2016/09/12 のログ
ご案内:「常世保健病院」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
ギリギリで病院にたどり着き、色々あって大騒ぎになりつつも無事手術を終えて。
銃で撃たれたというのに、ピンピンした様子でベッドに腰かけて携帯端末を操作する姿。

(……そろそろかな)

先ほど知り合いから連絡があった。
手合せをしたいとのことだったが、この体では無理だと返したところ、なんか来るらしいので。

(何も持ってこないことを祈ろう……)

ご案内:「常世保健病院」に影打 鈍さんが現れました。
影打 鈍 >  
(本体にフリルでも付きそうなぐらいに着慣れてきたメイド服姿の妖刀娘。
 右手には大きな紙袋をぶら下げて、のしのし歩く。
 目的の病室の扉を空け、)

おーい、生きとるか。

(中に居るであろう友人へと声を掛ける。
 そのまま病室に入り込み、目的の人物を見付けた。)

おお、生きとったな。
感心感心。
これ見舞いだ。

(紙袋を渡す。
 中には箱に入ったケーキと和菓子、あとエロ本。)

寄月 秋輝 >  
「なんでここでもメイド服なんですか」

返事の前にツッコミが出た。

「さすがにちょっと三途の川が見えましたけどね、失血死寸前で。
 ……わざわざありがとうございます」

ありがたく紙袋を頂き、中身を覗く。
菓子類はありがたい。

「これはお返ししますね」

躊躇なくエロ本を取り出し、鈍に向けて渡す。
表情変化なし。

影打 鈍 >  
何故って、主が喜ぶからに決まっとろう。

(さも当然のように言ってのける。
 ここに主は居ないが、居なくともメイド服を着るのがメイドの仕事のようなものだ。
 本職のメイドじゃないけど。)

馬鹿か汝は。
もしくは阿呆か。
エニィに撃たれたとな、あれも無茶すんのう……。

(やれやれ、と呆れたように首を振る。
 彼らの間に何があったのかは知らないが、それでヒト一人殺しかけるとは。
 ベッドの傍にあった椅子を引っ張り出して勝手に座るが、)

何でじゃ!?
男子の入院生活だぞ、要るだろ!?

(返されたエロ本を見て、信じられないと言ったように立ち上がった。)

寄月 秋輝 >  
「なるほど」

彼の評価が頭の中でぐるぐるめぐる。
なかなかやるな、としか言いようがない。

「バカと言われても仕方がないとは思いますが、
 当面の目的は達成できた上で生き残れたので問題ないです。
 実際僕も、実銃で撃たれるとは思っていませんでしたね。
 これでへその穴が三つになりました」

軽口を叩く余裕はあるらしい。
縫った上で治癒魔術による治療を施され、なんとか治ってはいる。

「要りませんよ。
 どっちかっていうと生身のほうが欲しいです」

この返しもどうかと思うが、何にせよエロ本は不要らしい。
というか隠す場所が無いところに持ってこられても困る。

影打 鈍 >  
入院した時点で問題しかなかろうよ。
全く、主も片腕ぽっきりやるし。
常世の男子は馬鹿ばっかか。

(へその穴が三つ、と言う事は前にも撃たれたことがあるのだろう。
 ならば主と同じで、彼のそれも筋金入りに違いない。
 説教するだけ無駄だろうと、諦めたように首を振る。)

残念だが私の身体は主のものだからな。
他の者に頼め。
――しかし主にも汝のような、そういう度胸があればなぁ。

(流石に浮気のような事は出来ない。
 浮気もクソもまだ手も出されてないし、そもそもそう言う関係でもないのだが。
 返されたエロ本をベッド脇のテーブルに置きながら、未だに手を出してこない主への愚痴などを。)

寄月 秋輝 >  
「……東華さんも腕を?
 何をやらかしたんですか、彼は」

ジト目になって尋ねる。
確かに異常性のある青年ではあるが、腕をぽっきりとはいかに。

「別に鈍さんにどうしてもと頼むつもりはありませんよ。
 ……いい加減結婚相手を探さないといけませんね」

パートナーを探せと言われつつ、結局そんなことにかまけている時間もなかった。
こういう状況になった時、家からメイドが居なくなったとき、頼れる相手が欲しいものだが。

「彼に関してはそのうちじゃないでしょうかね。
 お互いにしっかり執着出来ているようですし」

ごそごそと紙袋の中から菓子を取り出す。
中身はなんだろうな。

影打 鈍 >  
手合わせしてな。
ちとばっさり斬られて自覚させようとしたら、腕折って止めよった。

(何を、とは言わずともわかるだろう。
 目論見は外れたのだが、同時にそこまで問題視する事でもないだろうと結論付けたため、それはそれで良い。
 腕が折れたのはこちらも大変だが、心配を掛けさせた代わりと思うことにした。)

振られたら考えてやらんでもない。
――結婚、な。
汝みたいな男の相手は大変だろうなぁ。

(自身が血を流すことを厭わなさ過ぎる、と思う。
 普通であれば手合わせで撃たれるなどないだろう。
 不器用で前のめりな男、と言う印象が追加されている。)

どうだろうな。
少なくとも、私は主にはヒトを伴侶に選んで欲しいと思っているよ。

(取り出された菓子を横から掻っ攫う。
 中身は適当にコンビニで買ってきた和菓子がいくつか。
 今掻っ攫ったものは黒糖饅頭だ。
 食べられはしないので、手の中で弄ぶ。)

寄月 秋輝 >  
「……それはまぁ仕方ないといいますか……
 折れただけで済んでよかったですね。
 僕が先にやってたら、多分両腕を修復不能にしてました」

小さな声で囁く。
彼女はどう思うかわからないが、秋輝の目からはそれだけの危険をはらんでいるように見えた。
ひとまずはこれで、彼も刀を振るうことはないだろう。

「考えなくていいですよ。
 ……昔からそう言われていますが、多分大丈夫だと思いますよ、僕自身は」

頭をかりかりとしながら呟く。
今はもう自分の命の価値を低く見ていないつもりではある。

「僕のかつての上司は大半機械の体で、それでも人間の男性と結婚していましたよ。
 人には人を、なんてこの世界では小さなことだと思いますが」

黒糖饅頭を奪われた。
食べるのかな、と思って見ているが、どうも食べる気配は無さそうだ。

なんで取られたんだ、と疑問が浮かんだ。

影打 鈍 >  
斬っときゃいいんだ。
いくら人外殺しとは言え、一太刀浴びせられた程度でくたばるような鍛え方はされとらんのだからな。

(黒糖饅頭の包装を剥きながら不満げに。
 そもそも今まで斬られた事がないので実際どうなるかはわからない。
 が、契約下にあるからそうそうくたばらないと言うのも事実だ。
 それより主が自身を庇って怪我をしたと言うのがつまらない。)

結構危うげに見えるが……まぁそう言うならそうなんだろうな。
何かあれば頼れよ。
ほいあーん。

(生きているならそれでいい。
 命を捨てるつもりはないらしいから、そう言う事なのだろう。
 そうして饅頭を差し出す。
 手を伸ばされたら避けるけれど。)

大半と言う事は生身のところもあろうに。
ヒトと龍、魔獣、バケモノ、そう言う組み合わせは昔からあるがな。
――汝は汝の刀と結婚しようと思うか?

寄月 秋輝 >  
「女性を斬りにくいという気持ちはわからないでもないですが。
 人を斬る前に、あなたを斬れなくて止まってよかったじゃないですか」

そうとしか言いようがない。
人や、人と共に生きる人外を斬ってからでは遅いものだ。

「おかげさまで助かっていますよ。
 今日も含めて」

饅頭を差し出されたので、迷わず顔を近付けて食いつく。
もむもむ、味わっていただいた。

「おいしいですね。
 ……あぁ、いえ。僕はこの刀とは無理ですね。
 この中に眠っているのは母ですから」

横に立てかけてある刀を掲げる。
鞘に納まっているからか、何の力も発していない。

「そういう意味ではないとして……
 もし刀が僕好みの女性の姿を取っていたら、迷わず妻として迎えるんじゃないでしょうか。
 命を預け、信頼し、大切に扱い、愛していられる刀ですよ。
 何故迷えると思うんですか?」

目線を向けて、不思議そうに尋ねる。

影打 鈍 >  
それは、まぁそうなんだが……。

(実際複雑なところである。
 結果はどうあれ自身を切るのを躊躇ってくれたと言う事だし、それ自体は嬉しい事なのだが。)

友人の見舞いぐらいは当然の事だろ。
要るモノがあれば言え、持ってくる。

(黒糖饅頭を差し出す黒刀娘。
 チョイスも奪い取ったのも全てこのためだ。)

これがホントの黒刀饅頭、ってな。
――そう言う事でないよ。

(下らないダジャレを飛ばし、紙袋の中からおしぼりを出して手を拭く。)

妻としてどうする。
ヒトでないどころか生き物ですらない。
子も成せぬし、同じものも喰えん。
身体を好きにさせるぐらいしか出来んぞ。
そもそもこうして話しているのも、ヒトの人格を真似ているだけだ。
――そんなものに、縛らせるなど。

(おしぼりを丸めてゴミ箱に捨てた。
 彼に向けるは、今にも泣き出しそうな悲しそうな顔。
 涙は出さないのではなく、出せない。)

寄月 秋輝 >  
「三日ほどで退院するつもりですから、大丈夫ですよ。
 今度お礼させてもらいます」

ぺろりと唇を舐めた。
ほのかに甘い。

「……黒糖と黒い刀をかけたんですか」

たぶんすごい顔をして発言したのだろう。
顔の筋肉が自分でわからない。

「……はぁ、まぁなんとなくわからないでもないですが……
 僕の刀が、今のあなたと同じことを言ったら、一笑に付しますね」

鞘の先で床をこーんと叩いた。
軽い音が、何故か遠くまで響く。

「人間と、作られた機械人間。
 肉好きの男と、ベジタリアンの女性。
 子供を作れない男や、身ごもれない女性。
 話は出来るけれど、試験管から生まれて刷り込まれた記憶で会話する人間。
 そういった人たちが結ばれる可能性の否定の話ですか?」

ことん、と刀を再びたてかける。
もちろんそういう話ではないことは理解している。
だが彼女の迷いはどこか的外れだ、と伝えたい。

傍に置いてあるペットボトルのお茶を取り、一口含んだ。

影打 鈍 >  
三日って。
腹撃たれたんでないのか。

(普通もっと長く入院するものだと思う。
 他人より治りが早いのか、それとも医療技術・魔術の進歩があるのか。)

黒刀だからな。
――そんな顔をするな、傷付く、

(ドヤ顔はしておいたが、キレがいまいちなのは自覚している。
 嫌そうな顔をして手を振った。)

最初はともかく、他は全て生きているもの同士の話だろう。
機械人間のように、人間として作られたものでもないしな。
刀なんだ、私は。
本来は、こんな事起こり得ないことなのにな。

(だからこそ、迷っている。
 刀なのに、こうしてヒトのように悩んだり迷ったりしている。
 それが異常な事を理解していて、だからこそ自身がわからない。)

寄月 秋輝 >  
「治癒術治療を受けたので、まぁなんとか。
 あとは刀のシステム……というか魔術を利用して、一週間程度で治します」

自然治癒だけでは当然間に合わないので、色々裏技を使うことになる。
死んでなくて、原型を損ねない程度の傷ならば軽く治せるものだ。

「パーツごとの話ですよ。
 それらが些細な事だと思えるなら、あなたの悩みの全ても些細な事です。
 僕なら、今の鈍さんを迎えられると思ったら、一切迷いませんけれど」

鈍に目を向ける。
人を見るための目で。

「それらを理由に断られるならばまだしも、それを理由に足踏みしているのはどうしようもないですよ。
 それとも、それを否定した上で主に受け入れられたい、とかですか?」

目を細めて、小さく微笑む。

影打 鈍 >  
はぁ、便利なもんだな。

(自身は壊れない。
 だからこそその辺の知識はさっぱりだった。
 それでも銃創が一週間で治るというのは早いほうだとはわかる。)

――受け入れられるのが怖いんだろうな。
仮に想いを伝えて受け入れられたとしてだ。

(その視線から逃れるように目を逸らす。
 ヒトとして見られることから、逃れるように。)

言ったとおり私は刀だ。
その私が、主を縛ってしまうのが、怖い。
主が好きになる女子とか、主を好きになる女子とか、そう言うのを全部壊してしまうのが怖い。
――何で意思なんか持ってしまったんだろうな。

(最後の言葉は小声でこぼす。
 消え入りそうな、小さな声。)

寄月 秋輝 >  
「誰かを愛するなんてことは、その相手を縛るということに変わりはないですよ。
 人だろうと刀だろうと、その結果に変わりはありません」

目を逸らされてなお、少女を見続ける。
真っ直ぐに、変わらず、見つめ続ける。

「多くの人がそれを通り過ぎます。
 僕も昔、その考えは走りました。
 『僕でいいのか』と考えた末に、それでも傍に居たいと思えたからこそ、恋仲になったわけですが」

昔のことだ、本当に。
忘れてしまいたいほどに、幸せな苦痛の日々だった。

「それは誰かを愛してしまった者の思考ですよ。
 刀だから、というのはその理由の一つに過ぎません。
 あなたが主を縛ってなお、自身も彼も幸せに出来ると思うならばそれでいい。
 あなたの主が、あらゆる可能性を捨ててでも、刀と添い遂げることを願うならば受け入れればいい。
 ただの経過の一つ、多分恋をしている段階で一番苦しい時期ですよ、それは」

相手の悲痛な様子をよそに、くすくすと笑う。
正直なところ、彼女が少し羨ましかった。

影打 鈍 >  
愛する、か。
刀なのにな。
おかしな話だ。

(ぶらぶら揺らす自身の脚を見る。
 本体ではない、魔力の塊のような身体だ。)

私には、思えんな。
刀である私に、主を縛り付ける事など出来ん。
もし、もし仮に主が望むならば――
私が刀でなければ良かったのだがな。
ヒトでなくても、せめて命のある身なら良かった。

(そこで初めて顔を上げる。
 どういう顔をすれば良いのか分からなくなったから笑った、そんな笑顔。)

ところで汝、その恋人とは――ああ、いや。
やっぱり、良い。

(先ほどの結婚相手を探すという言葉を思い出す。
 あまり興味本位で触れていいことではないだろう。)

寄月 秋輝 >  
「おかしな話、とはおかしな話ですね
 付喪神だって人を愛し、人と結ばれることがあるというのに」

とはいえ、そんな簡単な話ではないのだろうことはわかる。
これだけの言葉で受け入れられるなら、彼女はここまで悩んではいないのだろう。

「一応言っておきますけれど、もし東華さんがあなたを望んだ場合、
 その理由で断ったら大泣きされますよ。
 それ以前に、彼が別の女性とくっついたとき、あなたがどうなるかのほうが心配ですが。
 本気で怒ったり小姑のようになったりしそうで」

小さくため息をついた。
大丈夫だろうかこの子、みたいな目になった。

「あぁ、その子は既に……
 おっと、キャンセルですか」

ぴたっと口を止めた。
気を遣ってもらえるならそれはありがたい。

影打 鈍 >  
付喪神ならむしろ上等だろ。
私はそこまでのもんでもないよ。

(溜め込んだ魂の欠片を集めた寄せ集めのようなものだ。
 だからある意味本体たる黒刀であって黒刀ではない。
 中途半端な存在なのだ。)

むしろ有無を言わさず押し倒される気もするが。
アレはアレで結構強引なトコあるしな。
恋人出来ても契約続けると言うし。
相手の事考えろと言うんだ。

(何故かぷりぷり怒り出す。
 自身以外の女性とくっつくならそれはそれで良い。
 悩むこともなくなるのだから。
 今のところは、そう思っている。)

続いとるならとうに結婚してるだろ。
汝はそう言う男だ。

(敢えて「続いている」と言った。
 口に出せば傷付くかもしれなかったから。)

寄月 秋輝 >  
「似たようなものだと思いますが。
 心がけ次第だと思いますよ」

なんというか、どうにも自己評価の低さが気になる。
エニィといいこの子といい、どうしてこうも。

「意外と出来る男なんですね、彼。
 相手のことを考えろと言いますが……
 僕も恋人が出来たからといって、刀を手放す気にはなれないでしょうし……
 家で置いてるメイドを捨てるのも難しいし、同居人に出ていけとも言い難いような……」

こいつはこいつで色々悩みがあるようだ。
どちらにせよ、今あるものをすべて捨てるのは難しいというもの。

「……なんというか、察しの良さには恐れ入りますね。
 もう少しご自身にその洞察力を向けたらいかがです?」

なかなかいい具合に話を進められた。
仕返しに軽く煽っておく。

影打 鈍 >  
自身がモノである故にな、その辺の格の違いは拘るのだよ。
その代わりではないが、刀としての完成度はそこそこなモンと思うぞ。

(このまま年月を重ねれば、いずれ付喪神になることもあろう。
 今はまだその時ではない、と言うだけだ。)

私の主だぞ、舐めるな。
いくらなんでも恋人が家に他の女住まわせとるっつーのは、女として面白くないだろ。
かと言って汝の言う事も最もだし、どうしたもんか……。

(腕を組んで考える。
 お互い、色々面倒なものを抱え込んでいるようだ。)

何年人間を見てきたと思ってる。
――いや正直な話な。
命を得た刀の前例がない訳では、ないんだ。

(顔を背けて人差し指同士をつんつんと突き合わせながら。)

寄月 秋輝 >  
「それは確かに。
 一度振るってみたい刀でしたね、あなたは」

以前見せてもらった刀は、非常にそそる逸品だった。

「そこらへんは彼次第でしょうね。
 納得させるだけの度量を求めるしかないでしょう。
 最悪あなたが刀の中に納まっているしかないでしょうね」

自分はまだ先の話、と話を逸らした。
何にしても、同居人関係とはそういうものだ。

「まぁ、そりゃないってことはないでしょう。
 鈍さんにもそれが適用できるかどうかはさておいて」

なんとも女の子らしいしぐさだな、と見つめる。
可愛いのにもったいない。

影打 鈍 >  
一度振るぐらいなら良いぞ。
あ、もし望むなら一応主にも聞いてくれ。

(流石に無断では持ち出せない。
 自身の本体だが、所有権は彼にある。)

とは言えなぁ、共に暮らしていると言うのはどうやっても噂になるだろ。
今も学校でたまに聞かれるし。
もしそうなったら女子寮でも入るかなぁ。

(そうなると何のために引っ越したのか分からない。
 そもそも彼が許してくれるかどうかもわからないのだけれど。)

いや、まぁ、うん。
私の真打がそうしてるから、私でも出来るんだが、うん。
その、なんだ――こちらから、誘うのは、な。

(とても言いにくそうに誤魔化しながらつんつんつん。
 顔が少し赤い。)

寄月 秋輝 >  
「いや無理でしょう。
 彼の物なんですから」

そこまでして振りたいものではない。
どのみち自分には自分の愛刀がある。

「僕も横から見たら同居人、メイドと女性二人と同棲中ですが。
 別に隠すようなことでもなければ、いいんじゃないですか?
 最悪隣の家か部屋でも借りればよいのでは?」

別に思い切り離れる必要はないはずだ。
そんなことを提案しておく。

「……はあ……
 ちなみにどうするんです?」

赤い顔を見ながら、一応聞いてみる。
意地悪のつもりが半分、なんとなく察しが付くから聞きたくないけど、という気持ちが半分。

影打 鈍 >  
まぁ聞いてみなけりゃわからんがな。
興味があったら聞いといてくれ。

(無理かどうかはそれこそ聞かないと分からない。
 その辺はその時決めればいい、と言うようにブン投げる。)

そう言うの気にする女子も多いだろ。
――それは金持ちの発想だぞ。
我が家はアパート一部屋借りるので精一杯だ。

(ふい、と横を向く。
 別の部屋を借りるとなると金が掛かる。
 そんな余裕は無い。)

――このやろう。
あー、あれだ、それなりにな、関係を深めた主のな、――精を、受ける、事、で……。

(最後の方はもう消え入りそうな声である。)

寄月 秋輝 >  
「……まぁ家を借りるのはちょっと現実的ではないですね。
 というか二人のバイトで二人共同で生活するのがギリギリなら、
 あなたと東華さんが離れたらもう生活成り立たないでしょう。
 離れろと言われて離れたら共倒れですよ」

余裕が無いのはともかく、資金面の問題は念頭に置いたほうがいいと思う。



「いやもうお前とっとと抱かれて来いよ」

思わず素で暴言が出た。
秋輝自身、口が悪いのは理解しているので普段は言葉遣いだけでもと気を付けてはいる。
が、エニィとの一件のように感情が高ぶったり、思わず素が出ると口調が荒くなる。

影打 鈍 >  
安アパートで私がメシ要らずとはいえ、学生バイト二人の稼ぎじゃなぁ。
汝は風紀から給料貰っとるんだろ?

(部活や委員会によっては収入があると説明を受けた気がする。
 何か探してみるのもありかと考えていたりしたのだが、)

それが出来れば苦労せんわ!!!

(ガタン!と音を立てて立ち上がる。
 その表紙に転がった椅子を慌てて直し、もう一度座って。)

――それでそうなるかどうかも推測だし、そんな事言うのも恥ずかしいし、どう言う顔して誘えば良いかとか分からんし……。

(赤い顔で俯いてぼそぼそぼそ。
 ちなみに経験自体は結構豊富だったりする。)

寄月 秋輝 >  
「はい、まぁ……生活が普通に送れる程度には」

今度はこちらが目を逸らした。
魔術研究の成果に対する報奨金とかも含めると、予想をはるかに超えた額が振り込まれていたことは黙っておこう。

「知るかそんなもん!」

思わず声が出た。
同時に縫ったばかりの腹に響き、脇腹を抑えてうずくまった。
なんとか傷は開いてないらしい。

「……正直に話してみればいいんじゃ、ないでしょうか……
 つとめて冷静な顔で……」

ズキズキ響く痛みに耐えながら、そう提案しておく。
マジで年頃の女の子だなこの人、とか思う。

影打 鈍 >  
良いのう、風紀委員か……。

(そう聞くと少し入ってみたくなる。
 しかし組織のいざこざはやはり億劫で。
 ぐぬぬ、と唸る。)

ああもう馬鹿か汝。
ったく、からかうからそうなる。

(自身も主をしょっちゅうからかっているが、その事は棚にブン投げた。)

――冷静に話せたらもう話しとるよ。
長く生きてはいるが、恋なんてモンは初体験だからな。

(今までの主はむしろ向こうから求めてきたり、自身の魔力補給のためだったりとどこか事務的なものだったのだが、今は違う。
 何度か話そうとしたのだが、そう言う方向に持っていけず、そのまま今に至るのだ。)

寄月 秋輝 >  
「……もう一度言いますけれど、お金をもらえて悪い人をブチのめせて万々歳、みたいな仕事ではないですからね。
 風紀委員を選ぶなら、十分に考えてくださいね」

もう一度釘を刺しておく。
多分大丈夫だとは思う。
鈍という女性は割とまともだと感じている。

「いやもう、それ以上はなんというか……
 ほのめかしながら誘っていれば、そのうち理性が吹っ飛ぶんじゃないですかね。
 彼も真っ当な男ですから」

相手からの脈がわからない、この女性は誘う度胸が無い。
なら相手が動くように仕向ければよいのではないか、と提案しておく。

影打 鈍 >  
いや、やめとくよ。
なんつーか私らには金無い方がなんかあってる気がする。

(金が無くて困るのは主の方だが。
 自身は魔力さえあればどうとでもなる。
 それに、責任は出来るだけ負いたくないし。)

そんな美人局みたいなこと。
いやその手の悪戯と言うか仕込みと言うか、無駄にせくしぃな写真送ったり、部屋でゴロゴロしてみたりはしてるが……。
あいつ童貞だし。

(一向に襲ってくる気配がない。
 童貞だから仕方ない。)

寄月 秋輝 >  
「……じゃあ別居をもちかけられても無理ですよね。
 彼が本当に別の女性と交際することになってから考えたらいかがです?」

金が無くてもいいのは構わないのだが、元になる問題を忘れていないだろうか。
ひとまず今納得出来るならそれでもいいのだが。

「あいつが童貞以前にお前処女かよ」

またしても暴言が出た。
やってることが中学女子レベルでめまいがしてくる。

「……そういうの、向いてないんじゃないですか?
 主従互いに」

ぶっちゃけた。
主がどうこう以前にこの子がウブすぎる、という評価にしかならない。

影打 鈍 >  
まぁ、そうなるわな。
その時の事はその時考えればいいか。

(結局はそうなる。
 問題の先送りではない。
 問題解決の前提条件が足りていないだけだ。)

処女じゃねーし経験豊富だし!

(立ち上がる。
 椅子が倒れる。
 慌てて直す。
 座る。)

う、む。
多分、そうなのだろうな。
――参った、今までは特に考える事も無かったんだがな。

寄月 秋輝 >  
「ダメになったら、保健委員でもやればいいでしょう。
 斬ることを知ってるなら、手当の仕方もわかるでしょう?
 医療知識でも身に着けてみたらどうですか」

あれも確か給料が出たはず、と呟く。
刃物は傷つけるばかりではない、体を治すために切り開くにも使われる。
ダメージの質がわかるならば、治し方もわかる。
とすれば、彼女には可能な仕事の気がする。

「うわ、完全に処女童貞の反応だ」

ここまでベタだと逆に引く。
笑えてきそうだが、笑うと腹が痛むので我慢する。

「向いてないなら、別に深く考えなくていいんじゃないでしょうか。
 もっと原始的に、彼に寄り添えば。
 誘うとか考えずに、愛情を確かめ続ければ。
 恋愛に関しては、お互い子供みたいに経験不足なんでしょう?」

理屈っぽい考え方をするからドン詰まりに陥ることを秋輝は良く知っている。
人の感情に難しい考えは不要なのだ。

影打 鈍 >  
保険委員。
そう言うのもあるのか。

(何だか独りメシのマンガのようなセリフになってしまったが、確かに言う通りだ。
 特に切り傷に関してはそれなりに詳しい方だと思う。
 肉屋のバイトと言い、そう言う発想は自身に無いだけに、彼のアドバイスはありがたい。)

違うつってんだろーに。
――しかし原始的に、なぁ。
私はやはり私を選ばん方がいいと思うが……。
しかし選ぶのはヤツだな。
そうなったら、その時考えよう。

(腹を括る、ではないけれど。
 あまり難しく考えない方がいいらしい。
 エロ本を持って立ち上がる。)

――そろそろ帰る。
あまり無茶をするんでないよ。

寄月 秋輝 >  
「まぁ、参考程度に。
 人間何が向いているかわかりませんからね」

そう言って肩をすくめる。
正直自分も今やっている仕事が、今度やろうとしている仕事が向いているかはわからない。

「選んでもらえたら嬉しいでしょう?
 彼にとってどうこうではなくて、ご自身にとって幸せかどうかで考えたほうがいいですよ。
 もし彼があなたを選んだなら、受け入れられることこそが至上の喜びでしょうから」

それも難しく考えるな、という言葉の一環だろう。
立ち上がった少女に笑みを向けた。

「ええ、お気をつけて。
 わざわざお見舞い、ありがとうございました」

影打 鈍 >  
うむ、また迷ったら相談する。

(そう言う点では、この少年の方が主よりよほど頼りになる。
 主の存在意義?
 遊び道具です。)

――うむ。
少し、気が楽になった気がする。
ありがとうな、寄月秋輝。
汝の様な友を持って、私は恵まれているな。

(笑う。
 にい、といつもの調子で、いつものように。)

おう、それではな。

(軽く手を振って病室を出て行こう。
 カツンカツンと、ローファーの足音を響かせながら。)

ご案内:「常世保健病院」から影打 鈍さんが去りました。
ご案内:「常世保健病院」から寄月 秋輝さんが去りました。