、いいんだけどさ。」
にかっと笑いながら、名前を訊ねる。
■テリメーラ > 「みたいですね・・。なんていって、この間はボクもここで迷子になっちゃったんですけどね。」
あはは、と照れながら笑って見せる。
「あ、えと名前は“テリメーラ”って言います。お姉さんは?」
笑顔を見せられると、こちらもにこ、と笑い返す。
未だに言うべきか言わないべきかべきか、ちょっと迷っている。
その申し訳なさが、まだ顔に出ているのがわかるかもしれない。
■アルフェッカ > 「テリメーラちゃんだね! うん、覚えた! …ちゃん付け、嫌だったらごめんね。」
ちょっと困ったような笑顔を浮かべ、大げさに顔の前で手を合わせて「ごめんなさい」のアピールを取る。
「私の名前は、‘アルフェッカ’だよ。よろしくお願いします!」
にこ、と笑いながらぺこりとテリメーラに頭を下げた。
何か困ったような表情に敢えて気づかないフリをし、逆に心配などいらないと言わんばかりの能天気さで。
■テリメーラ > 「アルフェッカさん。」
こくこく、と頷いて自分自身に名前を覚えさせる。
ごめんなさいのアピールに、ぶんぶんと勢いよく首を振る。そんなこと言われるとこっちが逆に申し訳なくなっちゃう性分なのだ。
「いえいえ、全然気になりませんよ、アルフェッカさん」
えへへ、と笑って見せる。
彼女の能天気さが何だか逆に不安を煽る・・が、最終的な結論として、自分が下手に伝えるべきではないかなと思った。いや、思うことにした。