2017/01/03 のログ
ご案内:「伊都波家の居間」に伊都波 悠薇さんが現れました。
ご案内:「伊都波家の居間」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
一息……ふぅっと息を吐けば廊下では白く、ともる。
今日は大忙し。お参りに、あいさつに、あんまり着替えない衣装に着替え。
■■■――……■……■■……

「……――?」

年越してからというもの。
いや年越しする前からボーっとする時間が増えた気がする。

何を、しようとしていたんだっけ?

「……あぁ……」

居間に、そう。居間に。
家族がいる、居間に行こうとしていたんだった。

足早に向かう。
まだ、晴れ着のまま。

(あれ、着替えようと。思ってたはずなんだけどな)

ゆっくりと、廊下を歩いて――
ふすまを開ける。

すれば、こたつと、ミカンと――

伊都波 凛霞 > 「あれー悠薇まだ着替えてないのー?」

聞き慣れた声は声質は変わらず、でもどこか間延びしたイントネーション
それを発する見慣れた姿はパジャマにどてら姿、こたつでみかんをつまんでいる
完璧超人のお正月の姿である

「はやく着替えてはるかもおこたにきなよ~」

毎年真新しさもない正月番組を映すテレビをBGMに、
手元には食べかけのみかんと燗した甘酒のコップ

お姉ちゃん、ちょっとほろ酔い

伊都波 悠薇 >  
「――なんか、着替え、損なっちゃって」

なんでそんなことになっているのか、まったく思い出せないのだけれど。

「――お正月は、いつもだらけてるよね。お姉ちゃん」

その姿にくすりと笑いながら、こたつの中――ではなく、そばに座る。

イメチェンしたという時は驚いたものだが、少しは慣れてきた。
たぶん

「――あんま、飲みすぎちゃだめだよ。まだ未成年なんだから」

伊都波 凛霞 >  
「晴着、皺になっちゃうよ?」

苦笑を返しながら、お母さんが見たらきっと少しだけお小言だ

「お正月の三ヶ日まではだらけて良いって決まってるんですう~。
 お酒はー、お正月だからいいのいいの」

姉、凛霞は真面目ちゃんである
しかし生真面目やクソ真面目ではないらしかった

綺麗に剥いたみかんの一房を口に放り込んで、はい。と悠薇にも手渡す

伊都波 悠薇 >  
「……ん、知ってる。でも、なんかこういうの着れるのあと何回かなって思って」

微笑みながら、怒られちゃうかななんて舌を出し。

「だらけすぎは、ダメなんじゃないの? えっと、なんだっけ」

少し、考えてみる。
自分ではなく、友人。烏丸や、あの眼鏡の先生ならなんていうのかと。
新年だから、試しに意外な言葉で驚かせるのもいいかもしれない

「……ぐらまらす? な身体になっちゃうよ?」

なんか違った気がする。でも意味合いはあってる?

「ん、いただきます」

手渡されたはずのミカン。
だが、手で受け取ることはせず。
あーんっと口を開けてキャッチ。
ちょっと唇が指に当たったかもしれない

伊都波 凛霞 > 「んー、そういえばそうかもねー…、
 学生のうちはまだ着るんだろうけど……」

やっぱり若い内だけなのかな、なんて思ったりもして

「えー…普段しっかり運動とかもしてるんだから三ヶ日くらい気ー抜いてもいいってお父様も言ってたしー…。
 ぷ、グラマラスって…そう言うなら私もはるかも既に結構なものじゃないの?」

使い方、わかってる?
なんて少々吹き出したりもして

「む、お口でお迎えするなんて、普段は恥ずかしがるくせに~」

意表を突かれて一瞬だけ驚いたような顔を見せたものの、
その後はふにゃけた笑顔に戻ってしまった

伊都波 悠薇 >  
「――ん。それに私の場合は異能が、異能だし」

できるできないの、異能。
それが、どこまで左右するのかもわからない。

「――? 私も? お姉ちゃんだけ、じゃないの?」

首をかしげながら、口をもぐもぐ。
甘い、けど酸っぱい――……

「……酔っぱらってる?」

ふにゃけた笑顔には苦笑。そして――

「たまにはいいかなって。いつまでこうしていられるのかなんて、分からないし」

もう一度、同じような言葉を口にする。
別離、別れがない。
そんな夢幻は、ないということを身をもって知っているから……

伊都波 凛霞 >  
「お姉ちゃんが一緒にいるから大丈夫だよ」

にへっと笑う
何が大丈夫なのか明確なものはなにもないのだが

「そこ疑問に思うところ…?
 はるかもぉー、じゅうぶん、『ぐらまらす』だと思いまぁーす」

一転してむふふ笑い
酔っているというよりもふわふわしてる状態のようです

「ふんわりしていい気分なのは否定しないけど…はるかは心配性だなあ」

ごろんと寝転がる
座っている後ろには座布団が在り、ねっころがることも想定済みのポジショニングだ
これぞこたつの醍醐味

伊都波 悠薇 >  
「――そうだね。一緒にいるうちは、大丈夫。私たちが、私たちでいる間は」

少し、寂しそうな顔。
考える顔。思考して、少し困ったときの顔。

「疑問しかないですよ?」

なぜか敬語になってしまった

「心配します。妹ですから」

伊都波 凛霞 >  
「………」

じーっと、寝転んだままその顔を見つめる
百面相、というほどでもないものの、色んな感情が現れるその表情

「もしかして悠薇……」

よいしょ、と身体を起こしてコタツから出ると正座に座りなおす
…パジャマにどてら姿なのであんまり格好はよろしくない
じぃっとその顔を見つめたまま、神妙な面持ちで

「家出する気なんじゃ…?!」

何か辛いことがあったのかとか、お父様と喧嘩でもしたのかとか
お姉ちゃんがまた何かしちゃったのかとか、お母様に何か言われたのかとか
先日の夕飯のおかず(姉作)が気に入らなかったのかとか
今度は姉が百面相である

伊都波 悠薇 >  
「……はい?」

何を言い出すのか、この姉は。
はぁっと大きくため息。

正月は、ここまで姉をダメにしてしまうのか。

「――はぁ……」

もう一度改めて見つめて、溜息。
ちょっと傷つくかもしれないが、致し方ない。

「――しないよ、お姉ちゃんじゃあるまいし」

ぐさっとくる言葉を、そのまま告げた

伊都波 凛霞 >  
ぐさり

刺さった……
それはもうざっくりぐっさりと

「ごめん…酔い冷めました………」

なぜか敬語

正座が横に崩れてコタツにより掛かるような姿勢になってしまった

伊都波 悠薇 >  
「――はい、冷ましました」

ふぅっと、一息。
なんとも悪い気もするが、落ち着いてくれたならいい。

「――ねぇ、お姉ちゃん」

あっついっと、晴れ着を少し気崩す。
怒られそうだけど、でも仕方ない。

「――いつまで、私は、私かな?」

その言葉の意味は――

伊都波 凛霞 >  
正月だからと気を緩ませすぎた
妹に正されてしまったことも含めて反省しなければならない

「ん……」

先程からの、妹の表情と声色
何か、少し思い詰めているような…?

「それって、哲学的な話じゃないよね?
 ……何かあったの、小さな変化とか…何でもいいから話して」

姿勢を戻し、食い寄る

伊都波 悠薇 >  
「新年だから、気を引き締めないといけないから。去年、やり残した、残ったことも含めて」

本当であれば、去年のうちにどうにかしないといけない問題だったのだ。

でも、できなかった。なにも把握していないからこそ――

「一回、私はつながった。そして天秤を、取られかけた。その時からなの。その時からずっと考えてるの」

――天秤は、誰のものなんだろうって

その言葉は静か。
とても静かだ。

「つながって、私じゃない誰かのものになっていて。そして私も、本当は私じゃなくて――天秤の、皿――みたいなもので、本当の、”これ”はとか、考えるようになって」

少しずつ、零す。

「ねぇ、お姉ちゃん。私は――いつまで、こうしていられるんだろう?」

伊都波 凛霞 >  
「…はるかの異能は、私達姉妹のためのものだった。
 私の本来の異能も…私達、やっぱり二人のためのものだった」

均等を保とうとする異能と
それを揺らし続ける異能

「天秤ははるかのもので…
 これまでの私達をつくってきてくれたもの。
 知った時はショックだったけど…今は逆。はるかが妹であることがより誇らしくなったから」

すぅ、と大きく深呼吸をして、改めて向き直る

「…取り戻そうか、私達の大事なもの。
 それまではきっと大丈夫…私がはるかの側にいれば、ちゃんとはるかははるかでいられるよ」

根拠もなければ理屈も通らない、が…
言ったことは必ず実行する、もう妹に嘘はつかないと誓ったんだ

伊都波 悠薇 >  
うん――と、頷き。

ゆっくりと手を、重ねる。

「――ねぇ、お姉ちゃん」

そして近寄り――晴れ着が、崩れる。
見える、鎖骨。女性らしさ。

「――……私……」

安堵する言葉。
それは何よりも甘い。
甘い甘い――

――その様子に、また些細な違和感

伊都波 凛霞 > 「ん?」

応えるように重なった手を軽く握って
そろりと崩れた晴着を目ざとくすっともう片方の手でなおす

──現実問題、妹に何が起こっているかはわからない
そしてそれはきっと、軽く見て良いものでもない

戻ってきた『いつも通り』はきっと二人の力によるものだ
演出されたいつも通りで、そうなるように努力してきた

それでもこれを奪おうとする何かがあるなら……

伊都波 悠薇 >  
「私ね、お姉ちゃんのこと――」

――……す――

何かを言おうと、する。
口が動きかけた時――……

「……違う!!」

ばっと体を離して。

「――……あ、えと……」

困惑。
恐怖――

そして…… 

   表情には、負の感情がにじんで。

「や、やっぱり私、着替えてくるね?」

立ち上がり、表情を前髪で隠した

伊都波 凛霞 > 「…は、はるか…?」

慌てて離れる妹の様子に、何かが

何か言いようのない不安が過る
なぜなら

「………」

───

その時の顔が『紛うことなき、もっともよく知る自然な妹の反応』だったからだ

それは今妹の身に起こっている事が、
思っているよりも遥かに複雑で…厄介な事なのだということを悟らせる

伊都波 悠薇 >  
「なんでもないの、今のはなんでもないから。忘れてね?」

――おやすみなさい

あっけにとられる、姉を置いて。
居間を出る。
速足で、今すぐにでも遠ざかろうとするように――……

そして……ぱたんっと。
ふすまを閉じれば。

「今のは――、”だれ”?」

つぶやいて、走って。
自分の部屋に駆け――

伊都波 凛霞 >  
少しの間、呆気にとられていた

ややして、姉は立ち上がる
酔いは妹はふっ飛ばしてくれた、問題ない

それよりも

「お父様!お母様!ちょっとお話ー!」

炬燵を占領され奥で自分と同じくだらけているであろう父にそう呼びかけ
テレビを消して足早に居間を出て行く

───伊都波家の新年、去年に引き続いて波乱の予感…?

ご案内:「伊都波家の居間」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「伊都波家の居間」から伊都波 凛霞さんが去りました。