2016/06/07 のログ
ご案内:「列車内」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > タタン、タタン
列車に揺られる

目的地まではあとふたつほど駅を過ぎる
そんなに長い時間ではない、が…今のこの時間はとても長く感じた

麻袋に包まれた長物をぎゅっと抱えて、ただただ無言に椅子に座る

ご案内:「列車内」に水月エニィさんが現れました。
ご案内:「列車内」に古志野 緋色さんが現れました。
水月エニィ > 「この写真の――知らない――
 名前――高――司って言うんだけど――
 ――が―探――てて――」

 ……同じ車両内にて。
 まばらな社内で、起きている・忙しそうに端末を弄っていない人を見つければ、小さな声で何かを尋ねる少女姿。

 耳が良いのならば・ある程度耳を澄ましていれば、
 それが人を尋ねている事を察する事が出来るだろう。

 ……そうしている間に、少女が凛霞の前へと立つ。
 黒い髪に赤い瞳。装いそのものは少し気崩しているものの上品な少女だ。

「――今、大丈夫かしら。
 この写真の人を探しているのだけど――」

 凛霞 が視線を向けるならば、端末を開いて写真を見せる。
 中には不貞腐れて仕方ないといった風情で写真に写っている少女(司)の姿と、よく似た風貌の少年だ。
 
 

伊都波 凛霞 > 「……え?あ」

考え事をしていて聞いていなかった、という風
でもその写真を見れば、すぐに表情は変わる

「司ちゃんの、知り合い…?」

古志野 緋色 > 「……ん」

隣の車両から移って来てみれば、見知った顔の同僚と、同じクラスの優等生……
以前会った際の口ぶりから、何やら事件に巻き込まれているらしい

話しかけるか、よそうか……
やや難しい顔をしながら、端の席に座った

水月エニィ >  
 望んでいた反応が返ってくれば、大きく頷いてみせた。
 安堵の表情を浮かべている。

「……やっと彼を知っている人を見つけられた。
 全然知っている人が見つからなかったから、ダメかと思ったけれど。
 友達って言う人も全然見つからなくて、落第街まで探しても収穫が無くて……
 ……っと、ええ。大したことではないのだけれど、ちょっと彼女を探しているの。」

 ここ暫くの間、合間を見ては彼女の事を尋ねていた。
 とは言え、見かけた事はある、覚えはある、顔は知ってるまでは帰ってきても、
 ここまで明確に反応を見せたのは彼女が初めてだ。
 逆に聞かれた事は有ったが。

 ……司の現状を知っている風には見えない。

「連絡先とか、知っている?
 ……いえ、私じゃなくて司さんの弟がこの島に来ているの。
 何でもお姉さんが心配みたいで一人で来て、もう一度話がしたいみたいで――ああ、対照的な感じの男の子だったわ。」

 ……古志野の姿には気付いていない。
 今の所は、凛霞に尋ねるだろう。

伊都波 凛霞 > 弟?そんな話は今まで司から聞いたことがない
司の、家族に纏わる話はとにかく暗いものばかりだった、だから

「…私には、ちょっとわかりかねます」

そう答えた
今彼女に起きている状況も、いたずらに広めるべきではないと、そう判断して

古志野 緋色 > 「よう、水月、聞き込みか?」

意を決して片手をあげて話しかける緋色

「……で、伊都波が何か知ってるのか?」

水月エニィ >  
「……そう。」

 大きく息を吐いて、小さく首を振る。
 ……反応と否定のギャップが激しい事は読める。
 故に、"何かを隠している"事は分かる。

 少ない交友関係、フードの男性が探していた事実、やってきた不躾(すなお)な弟。
 推察するには材料が足りないが、まるで人目を避けているようにも思える。
 
 ……いや、思える割りには彼女程の反応を示す人もいる。
 故に思わず目の前で考え込む。

(訳あり? それともただの性格《ぼっち》?
 立ち居振る舞いからしても手札を隠す気質だったけど、どっちとも取れる――うーん。)

 どうにもきな臭い事だけは分かるが考えていても仕方ない。
 今は出来る事をしよう。

「なら、仕様がない、か。友人一人に伝えられただけでも僥倖ね。
        ・・・・・・
 ……一応、私は頼まれたからもうちょっと探し続けることも、伝えておくわ。」

 そう言った所で古志野に気付く。
 そうすれば、振り返る。

「ええ。でも気のせいだったみたい。
 こんにちは。古志野さん。」

伊都波 凛霞 > "頼まれた"

今、確かに彼女はそう言った
まだ不透明なことは多いけど、高峰司の周辺を探る事情と、
それをやっている誰かがいる…?

「…待って、頼まれたって、誰に?
 そもそも、貴女は一体……」

言葉を返して、緋色のほうへと視線を向ける
風紀委員…風紀と公安には、今の状況は話せない事情があった
小さく、首を横に振る

古志野 緋色 > 「そうか……で、何の聞き込みなんだ?
 刑事ドラマじゃあるまいし……」

そして知らないにしろ何か関わりの有りそうな雰囲気を感じ取った

「詳しく言えない事情がありそうだな……席を外すか?」

水月エニィ >  
「いえ、だから弟から頼まれたのよ。ああ、でも……」

 一つ思案する。もう一つを話すか否か。
 別に隠せと言われていないし、むしろ尋ねているならば広めた方が良いだろう。
 少なくとも、そう筋を立てる事は出来る。
 
 ……フードの彼の現状を知っていれば話は別だっただろうか、エニィは何も知らない。
 一昨日ガンショップに出会った時を鑑みるに、フードの彼がきな臭い事は分かるがそれはそれとして置いておく。

「落第街でフードを被った男? 男と言うことにしましょう。
 彼から司さんについて話を聞かれたのよね。頼まれてはいないけれど。
 逆に聞かれるなんて思いもしなくて驚いたから、よく覚えている。彼も素直な人だったわね。」

 古志野には、首を小さく横に振る。

「……ん、多分大丈夫でしょう。
 その辺りの話なら、私もあなたも変わらないわよ。
 それよりどう?女の子に泣かれなくなった?」
 

伊都波 凛霞 > 「……」

フードを被った男
そういえば教室で出会ったあの男子も目深くフードを…
いやなものが、いやな繋がり方をしていく気がする
自分の知らないところで、色んな物が動いている、言いようのない恐怖を感じた

「聞かれて…何を答えたの?」

だから、食いついてしまった

古志野 緋色 > 「怖がられる事は度々だが……
 ま、少しづつだな、目線合わせたりなんだり
 やり方はいくらでもありそうだ」

特別子供好きという訳ではないが、やはり子供に泣かれるというのはキツい

「うおっ……珍しいな、伊都波がそういう反応するのは」

神童とも言われるレベルの優等生が、珍しく感情的に反応している
何か訳ありだろうか

水月エニィ >  
「私は演習施設で1回司君と出会った位だから、第一印象をフードの彼に答えたわ。
 弟が探しているも伝えちゃったわね。お互いに探り合えばきっと楽でしょうから。」

 言葉とは裏腹に少し困ったような苦笑を浮かべ、
 落ち着かないのか左手で首筋を揉む。
 
(って言っても多分、二人とも基本的なこと位は把握しているでしょうね。
 ピンポイントで姉を探り当てる弟の情報網もそうだし、
 フードの彼も裏知り風な調子だったし、ガンショップでは"ああ"だったもの。
 ……二人が何を考えているのかはさっぱりだけど、まぁ、私は悪くないわ。)

 深呼吸一つで当たり前のように落ち着きを取り戻し、手の動きを止める。
 あんまり落ち着かない素振りを見せるのも自分の芸風的に宜しくないと判断した。

「それは良い事ね。少なくとも前よりは元気そうじゃない。
 ……って、貴方たちも知り合い?」

伊都波 凛霞 > 「……そう」

椅子の背もたれへ体を戻す
司は召喚術士として今まで独りで生き抜いてきた
ただの人間に捕まり監禁されるような人間ではないはずだった
フードの男子生徒が一体何者なのか……
どのみち、結構まではもう時間も僅か、出来る手は限られているのだけど

「…え?あ、ちょっと、ね……」

珍しいな、と言われて苦笑いを浮かべ、知り合いという言葉を肯定する
気にかけてくれるのはとてもありがたいことなのだが、
この件に関しては特に風紀や公安の手にかけるわけにはいかなかった

古志野 緋色 > 「クラスメートでな、そうでなくとも、俺たちの学年じゃだいぶ有名だな
 何せ神童クラスの優等生、頭脳明晰、運動神経もいい
 見た目は美少女、おまけに気さくな性格……
 完璧超人なんて言われるくらいだからな」

まるで漫画のキャラクターだが、現実世界に生きる人間だ
ひがんでいる訳ではないが、やはり羨ましくはある

水月エニィ >  
「ええ。……なんだか悪いことをしてしまったわね。
 疲れるような事を話してしまったのは謝るわ。この話題はこれでおしまいにしましょう。」

 小さく頭を下げて見せる。
 ……凛霞の雰囲気から疲れを察して取れば、そうしてみせた。

 古志野の評価を聞けば――

「完璧超人、ね。きっとそれだけの努力を重ねたのでしょうけれど……。
 負け犬なんて名前の異能が付いている私にとっては、聞くだけでも眩しい位に羨ましくなっちゃうかも。
 ……ひがむつもりはないけれど、憧れてしまいそう。」

 そう言って笑ってみせる。恨むようなものはない。
 ……完璧超人と他称される上で驕る事も僻む事もなく、等身大の人間らしく思い考え憂う。
 言葉にはしないものの、その両面性が羨ましく思ったからこその憧れだ。
 

伊都波 凛霞 > 「いいえ、お話してくれてありがとう」
そう言ってふわっとした笑みを向ける

と…突然緋色の言い出すことに少し照れくさそうに

「皆そう言うけど、そこまで大それたものじゃないから」

自分を貶めるような謙遜こそはしないが、さすがに恥ずかしいらしい

古志野 緋色 > 「ま、評価されるだけの事はあると思うぞ? 
 人間には向き不向きがあるって話があるが
 お前の場合はその守備範囲が人よりかなり広かったって事だろ」

同じクラスにいれば、彼女が努力を惜しまない性格であることも分かる

「しかし、何ぞ訳ありを匂わせるな……
 とは言え、風紀委員(俺たち)が関わるのは避けたいんだっけか
 無理やり事情は聞かないが、無理はしないでくれよ?
 クラスメートが不幸な目に会うのを止められなかったとなると寝覚めが悪いしな」

彼自身も軽く心配をしているのだ、表だって口にはしないが

水月エニィ >  
 羨望はある。微かな嫉妬は否定しない。
 それを差し引いても――

 
「……そうね。折角だから自己紹介をさせて貰いましょう。
 私は水月エニィ。最近越してきたばかりの一年生。
 名前ぐらいは憶えてくれると喜ぶけれど。」

 口にはしないが、大それたものでない事には心の中で頷く。
 決して彼女の能力を評価しない訳ではない、が、。

 ただ、先ほどのやり取りで見せた"繊細さ"にちょっと思う所があるだけなのだ。
 それに引っ張られている事は否定はしない。

 ……要するに、御節介を焼きたくなった。
 身も蓋もなく言ってしまえば、そうなる。
 

伊都波 凛霞 > 「エニィちゃん。私は伊都波凛霞です」

年下っぽいけれど、構わずぺこりと頭を下げる

続いた緋色の言葉にはやはり苦笑して…

「それでも神童とか言われるとやっぱり恥ずかしいよ。
 ……そう、聞こえた?
 大丈夫、そんなに大きな話じゃないから、気にしないで」

顔に出ていただろうか、と反省する

古志野 緋色 > 「そういえば人探しか何かっぽいが……
 もしかしたらって事もある、一応俺にも見せてくれないか?」

根はお人よしなため、水月に対してそう申し出る
可能性は限りなく零に近いが、零という訳でもない

「世の中、広いようで狭いからなぁ」

水月エニィ > 「伊都波 凛霞さんね。良い名前じゃない。――ええ、宜しく。」

 口元を緩める。
 堅さを抜くように気を抜いてみせて、応えてみせる。
 見せてくれないか、と尋ねられれば。

「……いい?」

 流石に探し続けるとは言った以上、見せる旨は伝えているし、
 見せる事も出来る。とは言え、一言ぐらいは断っておく。
 建前や理由はともかく、ここは空気に沿っておく。
 

伊都波 凛霞 > 「……ひとつだけ」

いい?と聞かれれば表情を強張らせて

「あの子の家族まわりには、絶対に関わらないであげて欲しいんだ」

言ってしまっては、逆効果なのかもしれない
けれど口に出した以上は、その責任は取ろう

もしあの子が望まないことに踏み込むようなら、
実力行使も厭わない決意を込めた目線を、送る

古志野 緋色 > 「……俺も立場ってモンがあるが
 そう言われるとると、な」

後頭部に手をやり、ガシガシと掻く
考えたり困ったり、何かあるとついやってしまうのだ
(おかげで将来禿げないか戦々恐々である)

「絶対、とは言えない……が、極力努力はする
 とは言え、何か事件があった場合は……やむを得ず関わるかも知れん」

それでもいいなら……と忠告する

伊都波 凛霞 > 「…絶対、を確約できないなら…関わらないで欲しい」

小さく、でも強い声で返答する
風紀にも公安にも立場がある、故にそう出来ないのはわかっていた

だから通報はしないと心に決めたのだから

水月エニィ >  
「欲張りさん。……ダメって事ね。」  

 ……片手で頭を抱えて、大きくため息をつく。
 奇しくも古志野と似た様な動作だが、真っ向から言われればそうする他ない。

「――私の場合、弟から頼まれているんだけど、そう云われると弱るわね。
                     ・・・・・・・
 求められたことと与えられた事は、どうあれ嘘にしたくないのが私のスタンスなのだけど。」

 一息で調子を戻して携帯端末を仕舞い、古志野を横目に見た後凛霞に目を向ける。
 ……先ほどまでとは一転、怖いほどに強い瞳だ。これは確かに神童と言えよう。

「貴方は私たちに何も提示しないけれどそうしたら実力行使も厭わない。そうでなくとも許さないと脅す。
 そこまで睨まれたらそう思う。その上で頼まれごとをやめろと脅していると認識しましょう。
 弱い私は貴方を敵に回して勝てる気もしないから、この場は見せない。選択出来ないからひとまず受け入れる。

 ……後は弟さんとこのことを話して決める。それで良い?秘密にしてと言うなら、貴方の事は伏せるけれど……」

古志野 緋色 > 「そうか、なら止めとくか……ただ、こちらからも一言
 さっきも言ったが無茶はしないでくれ、それに無茶もさせないでくれよ?
 大切な相手なら尚更だ」

自分には入り込む余地のない事らしい

「弟……ねぇ、家庭の事情って奴か?」

どういう事情があれ、人が死んだり傷ついたりするのは避けたい

伊都波 凛霞 > 「……その弟さんって、本当に弟さん?」

最初に聞いた時から湧いた疑問をぶつける

司とはこれまで何度も話をしてきた
その間、彼女から家族関係の話については忌み言葉しか出てきたことがない

その家族が彼女を探している
ただそれだけで、悪いことにしか思えないのだ

水月エニィ >  
「知らないわ。そうかもしれないわね。
 ……司のことを知らないから、あの姉にしてこの弟あり位しか言えない。
 そして貴方の口ぶりからして良い家庭じゃない事ぐらいしか分からない。
 もしかすれば本当に復縁したいのかもしれないし、下心があるのかもわからない。
 貴方が嘘を付いている可能性は捨てておく。」

 二度の深呼吸で意識を整える。
 気を張って、凛霞を見据える。

「……で、どうしましょう。貴方の返答で決まるわ。
 嘘だと思うから弟と手を切ってほしいと言うならば、そうしましょう。」

 改めて提示し直し、問う。
 

伊都波 凛霞 > 「本来は私が口を出すことじゃない、でも…」

今は、高峰司は口を出すこともできない状況だ

「悪戯に関わらず、本人達に任せてあげて欲しいな。
 エニィちゃんが困った人に手を差し伸べてあげたいっていう優しい子なのはすごく伝わるけど、
 確証のないことが多すぎるまま、息巻いて走り回っても…場合によっては迷惑になるよ?
 善意が善意のまま受け入れられる、なんて都合が良いことはないし、……利用されることだってあるから」

辛辣かな、と自分でも思う
でも現実はそうだ
自分の友人が傷つく可能性を捨てきれないなら、
大手を振ってそれを受け入れることはできない

古志野 緋色 > 「弟を騙ってよからぬことを考えているかもしれない、って事か……」

何やら不穏な話である。
思わず眉をひそめ、もともと悪い人相が更に悪くなってしまう。

「もし、そうだとしたら、その探られている相手も何か抱えていそ……
 おっと、余計な詮索は無しだったな」

口出しや詮索ができない以上、あまり込み入った話になることは避けるべきだろう

水月エニィ >  
 ……間を置いてから言葉を吐く。
 周囲に寒気を走らせかねない、悪い霊を寄せるような呪い言だ。

                 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
「迷惑。利用。悪意。――そんな事、最初から知っている。善意で世界は回されない。
 そうであったら良かったけれど、困った人に手を差し伸べるなんて綺麗なものじゃないもの。
 どちらかと言えば復讐、なのかしら。……って、初対面なのにこんなことを言ってしまって、悪いわね。
 悪気はないって事で、どうかこの私を赦してほしいわ。」

 
 大きく、頭を下げる。
 先のものよりも大きい。 


「本当、何言っているのかしらね。私は。……ひとまず、弟に断る事だけを話に行く。
 弟を疑った貴方が本人たちでと掌を返す気持ちも良く分かるからそこには突っ込まない。
 これをダメと言わなければ、妥協してくれたと見做しましょう。」
 

伊都波 凛霞 > 「…エニィちゃん、貴女の行動理念自体を曲げたいわけじゃない。
 私は私の友達に、何かしらの不都合が及ぶのを看過できないだけ。
 ……結果的には、今回は君の行動を阻害することにはなるけれど。
 だからといって迷ったり、遠慮することはしないよ。
 それを許して何かあったら、後悔もするし何より最善を尽くせなかった自分を許せなくなる」

そう告げて、立ち上がる

「善意の先に振り回される人間のことも、ちゃんと考えてあげてね。
 あなた自身のことは…"よくわかった"から」

立ち上がった矢先、電車内にアナウンスが流れる

ほどなくして歓楽街の駅に到着、
じゃあ、また。と声をかけて…
後味の悪い雰囲気を残すままに、開いたドアからホームへと消えていくのだった

ご案内:「列車内」から伊都波 凛霞さんが去りました。
水月エニィ >   
  
「そうね。心に留めておきましょう。
 善意ではないけれど振り回される事には慣れているから、それを無碍には出来ないもの。
 だからこうやって着地点を探っていたつもりだけど、まだまだ練達が足りないみたい……ええ、またね。」

 善意でも、悪意でも、下心でも、打算でも、理由などなくても、
 振り回されるものは振り回される。
 
 その先に斎藤朱莉の『政治思想史』を思い返し――、彼女を見送る。
 見送って……。

「………。
 ……って、私もあの駅で降りなきゃダメじゃない」


  すごく、項垂れた。
 
 

古志野 緋色 > 「……まぁ、考え事とかしているとよく乗り過ごすよな、うん」

どんまい、と肩をポンと叩いた

「ま、次の駅で降りて引き返せばいいだろ」

水月エニィ >  
「そうするわ……」

 深呼吸一つで調子を戻す。

「何だか蚊帳の外にさせて悪かったわね。
 ……はっきり言っておくけど、振り回される先の事なら百戦錬磨だから。
 負け犬を舐めんじゃないわよ。」

 そこだけは譲れないらしい。
 本人もいないのに、ふくれて拗ねた様に言って見せる。
 恨むものはない故に呪いめいたものはないが、個人として気に入らないらしい。
 時折見せる恨み辛みと被っているが、この反骨精神は意地なのだろう。 

古志野 緋色 > 「そうか……
 蚊帳の外、とは言うがな、完全に蚊帳の外ってわけでもねぇんだ」

以前、彼女の言った言葉を反芻する
“伝播する悪意”

真意は測りかねるが、何か良からぬ事が起きた、または現在進行形で起きている事は分かる

水月エニィ >  
「そう。……まぁ、今のあの子はほかっておきましょう。
 経験則で語るけれど、あの手のは少なくとも一度スイッチが入ったら手が付けられないわよ。
 常に入りっぱなしを知っているから。まぁ、……余裕がないから邪魔立てするものを斬り伏せる抜き身ね。
 ……だからこそ、彼女は問題を解決するでしょう。ハルナのように。」
 
 怖がるような口ぶりではあるが、さほど嫌そうなものはない。
 腕を組んで一つため息を付く位だ。 

「……私の事を良く分かったとは言ったけれど、敵意や悪意で色眼鏡が掛かっていないことを祈るばかりね。
 彼女と敵対するのは正直言って怖いもの。」
 

古志野 緋色 > 「ま、敵には回したくないな」

彼女を敵にすれば、いろいろと厄介だろう

「あまり偏見とかは持たないタイプだと思うが……
 確かに、ちょっと様子がおかしかったな、なーにか有りそうなんだよなぁ」

はぁ、とため息をつきながら座席に座る