2015/07/12 のログ
ご案内:「ちはやのゆめのなか」に神宮司ちはやさんが現れました。
神宮司ちはや > (その日は良い夜だった。
 日中はキツイ日差しに照りつけられて蒸し暑かったが
 夜になれば涼しい風が吹き抜けていくぶんかマシになる。
 部屋の窓を開けて網戸にすれば寝るだけには十分だ。
 寮の外で虫が鳴いている。風流。

 ちはやは早寝早起きをするのが習慣だ。
 ごはんもお風呂も勉強も早め早めに済ませるし、勉強もできる所までである。
 長い間祖父と暮らしているといつの間にか老人の一日のリズムに合わせてしまうのだ。

 決して子供だからすぐ眠くなるということではない。
 寝る子は育つらしいがそういうことでもない。

 その日も眠気がちょうど来て、早めにベッドの中に潜り込んだ。
 薄い夏掛けにすやすやと穏やかな寝顔を浮かべている。)

神宮司ちはや > (すると空から一筋の流れ星が落ちてきた。
 常世島で流れ星が観測されるのは珍しいのかどうなのか。
 その光はだんだんと地上に近づいてひときわ強く瞬くと、何故かちはやのいる寮へと向かって落ちてきた。

 ものすごい勢いで突撃してくる星、いや光にそれでもちはやはぐっすりと眠っている。
 そしてついに間近にまで迫ったそれは寮の外の庭に落下した。
 激しい光を撒き散らすも、不思議に落下音も周辺被害も軽い。
 各々の部屋が真っ白な光に曝される。そこでやっとちはやは目を覚まし、寝ぼけた目を擦りながら何が怒っているのか確認するため、窓辺へ寄ってきたのだ。)

神宮司ちはや > なんだろう……?

(ふあ、っとあくびをしながら窓の外を見下ろす。
 網戸越しでは外がどうなっているのかわからないので、恐る恐る網戸も開けて首を伸ばす。

 と、落ちた光が突然浮かび上がり自分の目線の高さを飛び越え部屋にふわりと迷い込んできたのだ。
 これにはさすがにびっくりする。慌てて窓を閉めるも間に合わず、光はふわふわと部屋を漂い最後には床へと降り立った。
 だんだんと輝きは収まり小さくなっていく。その中心にいたのはハムスターによく似た生き物だった。
 かわいらしいそれがちはやの方をくるっと向くと顔を上げた。)

ぽよー!!!君を魔法女装少年に指名するぽよー!!!

神宮司ちはや > …………えっ?まほうじょそうしょうねん?

(謎の生き物に突然言われたこれまた謎の言葉にきょとんと首をかしげる。
 とりあえず落ち着こうと深呼吸。)

ごめんなさい、もう一度お願いします。

「以外に鈍チンぽよね。君を世界平和のために魔法女装少年にしにきたぽよー」

(ハムスター似のその生き物は腕を組んでふんぞり返りながらちはやを見て言った。)

神宮司ちはや > え、


ええええええええええええええええええええええええええええ?!
ぼ、ぼくが魔法女装少年っ?!!!
ってなんで?!なんですかそれ?!!
急に言われてもわけわからないですよ!

(あまりのことに夜だというのに大声を上げてしまった。
 ハムスターは耳を塞いでやり過ごすと、その反応を予想していたようにちはやに語りかける。)

「まぁそういうぽよよね。一から簡単に説明してあげると
 今この常世島は危機に陥っているぽよ。悪い奴らがめっちゃあちこち狙ってるぽよよ。こわいぽよ~。
 だから君が魔法女装少年になってこの島の平和を守って欲しいんだぽよ。
 君にしかできない事だぽよ~。明らかな女装男子ソウルをもつ気にしか、ね。」

(色々はしょりすぎている気がしないでもないがとりあえずそういうことを言いたいらしい。
 人に物を頼むにしては随分偉そうだが。)

神宮司ちはや > そ、そんなこと言われてもぼくなんか弱いし、もっと強い人はいっぱいいるし……
大体女装男子ソウルってなんですか?ぼくは別に女の子の衣装着たいわけじゃないですし
もっと似合う人って結構この学校居ると思うんですけど……

(そこはかとなく矛先をずらす。そうだ、女装男子ならトリクシーくんがいる。
 それに単純な戦闘力ならもっと強い男の人はたくさんいるわけだしどうみてもちはやは不適当だ。
 自分が悪と戦うなんてどう考えても出きっこない。
 そう言うと、ハムスターは小さな指をたててチッチッチッと振った。)

「わかってないぽよね。危機を救うにはただ単純に火力があれば良いというわけじゃないぽよ。
 皆の心を明るくしたり希望を灯したりすることもまた、平和につながるんだぽよ。
 そしてそれは性別の壁を越え、現実には起こりえないことをたやすく起こすという希望の存在
 そう、『魔法女装少年』にしか出来ないんだぽよ!

 理屈はいいぽよ!なって欲しいんだぽよ!はやく!さぁはやく!」

(ちはやの身体に飛びつくとこれでもかとぐいぐい押してくる。うっとおしい。)

ご案内:「ちはやのゆめのなか」にアルヴァーンさんが現れました。
アルヴァーン > 先ほどまでは星が綺麗に見えていた夜空に、雷鳴がとどろき始める。
「なるほど……私達の追撃から逃れるとともに新たな魔法女装少年のソウルを見出すとは…だが、悪運もこれまでです」

窓の外に、大きな白い犬が浮かび、ちはやたちの部屋を見下している。
その傍らに居るのは…

神宮司ちはや > や、やだよぉ!ぼくが巫女の衣装着ているのは神事だから仕方なくだし
おじいちゃんが言うには古来異性装をすることで力を引き出した英雄がいるからとかなんとかって……と、とにかく無理です!
お引き取り下さい!!!

(ハムスターを引き剥がそうと必死になるがこいつすばしっこい。
 体の周りをちょこちょこと移動して捕まる様子がない、が!
 突然部屋の外に轟いた雷鳴とともに浮かび上がったシルエットを受け、ハムスターが震え上がった!)

「こ、これは!悪の魔法女装少年のソウルを感じるぽよ!
 くっ、ぽよを追ってきたぽよね!?ここまでぽよか……!!」

(悔しそうに歯噛みする。ハムスターの視線の先をつられてちはやも見やる。
 そこにいたのは……?)

アルヴァーン > 大きめの生成りの貫頭衣は腰で一度締められ、人工的にくびれが作られている。
その色を補うかのごとく、頭の天辺から腰辺りまで有るような七色のヴェールを身にまとい、ちらりと見えるのは口元のみ。
その紅を纏った口元が艶然と微笑む。

「ふふ、あの程度の女装男子ソウルで起死回生を図るつもりとは…」
頭を振るたびに虹色の残像が残り、見るものの目を離さない。
「アルヴァーン様、どうかこのリグナツァにお任せを。あの醜いげっ歯類を回し車の中に入れて、目の前の女装少年に触れようと一生走り続けるようにしてやりましょう」
「さ、まずは変身もできていない少年の方から…」
ヴェールと共に指差すのは……もちろん、ちはや。

神宮司ちはや > 「お前は、リグナツァ!!ああなんてことだぽよ……悪の手先と成り果ててしまうとは……。
 時間がないぽよ!早く変身するぽよ!!
 じゃなきゃ君が危ないぽよっ!」

(醜いげっ歯類は大慌てで何処かから光り輝くコンパクトを取り出しちはやに渡す。
 あまりのことにちはやは受け取ってしまうがどうすればいいのかわからない。)

ちょ、ちょっと待って下さい!ぼくはなんの関係もない一般学生です!
話しあえばわかります!だからおに、……お兄さん?お姉さん?
とにかくリグナツァさんもアルヴァーンさんも話を聞いて下さい!!

(とりあえず必死に和睦を試みた。)

アルヴァーン > 「げっ歯類ごときがこのリグナツァの名前を呼ぶな…!」
激しい怒りが空を震わせ、雷鳴が更に激しく、その数を増す!
だが空には雲ひとつ無く、今宵の月は狂ったように世界をただ見つめるのみ!
「ククク……落ち着きなさいリグナツァ、下等生命の言葉に気を取られてはいけません。
所詮奴は頬袋に知恵の代わりにひまわりを貯めこむような生物ですよ…
ほらご覧なさい、あの少年ではコンパクトの使い方さえ知らないでしょう、豚に真珠、いえハムスターにコンパクトというべきでしょうか!」

「あまりにも惨めですから、さっさとその女装生命を絶ってあげる。
何の関係もない?一般の学生?
いいえ、お前は事の重大さを分かっていないだけ、この島の学生には既に適性が…」
ちはやに嗜虐心を煽られたか、無用な発言をしたリグナツァのヴェールの下の顔が苦痛に呻く!頬は紅潮し、息は荒く、立っていられないのか空中に座り込んだ!
「く、くぅ…っ!」
「しゃべりすぎですよリグナツァ…私とて、しつけのためとはいえあなたに埋め込んだこの装置を起動するのは忍びないのです」

だが、この決定的な隙がちはやに変身のチャンスを与えていた…
与えていたのだ………!!

神宮司ちはや > 「!? り、リグナツァ!
 とにかく今だぽよ!少年、今こそ変身の時ぽよ!
 そのコンパクトを掲げ『トランスパワー・メイクアップ』と叫ぶんだぽよ!」

(唐突に苦しみだした相手を一瞥して、げっ歯類がちはやの手に持たせたコンパクトを空に向けさせる。)

ちょ、ちょっと待って!ぼくはまだなるって言ったわけじゃ……っ
アアーッ!『と、トランスパワー・メイクアップ』!!?

(なぜか思わず口走ってしまった変身の呪文とともにコンパクトから光が溢れ、
 ちはやの前進を包み込んでゆく。アニメのバンクシーンよろしくくるくると回転しながらその四肢に光り輝く衣装がまとわれる。

 腕には長い袖、足を包むのは短く紅い袴、長い髪はツインテールにされ、なんだか可愛い赤いリボンで結われている。
 全体のディティールは巫女服だが要所要所は可愛くアレンジ。
 そしていつの間にか舞で使う大事な扇子が右手に握られている。

 変 身 完 了 ☆

 ちはやは魔法女装少年になってしまった!)

な、なに……ってうわああああああああああ?!!
やだ、この袴短すぎるよぉ……!!!こんな姿見せられないよぉ!!

(半泣きになりながら思わずその場にへたり込む。)

アルヴァーン > 「こ、この力は……馬鹿な、先ほどの変身前にはこれほどのソウルは持っていなかったはず!まさか!まさかまさかまさかまさか!」

犬が吠え狂うようにしてちはやの変身を見つめ続ける。
いや、だがそれもやっとのことだ。コンパクトから溢れる光は質量を持つかのごとく有るヴァーンとリグナツァを圧す!
アルヴァーンは中空に爪を立て、リグナツァはヴェールが飛ばぬよう片手で抑えながらアルヴァーンにしがみつく!

「まさか貴様!見つけたというのか!あのお方の(雷鳴が鳴り聞き取れない)を!」
先ほどまでの気取った口調をかなぐり捨て、嫉妬もあらわに白い大型犬は吠えに吠える!
「その大きな袖からちょっとだけ覗く指先!大きくあらわになった脚は健康的だというのにどこまでも蠱惑的だ!そしてついに姿を表したうなじの芳しい香りは窓ガラス越しだというのにここまで香らんばかり!」
「ああ間違いない!何たることだ…!」
泡をふき、時折痙攣するようにしながら決して大型犬はちはやから目を離さない!
いや、むしろ弱ったふりをして高度を下げている!

「いや、だが、しかし……
ええい…やれ!リグナツァ!だが奴はまだ変身したばかり、あれほどのソウルを持つものであれば捕らえて洗脳して我々の戦士にしてやればよい!」
そう……貴様のようにな!
内心で吐き捨てるアルヴァーンの隣で、ゆらりとリグナツァは立ち上がった!

「こんな姿見せられない…?だったら!これからもっと恥ずかしい姿にしてあげようじゃないか!」
手を差し伸ばせば、ヴェールがちはやと屋外とを隔てていた窓をぶち破り、
ちはやの四肢に絡み付こうとするだろう!
もしも絡みつけば当然!空中に吊り上げだ!

神宮司ちはや > 「ふふ、さすがの貴様もこれには驚きを隠せないようぽよな、アルヴァーン!
 そうぽよ、これがぽよが探しだしたあのお方の(雷鳴で聞き取れない)だぽよ!
 さぁ少年!やるんだぽよ!戦わねばこのピンチは切り抜けられないぽよ!」

(ちはやの肩に乗ったハムスターはびしっと指を突きつけて大型犬とリグナツァに啖呵を切った!
 が、ちはやはもはや戦意喪失状態である。ぶるぶると相手の脅威に恐れをなしその場に座り込むばかりである。
 
 相手のヴェールが襲いかかってきても当然そんな俊敏には動けない。
 ガラスが割れた窓から庇うように頭を抱えると、あっさりとヴェールに捕まった。肩からげっ歯類が転がり落ちて床にたたきつけられる。)

わ、わああああああああ!待ってまって!!
やめて下さい!話せばわかります!ぼくは……ってわあああああ!
ちょ、ちょっと袴から見えちゃうううう!

(必死に身を捩り、手で前の袴を押さえつけて誰にも見えないようにガードしている。
 正直みっともない。)

アルヴァーン > 「貴様の鼻など、せいぜいひくつかせるだけひくつかせてもおがくずの中のひまわりを見つけられぬような低性能品!」
「それが、それがこの私が見つけられなかったあのお方を探し当てるだと……ッ!」
既にアルヴァーンの高度は下がりきり、地表にその身を伏せさせ、ただちはやのことを見上げることしか出来ない。
これはあくまでも強大なソウルに対する体の自然な反応であり、アルヴァーンに他意は一切ない!

「ふ、ふふ、大見得を切るかと思えば…やはり戦うことは知らない素人」
リグナツァはヴェールを操るとちはやを自分の目の前へと移動させる。吐息がかかるほど近く、ヴェールの下の樺色の瞳がちはやの瞳を覗きこむ!
七色のヴェールはそれぞれがちはやの四肢へと絡みついて自由を奪おうとしている…
「それとも、何なら知っているの?話して…教えてくれるんでしょう?わからせてくれるんでしょう?」
つつつ、っとリグナツァの指先がちはやの太ももをなぞりあげると、袴を押さえつける指に触れた!
「この頑なな手みたいに、何も話してくれないなら……もう少し解きほぐして上げた方がいい?」
意外と強い力がちはやの指を一本一本とはがそうとする!体格差は歴然だ!

もはやちはやには眠る力を開放する以外にこの辱めを逃れる方法はないというのか…!?
いや、むしろこの辱めこそが魔法女装少年の力の源だとでも言うのか……!

神宮司ちはや > 「くっ言うことに事欠いて低性能品とはなんだぽよ!この駄犬!
 貴様はそうやって女装少年の股ぐらに鼻先を突っ込みたい欲が体中から滲み出すしか能がないではないぽよかー!!」

(ちはやの部屋からげっ歯類がちーちー叫ぶ。
 そうこうしている間にちはやは宙に釣り上げられた。ちはやの一本釣りだ。)

や、やめて下さい!何も知らないですし、分からせるつもりもありません!
だから下ろして!あ、ちょっと!だめっ変な所触らないで!
ひ、ひいいいくすぐったい!!

(必死にリグナツァが自分の指を引き剥がそうとしてくるのに抵抗し、いやだいやだくすぐったいと身を捩る。
 恥ずかしさと屈辱がマックスハートに達したその時、ちはやに不思議なことが起こった――!

 ひときわ全身に強い光が輝き始めると四肢を縛り付けるヴェールを追い払い、リグナツァを突き飛ばそうとして宙に落ちる。
 だが外の大地に柔らかく着地すると、ちはや自身も信じられないように自身の両手を見た。)

こ、これが、ぼくの力……?!魔法女装少年の、力……!

「今だぽよ!パワーを扇子に!」

(小汚いげっ歯類が叫ぶ。何故かいいですとも!と応じなければならない気がちはやの中で起こった。)

わ、わかった。やってみるよ!

(右手に握った扇を広げ、まるで前から知っているようにポーズを取る。
 くるくるとその場で舞い始めると桜吹雪が沸き起こる。
 それが竜巻のように光と絡み合い強く立ち上った!)

『チェリーブロッサム・ハートバイブレーション』
え、えーい!!

(何故か技名も知っている。桜吹雪と光の嵐をリグナツァとアルヴァーンへ吹き付けるように扇を扇いだ。)