2017/01/13 のログ
■谷蜂檻葉 > 「……悠薇。 伊都波 悠薇。」
名前を呼ぶ。
ゆっくりと彼女を落ち着かせながらしっかりと名前を呼ぶ。
「伊都波 悠薇は、たった1つの心配をしなさい。」
彼女に、ゆっくりと言葉をかける。
「どんなに迷惑をかけたっていい。
誰かのために生きるのなんて、止めなさい。
”自分の為に”誰かを言い訳に使うの。 それは何も恥ずべき事じゃない。
だから教えて。 ―――何故、あなたが消えるの?
私は私のために、貴女を失いたくない。 ゆっくり、解ることを一つずつ教えてちょうだい。」
檻葉という少女が芯を持っているように見えるとすれば、
それは彼女の掲げる『自己中心主義』の賜物だろう。
「生きる」という意志の後押しに、これほど適した考え方もない。
■伊都波 悠薇 >
泣き声はそのままに。
「私は、受け入れたんです。あの人たちを。天秤を、取ろうとした人たちを」
そうだ、そう。思い返せばあの時からだ。
記憶が混濁し、いろいろいろいろと”らしくない”ことばっかりで。
「最初は変わったと思ってたんです、でも違って――」
そう。
そこから、”変わった自分”が出てくるようになって。
「天秤は、私のモノじゃないから。だから、本当の持ち主が、って推測をして――」
そこまで考えて。
だから、誰が自分を、”盗ろう”としているのか。
だれが”取り返そう”としているのか
「――そこまで、考えて」
考えて。
「――私は、私が怖くなって。私は、内側にいる誰かにおびえるようになって」
だから。
「私は、私だって証拠がほしくて……先輩に、私だって、言ってほしくて。だって、先輩は、私の”友達”、だから」
姉だってきっと言ってくれる。
家族だから。でも姉の前にはいきたくなかった。
姉の前では誰であるか自分は不確かだったから。
だから――そうじゃない友人の前で、吐露、したかったのだ。
「せんぱい、わたしはいつまで、わたしでしょうか」
支離滅裂。もう、悠薇にもわかっていないのだろう。
自分の中にいる誰か。
天秤の持ち主が、いつ自分を上書きするかなど――
「どうやったら”自身を保てるでしょうか”?」
■谷蜂檻葉 > (”別側面の人格”-アルター・エゴ- ……と、断じてしまうのが楽だけれど。)
さて、彼女に掛ける言葉は何を選ぶべきだろうか。
幾つかの選択肢が檻葉の前に浮かんでは消えていく。
―――基本的に、檻葉にとって彼女に起きる様々な過程というのは『どうでもいい』。
泣いても笑っても、檻葉にとっての価値はない。
では、これをどう言葉にするかともう一度噛み砕いて、
「……さっきも言ったけどね。
貴女は、貴女でしか無いの。『貴女自身が疑おうと』、私にとっての伊都波 悠薇は貴女しか居ないわ。」
だから、大丈夫よ。
そういって、もう一度強く抱きしめた。
その言葉の裏は、
『偽物だろうが檻葉にとって伊都波 悠薇はその偽物が”本物になる”』
という、あまりにも身も蓋もない事実だが、檻葉は勿論その言葉は口に出さなかった。
■伊都波 悠薇 >
「――せんぱいは……」
その言葉を受けて、ぐすっと。泣き止んで。
「先輩は、”先輩”ですね」
一生懸命笑い顔を作って、そう告げた。
彼女は、嘘はつかない。
ただ、いつもいつも”ずるい”言葉を持っていると思った。
だって、こうやって落ち着くことのできる言葉を投げかけてくれる。
たとえ、身のふたもない事実であろうと、その事実は悠薇にとっては”本物”だ
「ありがとうございます、先輩。少し、落ち着きました」
話はこれだけですと、告げて。体を離す。
「――相談に乗ってくれてありがとうございました」
■谷蜂檻葉 > 「もう少し、優しい言葉でも持ってればよかったのだけれど。」
谷蜂檻葉という少女は、認めた相手にはやたらに辛辣なところがある。
それは彼女なりの「甘え」であり、遠慮のない言葉を向ける『信頼』でもあった。
「そう。
……次はもう少し、話をまとめてから教えてちょうだいね♪」
最後は、また少しおちゃらけて。
「またね。」と声をかけて彼女は帰路についた。
ご案内:「伊都波家 妹の部屋」から谷蜂檻葉さんが去りました。
■伊都波 悠薇 >
「はい――……」
おちゃらけた言葉には微笑みを返して。
そして、見送れば――……
「また、先輩。もっといろいろ、教えてくださいね」
――■■のことを
そのつぶやきは、風に消えて――……
ご案内:「伊都波家 妹の部屋」から伊都波 悠薇さんが去りました。