2015/07/07 のログ
ご案内:「転移荒野」に駆藤 栄Qさんが現れました。
駆藤 栄Q > 周囲に人気がないことを確認し、武装の性能実験を始める。
ここならば、どんな結果になろうとも大丈夫だろう。

「さて 夜が明けないうちに 手早く終わらせようか
──≪マキナライズ≫発動」

掲げた指先から燐光が奔り、宙に銀色の箱が出現する。

駆藤 栄Q > 銀色の箱には大きく『プロトタイプ 取扱注意』と表示されている。
箱が静かに着地すると、その横にあるいくつかの出っ張りを見れば、箪笥のようにも見えるだろう。

「さて まずは 手榴弾 またはグレネードの研究 だったかな?」

一番目の引き出しを開けて、中から灰色の円筒を取り出す。
続いて、赤と黄、それに青色のチョークのようなものを取り出した。

駆藤 栄Q > 「おっと 的を設置しなければな 計測機も必要か」

銀箱のある位置から20mほど歩き、さまざまな計測装置を内蔵した人形を設置する。そこから少し離れたところにケーブルをひき、ここにも計測機器を設置した。

「さて まずは改良煙幕弾か」

銀箱の位置に戻ると、灰色の円筒を構え、勢いよく投擲する。
すると、人形の足元に着弾した円筒が黒煙をまき散らしながら破裂した。黒煙はそのまま人形を包み込み、さらに黒を濃くしながら停滞している。

「計測機は…ふむ カメラ確認 視界妨害成功 次に電波確認 電波妨害成功か
まずまずというところかね」

駆藤 栄Q > 肉眼やカメラでの視界封じに加え、通信機器の作動を妨害して攪乱させやすくする。
通常の煙幕弾では機械に効きにくかったが、これなら上手く当てれば最新鋭のサーチャーもある程度邪魔できるだろう。

「…吾輩にもある程度効くのが難点だがね さて次は これと組み合わせるものの実験か」

そう言って、三色のチョークらしきものを手に取った。

駆藤 栄Q > その中から、今回は赤色を選んで先端をこすれば、チリチリと音がして火が付く。
それを停滞する黒煙めがけて投擲した。
煙に火種が吸い込まれると、直後、轟音を伴う爆炎が広がり、黒煙をあっという間に上書きしていく。それは煙を残らず喰い尽くすと、幻のように消えた。
後にはシューシューと煙を上げる地面…人形は散り散りになっている。

「余計な延焼を残さないグレネードのつもりだったが 予想よりも火力が出るな 瞬間的だが」

駆藤 栄Q > 火種は使い捨ての安いライターでもいい。そういう点ではお手軽と言えるのだろうか?
残り2色も似たような使い方だ、もう少し改良を重ねてから出すとしよう。

こんな調子で、いろんな弾を試していく。
やがて東の空が明るくなれば、片づけをしてその場を去った。

ご案内:「転移荒野」から駆藤 栄Qさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」に桜井 雄二さんが現れました。
桜井 雄二 > 魔導バイクを走らせる。今日も怪異対策室三課でゲートの出現予報が出た。
巨大なゲートが出現すると予測されている場所では公権である一課と二課が陣取っている。
比較的小さな、それでも確かに異世界と繋がるゲートが出現すると予測された場所に急行する。

夕暮れの荒野に、砂塵が舞い上がった。

桜井 雄二 > バイクを予測地点にまで走らせると岩陰に停車。
暗褐色の布を被せて迷彩代わり。
今回もゲートから何が出てくるかわからない。
友好的異邦人なら保護する。敵対的怪異なら排除する。
怪異対策室の『現場の判断』はいつだってシンプルだ。

そして。

桜井 雄二 > 「……来る!」
自然ならざる超自然。理から外れた現象。大極から外れた場所と繋がる、異世界とのゲート。
そこから瘴気とも形容できる生臭い空気が漏れ出てくる。
何度も嗅いだこの臭気、忘れるはずもない。

「蟻人の世界と繋がったのか……ッ!」

蟻人(ギジン)。A級怪異災害。様々な種類の蟻の亜人。
彼らは武装しているので、文化はあると思われるが人類に対して敵対的なスタンスだ。

……もっとわかりやすく言えば、人類を皆殺しにしようとしてくる。

そして蟻人は明らかにこちらの世界と彼らの世界とを繋げる能力者を保有している。
侵攻し、拠点を作り、何度もこちらの世界を脅かそうとしているのだ。
彼らの世界と繋がるゲートは本土だけでなく、この島で最も多く見られる。
橋頭堡にこの島を選んだ理由はわからないが、とにかく戦うしかない。

桜井 雄二 > 蟻人の一群が小さなゲートから続々と出てくる。
蟻人単体での戦闘力はたいしたことはない。
Bランク程度の戦闘用異能があれば負けることはないだろう。
だが、問題は数で押してくること。
そして……上位種と呼ばれる、凄まじい戦闘能力を持った指揮官が現れることがあること。
それを踏まえれば、決して油断はできない。

「……こちらの世界に来るのであれば…地獄に送り返すだけだ!」

桜井の右半身が燃え上がり、左半身が凍気を放つ。
魔人化。彼の戦闘能力が向上する。

桜井 雄二 > 一斉に蟻人の軍隊が盾を持った黒蟻たちを前列に前進してくる。
別方面では川添孝一が戦っていることだろう。
そしてここで負ければ、開拓村が危ない。

そして中距離、桜井に向けて矢が弓なりに放たれる。
その数、もはや一本一本の捕捉はできても数え切れない。

「無駄だ!!」

炎を吹き上げ、その炎熱で焼き払いながら発生する上昇気流で全ての矢を弾く。
桜井が獰猛に笑う。

「芸がないな、蟻人!! 蹴散らされるために出兵したのか?」

そのまま圧倒的な熱を秘めた火炎を右手から放って蟻人の前列をなぎ払う。
今までの戦いで桜井の操作できる炎熱と氷雪もパワーアップしている。
経験を積んだことは、決して無駄にはならない。

桜井 雄二 > その時。
蟻人の一群が左右に割れて中央を焦げ茶色の蟻人が闊歩してくる。
戦場にあって悠然と歩くその姿は、どこか暢気にすら映る。
その蟻人は最前線に立ち、剣を掲げた。

「あいつ……蟻人の上位種、か…?」

顎は歯噛みすればガチガチと音が鳴るほどに強靭。
尻尾のように垂れた下腹部は不自然に大きい。
しかし持っている武器はごく普通…長剣と盾だ。
鎧で武装した身長2メートル前後の巨躯ではある。
だが以前に見た、蟻人上位種『サムライアリ』のような強烈な殺意は見て取れない。

「決闘でもしたいのか…? ふざけた真似を」

桜井も右手から炎の剣を、左手から氷の刃を作り出して前に出る。

「お望み通り、一対一で戦ってやる」

荒野に風が吹く。砂塵を巻き上げ、夕焼け空に舞う。

桜井 雄二 > 無音。
上位種と桜井の間に吹きすさぶ風以外に音を立てるものはない。
普段は金切り声を上げて敵を威嚇する蟻人一般兵まで静かだ。

次の瞬間、弾かれるように蟻人上位種が桜井に迫る。
よく訓練された剣戟で桜井の首を狙う。
桜井は氷の刃でそれを受け止め、炎の剣で上位種を切りつける。
それは回避されたものの、真っ向から戦って勝てない相手ではないと力量差を知った。
こいつはサムライアリほどの脅威ではない。

どこか、油断していた。

桜井 雄二 > 「どうした、こっちから行くぞッ!!」

桜井は氷と炎の両刃複合攻撃で相手を追い詰めていく。
舞い散る氷の破片と火の粉が周囲に広がっては消える。
防戦一方となった蟻人の上位種。
とうとう、桜井の攻撃を捌ききれず、姿勢を崩して倒れこもうとしていた。

「もらった!!」

炎の刃を相手の首に向けて突き出した瞬間。

蟻人上位種の尻尾から伸びた針が桜井の肩を貫いた。

「う…………」

呻く。何だ、何をされた。いや、そんなことはどうでもいい。
痛い。痛い。痛い。
脳を焼くほどの、あるいは発狂するほどの激痛が桜井の全身を走る。

その時、桜井はようやく答えに至った。
この蟻人上位種は、恐らくパラポネラ……弾丸アリの蟻人なのだと。

桜井 雄二 > 「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

自分の喉から出ている声が信じられなかった。
今、自分は痛みに耐えかねて絶叫しているのだ。
それくらいに痛い! 痛い! 痛い!!

パラポネラの毒は銃弾に撃たれたような痛みが24時間続くと言われている。
桜井はそれを右肩に注入されたのだ。
目じりに涙を溜めながら、絶叫することしかできない。

『ギィィィィィィィィィィィッ!!』
パラポネラが甲高い声で叫ぶ。
すると、周囲の蟻人たちがそれに呼応するように叫び始めた。
勝利の雄たけびを。あるいは、哀れな生贄への罵声を。

ご案内:「転移荒野」に湖城惣一さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」に白崎玲刃さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」に『車掌』さんが現れました。
ご案内:「転移荒野」にシン・アルバートさんが現れました。
湖城惣一 > それはたまたまであった。
 携帯端末に、"異邦人"の出現を知らせるアラート。
常世財閥から支給されたその端末からは色々な情報が届くようで、
今日はたまたま、顔を出してみようと思った。
 異邦人と学友と出会ったから。そんな、気まぐれなキッカケ。
 だが。顔を見せてみれば、突如響く絶叫。それは聞き覚えのある声色で。
「――――」
 羽織の下の短刀を引き抜いて、いつでも"奉納"を行えるようにしてその場所へと走った。

『車掌』 > 異邦人出現の報を受けて来てみれば――なかなか、立て込んでいるようだ。
ヴァージニアは『ある理由』から他の鉄道委員に先駆けこの場所へ先行していた。
そして見れば、一度聞いた後輩の叫び声。
間違いない、あれは――

「――桜井!」

シン・アルバート > 単なる遠出も良い所だったが。
……人に迷惑を掛けず、異能を行使出来そうな場所を当たっていた所に。
響く絶叫と、「人でないモノ」の群れ。

そういえば、ここは「門」が頻繁に開く場所でもある、と聞いたことがあったっけ。
蟻のようなソレを一瞥し、足元の影が、濁り、混ざり、回転し、広がりを見せる。

「―あれは、一体、どういう、ことだ?」
その顔には後ろ暗い物が。

白崎玲刃 > 【開拓村にある隠れ家へと帰宅していた玲刃は、
開拓村にて転移荒野に突如出没した巨大なゲートから蟻人が侵攻してくる騒ぎを聞き付け
開拓村へ、自分と音音の隠れ家へと危機が迫る懸念をし
自身も蟻人の侵攻を抑える為転移荒野へと急行してきたのであった】

噂には聞いた事があったが……あれが……蟻人、か。
【そして、転移荒野に大量に視認出来てた蟻人の姿を見て眉を顰めながら
身体強化を異能、魔術で発動し重ね掛けをして、戦地へと駆けてゆく】

桜井 雄二 > 「………っ!!」

その場に現れた湖城惣一と『車掌』に対して無言で手を伸ばす。
それしかできない。相手の尻尾に気をつけろ、と声をかけることすらできない。
意識が飛ぶことすらない、地獄の激痛の中で座り込んでただ呻いた。

そしてシン・アルバートと白崎玲刃の出現。
蟻人たちの苛立ちが頂点に達する。

パラポネラが桜井を蹴り転がし、足蹴にすると剣を振り上げる。
槍と盾を持った重装甲陸戦兵士―――蟻人一般兵たちが人間たちに突撃を始めた。

湖城惣一 >  男は。一切合切集団戦に向いていない。
切腹奉納。神域にまで剣の技芸を"沈めていく"極意。
それは命と引き替え。己の腹を捌かねば成立しない。
 治療時間も考えれば限界活動時間は十分。その間にあらゆる怪異を切り捨ててきた異端の極地。
 本来ならば少数のみを相手取るべき業だ。
 だが。――委細問題なし。

 桜井の動き。それに対して、全く過たずに頷いた。

 ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここのたり。

 心のなかで意識が沈んでいく。
 同時、その腹部を鮮やかに短刀が切り裂いた。

 まずは大物。パラボネラのみを狙い打つ。

「衆生一切切り捨て仕る」

 全ては、友人のために。

『車掌』 > 「――なるほど。あたしらが呼ばれるわけだな」

群れ、それも軍隊として統率の取れた異邦人。
しかもこの数だ。個人で相手をするにはなかなか荷が重いだろう。
だが、ここは転移荒野。あたりに何も無い、迷惑のかからない場所だ。
ここを選んだのが奴らの敗因だ。

蟻人の号令と共に、荒野を埋め尽くさんばかりの蟻たちがやってくる。
統率の取れた、まさに『軍隊蟻』。
だが、その為の鉄道委員会だ。

本来、ここに列車は来られない。
列車はレールの上しか走れないからだ。

だから、彼女が――『車掌』が来た。

「機関室、聞こえるか。座標転送するぞ、機関最大でこっちに来い!」

携帯に叫ぶヴァージニア。
そして同時に。

荒野に、『線路があらわれた』。

そう、これが鉄道委員会の奥の手。
委員会儀式『軌条召喚』!

そして、虚空から現れたレールを辿り。
汽笛を甲高く鳴らしながら、鉄道委員会の武装列車が現れる!

白崎玲刃 > あれは、生活委員か…?
【生活委員会の怪異対策室についての噂を知っていた玲刃は、
パラポネラに足蹴にされている桜井を見て、蟻人と交戦している怪異対策室の一員かと推測し
危機に陥っているその者を助けに向かうべきかと考えるが
しかし、】

……っ!群れの方も動くか…!
しかし、助けに向かった者がいるか……
ならば、ここはあの群れへの対処に周るべきだな
【しかし、こちらへと大量に向かって来る蟻人の一般兵の姿と
桜井を助けに向かった者を見て、
自分は一般兵の対処を優先するべきと判断し、
収納の魔術を発動し、大剣を2本取り出し両手に構えると、迫りくる蟻人一般兵の群れへと突撃してゆく。】

シン・アルバート > 「……二度と、『こちら』も使う、つもりは、なかったが……」
「……今だけは、その生命、差し出してもらおうか」
足元の影から黒い嵐が生じる。

「異能も魔術も、持っているかは全く知らないが……」
「『生命』ならば、生きてさえいれば、平等なのだから」

大物ではなく、群れを成す一般兵のひとかたまりに黒風による強風を当てる。
風の領域を突破しようとするならば、ゆるやかに『生命』が風によって奪われていく。
風自体も進行の阻害を目的として風速を強めている。

「……下っ端相手なら、己れでも、十分、かもしれないな?」
なるべく進行ルートを絞らせる目的でもあるようだ。
どうせ自分は露払いが得意なのだから、割り切るべきか。

桜井 雄二 > 湖城惣一の最速の斬撃が迫る。
それは一切の矛盾なく、怪異を切り捨てるに十分な剣身一如の刃。
咄嗟に盾で防いだパラポネラが、大きく怯む。
が。
そこに刺し貫く尻尾の一撃が、邪毒を秘めた針が湖城惣一に迫る。


無限に前へ現れるレールを走り、武装列車が出現する。
さすがに怯む蟻人たち。
既に意気挫け、自分が出てきたゲートに逃げている蟻人すらいる。
武装列車、その威容は鉄道委員会の切り札に相応しい。


白崎玲刃が大剣を構えながら蟻人に突撃すると、あちこちで吹き飛ぶ蟻人の姿。
重装甲に大盾を構えた陸戦兵士ですらその質量攻撃に抗う術はない。
一気に戦列が崩され、あちこちで蟻人たちの金切り声が響く。


シン・アルバートから吹きすさぶ強風は、砂塵を巻き上げて蟻人たちに襲い掛かる。
生命力が吸い上げられ、あちこちで蟻人たちが疲弊し、倒れていく。
死の風。まるで疫病がそう信じられていた頃のように、蟻人は進軍速度を遅らせ、そしてじわじわと戦闘能力を削られていく。

湖城惣一 >  ――沈め。

 まず一射を避けた。
あの"毒"が何を誘発するのかを湖城は知らない。
しかしそれが毒である以上、まともに受ければ湖城の限界時間が削れていくだろう。

 ――沈め。

 だが。逆に言えばそれだけだ。湖城の背後に浮かぶ光輝の術式。
あらゆる万難を排し"死に果てる瞬間までその力を約束する"加護。
この十分。血の乾ききるその果てまで。
湖城惣一という男はいかなる毒も、いかなる怪我も。
命を切り売ることで耐え抜くのだ。

 深く、意識が沈んだその先で、二度目の剣閃が伸びる。

『車掌』 > 機関室に潜り込むと、ヴァージニアはマイクを取り、怯む蟻人たちに告げる。

「本日は御乗車ありがとうございます。
この列車は特急・地獄行きです――途中下車はできねぇぞ、クソ蟻どもが!!」

その声が終わるか否か。
武装列車は蟻の群れを蹴散らしながら進発する。
その巨体で蟻を轢き、群れをなぎ払い、軍隊を蹴散らす。
いくら数が多くとも、剣や弓ではどうしようもない。

「1番2番、撃ちーかたーはじめぇ! あいつらに当てんなよ!」

爆音とともに砲火が爆ぜる。
蟻たちの纏う重装甲を紙のように吹き飛ばし、地面すら抉る対地砲弾。
武装列車の汽笛は、まるで死神の笛の如く、蟻人には聞こえたかもしれない。

白崎玲刃 > 【戦場に蟻人の身体の破片が黒い嵐の様に吹き荒れる
構えた大剣を高速で振り回し蟻人の一般兵達を引き裂いて行く玲刃
それを目として一種の台風の様に蟻人の身体の破片が吹き飛んでゆく
しかし、】

………っ!ここまで多いと流石に、きついか…!
【斬り漏らした蟻人の攻撃が浅く玲刃の肌を切り裂く、
しかし、これくらいであれば回復魔術で回復できる程度なので問題は無い
だが、問題となるのは、剣の強度であった、
いくら大剣であっても現在玲刃が使用している物はなまくらであり強度は多少劣る、
さらに、装甲と大盾を携えた蟻人を何人も粉砕したとなると、流石に大剣にもひびが入る】

……あ、まずった……!
【そしてついに、玲刃が持っていた大剣が限界を迎え砕け散った…】

シン・アルバート > 「しかし……」

油断せず、状況の把握に努める。
鉄道委員会、まさかああ言った物も所有していたのか。
荒事担当の部署だろうか、在学中にお目にかかるとは思っては居なかった。

前線で白兵武装で切り結ぶ青年が群れを吹き飛ばすのならば、こちらは彼に当てないようにルートを『絞り上げる』までである。
現に疲弊の限界に達し、風に呑み込まれる兵も見えているだろうか。

しかし、彼の懸念しているのは、大将首らしき兵と切り結ぶ、サムライの如き青年である。

「……捨て身の兵法、という奴か……分からない、が。問題は、何時まで彼が持つか、かもしれん」
「それまでにこの―」
「黒山の人だかりを切り分けて、『お還り頂く』、しか無い、な!」

風が強度を増し、砂塵が唸る。
ただでさえ視界を不明瞭にする黒風の中とあっては、
行く先を見失い、疲弊の果てへ辿り着かずに済むには、相応の練度が必要か、幸運の持ち主では無かろうか?

桜井 雄二 > 湖城惣一の二度目の剣閃がパラポネラの剣を持つ腕を斬り上げた。
『ギィィィィィィィィィィ!!!』
絶叫と共に黒い液体が腕から噴出す。
苦し紛れにパラポネラの左の一撃、盾を突き出す。
シールドバッシュ。相手の姿勢を崩そうとする攻撃。
上手く決まれば再び尾撃という算段だ。


武装列車が蟻人たちを蹴散らしながら走る。
なぎ払われ、追い詰められ、蟻人たちが総崩れになる。
対地砲弾が蟻人を吹き飛ばす。
前時代的な装備では最早手のつけようがない。
あちこちで蟻人たちがその骸を晒す。
最早、この戦いにおける趨勢は決まった。


白崎玲刃が斬り潰し、斬り飛ばしていく中で蟻人たちは集中した。
必ずこいつに一矢報いる瞬間が来る、と。
その時、白崎玲刃が持つ大剣が砕ける。
瞬間を見逃さず、剣を持った蟻人たちが一斉に飛び掛る。
波状攻撃、集中攻撃? 違う。確実に相手を殺すトドメの攻撃だ。
蟻人たちの表情こそ誰にも読めないが、きっと笑っている。


シン・アルバートの放つ黒風は勢いを増し、次々と蟻人たちが倒れていく。
圧倒的範囲攻撃。
生命力を吸収する冒涜の風。
凄まじい異能の力は、確実に蟻人たちの生命力を奪い去っていった。
侵略的外来種。A級怪異災害。それが、たった一人の男の異能で潰えようとしている。

湖城惣一 >  蟻人のそれは、まさに苦し紛れの一撃。
――尾の一撃。その種さえ割れてしまえば容易いものだ。

 盾が湖城の身体にたたきつけられ、湖城という男の身体が揺らぐ。
だが、それは誘いだ。振りかぶられ、突き出された尾針。
それを崩れたようにみせかけた体から、切り裂いていくだろう。

 蟻人。技術は優れているが、いささか殺意の色を漏らしすぎている。
"意"を読むに長ける剣術家。
風紀・公安の対処できぬ怪異・異能者を切り捨てるという依頼。
それをこなすにあたり、湖城惣一という男は十二分の力を保有している。

『車掌』 > 「――よし、あとは残敵を掃討しろ!」

それだけ言うと、ヴァージニアは列車を下りる。
ここまでやれば十分、蟻人どもに、もう開拓村を襲う力は残っていないだろう。
残った蟻を片付けるよう部下に命じ走って桜井に駆け寄る。
列車がなければ、自分に出来るのはこれくらいだ。

「桜井、しっかりしろ!」

白崎玲刃 > ………がっ………
【跳びかかってくる蟻人を確信に玲刃は咄嗟に飛び退くも
蟻人の斬撃によって、全身に裂傷を負い、一部は腹部の内臓まで達したものもあった
しかし、身体強化による跳びのきによってある程度距離を引き離す事は出来た、

このままだと………まずいな……ならばあれを使うしかないか
使うのは初めてだから上手く行くかはわからないが…やるしかないな……!
【そして、全身に走る裂傷の痛みに両腕を前方に掲げ、一呼吸深呼吸をすると】

        開け/狂え

     我が内なる武器庫の門よ

【玲刃は再度飛び退き蟻人の群れから更に距離をとり詠唱する、
以前クロノスとの戦闘においてさいこの超常を狂わせるという体質によって引き起こされた現象を再現し制御するように思い出しながら】

       狂いて開け

    門は反転し、収納は射出へと転ずる

【深く集中し術式を紡ぎ上げてゆく】

         open

 武器庫の門<ゲート・オブ・アーモリー> ロングソード

【蟻人の群れが玲刃へと再び迫り、
今度こそ確実にトドメを刺すべく
玲刃へと跳びかかる。
蟻人達の持つ刃が玲刃へと迫りゆく】

      upset

   剣の雨<ソード・レイン>

【しかし、
蟻人達の持つ武器が玲刃の急所へと達しようとするその瞬間
術式は完成する。
正面へと掲げた両手の前に収納用の異空間への入口が展開し
そこから、大量の長剣が射出されてゆく。】

シン・アルバート > 吸い上げられた生命がどこへ、向かうかというと。
…シンの方である。砂漠にも関わらず疲労が少ないのは
実質的に「蟻人の群れ」に自分の疲労を肩代わりして貰っているようなものである。
油断なく、戦力を『締め上げ』ようと、制御している最中、その光景は、見えた。

「……武器が割れ…た、か!?」
…風を当てていない一部の集団が、件の青年に襲いかかろうとしているのが見えた。
しかし、こちらが手を緩めれば兵の塊が戦力を取り戻す可能性がある。

「彼を巻き込まずに、ぎりぎりまで、広げる……いや、それは……ッ」
苦虫を噛み潰す。

「……賭けるには、十分だ」
飛びかかる蟻人の群れに対して割り込めるように嵐を止め、
その青年(白崎君)の元へ割り込もうと、走り飛ぶ。

桜井 雄二 > パラポネラが勝ちを確信する。
金切り声を上げながら邪毒を秘めた尾撃を放つ。

が……次の瞬間、閃光が煌いた。

パラポネラの見ている世界がズレる。
世界が両断された。否――――自分が両断されている。
最早声一つ上げることもできない。
パラポネラだったものが等分に分割され、左右に倒れた。


『車掌』が桜井を助け起こす。
「う……あ…………『車掌』先輩……」
「俺……は……………」
次第に意識がはっきりとしてくる。
「た、助けられましたね……すいません……」
苦痛に顔を歪めながら、そう呟いた。


白崎玲刃に戦力が集中する。
最後のトドメを刺そうと。自分たちの部隊が全滅しようと、こいつは殺してやる…彼らはそう決めていた。
が。
次の瞬間、奔流のように放たれる刃。
射出された長剣が一直線に向かうは、蟻人の群れ。

後に残ったものは、細切れの蟻人たちだった。


術式を行使した白崎玲刃の背後に、たった一匹残った蟻人の兵士。
刃こぼれした刀剣を振り上げ、そして………
シン・アルバートの跳躍。
横っ飛びに吹き飛ばされ、最後の蟻人が動きを止めた。


フラつきながら、桜井雄二が立ち上がる。
「み、みんな……すまない…助けられてしまった…」
「自惚れていた……蟻人には負けるはずがないと…それで、このザマだ…」
桜井が頭を下げた。

湖城惣一 >  戦いが終わった。膝をついて、即座に治癒のための術法を撃ちこむ。
切り結んだのはわずか三合。これならば倒れるほどではないだろう。
「構わん」
 脇差しを納刀し、桜井に告げる。その表情はいぜん変わらぬ無表情。
 痛みに顔を歪めることもなく、淡々と告げる。
「俺は俺の仕事をこなしただけで、そして友人に手を貸しただけ」
 それは当然のことだ、と言わんばかりに。
そもそも、湖城惣一という男は"勝つ"とか"負ける"とか、そういう意識に薄い男であった。
 慢心とはあまりにも程遠い精神性で。
 だから。
「君が生きていることが何よりも最良だということだ」
 それだけ、桜井の瞳を見つめながら告げた。

『車掌』 > 武装列車に帰還するように指示する。
『軌道召喚』はおそろしく魔力を喰う召喚術だ。
稼動はなるべく短い方がいい。

「ったく、無茶しやがって」

桜井に肩を貸しながらやれやれと呟く。
間に合って良かった。
――まぁそれに、武装列車を乗り回す機会は逃さないようにしたい。
その点ではこいつに感謝していた。

白崎玲刃 > ………っぅぅ……やはりこの魔術はきついか……
【先程の術式は、術式を意図的に狂わせてそれをまた制御すると言うものであり
有り体に言えば負荷が大きく、何より蟻人の攻撃によって負傷していた玲刃にとってはかなりの負荷であり、
術式の発動が終わった時には既に体力は残っていなく、
背後から撃ち漏らした蟻人が迫ってきているとはつゆ知らず、地面に膝をついた】

……っ!?
……すまない、助かった。
膝を着いた玲刃にトドメを刺そうと迫っていた蟻人に気付くも既に遅く、もはやこれまでかと思われたその時
シン・アルパートの跳躍によってその蟻人が吹き飛ばされ
絶体絶命の危機を救われた玲刃はシン・アルバートに礼を言った。】

シン・アルバート > 割り込みで最後を刈り取る形になってしまったが、
彼(白崎君)の無事を確認して、ふぅ、と、集中を解く。

「……いやぁ、来たのは良いんだが、まさかここまで大規模な徒党を組む者が『やって来る』んだな……」
と、一先ず自身の感想を述べる。
蟻人のことなどあまり把握してなかったし、なによりそこまでの相手と戦う事はあまり無いのである。
敵と明確に判断できたからこそ、『生命力奪取』も行使できたのであって、
単なる来訪者ならばそういった判断も後手に回ってしまうだろう。

「たまたま通りすがっただけとも言うから、それほどでも無いだろう……」
「むしろ、己れよりもっと、……と、言いたいが。大丈夫か?」

負傷者も少なからず居る以上、対処が遅れては元も子も無い。
白崎と桜井の二人をそれぞれ心配する。明確に負傷しているのは二人、だろう。
サムライの彼は元より「そういうスタイル」だろうし、心配はしなくて良さそうだが。

桜井 雄二 > 「友人……か………」
『車掌』に肩を貸してもらいながら、薄く笑った。
「ありがとう、湖城惣一。それしか言えないな……」
友の言葉が、嬉しかった。
まだ痙攣と痛みこそあるものの、何とか帰れそうだ。


肩を貸してもらったまま、『車掌』の言葉に頬を掻いて。
「すいません………列車、凄かったです」
「先輩は本当に凄い人ですね……この恩をどう返したらいいか」
二本の足で立とうとして、よろめく。
帰れるのは帰れるだろうが、バイクに乗って帰れるだろうか?


白崎玲刃に右手を軽く振る。
「ありがとう、俺は桜井雄二だ。名前を聞かせてほしい」
「今度、正式に怪異対策室三課から礼状を書かせてもらう」
「それにしても凄いな、戦略兵器か何かか、あの長剣の大量召喚は」
無表情に白崎に話しかける。自分ひとりでは、絶対に乗り切れない危機だった。


シン・アルバートに頭を下げる。
「ありがとう、黒い風の異能者」
「まるで命を刈り取るかのような異能だったな…」
「助けられた、名前を聞かせてくれ」
何とか氷で杖を作って立つ。フラフラだ。

湖城惣一 >  すぐに姿勢を戻し、脇差しを竹刀袋に入れ込むと。
周囲にずいぶん人が集まってきていたことに驚いた。
"沈んで"いる最中は、敵も味方も彼にとっては等価値であり、
ある意味オートマチックめいていた。
 だからこその剣技であったが、改めて見ると壮観である。
「気にするな」
 桜井の言葉にもさして気にすることなく視線だけ返して、
他の面々をただ眺めていた。

『車掌』 > 「あたしが凄いんじゃねぇよ、列車がすげーんだ」

その言葉は照れ隠しなどではなく。
満面の笑みを浮かべたヴァージニアの顔にはこう書いてあるだろう。

『どーだ、あたしの好きなものはすげーだろう』

と。

子供のような笑みを浮かべながら、ヴァージニアは肩を貸し。

「しょーがねぇな。ほら、近くの線路まで歩けるか。列車、呼んでやるよ」

シン・アルバート > 「己れは2年のシン・アルバート、と言う者だ。」
一応無所属者だが、と念押ししておく。実際1年の間どうしようか悩んだ結果、現状何処にも所属していないのである。

「あと、その……アレ、は普段は抑えているから、普段からあんな感じ、では、無いと、思う……ん、だが」
ゆるゆると気が縮んでいく。
実際表向きとしては『異能殺し』『魔術師殺し』であって、
『生命力奪取』は普段から使う気は無いのである。
だもので、あんまり褒められている気はしないのか、縮こまっていく。

白崎玲刃 > 俺も蟻人は初めて見たが……ここまで多いとは知らなかった。
あれと同じような対処は流石に無理だったみたいだ…
【玲刃は一応蟻人については、噂程度には知ってた物の
実在を見た事は今まで無く、彼も蟻人の多さには驚いていた様であった。
そして、大量の相手という事で以前戦ったヒトガタと同じような対処をした事に関しては恥じてる様だ。】

ああ、大丈夫だ。負傷はいつもの事だしな。
まだ、骨が折れて無いだけましだ。
むしろ、向うの彼は大丈夫が?
【心配されながら大丈夫だという玲刃
彼も速度は遅いながらも再生の異能を持っているが故に無茶出来るという、ある意味そういう戦闘スタイルではあった。
そして、先程、パラポネラとの戦闘で絶叫していた桜井の方を玲刃も心配していた。】

ああ、雄二か。俺は白崎玲刃だ。
ふむ、やはり怪異対策室か。
それも三課というと、あの落第街で貴種龍を門の向うに追い返した英雄の一人の川添孝一が作ったという……
【心配していた対象である桜井に声を掛けられ、玲刃も挨拶を返しながら、
所属を聞くと少し驚きながら呟く。】

ああ、いや。あれは魔術だ。
【そして、剣の雨について聞かれて、魔術だと答えた】

桜井 雄二 > 「そうか………お前は、そういう男なんだな、湖城惣一」
「……信頼のできる男だ、これからもよろしく頼む」
友人に対する理解を深め、桜井は頷く。
縁のない人間同士、街中ですれ違っても他人同士。
縁がある人間同士、どんなに離れていても出会う。
この縁を大事にしよう。そう思った。


シン・アルバートの言葉に小首を傾げる。
「そうか? なんだか、異能の凄まじさの割りに控えめな男だな」
「だが、お前に助けられたことは間違いない…シン・アルバート」
「この恩は必ず返す。といっても、俺はたいしたことのできる男じゃあないがな」
そう言って、自分の肩の傷に触れた。
「………!! い、痛い……」
男は情けなく痛がった。


「白崎玲刃か……はは、川添孝一も英雄と呼ばれてはきっと照れる」
「あいつはそういうのに慣れていない男だからな」
「肩の傷はどうやら、激痛と痙攣が止まらないだけらしい」
「これから病院に行くよ……入院だけは避けたいものだな」
これから海のシーズンだっていうのにな、と肩を竦めて。


「はは……列車は凄かった」
「あれなら、夢中になれる……それもわかる気がします」
氷の杖を突いたまま歩き始める。
「それじゃ俺は『車掌』先輩に列車に乗せてもらうことにする」
と、全員に声をかける。
「今日は本当にありがとう、蟻人たちの死体はもうすぐ怪異対策室二課の連中が片付けるだろう」
「……質問攻めと書類作成が嫌なら、この場を離れることを勧める」
最後に冗談を言って、『車掌』に連れられて去っていく。

徐々に侵攻ペースが早まってくる蟻人。
姿を現してきた蟻人上位種たち。
これからどうなるのだろう。そんなことを考えながら、男は荒野を去った。

ご案内:「転移荒野」から桜井 雄二さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」から『車掌』さんが去りました。
湖城惣一 > 「……ふむ」
 全員、ひとまず名乗る流れだったために。
「二年、湖城惣一だ。また会うことがあればよろしく頼む」
 そう言って背を向けていく。治療はすぐに済んだが腹を切ったには違いない。
食事を摂るか、治療を受けるか。どちらかはやらなければならないために。
 そのまま背を向けて、彼もまた歩き去っていく。

ご案内:「転移荒野」から湖城惣一さんが去りました。
シン・アルバート > 「お、おい……大丈夫か……?」
流石に自分から肩の傷に触れて痛がっている以上、心配になる。

「大したことは出来ない、とはまぁ、己れも人の事は言えんが……」
「お前もそこまで卑下する必要は無いと思うぞ……?」
実際、群れと立ちまわる事が可能な実力者であることは想像に難く無かったし、
明らかに彼の「知識の外」からの奇襲だったのだろう、と推察してみる。

「礼なら、まだ良い。まだ己れも、お前も、成すべき事が残ってるだろう、と思うから」

「……一応片付けの方には顔を出しても良いと思ったが…書類、かぁ」
「聴取はともかくそちらまでは、なぁ………」
頭を抱えてこの後どうしようか、考え始めながら、去り始めた。

ご案内:「転移荒野」からシン・アルバートさんが去りました。
白崎玲刃 > ふむ、激痛と痙攣か……
【桜井の言葉を聞き、パラポネラの死体を一瞥すると何か思いついたように頷くのであった。】

ああ、この学園の病院は優秀だから大丈夫だろうさ。
【何度か入院した経験のある玲刃は、
常世学園の病院を信頼しながら言い放った。】

ああ、では俺も離れさせてもらうとするかな。
書類作成なんて面倒なことはごめんだしな。
【去ってゆく者達の背をひとしきり見送った後
玲刃も、傷だらけの自身の身体に回復魔術をかけて止血と痛み止めを施し、
その後落ちているパラポネラの死体から尻尾をもぎ取ると収納の魔術で収納し
転移荒野から何処かへと歩いて行った。】

ご案内:「転移荒野」から白崎玲刃さんが去りました。