2018/11/13 のログ
■神代理央 > 「…構成員の異能が委員会の予想を超えた攻撃力。拿捕した構成員の意識に変調有り……?」
どうやら制圧自体は成功している様子だが、どうにも報告書の内容がおかしい。
異能持ちの構成員の中にずば抜けて強力な異能を発揮する者が数名おり、捉えて尋問を行おうにも既に廃人一歩手前に成り果てていたとか。
「…つまり、連中の主力は異能使いで魔術師は予備戦力……という訳でもなさそうだな。いや、これは……」
違反薬物か魔術による底上げか。どちらにせよ、直近の報告書を精査する必要があるだろう。
或いは、刑事課の連中が何か知っているかもしれない。先ずは情報を集めるのが先決だろう。
「…どちらにせよ、暫くデスクワークはお休みか」
現場での面倒事が増えれば、自分の様に個人で集団戦を行える委員は駆り出される機会が増えるだろう。
此方が陽動している間に、本命が敵の幹部だの本拠地だのを叩く。理想的な用兵ではあるが、貧乏くじを引かされる方は堪ったものではない。
先程よりも深い溜息を吐き出して、通信端末を仕舞い込んだ。
■神代理央 > 「…まあ、作戦が成功した事だけは良しとしよう。幸い大した被害も出ていない様だし、それに…」
金属の異形達を引き連れながら僅かに考え込む。
やがて、軋んだ金属音を上げる己の召喚物を見上げて―
「……いや、流石に考え過ぎか。少し疲れているかも知れんな」
僅かな憂いを込めた溜息を零し、制服を軽く叩いて廃屋と化したマンションの跡地を後にした。
ご案内:「スラムの廃マンション」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「山奥・廃寺跡」に伊弦大那羅鬼神さんが現れました。
■伊弦大那羅鬼神 > ━━━━山奥の何処か。
今にも朽ち崩れそうな山岳にある廃寺。昔こそそこに人の息もあっただろうそこは、今は既に過去となり。
今はただ、虫や僅かな生き物ばかりが束の間人の足から逃れて住まうそこに。
「━━━━。」
崩れ落ちた屋根を辛うじて支えるような柱に背中を預けるように蹲る襤褸があった。月も照らさない暗闇の中、傍らの赤熱するような光を孕む槍だけが仄かな灯となる。
……静寂を僅かに破るのは、風鳴りと、虫の鳴き声。
そして、その襤褸が時々蠢く時の布ずれの音だけ。
その眼は閉じられて、惰眠を貪るのだろう。寝顔は襤褸の奥、ただ時々、ただ蠢く。
■伊弦大那羅鬼神 > 遠く
どこかで
虫の声が
りぃん 。
「━━━━。」
静寂。
気配も微かに 草木をかいて
どこかで、 きぃ、きぃ
生き物は通り過ぎていく。
山の一部だと、
槍の灯りに影を朧に
…………傍らを、餌を求めるネズミが過ぎても、怠惰な眠りは続く。
■伊弦大那羅鬼神 > ━━━━こつ。
「━━━━グ。」
肩に、何かが落ちてきた。僅かな身悶えをして、ゆらり、と。
目を閉じたままに、落ちてきた物を、襤褸の中から伸びた手が探る。
…………手にあたる感触をゆっくりとつまみ、指先が転がした。
小さな胡桃。
「━━━━━━━━━。」
……きぃ、きぃ。
上で、何かが鳴いていた。落とし主らしき動物の声を耳に、首を上へ上げると、それを。
━━霞むほどの速さで投げた。
そしてそれはパキャンっと、天井に当たって砕けたらしく、上から僅かな殻の破片だけが降り。
上で、小さな鳴き声がお礼のように一声、きぃ。
……足音が遠ざかれば、再びごろりと、今度は横になって襤褸をまとった。