2016/08/19 のログ
ご案内:「実習区内演習場」にコゼットさんが現れました。
コゼット > 「───…、ふぅ」

演習場にある訓練所の一室。
的となる物体が定期的に現れ、その後に響く爆発と破砕音が続く。
やがてそれも鳴り止むと、端末の前にその結果が表示される。

魔術による射撃訓練は教師生活に入ってからは定期的に続けている。
学園も夏休みに入っていつもの忙しさは減ったが、訓練はもやは日課のようなもので身に付いてしまった。
お陰で衰える事は無いのだけれど。表示されているデータもいつもと誤差レベルだ。

頬を流れる汗を拭い、水筒を手に取り水分補給をする。
いつもと変わらない制服の方が気が引き締まるのだが、今日はいつにも増して暑い…やはり動き易い方にしておくべきだったか。

ご案内:「実習区内演習場」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
中から爆発音が響く。
誰か先客が居たか、と少しだけ考えながら踏み込んでいく。

と、見知った教師の後ろ姿。

「コゼット先生」

声をかけながら中に入る。
近付きながら、手にした鞄を少し離れたところに放り投げておいた。

コゼット > 「あら」

声の方を向くと一人、こちらを見ている姿。
よく見ればこの間職員室に相談に来た生徒だ。彼がここに居るという事は訓練をしに来たという事だろうか?
休みだというにの中々熱心な生徒である。

「こんにちわ、寄月君。貴方も訓練しに?私、今終わった所だから良かったら使ってどうぞ?」

寄月 秋輝 >  
「こんにちは。
 あぁいえ、お気になさらず」

そう急ぐものでもない。
何より、人が居てはやりにくい訓練でもある。

「……そうだ、お会い出来たらと思っていたんですが……
 以前お預けした資料、そろそろ一度回収させていただいてよろしいでしょうか。
 いくつか加筆すべき点も出来たので……」

申し訳なさそうに囁く。
急かすようで、少し言葉を出しにくそうだ。

コゼット > 「あっ、そうそう!読ませて貰ってるうちに夏休みに入っちゃったものだから」

そういえばと思い出し、駆け足で自身の手提げ鞄へと。
いつか会ったら返せると思い忍ばせておいていたのだ。決して返却を忘れていた訳ではない。
ごそごそと取り出したのは彼がまとめ記述した資料の束。受け取った時そのままに、綺麗に揃った状態でファイルに収まっている。

「良かった返却出来て、遅くなってごめんなさいね。あまり添削する所もない位にとても良く書けてたと思う」

寄月 秋輝 >  
「また大分綺麗に保管していただけて……
 ありがとうございます」

ぺこりと礼を一つ。
時間がかかってもかまわないと言ったのは自分なのだ、帰って来なかった事に何か言うつもりはない。

「ではこれをベースに講義を作ってよさそうですね。
 先生からのお墨付きがあれば問題ないでしょう。
 本当にありがとうございます」

微笑んでもう一度礼をする。
自分では問題ないと思っていても、やはり教師たる人間からの評価が得られると安心感が違う。

コゼット > 「こちらこそ、いい物を見させて貰ったわ。ちゃんと返す日を決めて置けば良かったわね…」

少し言葉に甘えて楽観的に動いていただろうか。
あまり生徒に気を使わせるのも悪い、次はしっかりと気をつけなければ

「ええ、それでいいんじゃないかしら。その分なら次も期待出来そうね。
 …所で、ここに来たという事は魔術訓練をしに来たのかしら?誰かのを見に来た…という訳では無さそうだけど」

彼の服装を見ればこう、誰かと試合をするかのようなしっかりとしたもののような雰囲気を感じる。
それにここでは魔術以外にも様々な訓練をする者が居る。…いや、もしかしたらそうゆう人達の姿を見て参考にしようとしているのかもしれないが。

寄月 秋輝 >  
「いえ、本当に気にしないでください。
 評価がいただけてありがたいです」

このままでは謝罪合戦になってしまう。
ここらで切り上げよう、と心に誓った。

「一応訓練のつもりでしたが……
 せっかくですから、少しコゼット先生のお話を聞かせていただいてよろしいでしょうか。
 クールダウンの間だけでも構いませんので。
 何故ここで教師をしているのか、とか一度聞いてみたくて……」

コゼット > 何故教師になったか。聞かれる事はそう珍しい事ではない質問だ。

「ええ、勿論。
 ──私が教師になったのは恩師の影響…かな。
 その人も素晴らしい教師で、でも何が凄いかって聞かれると特別何かに秀でた訳では無かったんだけど、でも私は勿論周りの生徒にも慕われてたし授業は判り易かったし。
 人に物を教えるっていうのはあの時にしてみたら凄く難しいと思って、確かに教師を目指して勉強してる時は本当に大変だった。
 でもこうして教師をしてると…あの人もこうゆう気持ちで教師をしてたのかなって思う」

顎に指を当て、自分が生徒側だった頃の事を思い出しながらそう語った。

寄月 秋輝 >  
「なるほど、恩師の……
 同じ立場になってその人の素晴らしさが、その人の歩んできた道の険しさがわかるというのは、確かにあるのかもしれませんね……」

同じ道へと行こうとしている自分も、そこに重ねる。
それは確かに険しい道のりでもある。
前提となる知識があってもなお、難しいものは難しい。

「では、何故この学園で?
 ……僕はこの世界に来て、少し警戒しながらもまずは生徒としてこの世界を学ぶことから始めました。
 コゼット先生は……何故この学園で、魔術の教師をしようと思ったのでしょう」

少しだけ細めた目で、コゼットを見つめる。

コゼット > 「常世学園が選ばれたのは上からの要請でね。
 そこに意図があったかは判らないけど。…でも外の世界に教師として派遣されるっていうのは珍しい話じゃないし、私は念願の教師になれるって事で結構舞い上がってたから。
 それはもうほぼ勉強漬けの毎日だったものでね…」

当時の苦労が最近の事のように思い浮かんでくる。
暇さえあれば魔術に関して本を読み漁り、机に向かっていた記憶しかないけれど。

寄月 秋輝 >  
「あぁ、先生ご自身が選んだわけではないのですか……
 何か思い入れがあってのものかと」

上からの要請に従ってのものだとは思わなかった。
それでも充実したように見えるのは、この人が本当に教師になりたいと願っていたからなのだろうか。

「では、そもそも魔術師になられたのは……魔術資質があったからですか?
 外の世界ということは、先日仰られた通り先生も異邦人のようですが……」

先日の会話を思い出す。
異邦人だと言った自分に対し、彼女は『似たようなものだから』と言っていた。

コゼット > 「うん。教師として働けるなら割と何処でも…拘りはなかった。
 ただ…この常世学園っていうのは私の通ってた所と比べると、人種も能力も本当に様々で
 そうゆう人達を見るのは面白い反面緊張する事も結構あったわ。
 幸い、生徒の皆は熱心に勉強してくれて助かってる。勿論貴方も含めて、ね

 魔術師になったのは…私の街が"そうゆう所"だったから、かな。
 資質は…向こうからすれば平凡より良いって程度。
 誰もが魔術師を目指す。一応私の世界ではそれなりに有名ではあったからね。
 私も例外じゃなくて、自分からやりたいと思って魔術師を目指して努力した。
 教師という目標が付いたのはその途中ね」

寄月 秋輝 >  
静かに聞いている。
話の合間、共感を示すように時折頷いて。

そういう所、という単語に動きを止める。
それは戦場に近い、という意味だろうか。
それとも魔術師を目指す環境が十分に整っていた、という意味だろうか。

「では、魔術師を目指して……
 その最中、その恩師さんに出会って……ということでしょうか。
 魔術師と言っても、多くの術の使い道がありますが……
 それでも先生にとっては、教師の道だったんですね」

目を細めた。
なんとも、眩しい。

コゼット > 「そうゆう事。
 魔術師になるって言っても、その街を守る為に従事したりとかはたまた世の魔術師需要──冒険者のサポートをする為に派遣されたりとかもするし。
 もし教師を目指してなかったらそのまま前者で街に暮らしてたかも」

そうだとしたらそれはそれで充実した毎日だったかもしれない。
勿論、今の生活の方が数段良いと自分は思っているのだけど。

寄月 秋輝 >  
元居た世界の『魔法使い』とはまたかなり扱いが違うようだ。
やはり世界が変わると法則も変わる、法則が変われば扱いが変わる。
『魔法使い』が傭兵に近い仕事をするなど、秋輝の感覚では言語道断である。
無論、違う世界のことに口出しするほど理解が無いわけではない。

「……僕は、先生がこちらに来ていてよかったと思います。
 先生からもらえた自信は、他では得られないものでしょうから。
 僕にとっては、コゼット先生が恩師になるでしょうね」

微笑んで、そう囁いた。
何の気なしに。

コゼット > 「ふふ、そう言って貰えるように私ももっと努力しないと。
 教師になったらが終わりじゃないからね。むしろ、教師になってからが本当に大変。
 とても遣り甲斐はあるけどね」

コゼットも微笑んで返した。
自分が恩師になる──あまり意識した事はなかったけど。
私がそうだったように、教えた生徒が皆そう思ってくれるのなら、教師としてこの上ない幸せに違いない。

寄月 秋輝 >  
「その通りですね。
 僕もそうして頑張らなければいけません。
 コゼット先生ほど上手く出来るかは怪しいところですが」

授業を流す程度にしか受けていない秋輝にとって、明確に教師として接してくれたのはコゼットくらいのものだ。
元の世界で教えてくれた相手に関しては、上司や教官と言った立場の者が多かったのもある。
自分のために立ってくれる師が、秋輝にとってはあまりに優しく感じられた。

「……お話、聞かせてくれてありがとうございます」

心からの礼を述べて。
魔力を高め、増幅していく。

「お話の礼というと何ですが……
 少しだけ、魔術を見ていただけるとありがたいです」

多くの理論は彼女には読んでもらえた。
あとは実践、その質を確かめてもらおう。

ご案内:「実習区内演習場」からコゼットさんが去りました。
ご案内:「実習区内演習場」にコゼットさんが現れました。
コゼット > 「うーん、そこは…私じゃなくて、自分自身が行ける所まで行く…というのはどうかしら。
 貴方はまだまだ伸びると思うし、それに私では行使出来ない力もあるかもしれない。
 今はまだそうじゃなくても、こうして努力し続けていればきっと結果はついてくるものだと思う。

 いえいえ、こうゆう話で良ければ。どうして教師になったのかは、他の先生方にも聞かれるし」

その言葉は話していたコゼットの表情を見ていれば偽りはないものだと確信出来ただろう。
教師というのが今の彼女にとって天職であるにはきっと違いない。

「ええ、良ければ是非。
 生徒達の魔術を見るのも、結構楽しいものだし」

寄月 秋輝 >  
「それもいいかもしれませんね……
 と言っても、自分の教師としての道より、この世界での『自衛』に関してレベルが低いと思ってのことなので……
 先生とはおそらく、別の道になるでしょうね」

苦笑しながら言い放つ。
自分にはそんな情熱が薄いのが、少しだけ後ろめたかった。

刀を手にし、杖のようにぐるぐると手の中で回す。
そのルーティンで、魔力の指向性を変えて。

キン、と鋭い音と共に、秋輝の足元に魔法陣が生まれる。
それが収束すると同時に、周囲を覆うドーム状に防御結界が展開された。

「元の世界で扱われた防御術ですが、大別して四種類と二パターン、計八つの術が存在します。
 その中で最も手軽な、この全方位を覆うフィールド防御。
 生徒に習得させる、最低限の自衛魔術択として、真っ先にこれを考えていました」

簡単な解説込みだが、おそらく先日の資料に書かれていたものと同じだろう。
十分に知識と、書きだした情報が一致している。

コゼット > なるほど。

やはり資料で見るのと実際に見るのとでは判り易さはまるで違うもので。
魔術師とはいえ攻撃に一切を注げる展開もそうはない、時には身を守る術を習得する事も大切だ。
この防御魔術も、行使はそれ程難しくもないように見える。

秋輝の説明に小さく頷きながらそれを見届ける。
返事をせず声を掛けないのは、それによって集中力が散漫しないよう注意している為だ。

寄月 秋輝 >  
次にその結界を消失させ、右手を正面にかざす。
その手の前に、正三角形の盾が出現する。

「これが特定方向に対して、さらに強固にしたシールド防御。
 来る方向が分かっていれば、強度は高く消費魔力は少なめです」

盾を消し、今度は全身にオーラのように魔力フィールドを纏う。
ぴったり体にフィットし、魔術を視る性質があってもうっすらとしか見えないだろうか。

「これはまだ元の世界では普及していませんでしたが、オーラ防御と呼んでいました。
 極小の魔力で済みますが、防御性能はかなり低いです。
 もっぱら、毒や魔術性のガス、高温低温等に対する防御ですね」

最後に、演習場全体を覆うような、非常に簡単な結界を展開する。
これはコゼットにもわかりやすいかもしれない。

「……で、最後に典型的な結界防御ですね。
 フィールド防御とは別扱いされるように、範囲の違いは別の魔術として扱っています」

と、全ての術を終えて、魔力を落とした。
いかがでしょう、と先生を見てみる。

コゼット > 「──うん」

一通りの術の行使を終えたのだろう、こちらを見た時初めて声を出して返事をした。
どれも用途としては申し分ないし、最後を除けば比較的容易な部類だろう。

「ええ、悪くないと思う。
 ……所で貴方はさっきも言っていたけれど、魔術の中でも『防御』に特化する技術を教える人になりたい…って事であってる?」

寄月 秋輝 >  
「概ねその通りです。
 この世界を嘱託風紀委員としても見て回りましたが……
 どうにも自衛……こと防御手段に関して、ここの住民は乏しいと思ったので」

小さく頷き、刀を腰の帯に通す。
あとは質疑応答の時間だろう。

コゼット > 寄月の返答に再度頷いた。
生徒としては勿論教師の教え通りになる必要は全く無い。
目的があってその為に技術を高め、そしてそれを伝えていく。
別の道とはいえ、そこに自分との違いはあまりないように思えた。

「あまり特筆する所はない──というのも、この間の資料もそうだけど兎に角的確なのよね。
 術の行使にも問題は見られないし、強いていうならばその技術をどうやって人に伝えていくか…って所かしら
 自分のやる感覚を人に教えるのって、出来る人は直感でなんとかしちゃうけれど中にはそうでない人もいるし、実はよく難しいから」

寄月 秋輝 >  
「それに関しては理解しているつもりです」

的確、かつ直感的。
魔術とは学問であり、伝えようと細分化すれば、どこまででも細かく出来てしまう。

「ですので、最初の数年はその感覚、直感で理解出来る生徒……
 1年あたりで魔術基礎理論を履修した生徒を対象に講義をしようと思っています」

ある意味では、理解し切れていない者を切り捨てるということでもある。
それに関して、目を伏せた。

「細かい理論に関しては別の先生が行っていることと……
 その先生の講義を受けて、もっと直感的に理解出来る講義が欲しい、という女子の声も聴いたので……
 住民の防御手段が乏しいと言いながら、明らかに切り捨てる方向の考え方なので、本当はよくないのでしょうが」

その両立が難しいものだ。
とはいえ、担当ごとに形式を分けることもまた道理だと思っている。
それが秋輝の講義を開く対象に関しての考えだった。

コゼット > 魔術師が弟子に術を教える際に条件を付ける事はそう珍しい事ではなく、注文が多くその段階で躓く者も中にはいる。
それが本当に能力を選別しているのか、はたまたただのへそ曲がりかはこれまた分かれる所なのだが、少なくとも彼は良い意味での条件だろう。

「…教える側が迷ってしまっては元も子もないから、それも一つの手段ではあると思うけれど。
 防御…というより自衛手段を求めるというなら、何もこの方法しかない訳ではないのだし
 それこそ武器を手に取るか、または違う形の術を習得する──この島には魔術以外にも様々な技術があるのだしね」

寄月 秋輝 >  
「それもそうなのですが……その自衛というのに、武器を振るう、攻撃を行うことが多く見受けられます」

その方法だけではない。それは理解している。

「ただ異能をはじめ、この世界には力が溢れている。
 力に対して同じように攻撃の力を振るっては、それは激化する恐れもある。
 なので自衛手段……広く言うならば、自分をそれ以上の争いに流させないための手段としての防御術ですね。
 ……そういう手段、ということで考えています」

力に力、暴力に暴力では争いもいさかいも絶えることはない。
それを身に染みて理解しているからこその、防御術の指導である。

コゼット > 「私が言いたいのは、向こうにも選ぶ権利がある…という事よ。
 魔術に至っても攻撃が最大の防御と取る人もいる。
 それにもし相手が自身に対して明確に攻撃してくるのであれば、それに対して抵抗しなければ活路は見出せない。
 私なら防御した上で霍乱して逃げる…とかは考えるけども、それも状況次第。

 無論、それら全てを教える必要はないの。貴方は貴方の思う通り、その防御魔術を教えれば良い。
 貴方のそれは、あくまで教わる側の手段の一つよ。
 それに、伝授された側がこれさえあれば大丈夫と思うのは良くないし、考える事をやめるのは魔術師としては死にも値する。
 結局は、使い手がどうするか…だと私は考えるわ」

確かにこの島では度々争いが起こるし、それが人ならざる者が起こしている事もある。
そういった場合、守るだけではほぼ解決にはならない。…それは、自分の身にも既に降りかかっているからこそ。

寄月 秋輝 >  
「その通りだと僕も思います」

首肯する。
抗わなければならない場面も多い。
防御だけあれば安心、ということはありえない。
だが。

「それでも僕は、防御の術に絞って教えていきます。
 それを必要かどうか判断するのは、それこそ使い手の判断です。
 少なくとも、攻撃魔術や……制御に失敗したら即、死につながるような飛行魔術。
 それらを教えられるほど、僕には人を見る目に自信がありません。
 ですから、少なくとも……最低限の身を守る手段。
 そして争いを増やさないための選択肢の一つとして、これを教えていきます」

一つの決意でもあった。
戦うのは自分の代だけで終わらせたい、と。
無論それがかなうはずのない願いであることも、理解した上で。

コゼット > 「それでいいのよ。自分がやりたいと思う明確な目標があれば最低限のモチベーションは保てるでしょう。
 ただ、学生であるうちは学ぶ側である事も忘れないように。
 …まぁ、生徒を守るのは教師である私の仕事でもあるのだけれど」

少し、熱くなってしまっただろうか。
ふぅ、と深く息を吐き整えると鞄を肩に下げ、帽子の鍔を摘んで被り直す。

「焦らない事よ、何事もね。
 ──私はそろそろ学園に戻るわね、夏休みと言ってもやる事はあるみたいで。
 このまま自主練習するなら、怪我のないように」

寄月 秋輝 >  
「そうですね、最後まで勉強は忘れないよう……
 ……また近いうち、守ってもらう日が来るかもしれませんね」

微笑みを浮かべる。
正直、精神面が底辺を這いずっている現状、頼れるものは頼らねばならない。

「あ、はい、お疲れさまです……
 お話、ありがとうございました」

何にせよ、多くのことで助けられたと思う。
ぺこりと頭を下げて、見送るだろう。

コゼット > 「どういたしまして。──ああ、あと、適度に休むのよ。」

出口に向かう最中、振り返り一言だけ付け加える。

相変わらずのこの天気、外に出るのも億劫だがやる事はやらねば。
少しでも沸いた倦怠な感情を放り投げ、うだる暑さの外へと。
その姿は熱気による靄で揺れ、やがて見えなくなった──

ご案内:「実習区内演習場」からコゼットさんが去りました。
寄月 秋輝 >  
「……適度に、休む……か」

それが出来ればよいのだが。

どうにも、自分が無事に生きている理由が見当たらないのだ。
ただ一つ。ただ一つだけ。
教え子が世界一に輝くのを見届けることだけが、今の生きがいだ。

「……すみません」

早速それを裏切って。

演習場を地獄と化す設定を施し、刀を振り抜いて荒れ狂った。

ご案内:「実習区内演習場」から寄月 秋輝さんが去りました。