2017/04/06 のログ
ご案内:「学園の講堂」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > ――春。
新しい何かが始まる季節。
冬が終わり、命が目覚める季節。

そして――学生にとってもまた。

伊都波 悠薇 > 長々と、続く話。
先生や、偉い人のこういったものももはや名物である。
あくびをしている人。
興味なさそうに、指で髪をいじる人。
隣と話し始める人――

話を聞いているかは定かではないが。

こうやって、みんなが集まり新年度のスタートを始めるということが大事なのだ

伊都波 悠薇 > ――その中に、当然。
伊都波悠薇もいた。

去年は決意の始まりだった。
高校生になって、姉と一緒の学び舎にまた入って。
おいて行かれないように、いつかなにかを返せるように。

―■が―負けないように。

そんな日々だった。でも――実際は……

伊都波 悠薇 > 実際は。

姉は、勝ち続けた。

おられそうになった時があった。
段々弱っていっているように見えた。
でも。信じた通り、勝ち続けた

伊都波 悠薇 > 自分は――

負け続けた。

成長はなかった。
むしろ退化していった。
少しずつ強くなっていっている、そんな錯覚から
叩き潰すように

――信じたくないくらい、負け続けた

伊都波 悠薇 > でもそれは、当然のことで。

自分はまけていたのではなく、勝っていて。
だからうれしくて、楽しかったのに。

姉にとっては違っていて。
初めて、姉に怒鳴って、怒って。

離れて――

そしてまた。つながって――……

伊都波 悠薇 > そうだ。離れていったのだ。

自分から目をそらして。離れて行って。
逃げて行って。

追いかけて追いかけて。必死になって追いかけて。
どうか振り向いてとお願いしたのに。

”彼”は、振り向いてくれなくて。
おいて行って。

そして、”彼”は捨てたのだ。
捨てておきながら、”彼”が告げたのは怒りの言葉。

――どうして、お前はそんなに醜いのか

伊都波 悠薇 > ――でも。

違う、あの人は違う。

離れていったあと、思い直して帰ってきてくれた。
一緒にいてとも言ってくれた。
あぁ、どれだけまったか幾星霜。

ついに天秤は秤を平等に。

ついに、ついにであった――”愛しい人”。

だから――

伊都波 悠薇 > ――今年は。

生まれ変わる年。

新年度。

「――……」

髪を、かきあげて。ヘヤピンで止める。

誰も気づかない。
誰も、思わない。

まだ――

伊都波 悠薇 > ――これにて、始業式を終わります

マイクから告げられる声。
終了の音、始まりの音。

――さぁ、1001回目を始めようか

ご案内:「学園の講堂」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「学生街」に伊都波 凛霞さんが現れました。
ご案内:「学生街」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 学生街の通りに面した小さな喫茶店
オープンテラスの席の一つに私服姿の姉妹が座る

テーブルの互いの対面には二人の注文したケーキセット
お昼過ぎのちょっとしたティータイムを二人で過ごしていた

始業式を終えて、本格的に講義のはじまる前に
ちょっとだけ羽根を伸ばそうと凛霞が誘ったのだった

にっこり笑って『デートしない?』だなんて言葉をかけて、少しだけ強引に

「あ、悠薇のも美味しそう。
 私のと少しずつわけっこしよ?」

当の姉といえば実に愉しげにデートを満喫しているようで…

伊都波 悠薇 >  
さて――対して妹といえば。
そんな風に誘われて。今までであれば。
狼狽し、慌てて。変な方向へと迷子になるのが今までの流れだったが。

今日は――

「……ん、いいよ。はい」

――え、いいの!?

なんてまるで、恋人にでも誘われたかのように喜び。
部屋へと駆けあがり、”制服姿”でやってきた。

妹は、自分の頼んだモンブランを――

”かきあげた前髪”から覗く笑顔で。無邪気にフォークですくって差し出した

伊都波 凛霞 >  
さてさて、姉のほうはと言えばフォークで丁寧に切り分け、
そちらの皿へと移そうと思っていたのだが───

「えっ?」

妹は笑顔で、それを差し出してきた
これは要するにアレなのだった

内心ちょっとどきっとした自分を抑えて、
こういうことくらい逆の立場では今までもあったものだ
子供の頃の話だけど……

「あ、あーん…」

ちょっとだけ周囲の視線を気にしつつ、頬張る
あっさりしたマロンとクリームの甘さが口いっぱいに広がる
文句のつけようのない美味しさに思わず顔も綻んだ

「──そういえば、顔隠さなくなった?
 新学期の意気込みかなって思ったけど、うんうんやっぱりそのほうが可愛いよ」

言いながら、自分のチョコレートケーキを同じようにフォークですくい、差し出してみる

伊都波 悠薇 >  
「……おいしい?」

首をかしげながら、すっとフォークを姉の口から引き抜き。
そのまま、モンブランを自分用にとり自分の唇へと運ぶ。

当然、周りの目線はちらちらと集まっていたりするが――妹は特別気にしていない様子だった。

「――ううん。ちょっと違う」

ん、おいしいなんて言いながら微笑みつつ。

「もっと、見てほしいなって思ったから」

少し頬を染めながら告げる様子はまるで恋する乙女のよう。

「――そう、うれしいな」

その声に、隠れた”感情―もの―”は――

そして妹は、恥ずかしがる様子もなく。
ぱくりと食いついた

伊都波 凛霞 > 「う、うんおいしい」
 
あれ?と思う
たいていこういう時は、妹のほうがわたわたと慌て、
自分がふふっ、なんて笑っているような立場だったのだけれど
周囲の視線をちらちらと気にして自分が頬を染めているようではこれで逆である

「見てほしい、か。いいね、私も自慢の妹のこともっと…ん?」

妹の口から帰還したフォークを眺めて、ふとニュアンスが違うことに気づく
いや、もう間違えようがないのだけれど

「──うん、可愛い悠薇の顔がよく見えて私もそっちのほうがいいなって思う。
 この後どうしよっか、服なんかも見に行く?」

伊都波 悠薇 >  
「ん……」

うれしそうに、でも恥ずかしそうにうなずく。
言うまでもなく、なぜかといえば”気づいてくれた”からだ。

ちゃんと、言い直してくれたのでそこも含めて。

「――服、か」

今日はあえての制服である。
というのも、学生のデートは制服が鉄板だと、いろんな小説に書いてあったからで。

「お姉ちゃん、買いたい洋服でもあるの?」

伊都波 凛霞 >  
「そうそう、悠薇って私のお下がりとかが多いし、
 私もちょうどちょっと春物がキツくなってきちゃって、新たしいのみたいなって」

はむ、とケーキを頬張って笑う

「悠薇と商店街一緒に歩くのも、学園のほうに入ってからはなかったしね。
 他にも欲しいもの合ったら色々見てまわろう?おうまさんグッズとか、最近買ってないんじゃない?」

伊都波 悠薇 >  
「……私は、おさがりでも気にしないけれど」

紅茶を飲みながら。
ケーキをほおばったタイミングで。

「――家族って、間接キス。有効なのかな?」

なんて。
いいながら、ほっと息を吐いた。

「――そういえば。そもそもお姉ちゃんと一緒っていうのが少なかったかも? ……おうまさん?」

あぁ、そういえばなんていいながら。

「そうだね、買ってなかったかも」

あまり、興味がなさそうに

伊都波 凛霞 >  
そう、なんだろうか?
もともと主張が強い子ではなかったのもあるけれど
妹はおさがりばかりで不満、というのをよく耳にするのだが

「むくッ」

そして続いた言葉に思わず咽る
けほけほ小さく籍をして、紅茶のカップを慌てて口元へと

「もう、何いきなり…。別に子供の頃からやってたじゃない。
 ……ていうか、有効だったらどうだっていうの…?」

なんだか誂われたような感じで少しだけむっすりしたような顔で…

そして、おうまさんの話題には驚くほど食いつかなかった

「あんなに好きだったのに、卒業ってやつなのかな?
 ほら、いつも身につけてたこひばりとか──」

あのストラップどうしたの?とカップを置きながら、訪ねた