2016/09/10 のログ
ご案内:「転移荒野・白夜の地平」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >  
転移荒野。
未開拓地区の半分以上を占める未開拓荒野を指し示す区域。
住民の出入りは禁止されていないものの現在は学園の直接管理する場所ではないため、
中で何が起こっても自己責任となっている。

「……。」

その一角に佇む少女。
夜ふけにも関わらず差し込んでいる地平に差し込む陽光を浴びながら、
誰かを待つように佇んでいる。
 

ご案内:「転移荒野・白夜の地平」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
空からふわりと降りてくる。
纏った偏光迷彩を解除し、隠れた姿を現した。

「果たし状、受け取りました」

ちょっとかわいいマスコットの描かれた便箋をひらひらと見せ、言い放つ。
刀と和服に似た魔装、本気の戦闘装束だ。

水月エニィ >  
 彼を認めて、目を細める。
 目の前の彼の抜刀術による無力化は、本来ならば日を跨がずに失せる程度のものだ。
 そうである筈の作用が未だに尾を引いている。断ってしまったが故に人格の変調を齎す何かが顕現した。
 ……とは言え正気は早い段階で取り戻しているし、断たれたものも殆ど修復されている。

 自他ともに水月エニィであると認識されながらも、
 負け犬の作用が働いていない僅かな時間。

「既に大義も正義もない意地だけの闘いだけど」

 布を構え、長物の要領で構える。
 ……それらは見立てでなく、確かな槍の形を為した。

「……皆が認めてくれた以上逃げてもいられないわ。
 決着だけは付けておきましょう。」
 
 

寄月 秋輝 >  
「大義ならばあるでしょう」

魔力が溢れだす。
先日同様、周囲を満たす魔力。
白夜の光の中、魔力の金色の輝きが広がる。

「これはあなたがあなた自身を認める戦い。
 意地、それそのものが大義となる戦いです。
 ……もっとも、僕に勝てなければそれまでですが」

居合の構えを取り、目を細める。

「オレの勝つ理由は以前話した通りだ。
 お前が二度とあんな口を叩けないようにしてやる」

人が変わったように、口調が変わる。
秋輝にとっては、どちらが素なのかまではわからないが。

水月エニィ >  
「そういう事にしておきましょうか。
 ――でもそれじゃあ、勝っても負けてもダメじゃない。
 いえ、だからこそ今しかないのよね。」
 
 つまるところ、勝っても負けても吐けなくなる。
 勝てば、勝った故に負け犬とは呼べず。
 負ければ、彼の主張通りに私は負け犬に足り得ず。
 
「まあ、良いわ。
 負け犬のままに勝つ事は今度にしましょう。
 流石にもう、無碍には出来ないわ。」

 困った風に笑って見せて、瞳を閉じる。

「ええ、そうですとも。
 柴木君。羽切君。東雲君。烏丸さん。龍宮さん。影打さん。鞍吹さん。
 ――寄月さん。」

 目を開き、切っ先を向けた。
 本物を扱う事には違和感がある。
 知らないわよあんなものと目を背けたものを認めている。

 ……切っ先を向けたまま動かない。
 先手は取らず、後の先を狙う。
  

寄月 秋輝 >  
「……そう、それでいいんです」

小さく、優しく、まるで女性のように微笑んだ。
目を閉じる。

(……死なない程度に抑えないとな)

無論、自分の体のことだ。
こちらは相手を殺さない程度の刀の使い方をわきまえているが、相手がどうかはわからない。
そして何より、こちらが本気を出さねば彼女は本気を出せない。

彼女を、勝たせるために。

「さぁ、かかってこい」

ざり、と足元の砂を踏みしめる。
歴戦の戦士は、惜しみなく闘気を発する。

水月エニィ >  
「……一応言っておくけれど。
 わざと勝たせるなんて思っているなら貴方も殺して私も死ぬわ。
 大切な人でも人質にすればよかったのでしょうけれど、流石にそんな事は出来ないもの。」

 溜息の後に小さく首を振る。
 とは言え観念はしている。
 ……どの道、それは避けられない事ではある。

「女の子みたいな微笑み方をするのね。
 ……ええそうね、私が負けたら罰でも受けて貰おうかしら?
 そうでなきゃただの八百長よ。丁度妖刀の女の子?と買ったメイド服があるのよ。
 いえ、流石にサイズが合わないわね。まあいいわ、中身は後で考えるとして、承諾する?」

 互いに狙うは後の先。
 状況が動かないとみれば、刃の前に舌を回す。

 

寄月 秋輝 >  
「もう一度言うが、俺の戦う理由は一つ。
 お前に二度とあんな口が叩けないようにしてやることだ」

冷たく囁く。
八百長を組もうなどというつもりは毛頭ない。
最初から最後まで、彼女をねじ伏せるつもりで戦う。
その上で、彼女を勝たせられればいい、と思っているだけだ。

「好きに言ってろよ。
 ……終わってからその元気があればな」

刀を携えたまま言い放ち、わずかに考える。
相手もこちらの動きを待っている。
ならばやることはただ一つ。
相手を動かすことだ。

「スターフォール・ゾディアック」

魔術を解放する。
空から赤く染まる光弾が十二発、エニィの元に降り注ぐ。
四発が直撃狙い、あとの八発は回避先を読んだ上で着弾してくる。

水月エニィ > 「その言葉、合意と見做して良いわね――ッ!」

 その場で三発の光弾を斬り払いつつ、最後の一発を甘んじて受ける。
 但しそれが肉体に損害を負わぬものなら、先の戦闘と同様に意に介さぬだろう。

 いずれにしても光弾を受けると同時槍を投擲して寄月の腹を狙う。
 物理的にも槍であり、光属性と互換のある聖性を持つ。
 それ以外はただの槍だ。
 

寄月 秋輝 >  
先日同様の、肉体にはダメージを及ぼさぬ魔術。
当然地面に着弾しても、一瞬で光が消えるだけ。
直撃しても顔色一つ変えないエニィに、眉をひそめる。

「ふん……っ!」

居合一閃。
飛んでくる槍を振り抜いた刀で弾き飛ばす。
エニィの方へと帰っていくように。

「グングニル!」

その槍を取ろうとする動きを先読みし、光の槍を45度の角度で突き刺すように降らせる。
肉体的損傷は無いが、刺されば当然痛む。
直撃すれば、槍に貫かれるような痛みは避けられまい。

水月エニィ >  槍を取る間隙に、自身のものではない光の槍が刺さる。
 ――先程と、そして以前と状況は変わらず。

「こんな痛み、どうってことないわッ!
 そうよ、負け犬達の痛みなんてこんなもので済むものですか……!」

 物理的に損害がなければ歩みは止めまらない。
 とは言えなかった事にはなっていない。声を荒げて言及することがその証に他ならない。

「こんなものばかり使って、ふざけているの……!」

 構えを正眼に直す。
 長槍は大剣のようなもの形を変えた。
 大きく踏み込んだ後に刀身を引き、勢いを巻き込む様に大剣を振り下ろして叩き込む。
 

寄月 秋輝 >  
「オレがこの魔術を扱うのには理由が二つある」

刀を構え、エニィと同じように一歩踏み込む。
大剣が振るわれるのに合わせて、思い切り刀を叩きつける。
折れもしない、刃こぼれもさせない、受け止めるための反撃。

「一つは無用な流血を失くすため。
 もう一つは傷を与えないことで、消耗を自覚させにくくするためだ」

傷や出血は、生存やダメージへの警告でもある。
瞬間的な痛みと、精神や魔力へのダメージしか与えないこの魔術は、別の角度から戦闘を優位にする効果がある。

刀と大剣を打ちあわせたまま、次の魔力を高める。
先日の内出血がまだ完治していない。
右腕に痛みが響く。
だが彼女と同じように、表情を変えることはない。

水月エニィ >  
「羨ましいわね、手段を選べる人は――ッ!」

 手段を選べる事は強者の証だ。こと闘争においては特にそうだと思っている。
 手加減であれ、矜持であれ、強みを押し付けることであれ。

「邪魔……ッ!」

 自覚をさせぬ事がどうでるかはさておいて、
 大剣を受け止められ、余裕を見れば蹴り飛ばす。
 その言葉は呪う様なそれではあるが、特に霊を引き寄せるようなものはない。 
 

寄月 秋輝 >  
「死ぬほど努力したからな……ッ!」

蹴りをまともに受け、吹き飛ばされる。
けほっと一つせき込み、睨む。

(……しかし、ここまで効き目が薄いとは)

普通の人間なら、槍を受けたというショックも含めて、ダメージは大きいものだ。
それでもあれだけの魔法を受けておきながら、この闘志を失わないとは。

(マジで負けるかもしれないなコレ)

こちらの有利を押し付けてなお、相手は崩れない。
さて、どう勝ちに行くか。

水月エニィ >   
 水月エニィは精神論を認めていない。
 "根性だけで勝てるならとうに勝っている。"
 
 諦観を自覚せずともそう思っていたし、自覚したってそう思っている。
 負け犬でありながらも幾ら負けても諦めない。負けが確約していても挑見続ける無謀。
 それだけの矛盾を内包して尚成立させるだけの激情が水月エニィを形作っている。

「鏡花――、登り藤ッ!」
 
 見做す事により真なるものとして扱う鏡花流。
 鏡花ハルナをルーツとする東洋の武術。

 元来ならば水月エニィが鏡花水月として扱うものと同様操布術ではあるのだが、
 水月エニィとは異なる歴史に造られた鏡月ハルナの手に於いては現実的にも真なるものと化している。
 
 故に槍に見立てて扱えばそのように。
 一歩踏み込み腕を引き、地を擦らせて大剣を走らせ、斬り上げる!
 
 
 

寄月 秋輝 >  
「……八雲流抜刀術!」

再び構え直し、相手の技と相対する。
槍、いや大剣。
だが対応は変わらない。
自分の剣術を叩き込むまで。

「流星剣、四等星!」

全力で振るう。
魔力の剣閃がそれに追うように走る。

大剣に叩きつけた刀、さらに三連撃の衝撃が大剣に走る!

水月エニィ > 「しゃらくさいッ……!」

 荒げた声を発する。
 最早叫んで鼓舞する必要もない程に煮えている。

 力の流れが衝突すれば剣戟の音が響く。
 三連撃の衝撃を競って凌ぎ、5合目。

「ちッ……!」

 見立てられた真なるものではなく、長布が奔る。
 蛇蝎の如く足元へと這いより、巻き付かんと迫るだろうか。
 

寄月 秋輝 >  
「っふ……!」

大剣を弾き、必死で刀を鞘に納める。
右腕が軋む、先日の戦いの傷が響く。

「ぬ……!」

そこに足元に迫る布。
見えていても、疲労とダメージの蓄積した体が反応しきれない。
わずかに足を引くのが遅れ、捕縛されて。

水月エニィ >  
「この……!」

 肉体的でない負荷などは無視できれど、
 密度の高い白兵戦には息が上がる。

 息を上げた後、雑に引いて張っ倒す。
 息を上げた以上、悠長にはしていられない。
 

寄月 秋輝 >  
「っりゃ!」

足を引かれながら、飛行魔術を展開する。
引き倒される前に飛び、自分の把握できる態勢に。
そのまま地面を滑るように飛び、エニィの足元を蹴り払う。

(……時期も時期か……!)

息を荒げることは無いが、体が重い。疲労感が満ちる。
季節の変わり目は秋輝にとって敵でしかない。

万全とは言い難いコンディション、しかし負ける理由にはならない。

水月エニィ >  
「この……ッ!」
 
 足を掬われながらも両手を地に付けて堪える。

 疲労以上に時間が無い。
 負け犬でない水月エニィとして残された時間が少ない事を実感する。

「こ、の……!」

 こともあろうか寄月の足に思いっきり噛み付く。
 その様は正に犬。形振り構わぬ狂犬のそれだ。