2018/12/02 のログ
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
いつもの私服や制服ではなく、黒を基調としたシックな平服
服は気分も変えるもの、こういう黒に身を包むだけで少しだけしめやかな気持ちになる…気がする
手にはお供え物の入った小さな手提げ袋
そして、背後…じゃない、隣には……
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 対して、妹は制服だった。
特になにもかわりなく、ただそこにいるだけ
だって、ここに来るべきは、姉で
姉が決着をつけるべきだから
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「悠薇に言われなかったらまたしばらく来れなかったかもね」
墓地の隅、あの時と余り変わらない墓石の前に立って
途中汲んできた桶の水を墓石へと流しかけた
お寺の人が管理してくれているのか、汚れや雑草なんかはあまりない、が…
もう随分と、誰も参りに来ていないのがなんとなしに雰囲気でわかってしまう
「いつぶりだっけ……」
言葉を紡ぎながら、お供え物を袋から取り出していく
最後に、お線香にマッチで火をつけて……
■伊都波 悠薇 > 「……知らない。だって仲良かったのは実際姉さんだもの。私はどちらかというと顔見知り、くらい。でも名前だけはしっかり覚えてる」
はぁっと息を吐く。白い息が漂って
「――姉さんにとって、どんな人、だったんだっけ?」
さむいっと、手を擦りながら
■伊都波 凛霞 >
「……んー…」
どんな人、と言われて天を仰ぐ
今日は曇天
風も少しだけ、薄ら寒い
「手のかかる人、だったかなあ」
言いつつ、苦笑する
伊都波の後継者候補として、退魔の家柄であった出雲寺とは浅からぬ付き合いがあった
丁度年も近く、お互いに家を継ぐ立場…
自ら先陣を切り退魔のしごとに就く彼の家は光、
正体をひた隠しそのサポートをする伊都波の家は影
たびたび相手の家は変わったらしいけれど、古くは戦国時代から続くならい
…とこのへんの深い事情は妹は知らない筈だけれど
「だからか知らないけど、あんまり死んじゃった気もしなくてね。
気がついたら随分お墓参りからも遠のいちゃった」
杓子で水をもう一度、お供え物へとかけて
■伊都波 悠薇 >
「死んじゃった気がしない?」
変な、物言いだ。手のかかる人――だったらずっと、気にかけていたってことだろうか。
なのに――墓参りをしない?
「――認めたくなかった、ってこと?」
言わんとしてることが理解できなくて。
質問を重ねる
■伊都波 凛霞 >
「だって最後の顔も拝め見れなかったんだもの」
苦笑しつつそう返す
あの時のことはよく覚えてる
遺体のない葬儀なんて、不憫で仕方がなかった
「認めようにも、ね…」
数珠を取り出し、左手にかけて、手を合わせた
■伊都波 悠薇 >
「……ふぅん――」
妹にしては、珍しい。そっけない、返しだった
普段はそんなふうなことしないのに――
「ねぇ、姉さん」
静かに
「好きだった? その人のこと」
まっすぐ、投げかける
「だから、認めたくなかったの?」
■伊都波 凛霞 >
「…どしたの?」
妹の、いつもとは違う態度に首を傾げる
墓参りに来よう、といったのは妹だったのに
何か、あったのだろうか
「…ん? …ん~………」
特にその問いかけに驚きはしなかった
そういう噂をされたこともあったし、もちろんそういった関係になったわけではなかったけれど
「そうだね。思い返すと、そうだったのかも」
再び苦笑しながら、そう応えた
■伊都波 悠薇 >
「そう……」
じゃあ、やっぱこの気持は――
「私は、嫌いだった」
嘘じゃない。だって”逆”だ。異能――
あれが機能していたならいたって自然で――
「嫌いだった、から。すごく、もやっとしてた」
意識しないようにしてたのか、それともそうではないのか
「でもね、姉さん」
だからこそ確信めいた、なにかが。あった
「だからこそ、変だよ」
■伊都波 凛霞 >
「……?」
それは、知らなかったけど
顔見知り程度の彼をなぜそんなに?という疑問と、もうひとつ
「じゃあ、なんでお墓参りに来ようなんて…?
……変って、何が?」
妹は自分の気づいていないことに気づいている…のかもしれない
数珠を仕舞い込みながら、墓前で向かい合う
■伊都波 悠薇 >
「――このタイミングで、私が”思い出した”ことがだよ」
なにもないならそれが一番いい。でも――
「だって嫌いだった人のこと、突然思い出すなんて――おかしいもの。それに――それが”釣り合いの取れた”感情であった対象ってことも――」
だから確かめたかった
「このお墓参りで、それが予測から。確信に近くなったよ」
もしかしたら
「その人に関する何かが、動いてるかもよ」
全ては推測。でも
「――姉さん」
姉さんは――
「コレを訊いて、どう、する?」
■伊都波 凛霞 >
「…思いすごしだよ。
もう何年も前に、終わった話なんだから───」
彼が消息を経ったのはもう何年も前のこと
青垣山で、鬼を討伐しになぜか独りで向かって…そのまま帰ってこなかった
鬼
ふと、その単語が思い浮かぶ
最近…鬼に関する話を聞いたような……
「………」
言葉が詰まる、眼が困惑に揺れて
「…そろそろ、帰ろっか。ひと雨きそうだし、風も冷たくなってきた」
■伊都波 悠薇 >
「姉さん」
帰ろうとする姉の腕を掴んだ
「なんで、ごまかすの。彼のことになると」
どうして――
「男性のことになると避けるのは、彼のせい? 姉さん」
なんで――
「……逃げるの? 逃げてるの? 姉さん」
墓の目の前からすらも――
「――なんで?」
妹は、じっと姉を見た
■伊都波 凛霞 >
「………」
腕を捕まれ、立ち止まる
「誤魔化してなんか、それに…避けてるわけでも」
否定の言葉は最後まで続かない
妹には嘘はつかないのだと決めていたから
だから、嘘はつかずに───
「…帰るよ、悠薇」
質問には、答えなかった
妙に儚げな視線を、肩越しに向けて
ぽつ、ぽつ、と
小さな雨が振り始めていた
■伊都波 悠薇 >
ぎゅっと唇を噛んだ。
隣と、そう言ったくせに。隣にと、そう言ったくせに
――立ててないじゃない。ばかはるか……っ
なにも返せはしない。返しても意味がない。
だったら――
「――……」
――見つける。今度は自分が
姉を助けるんだ
その決意を姉の背に隠して――
妹は付き従った
雨は――少しずつ激しくなって
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 悠薇さんが去りました。