2017/01/12 のログ
ご案内:「伊都波家 妹の部屋」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 冬休みもあとわずか。
一念発起で、メールにて打ち込み。
いざや、我が家に招きたるは、頼れる先輩……

――相談事を聞いてほしい

すごく端的な内容のメールではあったが、とあるお方にお願いして。
内密の話ということで、我が家まで来てもらった。

そう、きてもらったのだ。

「どどどどどどどどどどどどどどど、どり!? どうぞ……」

嚙みつつ、どもりつつ。
自分の部屋に、客人を。
入室してもらうように促した

ご案内:「伊都波家 妹の部屋」に谷蜂檻葉さんが現れました。
谷蜂檻葉 > 「なぁーんでそんなに緊張してるのよ。
 ”あの時”の尖りまくってたあんたはどうしたっての。―――ま、こっちの方が悠薇ちゃんらしいかな。

苦笑しながら、部屋に足を踏み込んでゆっくりと視線を巡らせる。

「ふぅーん……なるほど、なるほど?
 なんか珍しい感じのが多いわねぇ、これ何? あ、なんかこれ可愛いかも。」

それから、止める間もなく物色を始めつつ

「―――それで、私に相談って何?」

ガサガサと手入れしながら顔だけ向けて、切り出した。

伊都波 悠薇 >  
「い、いえ。なんてったって初めてですので!? 誰かを家に招くことはっ!!?」

びっくり仰天というぐらい気合の入った返しである。

「いえ、その……尖っていたといいますか……あの……」

そういういじめは、よくないと思う。
そんなニュアンスで、涙目で見つめた後。ぱぱっと前髪で隠す。
あんまみられていい表情ではない。

「あ、かわいいですよね。それは、松風です。黒い毛並みとキュートか目がお気に入りです」

物色されているもの一つ一つを答える。
すべて名馬の名前がついているあたりさすがだった。

「いえ、あの。先輩は、その……」

失礼かなと思いつつ。

「先輩は、”先輩”、ですか?」

よくわからないことを口にした

谷蜂檻葉 > 「そんなに気合が入ってたらやり辛いってば……普通でいいのよ、普通で。」

そして、あのツンツンと自分を見失っていた彼女にとっての黒歴史を突けば、
涙目になる悠薇を見てキシシ、と意地悪げに笑ってみせた。

「いいのよ。何事も経験。
 良いことも、悪いことも、後から思い出して楽しいことも、悲しいことも。 ね?」

そうして、問いながらも一通り浅く物色をしていた手が、彼女の問でピタリと止まる。



「ふぅん……?
 それは、どういう意味なのかしらね。 この島に居る年数も、年齢も。

 ”先輩”かどうかで言えば、私は貴女の先輩なんじゃないかしら?

 それとも『私が私じゃない』、とでも?―――どこをどう見て、何て言うつもりなのかしら?」



―――その瞳が、”金色”に輝く―――

伊都波 悠薇 >  
「いえ、その、いっせいちっだいの勝負ですので……」

必死に野太い声を出してるが、かわいらしい声にしかならない。

「……はい。経験になるといいですが。その、まったく思い出したくもないことでもありますが」

しゅんっとしつつも――突然、そんな眼光で見られれば。

「ち、ちがいます!? そ、そういうことではなくてですね。その……あの……先輩は先輩であることは疑ってないです。先輩は大事な私の先輩です。先輩です、大事です」

すごく困った顔。
別にけんかを売る気は一切ないのである。
そう、本当に、本当に困った話で。

「そういうことではなくて……先輩は、自分ってどういう人か、説明できます?」

谷蜂檻葉 > 悠薇の否定で、すぐにその眼光は鳴りを潜めて紫紺の揺らめきを取り戻す。


「……私が、どういう存在か。 ねぇ。」

はて、と彼女の改めて投げかけられた問いに少し考え込むような素振りを見せた。


「私、谷蜂檻葉は常世学園の生徒で―――」


「図書委員所属の四期生。 女子寮を借りている、本島出身の半人半妖-ハーフ-。

 ついでに異能者であり、試験名は『体成匂薬《オート・アロマテラピー》』

 得意な魔術は自然体系に組み込まれる妖精魔術、精霊魔術-スピリット-。

 身長体重その他諸々個人情報はヒ・ミ・ツ♪


 ――――とかいう、パーソナリティではなく?」

スラスラと朗々と並べ立てておいて、「違うのでしょう?」と首をかしげた。

「自分の人となり、なんて。言葉にして誰かに伝えるなんて野暮じゃないのかしら。」

伊都波 悠薇 > 「……――」

ぽかーんっとしている。
パーソナリティを聞けばなんというかすごい人だった。
うん、間違いなくすごい人だった。
そして、身長体重と言われれば……

「そういえば先輩、ふくよかになりました?」

こてんっと首をかしげて。
うん、そういえばこう。ムチムチに、なっている、気が?

「――そうですね。そうです。普通は、そうやって言えますよね。でも――先輩……」

私は、それを言えません

すごく、真剣な声で。悲しそうに、寂しそうに告げた

谷蜂檻葉 > 「はい、お仕置き♪」

彼女にとっての『禁忌』に触れた悠薇の額に、一瞬で距離を詰めた檻葉のデコピンがパチコン、と跳ねる。


「―――さて、それはまた……コメントに困るわね。」


誰にでも言えるものだろう。
そう思って『違う』と促した分、檻葉は困惑した表情を見せた。

「もう少し、率直に。 かつ、簡潔に言いなさい。 悩み事の解決法は先ず話す事よ。」

伊都波 悠薇 >  
「あいたっ!?」

べちんっといい音が鳴った。
額を抑えて……すりすりと。

「…………――寝正月、食べすぎはよくないですよ?」

言い換えたつもりである。

「私は、”私”に自信がありません。特に”異能”に関して、断言できません。私は、”伊都波悠薇”なのかということに疑問を持っています」

問われればそのまま答えた。
冷静に冷淡に。感情を、殺すように。

「――”天秤”。それの持ち主は、本当に私なのか」

考えてきた。ずっとだ。そしてその疑念は、嫌な、形となって。
最近、悠薇にやってきた

谷蜂檻葉 > 「そりゃ。」

『口は災いの元』という言葉を知らないのだろうか。
グニ、と頬を摘んでこね回す。

谷蜂檻葉 > それから、静かに本題を切り出した悠薇の言葉に頷き。



「―――先ず、私にその異能について話しなさいってば。……ソレ-天秤-、聞いたことないんだけど?」

そう言って、「締まらないなぁ、この子は。」と苦笑いを見せた。
彼女の不安を知ってか知らずか、落ち着かせるような柔らかい声で。

伊都波 悠薇 >  
「――ふにゅ、いふぁいふぇふ、ふぇんふぁい」

つねられれば、うううっと、うめき声をあげながらもされるがままである。

「――ふぇんふぃん……天秤は……」

そういえば説明してなかった気がする。
すっかり、話したつもりでいた。
あぁ、だからか。だから彼女は、あんなに怒ってくれたのかとも納得する。

だって、みんなこれを知っていたから自分を――

そして説明をする。天秤のことを。
姉と、つり合いをとる――

そう、誰かにとっては不幸で。
自分にとっては幸福だった、天秤の話を

谷蜂檻葉 > 「……ふぅん、それで天秤か。」

改めて彼女に説明されれば檻葉は静かに口を挟まずに聞き終えた。
それから、どこか無関心そうな風に、彼女は相槌を打ち。

「―――その力が、『貴女の意志』に何か関係あるのかしら?」

心底解らないといった表情で、彼女は問いを投げた。

伊都波 悠薇 >  
「私の、意志ですか?」

意志が関係ある? 答えはノー
無条件で発動してしまうものだ。
そう自分は思っている、思っているのだ。
でも――

「私の意思で、コントロールできるものじゃないです。でも……」

そう、”でも”

もしそれに何かの意思が働いているのなら

谷蜂檻葉 > 「……あぁ、それは、少し意味が違うわね。」

彼女が、疑心に囚われて言葉を詰まらせたところで、手をひらひらとさせて檻葉は遮った。


「自信を持つ。自分が何者かを述べる。 ―――『自身を保つ』。

 其処に、その異能があるから「あーだこーだ」って言うっていうのは、関係あるのか?って聞いてるの。」

それはどこか、責めるような口調だった。

伊都波 悠薇 >  
「――……」

難しい言葉だった。自分には。自分にとっては。

自信を持つとか、まったくもって縁のない話だし。
それに――

「関係あります……だって、天秤は私のモノじゃないかもしれない。推測できる要素だってあります……いっぱい、あるんです……」

関係ない? なぜそう言い切れるんだろう。
そう言い切れる根拠を、悠薇は知りたかった。
教えてほしかった。
だから、彼女を呼んだ。
自分にはない視点を持つ、彼女を――……

「――私、お姉ちゃんが好きなんですよ」

そして、唐突の。告白だった

谷蜂檻葉 > 「……ねぇ、悠薇 。」

疎ましげに、悠薇を見つめる。

瞳が”黒く”濁っていく。

「貴女は、異能なの?  貴女は”天秤の異能を持っているから『伊都波 悠薇』”なの?

 ……私はね、『私は谷蜂檻葉だから谷蜂檻葉』なのよ。

 図書委員であることも、谷蜂檻葉が本が好きだったから。

 半妖の身は、谷蜂檻葉がそういう道を辿ったから。

 この島に来たのは、谷蜂檻葉が異能を手にしたことを自覚したから。


 ―――貴女のその悩みは、端から”論外”よ。


 先ずハッキリ言っておくけど。
 ”自分を話す為に、『付属品』を持ってくる”のであれば私は聞くつもりはないわ。

 貴女は、貴女でしかない。私にとってはね。



 ……”異能の相談”なら聞くから、続けてちょうだい。」

自身を話すために、異能を掲げてこれ以上語るというのであれば、
谷蜂檻葉ほど不適切な相手は居ない。

―――何故なら彼女は既にその道を通り、二度と戻らない事を誓ったのだから。

伊都波 悠薇 >  
「違いますっ……違う……そうじゃ、そう、じゃ……」

いつかと似たような光景だ。
だが決定的に違うのは、悠薇に聞く気があるということ。
そして、悠薇は”先輩”を頼っているということだった。

また彼女の通った道に、悠薇はいるなど誰が知りえるだろうか。

「……私はお姉ちゃんが好きです、好きなのに。最近は変なんです。好きなのに、その好きが――違うんです」

ぞっとしたのを覚えている。
あんな感情、絶対に。絶対に、自分のじゃない。

「違うんです、先輩。わた。わたしは――いつか自分が消えるんじゃないかって……怖いんです。怖いんです――……」

泣くつもりなんて、なかった。
のに、涙があふれて、止まらなかった。

そう、怖いのだ。自分じゃない誰かが――

■■■■■のは

谷蜂檻葉 > 歪な鏡を持ち出されたような不快感に気炎を吐いていた檻葉だったが、
切に訴える悠薇の様子に、先ほどとは別の意味合いで眉根を潜めた。

(いつか、消える……?)

彼女の言葉は全く要領を得ない。

追い詰めたせいだろう。

感情に翻弄されているからだろう。

―――違う、それだけじゃない。 ”言葉にしようのない何か”に彼女は怯えている。


「……っと、ごめん。私の悪い癖だ。 
 私が言い過ぎた。 落ち着いて。 ……落ち着いて、悠薇。 大丈夫、私が聞いてあげるから。」

直ぐ様、悠薇を抱き寄せるとゆっくりと背中を擦りながら、
感情の矛先を自分に向けるように囁きつつ彼女が落ち着くのを待つ。

伊都波 悠薇 > カタガタガタガタガタと震えている。
震え方が尋常じゃない、涙も止まらない。

「いやだ、消えたくない……私は私だ。天秤の持ち主、知らない……そんなの知らない……」

首を横に振る。嫌だいやだと――

「でも知らないと……知らないと、またお姉ちゃんに迷惑がかかる……私はもう一人じゃない、独りじゃない……みんなに迷惑かけちゃう……」

背中をさすられれば徐々に徐々に、震えは止まり。

「――せんぱい……こわいです、わたしは……」

つぶやきは、小さく