2018/12/02 のログ
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
いつもの私服や制服ではなく、黒を基調としたシックな平服
服は気分も変えるもの、こういう黒に身を包むだけで少しだけしめやかな気持ちになる…気がする

手にはお供え物の入った小さな手提げ袋

そして、背後…じゃない、隣には……

ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 対して、妹は制服だった。
特になにもかわりなく、ただそこにいるだけ
だって、ここに来るべきは、姉で

姉が決着をつけるべきだから

ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「悠薇に言われなかったらまたしばらく来れなかったかもね」

墓地の隅、あの時と余り変わらない墓石の前に立って
途中汲んできた桶の水を墓石へと流しかけた

お寺の人が管理してくれているのか、汚れや雑草なんかはあまりない、が…
もう随分と、誰も参りに来ていないのがなんとなしに雰囲気でわかってしまう

「いつぶりだっけ……」

言葉を紡ぎながら、お供え物を袋から取り出していく
最後に、お線香にマッチで火をつけて……

伊都波 悠薇 > 「……知らない。だって仲良かったのは実際姉さんだもの。私はどちらかというと顔見知り、くらい。でも名前だけはしっかり覚えてる」

はぁっと息を吐く。白い息が漂って

「――姉さんにとって、どんな人、だったんだっけ?」

さむいっと、手を擦りながら

伊都波 凛霞 >  
「……んー…」

どんな人、と言われて天を仰ぐ
今日は曇天
風も少しだけ、薄ら寒い

「手のかかる人、だったかなあ」

言いつつ、苦笑する
伊都波の後継者候補として、退魔の家柄であった出雲寺とは浅からぬ付き合いがあった
丁度年も近く、お互いに家を継ぐ立場…
自ら先陣を切り退魔のしごとに就く彼の家は光、
正体をひた隠しそのサポートをする伊都波の家は影
たびたび相手の家は変わったらしいけれど、古くは戦国時代から続くならい
…とこのへんの深い事情は妹は知らない筈だけれど

「だからか知らないけど、あんまり死んじゃった気もしなくてね。
 気がついたら随分お墓参りからも遠のいちゃった」

杓子で水をもう一度、お供え物へとかけて

伊都波 悠薇 >  
「死んじゃった気がしない?」

変な、物言いだ。手のかかる人――だったらずっと、気にかけていたってことだろうか。

なのに――墓参りをしない?

「――認めたくなかった、ってこと?」

言わんとしてることが理解できなくて。
質問を重ねる

 

伊都波 凛霞 >  
「だって最後の顔も拝め見れなかったんだもの」

苦笑しつつそう返す

あの時のことはよく覚えてる
遺体のない葬儀なんて、不憫で仕方がなかった

「認めようにも、ね…」

数珠を取り出し、左手にかけて、手を合わせた

伊都波 悠薇 >  
「……ふぅん――」

妹にしては、珍しい。そっけない、返しだった
普段はそんなふうなことしないのに――

「ねぇ、姉さん」

静かに

「好きだった? その人のこと」

まっすぐ、投げかける

「だから、認めたくなかったの?」

 

伊都波 凛霞 >  
「…どしたの?」

妹の、いつもとは違う態度に首を傾げる
墓参りに来よう、といったのは妹だったのに
何か、あったのだろうか

「…ん? …ん~………」

特にその問いかけに驚きはしなかった
そういう噂をされたこともあったし、もちろんそういった関係になったわけではなかったけれど

「そうだね。思い返すと、そうだったのかも」

再び苦笑しながら、そう応えた

伊都波 悠薇 >  
「そう……」

じゃあ、やっぱこの気持は――

「私は、嫌いだった」

嘘じゃない。だって”逆”だ。異能――
あれが機能していたならいたって自然で――

「嫌いだった、から。すごく、もやっとしてた」

意識しないようにしてたのか、それともそうではないのか

「でもね、姉さん」

だからこそ確信めいた、なにかが。あった

「だからこそ、変だよ」

伊都波 凛霞 >  
「……?」

それは、知らなかったけど
顔見知り程度の彼をなぜそんなに?という疑問と、もうひとつ

「じゃあ、なんでお墓参りに来ようなんて…?
 ……変って、何が?」

妹は自分の気づいていないことに気づいている…のかもしれない
数珠を仕舞い込みながら、墓前で向かい合う

伊都波 悠薇 >  
「――このタイミングで、私が”思い出した”ことがだよ」

なにもないならそれが一番いい。でも――

「だって嫌いだった人のこと、突然思い出すなんて――おかしいもの。それに――それが”釣り合いの取れた”感情であった対象ってことも――」

だから確かめたかった

「このお墓参りで、それが予測から。確信に近くなったよ」

もしかしたら

「その人に関する何かが、動いてるかもよ」

全ては推測。でも

「――姉さん」

姉さんは――

「コレを訊いて、どう、する?」

 

伊都波 凛霞 >  
「…思いすごしだよ。
 もう何年も前に、終わった話なんだから───」

彼が消息を経ったのはもう何年も前のこと
青垣山で、鬼を討伐しになぜか独りで向かって…そのまま帰ってこなかった



ふと、その単語が思い浮かぶ
最近…鬼に関する話を聞いたような……

「………」

言葉が詰まる、眼が困惑に揺れて

「…そろそろ、帰ろっか。ひと雨きそうだし、風も冷たくなってきた」

伊都波 悠薇 >  
「姉さん」

帰ろうとする姉の腕を掴んだ

「なんで、ごまかすの。彼のことになると」

どうして――

「男性のことになると避けるのは、彼のせい? 姉さん」

なんで――

「……逃げるの? 逃げてるの? 姉さん」

墓の目の前からすらも――

「――なんで?」

妹は、じっと姉を見た

伊都波 凛霞 >  
「………」

腕を捕まれ、立ち止まる

「誤魔化してなんか、それに…避けてるわけでも」

否定の言葉は最後まで続かない
妹には嘘はつかないのだと決めていたから

だから、嘘はつかずに───

「…帰るよ、悠薇」

質問には、答えなかった
妙に儚げな視線を、肩越しに向けて

ぽつ、ぽつ、と
小さな雨が振り始めていた

伊都波 悠薇 >  
ぎゅっと唇を噛んだ。
隣と、そう言ったくせに。隣にと、そう言ったくせに

――立ててないじゃない。ばかはるか……っ

なにも返せはしない。返しても意味がない。
だったら――

「――……」

――見つける。今度は自分が

姉を助けるんだ

その決意を姉の背に隠して――

妹は付き従った

雨は――少しずつ激しくなって

ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「とあるお寺の共同墓地」から伊都波 悠薇さんが去りました。