2016/09/28 のログ
ご案内:「訓練施設・プール」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 七生の能力、血液操作には幾つか弱点と呼べる短所がある。
そのうちの一つに『水に溶けやすい』というものがあった。

七生が操れるのは「自身の血液」に限る。
その濃度が薄れれば薄れるほど、制御はし辛くなっていくのだ。
故に、七生の能力にとって、雨天や水場は相性が最悪とも言える。

「──なので、今日は弱点を少しでも克服しようと思う。」

火災があってもこれほどまでに水は撒かないだろうと思われ得るほどにスプリンクラーが頑張る中、
既にずぶ濡れになった七生は水着姿で小さくガッツポーズを作って自身に気合を入れた。

東雲七生 > 既に異能は発動済みで、プールの端から端まで人の腕程の太さの赤い橋に形成して渡してある。
常に雨の様な水が降り続ける中、ちょうど中央の位置に七生は立っていた。
掌から伸びる赤い血の糸が、足元の橋に繋がり、その形を保ち続けようとする七生の意思を伝えていた。

それでも、水によって橋は削れていく。
もともとは幅1mほどのちゃんとした橋を掛けていたのだが、削られに削られて今の太さになっていた。

「……やっぱ、こう、結構つーかかなりしんどいな……!」

スプリンクラーの水──仮想雨が降り出す前に完全に形を作ってしまえば、多少の水ではびくともしないが、
今回は先に雨を降らせてから橋を作っている。完全な形を作る前に雨が混じってその力は不安定になっていた。

ご案内:「訓練施設・プール」に深雪さんが現れました。
深雪 > その少女はいつも通りの恰好で,ふらりとその扉を開いた。
中に七生が居ると知ってのことか,それともただの偶然か。

「………あら…。」

入口は七生が立っているところからは遠いが,それだけ目立つことをやっていればすぐにわかった。

……集中しているのなら,貴方はきっと,自分に気が付かないだろう。

そう思ったか,できるだけ水の当たらない隅で,七生を見守ることにした。

東雲七生 > じりじりと削れていく足場にも気を払いつつ、一度に血を消費し過ぎないように調整していく。
実のところ、既に何度かプールの中に落ちては再挑戦を繰り返していたのだが。

「……っとと、そろそろヤバいか……?」

ぬるり、と足の裏に滑りを感じて表情が翳る。
せめて自己最長記録は出したいと、腕にしていた防水性の時計へと目を向ける。
まだ前回のベスト記録には数分届かない。

「だめだめ、もっと集中集中……」

右手から流れる血に意識を向けると、ひとまず足元の補強をする。
少女の訪れも、見守っている事も、今は気付く気配すら無い。

深雪 > 長く同じ家で暮らしているというのに,こうして七生の異能を見るのは初めてだった。
一目で…それからその匂いで分かったのは,血を使う異能だということ。
その他に分かったのは……

「……相変わらず,無茶してるわね。」

……貴方の表情が,それを告げていた。
少しだけ呆れ顔になりながらも,スプリンクラーの水に濡らされながらも,最後まで見守るつもりのようだ。

東雲七生 > 雨で濡れた前髪が額に貼り付くが、それに気を取られる余裕も無い。
幾度か繰り返しているためか、貧血の気配も見え隠れしている。
雨で流されながらも維持を続けるのは、どうやら思っていたより血液を消費しているらしいと七生が気付く頃には、
足元の橋は細い木の枝の様になっていた。

「うー……ふぅ……くっ。」

七生の体重で橋が撓み、それを持ち直すために血液を足す。
しかしそれはすぐに雨で削られ、どうにもジリ貧の様相を呈してきた。
これ以上は本当に貧血を起こしかねないと腕時計のタイムを確認して、
七生はゆっくりと異能の維持を止めた。

既に限界間際だった橋が雨に溶ける様に形を崩していき、支えを失った七生もプールの中へと落ちていく。

深雪 > その様子を見ながら,足音を立てることもなく静かに近づいていく。
近付いてもこちらに気付くことは無いだろうと,察したのかもしれない。
そうしているうちにも,紅の橋はみるみる細くなり…
……やがて,全てが雨の中へと崩れ去ってしまった。

「…………あっ……。」

咄嗟に手を伸ばそうとしたが,プールサイドにも達していない深雪の腕が届くはずもない。
飛び込んで助けるべきだろうか……ともかく,プールサイドまで駆け寄り,水面を見る。

東雲七生 > 盛大な水飛沫と共に水の中に沈んだ後は、僅かに朱のにじむプールの中を泳いでプールサイドに這い上がる。
疲労からか肩で息をしながら前髪を払って視界を確保し、ふと近くに人の気配を感じて

「……み、深雪?」

きょとんとした顔で少女見上げる。
どうしてこんな所に、と今にも言い出しそうな顔だ。