2016/10/02 のログ
ご案内:「伊都波家」に伊都波 悠薇さんが現れました。
ご案内:「伊都波家」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > さて――
ことは終わりを迎えた。
長い長い、姉妹喧嘩は終わり――静かに静かに仲良くなり。
日常に。家を出ると言っていた姉の申し出を父は断るはずもなかった。
むしろ、そんなことなかったようなそぶりである。
母、はといえば姉に向かって平手打ちを一つ。
泣きながら。
母のそんな姿を見たのは、初めてだった。
でもそのあとすぐに姉を抱きしめ、謝罪し続けていたのは印象に残っている。
そして――悠薇といえば……
「――……」
ぼーっとしながら、姉の荷物を運んでいた。
「あいた!」
ごつんっと、額を柱にぶつけたりしながら
■伊都波 凛霞 > 「大丈夫?」
よいしょっと荷物を玄関において、額に浮いた汗を拭いながら尋ねる
夏が過ぎたとはいえまだまだ残暑の中、青垣山は涼しい方とはいえ体を動かしていると汗もかく
「何か考え事?」
くすっと笑う、そんな笑みを向けて
あれからと言うもの、これまでのことが嘘のように自然体で妹に接することが出来ていた
"今まで通りには戻れない"その言葉を否定するように、時間が過ぎていた
■伊都波 悠薇 > どさどさっと手に持っていた荷物をおとす。
それを慌てて、集めていれば上から声がした。
笑っている、姉の声――
「だ、だだだだだだ、だいじょうぶだいじょうぶ」
ぼふんっと顔を真っ赤にしながら慌てて距離を取った。
思い出していたのは――人形。いや、マネキンという人との――……
いや、それもあるが。
そう、いろいろ刺激的なことが多すぎた。
女の子的に。
そう、女の子的に
■伊都波 凛霞 > 「(あー…)」
妹との距離が戻って、ほんの少しだけ以前よりも妹のことが理解できるようになった
こういう反応をしている時は、大体こうだな
こういう顔をしている時は、こんなことを考えているな
姉妹というフィルターの中でしか見えていなかったそれが、
ちょっとだけクリアに見えてきたような、そんな感じ
「あんまりえっちなことばっかり考えてると周りの男の子にバレるんだよ?」
くすくすと笑みを零しながら、てきぱきと荷物を片付けてゆく
■伊都波 悠薇 >
「え、ええええ、エッチとか考えてない……もん……」
そう、していない。思い出したのは間違いないけれど。
考えていたのは別のことだ。
前髪を整えながら。ゆっくりと荷物を一緒に片づけていく
■伊都波 凛霞 > 「冗談だって」
あらかた片付けてふぅ、と一息
ぱたぱたと台所へいくと、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出してコップに注ぐ
しっかり二つ
「一息つこっか」
そう言って片方のコップを妹へと差し出した
■伊都波 悠薇 > にもつをわきにおいて、汗をぬぐう
体力は普通だ。
姉と同じくらい鍛錬はしているけれど――
「うん」
頷いて、コップを手に取り縁側に腰を落とした
■伊都波 凛霞 > 隣り合わせるようにして腰をかけて
「まだまだ暑いねー、今年の夏はなんだか長いや…」
こく、こく、と音を鳴らして喉を潤す
朝晩は少し肌寒いと言えどまだまだ昼夕方は日によっては炎天下だ
もうしばくはこの冷たい麦茶が美味しい季節だろう
それにしても
長い夏だった
自分にとっても、きっと、妹にとっても
■伊都波 悠薇 > 隣に腰掛ければ、ちょっと隙間を開けた。
すごく、ちょっとだけすすすっと。
「うん、暑いね」
汗はあまり書かないほうだけれど、それでも汗が服に少し張り付いていた
「――……」
そしてまた、思考する。
頭の中では、彼が言っていたことを反芻して――
……天秤を欲しがった理由を探していた
■伊都波 凛霞 > ほんの少しだけ空いた距離
姉はちゃんとそれを見ていて、小さく息を吐いた
「何考え込んでるの?」
視線は向けずに、言葉だけをそう投げかける
■伊都波 悠薇 >
離れた理由を姉が知ることはない。
言葉にするのは謀られる。だって――……
「あの人のこと」
ただぽつりと告げて――
「救われたいって言ってたから」
■伊都波 凛霞 > 「そうだね───」
手元でコップをくるくると遊びながら、空を見上げて…
「悠薇は、あの人のこと…どう思う?」
そう訪ねた
きっと妹には自分とはまた違うように、彼らのことを見ている
そんな気がして
■伊都波 悠薇 >
「――……」
静かに、目をつぶる。
何かがいる感覚。
「――天秤って、お姉ちゃんは欲しい?」
■伊都波 凛霞 > 「…んー……」
自分の質問の答えは一旦保留
投げかけられた妹からの言葉に、思いを巡らせる
「ゆらゆら揺れ動いて…悠薇の頑張りが、私のものになっちゃう。
でも、今はそれに悠薇との繋がりを感じているし、大事なもの。
だからいらないとは言わないけど、欲しいか、って聞けれたら…。
あってもなくっても、悠薇が近くにいてくれれば、今は私は、それでいいかなー……」
■伊都波 悠薇 >
「――そう。私みたいじゃなければ、ほしくないのかもしれない異能」
でもほしいと、いった。
なら――
「私と同じなのかな?」
■伊都波 凛霞 > 「…うん、そうなのかもしれない」
なんとなく、それは薄々と感じてもいたこと
ただそれを肯定するには、あまりにも理解が足りていなかった
「…あの人に、まだ関わりたいと思ってるの?」
■伊都波 悠薇 >
「ううん」
首を横に振った。
「別にかかわりたいなんて思ってない」
ただ――
――姉の勝利している姿を見たいだけだ
でも。
その、負けた人のことを考えるのも――
「物語って――敵役からはどう見えてるのかなって」
■伊都波 凛霞 > 「──……」
こくん、とコップに残っていたお茶を飲み干して
「私は、あの人が根からの悪人だとか、そういう風には思っていないよ」
今は、だけどね
と小さく笑って
「私達であの人を救えるのかもしれないし、あの人の妄想にすぎないのかもしれない…。
それでも彼のとった手段は…私達を…悠薇を利用することだった。
…見える角度が違えば、きっとすべてが違う色に見えるのかもしれない、けど……、
やっぱりお姉ちゃんはそれは、許せなかったから、ね」
あの人の視点に立つことはできないよ、と言葉を続ける
■伊都波 悠薇 >
「……視点が変われば」
見える世界。それは自分にとっても同じ話。
「助けたいと思う?」
お茶を飲まず、揺れる水面を見ながら
■伊都波 凛霞 > 「…あの人のしたこと、私達や友達を巻き込んだことは許せない。
でも、見殺しにしようなんて風には、思えないんだ」
手元のコップへと視線を落として
「今のままの彼の手法手段には協力できないし、私達や友達の為にもそこは曲げちゃいけないと思う。
だけど、結果として彼が何にも救われず消えてしまっていいと思うには、少し関わりすぎたかな。
何ができるか…何も出来ないのかも、しれないけど……」
■伊都波 悠薇 >
「――そう」
なら、助けたいって思うなら。
彼は悠薇に嘘をついた。
そう、彼は悠薇と同じ
――敵になんて、なれないじゃん
心の中で拗ねたような声を出せば――
……思考にもやがかかる。
自分が薄れていく感覚。自分じゃない何かが――出てくる感覚。
”また”
でも――
「……お姉ちゃんらしいね」
冷たいコップを握りしめながら。
ぐっとこらえて――
■伊都波 凛霞 > 「あの人がどう思うかは知らないけどね。私の単なる思い込みかもしれないし」
そう言って苦笑し、よいしょっと縁側から立ち上がってぐーっと伸びをする
「──さて、ちゃちゃっと残り片付けちゃおうっか。
そうこうしてるうちにお夕飯の時間になっちゃう」
■伊都波 悠薇 >
「――……」
立ち上がった、姉。
でも妹は立ち上がらず――
数秒、座り込んだまま
「うん、そうね」
静かに告げて
■伊都波 悠薇 >
「――なにから、しましょうか」
ゆっくり立ち上がり。伸びをして。
静かに静かに作業をもう一度――
一人足早に――……
■伊都波 凛霞 > 「──? あ、ちょっとまって一緒に」
ふと、猪毛の雰囲気に違和感を感じたような気がして所作が遅れる
「(……気のせい、かな)」
少だけし心配げに妹の顔を横目で見つつ、荷物の整理を再会するのだった
ご案内:「伊都波家」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「伊都波家」から伊都波 悠薇さんが去りました。