2016/10/28 のログ
ルベール > 誤算があったといえばあった。
普通は目で見て相手を補足する。
だからこそ、その目がついている頭を振り回し、なおかつ叩きつけるジャーマンスープレックスを食らった直後は全く攻撃ができない。

普通は。

「あぶっ!?」

叩きつけ、腕をロックして距離を取ろうとしたところで足で頭を蹴っ飛ばされ、5mは吹き飛ぶ女。
ずしゃあ、と土煙を上げて倒れれば、二人とも倒れてしまう。

虚空に響くカウント。

ワーン、トゥー、スリー、フォー、ファーイブ……


当然のように起き上がる女は、小さくいってぇ、とだけ呟く。
今日も当たり前のように流血マッチになった。
起き上がろうとするゴーレムに向き合い、血を拭う。

東雲七生 > 「見ちゃいけないというかもう見ちゃったけど……!」

直視しづらい状況から手で顔を覆い指の隙間から薄めで様子を窺うという伝統芸をしつつ。
あれだけ綺麗に決まればあのでっかいゴーレムも再起不能だろうと思っていた。
少なくとも七生ならしばらく身動き取れないだろう。


だが。

「えええええ、吹っ飛んだ!?」

慌てて女性の方を目で追う。
見るからに硬そうなゴーレムの打撃を受けて大丈夫なのだろうか、大丈夫だった。
女性の頑丈さに驚きつつ、なお起き上がろうとするゴーレムにも気づき、タフネスってやっぱ大事なんだな、と思い知る七生である。

自分なら三回くらい死んでる。流血沙汰は、まあ割と日常だけど。

ルベール > 「ふん、がっ……!」

起き上がろうとした相手の顔らしき部分に、全力で走り込んで腕を叩きつける。
いわゆるラリアットをねじ込んで相手のバランスを見事に崩すも、みしりと肘が嫌な音がした。
まあ、金属に思う存分腕を叩きつければそうなるだろう。

「……よ、っしゃぁっ……! これでおしまい……だぁっ……っ!!」

倒れた相手を捕まえると、2m以上の巨体を、まるで巨大なバーベルを持ち上げるかのように、ぐ、ぐ、ぐ、っと持ち上げていく。
本来であればバランスを取るのが難しい技でもあるが、こんな状況はインプットされていないのか、ゴーレムの動きも緩慢だ。

完全に持ち上げた瞬間に見ている少年に気が付けば。
パチン、とウィンクを一つ決めて。

「……っしゃぁっ!!」

みしみしと身体が軋む中で、持ち上げたまま腕を傾けさせ。一気に、相手の顔から地面にたたきつけていく。


先ほどの地響きの二倍ほどの揺れ。鳥が木から飛んで行った。

東雲七生 > 「そしてまだやり合う!?」

どっちも化け物だなあ、と率直な感想を胸に。
いや、ゴーレムは見た目からして金属製っぽいので、どっちかと言えば耐久が高いのは納得がいく。
納得できないのは女性の方だ。七生も他人の事は言えないが、どんな精神力してるんだろうと思う。

「うえぇぇ……今度は抱えるんじゃなくて普通に持ち上げた……!?」

しかもこちらにウィンクまでする余裕がある。
生粋のエンターテイナーなのかと思わせる仕草に、呆れを通り越して感心した。

その直後、ゴーレムの巨体が地面に叩きつけられる。
振動で岩から転げ落ちそうになるのを踏み止まりながら、今度こそ決着か、と二人をじっと見つめた。

ルベール > ………

「勝ったっ!」

ばちん、っと腕を叩いてどやぁっ、と嬉しそうに表情を綻ばせ。
ゴーレムは生きてはいたけど、それこそ人間の身体でいう臍の部分まで地面に突き刺さっていたのだから、続行不可能であることは間違いない。

いぇーい、と腕を上げて勝ち名乗り。


紅のルベール 〇ー× なんか金属製のゴーレム

 決まり手 ルベール式爆炎落とし


「ぁー………つっかれたぁ………。」

べたん、っとその場に座って吐息を一つ。
はぁっ、はぁっ、と荒い吐息のまま、にひひ、とみている相手に笑う。
どーよどーよ。

東雲七生 > 「うおっ、すっげー……!」

深々と地面に突き刺さったゴーレムを見て、七生は目を瞠る。
半分くらいは自重で埋まっているにしても、
それを持ち上げるだけの腕力があの女性にはあるのだと理解すると、なおの事目を丸くした。
戦闘不能状態のゴーレムがこれからどうなるのかはともかくとして、岩から飛び降りると、てててっ、と座り込んだ女性へと駆け寄って。

「すっげーや、あんなデカくて重そうな相手を持ち上げて叩きつけてさー!」

キラキラと目を輝かせながら半分埋まったゴーレムを指さしつつ。
すっげーすっげーと連呼する。語彙力が無い。

ルベール > 「だろー? だろー? 私すげーんだよ。
 まあこれも何もかも才能だけどな。」

 褒められれば尻尾を振るように喜びながら、どや顔で自慢をする。
 どうよ私すごいだろオーラを出しながら、ふっふーん、とにやけ顔。

 肘が青くなって、額から血が流れるのを腕で拭いて。
 拳部分に包帯が巻かれていることに目を閉じれば完全勝利だ。

「いやー危なかったなー。
 久々に傷ついちゃったなー。あんまり傷とか受けないんだけど久々になー。

 なかなかの相手だったと言っておこうかなー。」
 
 すぐに怪我しちゃう系の人間だけれど、
 そこには目を閉じて久々のダメージだと口にする。
 
 
 全ての戦いの中から、敗戦と苦戦と引き分けを抜いて考えるとなんと勝率100%なのだ。

東雲七生 > 「うん、すっげーかった!」

こくこくと頷きながらもあちこち負傷だらけの姿を見て眉を顰める。
肘と額は、まさに今の戦闘で傷を負ったのだろう。見てたんだから間違いない。
しかし、包帯の巻かれた拳の方はどうだ。七生の記憶が確かなら、ゴーレムにドロップキックを放った時にはすでに巻かれていた気がする。
ということは、もしかするとゴーレムとの開戦前から怪我をしていたのかもしれない、と考えて。

「(無茶する人なんだなあ……)」

他人事じゃないと思いつつ、少しだけ苦笑を浮かべた。

「怪我、大丈夫?
 思い切り不意打ち食らってたけど、骨まで逝ってない?」

見栄か素なのか分からないが、自信に満ちた態度を崩さない女性に怪我の具合を聞いてみる。
何か手当に使えるものがあれば良かったのだが、生憎と七生も怪我をする割に治療道具などは持ち合わせていない。

ルベール > 「だっろー? 憧れてもいいんだぜ。」
 
 にっひひー、と笑って嬉しそうだ。
 悪ガキのような笑顔を浮かべながらも、こう見えて成人をすっかり過ぎている。
 子供のまんまである。
 
「ばーっか、いいか少年。 少し考えてみろよ。
 怪我ってーのはマジもんにやべー時は強がることも出来やしねーの。
 だから痛くねえって言える間は痛くねえってことだよ。」
 
 やせ我慢万歳なことを言いながら、自分の着ているTシャツのお腹部分を引き裂いて、ぐり、っと額に巻き付ける。
 よっしゃ、と小さく呟いてその血を押さえつけて。
 
「人間の骨は、えーとあれだ、ひーふー………
 ……たぶん数十本はあるから1本くらいいかれてもなんとかなる。」
 
 真顔だった。

東雲七生 > 「憧れ……うん、俺もあれくらい腕力付けたい!
 こう、抱えて、後ろにどーんってするの、凄かったし!」

興奮しきった様子で両手をぐっと握り締めて上下に振る。ぶんぶん振る。
あれが出来れば自分も体格差で不利な相手にも勝ち目があるのではないかと思えたからだ。
凄い凄いと一つ覚えの様に言いながら、身振り手振りでジャーマンスープレックスの再現をする。

「………えっと……うん!」

だいぶむちゃくちゃだけどこの人多分言っても聞かない人だ。
瞬時にそれを理解して、理解すると同時に七生は細かい事を気にするのは止めた。
本人が大丈夫だって言ってるなら大丈夫だろうし、ダメだとしてもこの人なら何か生き永らえそうな気がする。そう思ったから。

「足が残ってるから大丈夫だよね、多分。
 それにしても、いつも此処であんな事してるの?」

七生は質問を変えた。心配しても、きっと大丈夫だからの一点張りになると思ったから。
自分以外にも転移荒野であんな風に殴り合いしてる人が居ること自体意外だったこともあるし。

ルベール > 「気合だな。
 ……ってのは冗談としても、私はこういうの、気持ちが高まるとパワー出るんだよ。
 やる気が出ねー時はそんなに出ねーけどな。」
 
 ひっひ、と小さく笑って。リラックスしている間はそうでもねーよ、ってその手を見せる。

「あれかー、思ったよりも使えたけど、頭も打つからちゃんとした練習がいるかもなー。
 やってやろーか。 それともやってみるか?」
 
 やると覚えるぞー? なんて言いながら、肘を曲げ伸ばしして様子を見て、おそらく大丈夫なのだろう。視線を相手に向けなおし。
 
「ん? ………そーだな。
 いや、普通のスポーツのが多いけどね。
 スポーツやって、時折戦い方を思い出すためにこうやってここに来るかな。」
 
 緊張感のある勝負が好きだった。
 それに、それだけで生きてきたのだから、その戦いを忘れてしまったらきっと自分でいられない気がして。

東雲七生 > 「気合。やる気。」

凄く抽象的なアドバイスに鸚鵡返ししか出来ない。
いや、何となく意味は伝わる辺り七生も同類なのかもしれない。

「頭が?
 え、でもほら、上手い事相手を支えにしてーとかそんな風に出来たりしない?
 ……いや、やられるのはノーサンキューで!あんなの受けたら俺じゃ一溜りもないし!」

鍛えてはいるけど頑丈ではないのだ、と慌てて首を振る。
自分がやる側にしても流石に此処じゃどうしようもない。危な過ぎる。
練習するなら訓練施設だなー、と独りごちて

「戦い方を、思い出すため。
 ……って事は、割と戦闘のある場所で暮らしてた感じ?
 常世島に来たのは何で?異能が使えるようになったから、とか?」

なるほど、と一つ頷いてから質問を重ねる。
島の外は物騒な地域もあるんだろうか、と思いつつ。

ルベール > 「そだな、数か月みっちり仕込んだらできるだろーけど、普通は無理だな。
 さっきだって、一緒に頭打つつもりで投げたし。
 
 やる時に、自分につっこんでくる痛みを超えるだけの覚悟をするだけの話さ。」
 
 己の頑丈さに自信があるのか、ぴ、っと指を立てて覚悟を口にする。
 コツコツと練習をしないタイプの女は、後頭部をちょっと抑えて自慢げに。
 
「……ん、そうそう。
 あれだよ、戦争中だったところでこっちの世界にぽいっとな。
 なんでって私にも分かんないけど、まあ、帰る手段もいまんとこ分からないから?」
 
 指を軽くこすり合わせれば、炎がめらりとその指から生み出されて。
 こんな感じ、と相手に視線を。 どやぁ……。

東雲七生 > 「数ヶ月……まあ見よう見まねでそう上手くいくようなもんでもないか。
 頭ぶつける覚悟……痛いだけで済むなら、全然良いんだけどさ。
 まずは頭と首を鍛えなきゃ、かぁ。ついでに綺麗にブリッジも出来ないと。」

前屈は幾らでも出来るけど反るとなるとどうだろう。
ブリッジなんて殆どした事が無い七生は首を傾げる。一度横になれば出来るけど、立った状態からなんてちょっとおっかない。
練習で流石に頭を打つ覚悟はしたくないし。

「こっちの世界、って事は異邦人なんだ?
 そっかそっか、帰り方分かんないんじゃ大変だよね。」

合点がいったとばかりに、何度か頷いて。
女性が火を熾すのを見れば、おお、と目が輝く。すっげー!と感嘆して。

ルベール > 「ブリッジなんて簡単だって。
 まず寝転がるだろ? ……んで、両手と両足に力を入れて、こう、ぐっと。」

 ほれ、っとブリッジをしてみる。
 本当に簡単に、当たり前のようにしてしまいながら、両手を離して頭と足だけで止まってみたり。
 
 いえーい、と指でピースサインを作りながらブリッジどや顔。
 服を裂いたせいでしなやかなお腹はまるだしなのだけれど、それでもどやっている。
 
「んー、別に? こっちも楽しいし。
 どんだけ悩んでもしゃーないからね。今が楽しいってのが一番大事。
 こっから先が楽しいのも大事だけどさ。」
 
 ブリッジの姿勢のまま、あっけらかんとした様子。
 寂しいという素振りは全くない女。

東雲七生 > 「いや、寝転がったら出来るけど!
 そーじゃなくて、立った状態から思い切り後ろに反らなきゃいけないじゃん?」

相手を抱えて後ろに叩きつけるんだから、と身振り手振り付きで訂正する。
まあ、最初のうちは寝転がってからブリッジして頭や首を鍛えれば良い訳だけれども。

こちらにドヤ顔を向けて、さらにはピースサインまでしてるのには半ば呆れ顔。
お腹は丸出しだし、下手すればもっと際どい辺りまで見えそうで気が気じゃない。さっき少し見えたけど。

「た、楽しい……か。
 それなら良いんだけどさ、困ってる事も無さそうだし。
 いきなり知らないとこに来て、寂しかったり困ってたりよりは、ずっと良い。」

うんうん、と頷いてにっこりと笑みを浮かべる。
相変わらず目のやり場には困るのだけど。

ルベール > 「…そんなのも簡単だって。」

 ふっふん、と説明を受けてもどや顔は崩さない。
 まあ見てろや少年、とばかりに立ち上がって、いっせーのーで、と思い切り背後に倒れていって。
 まくれ上がりそうになるけど、ずっしりとした質量でシャツはパンパンになっているのでまくれ上がることはなかった。
 
「ふん、っ……!」

 がし、っと地面を掌で掴んで。ついでにごす、っと鈍い音がした。
 
 
「………まあつまるところさ。
 私はこう、気分が昂って居たり緊張していたりするとパワーが上がるわけよ。
 パワーだけじゃなくて、全般的に?
 
 んで、まあ、その全般的に上がるものにはタフネスとかも入ってるわけでさ。」
 
 
 ゆっくりと説明をして。
 崩れ落ちた。
 
「いてー……」

 丁度頭の位置に岩があった。
 その場にぐったりと仰向けになる女。いてえ。目が霞む。
 
 
 岩 〇ー× 紅のルベール
 
  決まり手 そこにいた

東雲七生 > 「簡単って言うけど普通はそんな動きをする事無いからね!?」

日常的にしない動きであれば、行うのにちょっとした勇気はどうしても必要だ。しかもそれが、痛みを伴うのかもしれないなら尚更。
捲れ上がりそうでそうでもないシャツは、安堵半分残念半分の複雑な感情を少年に与えた。際どいラインには変わりないけれど。

「……あ。」

今すごい痛そうな音がした、と思ったが。
特にリアクションが無いので言及は避ける。ゆっくりと説明を聞き届けて。


「……ええと、なんか、その、ごめん。」

やっぱり痛かったんだ、と崩れ落ちた女性へと静かに両手を合わせた。
謝って痛みがどっか行ってくれるなら、それほど楽な事は無いだろうなと自分でも思いつつ。

短い間に女性の勝利と敗北を見届けた七生は、恐る恐る女性に近づいて安否を確認する。

ルベール > 「ばっかやろ、度胸がありゃできるんだから簡単だろ。
 度胸はどーんと詰まってんだよ。」
 
 にひひ、と笑いながら自分の頭を指さす。
 ブリッジ中に思い切り揺れる胸の方ではなく、度胸は頭に詰まっているらしい。
 
 
 
「……べつにいーさ。こんなのしばらくしたら治る治る。
 しばらく動けねーけど。」
 
 いてー、と素直に口にしながら、ごろんと仰向けに横になって。
 別にこの程度で死にゃしねーよ、と口にする。
 
「ダメだな、気合入ってるとこの程度、岩の方が砕けるんだけどさ。
 ……気持ちがこう、緊張したりとかドキドキしたりとか、そーゆー時にゃ強くなるの。」

東雲七生 > 「いや、そりゃそうだろうけど……
 流石に度胸だけじゃ痛いのには耐えらんないし。」

自分はもっと安全な平らな地面で練習しようと、と心に固く誓う。
それよりも大きい割にフリーダムに揺れるのは、まさか下着が……と、余計な考えに至って首を振った。

「丈夫なんだね……腕力だけじゃなくて丈夫さもあるんだ。
 一体何を食べたらそんな風になるのかな。背も高いし。」

羨ましいかも、と苦笑しつつ。
仰向けに寝転んだ女性を見下ろしながら、近くの岩に腰掛ける。

「緊張したり、ドキドキしたり……?
 なるほど、ハイになってる時って事ね。戦闘中とか。」

ドーパミンがだっばだば出てる時なんだろう、七生も少し思い当たる節がある。

ルベール >  下着はつけていなかった。よく見ると先端浮いてるし。
 それに気が付いていないのか、気にすることなく仰向けでごろ寝をする豪快一直線の女。だからどうしたそれが私だ。
 
 でも指摘すると恥ずかしくなるけど。
 
 
「潜在的に私らは魔力が入ってるんだよ。
 私は炎の属性って奴な。
 背はもともと高かったけどなー。ダンクもできるよーになったし。」

 にひひー、っと笑って偉そうに。

「……んでまあ、こっち平和だから、ほっとくと忘れそうなんだよな。
 戦う感覚っていうやつ?」

東雲七生 > 「………。」

まさか、そんな。いやいや気のせい気のせい。下着付けてないなんて訳が無い。
浮いてるのだってきっと小石か何か入ってるだけでしょ、無粋、あまりにも無粋だよ七生。
と、脳内会議は大ブーイングで幕を閉じた。実際のところ確認を取る訳にもいかないので言及も出来ない。

……しない方が得か、とちょっと思わなかった事もないけれど。


「……魔力、ねえ。
 炎の、って事は何種類かあるの?水とか、風とか。
 属性によって体質が違ったりとかもするの?

 ……あ、ダンクなら俺も出来るしっ。」

魔力、と聞いて俄かに眉根を寄せる。
七生には縁のない言葉、だと思っている。何せ魔法が一切使えないのだから。
それでもダンクは関係無いと思う。
ダンクがバスケのダンクシュートの事なら、七生にだって出来る。それに関しては身長はジャンプ力でカバー出来るのだから。

「平和……まあ、確かに平和だもんね。
 だからわざわざ此処まで来て、魔物相手に殴り合い、かあ……。」

ふんふん、と納得いったとばかりに頷いた。
自分も似たようなものだし、十分に理解は出来る。

ルベール > 「あるある。炎のメンバー集めて部隊を作ってさ、私が部隊長だったわけよ。
 まあ、私はあんまそういう柄じゃないんだけどね。
 生まれた時から持ってるもんだから、あんま他の世界の人はわかんねーかもしれないね。
 私は、炎の才能だけは超あるからさ。感覚だけで全部できるって奴?」
 
 ぐったりと仰向けになりながらもどや顔ができる才能も持っている。
 どーよ私すごいだろ(瀕死)


「うっわマジかよ。じゃあもうちょっとがんばらねーとな……」
 
 ダンクできる、と言われれば、ううむ、と唸る。
 相手にすげーって言わせると嬉しい女は、もうちょっと次の「すごいこと」を考えないとな、なんて唸り続けて。
 
「そゆこと。武器を遣ったら私もっと強いぜー?」

 にひ、と笑う。少しずつ血色も戻ってくるようで。

東雲七生 > 「部隊長……
 炎のメンバーかぁ。みんなさっきみたいに火が熾せたりとか?
 生まれた時から火とか雷とか出せるのは、やっぱすげーなあ。
 俺は……うん、魔法とかそういうのからっきしだから。」

横たわったままどや顔出来るのも素直に凄いと思うけれど。
やっぱり炎とか雷とか水とか、見た目派手な能力はもっと凄いし羨ましい。
もし自分にもその才能が有れば、異能の使い道も増えただろうななんて呟いたり。

「俺だって運動神経にはそこそこ自信あるし。
 この辺りにだって、体鍛えに来てるからさ。ふふん。」

自分で言っておきながら張り合う様な言葉におかしくなって笑みがこぼれる。
しかし相手も張り合う気満々のようだから、このままでも良いか、なんて。

「へえ、武器を。
 てっきり素手格闘の方が得意なんだと思ってたけど。」

さっきのプロレスは本気じゃなかったって事か、と驚いて見せる。

ルベール > 「だろー? すげーだろ。いや、私の世界でも出せねー奴は出せねーからな。
 練習もあるけど、私の場合は本当に最初っからな。
 才能? いいだろいいだろ、憧れてもいいんだぜ。
 
 ………あー、なるほど。少年も単なる少年じゃないクチってわけか。」
 
 改めて言いながら、よいしょ、っと身体を起こす。
 相手のことへの理解も早い。早いっていうか、何でもかんでも驚かず受け入れているだけとも言う。
 
「部隊長っつっただろー?
 それが徒手空拳なだけじゃあ、部下を引き連れる時に目立たないわけだ。
 
 見てろよ?」
 
 相手が驚くのを見ると、ちょっとテンションが上がったのか、指をパチンと鳴らすと同時に炎が手に浮かび上がって、周囲を煌々と照らす。
 に、っと唇の端を持ち上げる女は、炎からしゃらりと赤く輝く長剣を取り出して。

「………どうだい。
 紅のルベールって言やあ、大陸で知らない奴はいないってもんさ。」
 
 どうよ、と本日20回目くらいのどや顔。

東雲七生 > 「へえ、出せたり出せなかったりで、おねーさんの場合は生まれつき出せたんだ?
 だったらやっぱり、才能が有ったって事なんだろうなあ。
 ……うん、憧れるよ! すっげーなあ。」

素直に憧憬の眼差しを向ける。
自信過剰の気はあるし、どこか抜けてて危なっかしいけれど、才能があるのは確かなようで。
それに物事に対する適応力も高いらしい、それなら部隊の長を務めるのにも納得出来る。
カリスマめいたものがあるのだろう。

「そう?素手でも強い人はやっぱり目立つと思うけど。」

生憎と、集団で戦闘をする人たちに遭遇したことが無いから何とも言えない。
昔の映画でよく馬に乗って部隊を引き連れる人は、確かに大体何か持ってたけど、と思い返しつつ。

「お、」

燃え盛る炎の中から長剣を取り出したのを見れば。
こちらも今日何度目かに目を丸くして。

「おおおおっ!? すっげー!カッコいいー!!」

派手で格好良くて理想の能力の使い方だ、と目を輝かせる。
きっとこれも魔法だから、自分には出来ないのだと解っていても、それを妬む様なところまで行き着かないのがこの少年だ。

「すっげー!ルベール、ルベールって言うんだ?
 すっげーよ、ルベール!カッコいいなあ!!」

再び語彙蒸発。
凄い凄いと連呼しながら長剣を眺めたりルベールを見上げたりしている。

ルベール > 「だっろー?」

 満足。きらきらぺかぺかと己の周囲を輝かせて、満足度がMAX。
 バカ力と馬鹿タフネスでとりあえず全力で突っ込んでいく担当の「すごい鉄砲玉」だけれど、それは彼女は知らない。
 
「気分が乗ったら強くなる、って言っただろ?
 そのまま戦うより、自分で最強に強くてカッコいい、って思える格好と武器で戦えば、二倍三倍強くなるってわけよ。
 
 
 ………最近戦ってないけどな。」
 
 視線を逸らした。
 黒いレオタード型のバトルスーツで、巨大な斧を振り回して馬を乗りこなすとっても恥ずかしい時代を思い出した。
 あの時が一番火力は出たなあ。
 
 
「へっへー、褒めろ褒めろ。
 しゃーねーなージュースの一本でも奢ってやるよ。」
 
 褒められてにやける女。身体は強くて頭はチョロい。

東雲七生 > 「すっごいよ!ぼあああってなってしゅるる、ってしゃきーんんって!
 俺もそういうの出来たら良いのになあ。」

キラキラと憧れの眼差しを向ける。
そんな彼女が元の世界でどんな姿でどんな戦い方をしていたのかなんて、彼女の口から語られない限りは知る由もない。
ましてや彼女の知らない事なんて言わずもがなだ。

「え?最近戦ってないの?
 えーと……ああ、全力で、って事か。
 この辺の魔物じゃ役不足なのかな……んー。」

ルベールの最大火力見―たーいー、と口を尖らせる。
きっと強くて凄くてカッコいいんだろうな、とハードルを上げつつ。

「え?いいよ、ジュースなんて。おだてた訳じゃないし。
 それよりさ、今度一戦交えてよ。本気で!」

あのパワーとタフネスは自分が越えるべき壁として十二分だ。
憧憬と野心が入り混じった紅い瞳が輝きながら見つめている。

ルベール > 「そーだな、強くて凄くてカッコいいのだけは間違いないさ。
 私は元から強くて凄くてカッコいいからね。」
 
 へっへん、と胸を張って威張りながら、紅の長剣をひらりと振って炎にして消して。


「やめときな。私は加減ができねー。
 そういう不器用な女さ。
 本気でやるとしたら、一面火の海もいいとこだぜ。」
 
 ふん、とカッコつけてみる。実際本当にできないのだから困りものである。
 現在のところ、この場所に来てからそんなに無敗ってわけでもないのだけれど。
 少年がただものではないことは、まあこの場所にいることから理解はしていても、かといって自分の方が強い、と信じる気持ちだけはMAXである。

東雲七生 > 「おお、消せるんだ!?しかも消すときもぼおぁってなる!」

ルベールが胸を張って長剣を消すのにも、歓声を上げる。
しかし長剣が消えた後は、すぐに何やら考え始める。
身長差で目の前に相手の胸が来ることに気付いて目のやり場にも困ったのだろう。若干視線を横に逸らしつつ。

「……ううん、辺り一面火の海か……それは困るな。
 でも演習場なら……」

ぶつぶつと呟きながら、どうにか手合わせ出来ないか思案する。
パワーもタフネスもある炎使い。七生の弱点を多数備えた相手。

「俺が現状からも一つ強くなるには、理想的な相手なんだけど……。
 んー……どうしてもダメ?絶対?鍛えてくれるだけでも良いから!」

最悪データだけ登録して貰ってシミュレーション形式……は駄目だ。現実の人間と再現とではどうしても差異が出る。
諦めきらないと言った様子で食い下がりつつ、じーっとルベールを見つめる。

ルベール > 「私の本気を引き出したいなら、そーだな。
 能力無しの武器無しで私に降参を言わせたらやってやってもいーよ。
 そんなこと言わせたのは、こっちの場所では一人だけだけどな。」
 
 あの拳はマジで硬かった。
 死ぬかと思った。死なないけど。
 
「ただ、加減ができねーのはほんとだから、あーなっても知らねーぞ。
 戦場に出るとかじゃねーなら、ちゃんと教えられる奴についた方が長生きできるってもんだ。
 私が教えてると、モノになる前に死ぬんだよ。」
 
 そんなことをさらっと言う女。
 上半身が突き刺さったゴーレムを指さして、あーなる、と口にする。

東雲七生 > 「能力なしの……武器なし。
 それでルベールを降参させる、かあ……。」

だいぶ無理難題に思える。思えるが……。
それくらい出来なければ、確かに本気を出して貰うのは無理だろう。
更に深く考え込む様になった七生の目は諦めていない。

「死なないし、それくらいじゃなきゃ意味ないよ。
 戦場に出るわけじゃないけど、約束があるんだ。
 誰よりも強くなるって。それこそ、化け物や悪魔や神様なんかよりも、ずっとずっと。」

途方もない目標を口にしながら、焔のように紅い瞳を向ける。
じりじりと己を燃やす様に猛るそれは、自分の生死よりよほど執着しているものである事が覗えるだろう。

ルベール > 「そゆこと。

 あっはは、なぁに、そんだけやる気がありゃいいんじゃない?
 私はいつでも喧嘩は買うし、背後から襲われたって文句は言わない。
 変な話、寝込みを襲われたって襲われる場所で寝てるほーが間抜けなんだしね。」
 
 からからと笑って、相手の言葉を聞く。
 強くなりたい。
 彼女とて、その気持ちが無いわけではない。
 ただ、その気持ちが限りなく強いかと言えば、それはNoだ。
 それしか持っていないから生きるためにそうしてきたまで。
 だから、強くなりたい気持ちを羨むことも、蔑むこともなく。
 
「大ヒントやろっか。

 殺すつもりでこいよ。」
 
 唇を持ち上げて、笑う。

東雲七生 > 「うぅ……」

僅かに、七生の焔が揺らぐ。
確かに殺すつもりで掛からなければ、勝機なんて無いだろう。
しかし現状、殺すつもりで掛かっても難無く往なされてしまうのは火を見るより明らかだ。
何故なら七生は、先刻ルベールが倒したゴーレムよりも、小さく非力で軟い。よほどの策を練らなければ一矢報いることも出来ないだろう。

仮に今、殺す気で襲い掛かったとして───

七生は静かに目を閉じて、そしてまた開く。
その瞳は穏やかな赤色。焔の様な輝きは鳴りを潜めた。
代わりに、暗器の様な鋭さを持った光が僅かに覗く。

「───分かった。
 
 いずれルベールを降参させて、本気で手合わせして貰う。
 絶対に。……絶対にね。」

真っ直ぐにルベールの目を見据えて。
はっきりと荒野中に響くくらいに宣言した。

「だから、頭と肘とその手、治しといてよ。
 『怪我してたから本気出せなかった』とか言われたくないから。」

ルベール > 「私が帰る手段を見つけるまでにできっかね。
 いつでも来いよ。言い訳は一切しない。
 こいつは訓練でも教育でもなんでもない、単なるテストさ。
 
 私なら、今この場で殴りかかるね。」
 
 くっく、と肩を揺らしながら、指で〇を作ってOKを示す。
 にぃ、と唇を歪めて。
 
 
「それに、私はベストコンディションさ。
 ほら、これ。」
 
 ひょい、と真上に投げ上げる一枚のコイン。
 キラキラ輝くそれは、とっても目を引いて。
 
「っ…!」

 声は出さない。
 ノーモーションからのローキックが相手の足を襲う。
 
 相手の力量を図る? それもある。
 相手を威圧する? それもある。
 
 最大の理由は、喧嘩を売られたから買っただけ。
 今この場で本気でやりあうつもりはない。一撃だけのつもり。
 
 本気であることを見せておかねばなるまいよ。

東雲七生 > 「する。
 出来るとか出来ないとかじゃなく、する。してやる。

 今殴りかかって勝てると思えるほどノー天気でもないし、」

それに、と呟くと同時に弾かれたコイン。それを目で追った刹那。
ローキックが自らの足に迫る。出遅れた、と舌打ちする間も無い。
跳び退る余裕はまだギリギリであるが、喧嘩を売った手前、退くのは小さなプライドが拒んだ。

「だからって怖気付いて引き下がるほど臆病でも無いんで。」

一歩、前へと踏み込む。
ローキックが完全に勢いに乗る前に。先に受けてしまおうと。
小さな少年の、それでも人並み外れた脚力を誇る足は岩の様にルベールの蹴りを受け止める。
勢いを殺したとはいえ、痛い。痛いが──痛がってる暇なんて無く。
痛みを覚える前に、互いに肉薄した状態でルベールへと喉輪を繰り出す。

「──名乗り忘れてたんだけど、俺は七生。東雲七生。
 絶対に強くて凄くてカッコいいルベールから本気を引き出して俺も強くて凄くてカッコよくなるんで、よろしく。」

挨拶はこんなもんで良いかな、と視線で尋ねる。

ルベール > 「よっ……」

 反撃は予測していたか、そのまままたブリッジの要領でそれを避け、荒地に手をついて後方に一回転。
 着地をして笑う。
 
「そいつぁムリな相談だ。
 私がすげーのは才能だからな。言いにくいからルビィでいーよ。
 なんて呼べばいーのさ、少年。」

 なんて、ぱちんとウィンク。
 幾度となく激しい動きをしたせいで、額から血はまた流れ出して、なおかつシャツはちょっとふくらみが見える程度にまで捲れ上がっているが、気にすることもなく。

「んじゃあ帰るか。
 なんだ、おねーさんが送ってってやろーか?」

 にひひ、と意地悪な言葉と笑顔。

東雲七生 > 「才能くらい越えらんなきゃ、意味ないんだってば。」

反撃を躱されて、距離が開けば毒づくように呟いて。
一瞬遅れて足の痛みを思い出し、顔を顰めて蹴られた個所を押さえる。

「ナナミ、って呼んで。シノノメ、よりは言いやすいっしょ。
 こっちも、うん。ルビィって呼ばせて貰うね。」

ふぅ、と息を吐いて最初の、年相応の表情になって頷く。
しかし足が痛い。歩けない程じゃないけれど、長距離歩くとなるとうんざりした。

「あー、えーっと……うぅ、悔しいけど肩貸して──」

しゃがみ込んでから、送ろうか、との言葉に顔を上げて。
恥を忍んで肯くも、下から見上げたルビィの状態に、その恥も何処かへ飛んでいく。

ルベール > 「超えるつもりなら超えてみせな。
 この私は相当デカいからさ。」

 ぺろ、っと舌を出して片目を閉じて。
 でかいの意味は身長でもなければそういった即物的なサイズって意味ではない、らしい。

「貸してやるよ、しゃーねえなぁ。
 ま、私がやったことだしな。」

 ほれほれ、と肩を組めば………若干の身長差に顔をしかめて。
 歩きづらい。

「肩車でいいか。」

 と、強引につかみかかる。
 おらっ、のるんだよっ!

東雲七生 > 「お、う、うん。
 それくらいじゃなきゃ、遣り甲斐も無いし……」

意味が違う事は重々承知しつつも、そのでかさは思春期男子には堪えるものがあり。
本人気にしてないし指摘するのも野暮か、などと困惑していれば肩を貸されて身長差と体勢からふよんと当たる。

「あっ、や、ちょ……肩車ってそれは流石に!」

変に激しい抵抗をすれば更に危険が危なくなりかねない。
しかし細やかに抵抗すれば効果も無しであれよあれよという間に肩車されてしまった。

ルベール > 「私を捕まえて遣り甲斐なんて言う奴は……
 この島にゃいっぱいいるか。

 なぁに、町の前で下してやるよ。
 わかってるわかってる、お姉さんそういうとこわかっちゃうからさ。」

 どやぁ………
 年上の貫禄すら見せつけてやりながら、口笛吹き吹き、女は行く。

 当たってたことには気が付いていないがな!

東雲七生 > 「わかってない!それ絶対わかってない人のセリフ!」

そもそも人目が無くてもこの歳で肩車は恥ずかしいものだ。
足元は妙に柔らかいし、異性の頭が股間にあるし。一種の拷問とすら思う。

ドヤ顔すら見る余裕も無く、居心地悪そうにそわそわしながら異邦人街まで担がれていった事だろう。

そわそわする足が捲り上げを更に悪化させたのは別の話──

ご案内:「転移荒野」からルベールさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」から東雲七生さんが去りました。