2017/09/24 のログ
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「うわー、こっちもささくれちゃってる…もう大分傷んできたなぁ…」
そんなことをぼやきながら道場の掃除をしているのは伊都波家の長女、凛霞
道着袴姿に素足といういつもどおりの稽古の後の格好で、道場の掃除をしつつ柱などをチェックしている
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 「あぇ、姉さん。今日は稽古の日だっけ?」
ジャージ姿。稽古をするつもりもない格好。
そしてなんとも地味なそれで妹はやってきた
「ふぁぁ……どう、調子は。次期跡取り様?」
■伊都波 凛霞 >
ぱたぱた、とはたきをかけながら振り返る
「おはようはるか。
そうだよー、…はるかはまた稽古おやすみ?」
小さく肩をあげながら、
道場にはそぐわない格好で現れた妹を見やる
「調子はいつも通り、
まだ私が跡取りって決まったわけじゃないけどね」
ぱたぱた、と掃除の仕草へ戻る
わざわざ口に出したそれは、きっと姉としての強情な部分である
■伊都波 悠薇 > 「する理由がないもん。私には」
そっけなくそんなことをいいながら、うわぼろっちぃ、なんて。
「いつも通りってことは、ほぼパーフェクトってことじゃんね。さすが姉さん」
くすくすと笑って、耳に髪をかける
「跡取りでしょ、私には継ぐ気がないんだから」
■伊都波 凛霞 >
「……お茶でも飲む?」
丁度掃除も一段落したのか、にっこりと笑って水筒を持ち出す
上蓋が二重になっていて二人分のコップがついているものだ
「"今のはるか"がそうでもね……。
あの子が私にちょっと遅れて、武術を習いはじめて、
お父様も複雑だったのだろうけれど、あの子にもちゃんと師事をさせてた」
言いながらコップに冷たい麦茶を注いで、はいと手渡して
「伊都波の古流武術は一子相伝、どちらかしか後は継げない。
……あの子はどういう気持で稽古をしてたのか、私にはずっとわからなかったよ」
どちらかが積み上げてきたものを捨てなきゃいけないのにね、と苦笑する
「……今のはるかにしても、意味がない話かな?」
■伊都波 悠薇 > 「準備がいいね、相変わらず。完璧姉さんだ」
やれやれと肩を竦めて。コップを受け取る
「どうだろう。結局、あの子は貴女に追いついて、憧れに追いついて。ただ頼られたかっただけの女の子だから。恩返しして、ただその一瞬がアレばいいって思ってただけだから」
――そのためには。
「絶対に追いつけなくても側にいなくてはみたいな、義務感だったかもしれないよ」
ずずっと麦茶を飲んで
■伊都波 凛霞 >
「…義務感、か………」
一口、お茶を口元へと運ぶ
稽古の後の乾いた身体にはとてもよく沁みる
「側にいるつもりだったから見えないところがあったし、
側にいるつもりだけだったから、あの子を傷つけちゃった
もう一度、と思うけれど……」
ちらり、とはるかを見る
今の妹の様子は、過去の面影がまるでない
姿形は間違いなく自分の妹であるのに
「はるかは、今の私よりも多分、悠薇のことをわかってるからね」
■伊都波 悠薇 > 「まぁ、そりゃそうよ。依代、みたいなものに今はなってるもの。あの子の過去なんて知ったことじゃないし、いらないものだけれど。勝手にはいってきてしまったものを突っぱねられたり出来ないもの」
いくらなんでもね、なんて呟いて。
「ま。あの子に宿った天秤を恨むことね。そうじゃなければ、こんな風に歪むこともなかったでしょうに」
■伊都波 凛霞 >
悠薇の言葉に、はっとしたような顔をする
「………」
あの子に宿った天秤
その言い方が、気になって
「…今のはるかの中に、天秤はないの?
それとも……残った、まま…?」
■伊都波 悠薇 > 「道具としては、存在はするわね?」
それは答えになっているのかいないのか。
「受け皿としてしか、生きれないはずの天秤が。歪んだのはあの子だったから、だったわけだけれど――やれやれ使いづらくなったものね」
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」に伊都波 悠薇さんが現れました。
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■伊都波 凛霞 >
「君はいつもなぞかけみたいな言い方するね」
再び苦笑
「私はまだ悠薇が戻ってくるのを諦めたわけじゃないから、
やっぱり君のことを悠薇って呼ぶのが実はまだ抵抗があるんだ」
父様や母様も、おそらく妹の異変には気づいている
当然、あの異能のことも
それでも見守っているということは、自分と同じような気持ちなのかもしれない
「君は君であって悠薇とは別の人格。
悠薇って呼ばれるのは、イヤじゃないの?」
これは純粋な疑問点である
彼女の性格を鑑みても、それを是とするのはよくわからなかったのだ
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」から伊都波 悠薇さんが去りました。
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■伊都波 悠薇 > 「だって、面白くないじゃない」
くすくすと、微笑むそれは。まるで妙齢の。
「別に。困りはしないもの。それが便利なのはわかってるし、なにより愛するあなたが、愛してる名前だわ? そっちのほうが都合もいいし」
■伊都波 凛霞 >
「それに振り回される私は、結構気を揉んでるんだよ…?」
妹の反応にはぁ、と肩を落として
「便利で、都合がいい……かぁ…」
飲み終えたコップ水筒に被せる
…この道場で子供の頃から一緒に稽古を繰り返してきた妹が今はいない
妹はいるけれど、この妹は自分と一緒に稽古などはしてくれない
「…寂しいな。
あの子がいないと、私も何のために稽古をしてるんだろうって気持ちになる」
■伊都波 悠薇 > 「えぇ、知ってるわ? おかげで、私に気を向けてくれて嬉しい」
それが狙いなのだろう。その様子を見つめて
柔らかく目を細めた。
「また、あの子のためって理由を使ってるの?」
■伊都波 凛霞 >
この妹の狙い通り、としても不思議と嫌な気分にはならず
「あの子のため、になるのかな。わからない。
でも自分の為にとか、家の為にとか…そういうのよりは、間違いなく大きな理由だったから」
古びた、道場の天井を仰ぐ
「なんだか、半分欠けちゃってみたいで、意欲が足りなくて…」
先程はいつも通り、と応えたけれど、
本当今朝も父様に怒られちゃった、と笑う
■伊都波 悠薇 > 「間違ってないわ。半分、欠けたという言い方は。天秤の受け皿の一枚は間違いなくあなただったのだから」
やれやれと、肩を竦める。
「あなた、あの子のことになると。脆いわねぇ」
■伊都波 凛霞 >
「………うん」
お姉ちゃんなんだから、我慢しなさい
お姉ちゃんなのだから、お手本になりなさい
そういうものは我が家には何もなかった
何もなかったからこそ姉としての自覚に芽生えた
妹の誕生日や進学も自分のことのように喜んだ
「強かったのは、お姉ちゃんとしての私だけだったからね」
■伊都波 悠薇 > 「それなら。今からやり直しね」
ふと、思い付いたように。
「姉さんは、生まれ変わらないと。
ふふ、そうよ。姉としてではなく、一人の女として。
これからは。ふふふ」
■伊都波 凛霞 >
「やり直し?」
きょとんとした顔をする
けれどその続きの言葉には、納得させられる部分もあって
「…お姉ちゃんじゃない、一人の女として、かぁ……それは…」
そう、納得させられる部分も、あった
でも
「……あの子のことは、諦めろっていうことかな」
■伊都波 悠薇 > 「そういうわけではないけれど
そんなに、中心にすることはないとは思うわ?
だってーー」
体育座り、膝の上に頭をおいて。
「なにか、できる手段があるわけでもないのでしょう?
いなければ、無力だと自分で今、言っていたじゃない」
■伊都波 凛霞 >
「…そうだね」
手掛かりは潰えて
ただ信じて待つことしかできない
がむしゃらに探し求めたところで駄目だということも、よくわかっている
「案外ね、割り切れなくって。
勉強や稽古に身を入れればーなんて思っても、
ずっと片隅には残っちゃう感じ。やっぱり───」
立ち上がって、小さくため息
「二人一緒がいいよね。…ちょっとシスコンっぽい?
もしかしなくても転機なんだろうけど、はるかのことが、自分よりもみんなよりも、一番だから。
現実が厳しくっても、おいそれと変われないよ」
■伊都波 悠薇 > 「とかいいながら、振ったくせに」
そこまで、思っていながら。
それを分かっていながら。
利用した告白は、すっぱり、切られた。
よく、わからないものだ
「ーーなら、天秤をうまく使えば?」
なんて、口にして立ち上がる。
ぱんぱんっと。おしりの辺りをたたいて
「ーー結局、あなたたちを振り回してるものってそれでしょう?
道具に振り回されてたら。そりゃ、うまくいかないわよ」
じゃあおさき、なんて。手を振って。
道場をあとにしようと……
■伊都波 凛霞 >
「それは───」
それは、違うものだと思っていたから
本当は大きな差なんてないものの筈が
一般常識、世間体、倫理…あらゆるものがそれを否定したから
違うものだといっていたからだった
「……天秤を?」
顔をあげる
天秤をうまく使う
それはどういう意味なのか、それとも、そのままの意味なのか
この子の言うことはどこか謎めいていて、そのままの意味で受け取って良いのかがわからない
そんなことを言っている間に、とっとと彼女は道場からいなくなってしまった
「………天秤を、使う…」
繰り返した言葉
その華奢な拳は小さく握られていた
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「青垣山山中・伊都波家離れの道場」から伊都波 凛霞さんが去りました。