2015/07/21 のログ
■雪城 括流 > 「いまはそうでもないかな。
もしいまもそれぞれが分かれていたら、こういう口調になりますわ。」
カップの取っ手に指を絡めて、ふわりと微笑んでみせる。
いつもの表情とは違う、不思議な雰囲気を漂わせ。
「そうだね。
でももう一つ理由がある。そのためには私が傷つかないといけなかったんだ。」
言っても怒られるかな、とは思いつつ、慎重に語る。
「あの二人はりょーの事故を繋がりにしていた…公園でも、零くんまでそのことを強く主張していたからね。
本来相手である彼はそのことに縛られる必要は無かったはずだ。
その関係は急で、いびつで…もしかしたら手を出さなくても上手くいったかもしれない。
でも、その危うさを賭けにするつもりは無かったからね。…二人が揃って立ち向かい、りょーの事故のことを忘れてつながりを深めるだけの騒動を演出したんだよ。」
いっときの思いだけなら過ちかもしれない。
でも括流は恋愛を否定していたのではなく、その過程に障害や時間が必要だと考えていただけだ。
だからそうした。そしてそれがエゴであることも分かっていた。
そこまで説明した括流の様子は、断罪を待ち受けるかのように俯いてカップの水面を見つめていた。
■雪城 涼子 > 「んー……なるほど、確かに全然違う感じ。
そういえば、大分変わった感じだったって聞いたっけ……」
零くんから聞いた言葉を思い出しながら……
なるほど、こうして目の当たりにすると彼女の異常性……というよりかは、特殊性だろうか。
それがよくわかる。
「私の事件なんていうのが原因じゃ、つながりとしては歪だ。
だから、二人を繋ぐ新たな試練を与えましたってわけね。
ふぅん……なるほどね。」
ふうん、と。再度繰り返した。
めったにない機嫌の悪い証拠だった。
「……あのね。なんだか思い違いをしている気もするんだけれど。
別に、私は括流の考え自体は否定する気はないわ。
正直なところ、私自身ちょっと思うところがないわけじゃなかったしね。」
とんとんとん……と軽く机を指で叩く。
「でも、ものすごーく、不満なの?わかる?ねえ。
なんでか、わかるかしら?」
非難するように……というより、やや駄々っ子のような様相で問うた。
■雪城 括流 > 「結果としては全て上手く収まるところに収まるはずだったんだけど。
…傷つくことをいとわなかったこと、だね。」
説明どころか火に油を注いでしまった気がしなくもない。
でもそれもまた甘んじて受けないといけないのだろう。
この転生をいとわない考え方自体が変わることはないだろうが。
「……ごめんなさい。」
とりあえず謝ることにした。まあ、ただでさえいろいろ暗躍したし迷惑もかけたと言う自覚はあるのだ。
そのこと自体は仕方なかったとは思うが。
■雪城 涼子 > 「それも!そうだけどっ!!ちー、がー、うーっっ!!!」
謝る括流に、むぅーっとふくれっ面をする。
今にもほっぺたに手を伸ばしてをむにーっとひっぱりでもしそうな勢いだ。
……大人としてそれもどうかと思われるが。
「もー、わかってない!わかってないなあっ!」
ちょっと珍しく語気が荒い。
自分でも気がついたのか、少し息をついて言葉をきる。
「……なーんで、そんな重大なことを相談しなかったのって言ってる、の。
そりゃ、当の氷架ちゃんや零くんに相談するわけにはいかなかっただろうけれど……私に話すくらい、出来たんじゃないの?
それとも、私は氷架ちゃん側だろうから信用ならなかった?
ええ、ええ。それはもう、のほほんとしてますけれどね。」
先ほど言われたことを、やや皮肉げに復唱する。
■雪城 括流 > 「ええと…それは。
話すかとは思わなくも無かったけど、二人とも住居が女子寮だったし…。」
しずには話したし、共犯にしようかとも思った。
ただあれはあちらから来てくれたからであって、こちらから向かうとなれば女子寮に行くしかない。
氷架と会うわけにはいかない以上、そうするわけにもいかなかったと説明するように。
「…ひょーかの行動力が予想外だったんだよ。
あちこちいって、手がかりをかけ集めて私の元にたどり着いちゃったんだ。
ああも騒動を巻き起こして、事態が加速するとは思っていなかった。」
氷架の突撃が括流の想定を超えて結末を急がせた。
結局そのせいでりょーが蚊帳の外になってしまったのを言い訳するつもりは無く、申し訳なさそうなままではあるが。
苦笑しながら、氷架のことを少しだけ嬉しそうに語る。
■雪城 涼子 > 「……はぁ、なるほどね。そこの事情は分かった。」
かたん、と音を立てて椅子の背もたれにもたれかかる。
納得したようで、急激に落ち着きを取り戻す。
「でも、それってやっぱり結局は括流のせいよね?
だって計画が重要な部分が杜撰だったってことだもの。
だって……」
そこで、にっこりと笑う。
「言ってもそうそう聞かないあの子の行動力なんだもの。
釘も差していない状態で、そう簡単に図れるわけ……ないじゃない?
そこは最悪……じゃないか。最高を想定するべきだったわね。」
実際のところは、間接的に自分が釘を刺したわけだが……まあ其の程度では危険な場所はともかく、
安全な場所で探しまわる彼女が止まるとは思えない。
素直で、でも頑固で……一途な自慢の娘なのだ。
■雪城 括流 > 「原因はどう突き詰めても私の事情だからね。
否定はしないよ。杜撰だったのも、練り上げる時間も余裕も無かったんだ。」
目を閉じ、冷静そうに落ち着いた様子でそう受け入れる。
でも全員にばれてふるぼっこは流石に嫌だなくらいは思っていた。
「いまは折り合いがついた、というのかな。
どうしてもそのときの外見に多少行動が引っ張られる、くらいはあるけど…その程度はもとからだったからね。」
これで、りょーに言えないこと以外は大体吐き出した…のだろう。
残ったあることだけは、零くんに言うべきことだ。
聞いてもらってどこか満足げに、結末として今の自身の状態を語り会話を落ち着かせようとした。
■雪城 涼子 > 「次は上手くやりましょう……ってところかな。
まあ、次はあって欲しくないけれど……」
やや肩をすくめる。
蚊帳の外も嫌だけれど、そもそも騒動が起きてほしくはない。
特に、大事な家族たちには。
「折り合い、か……
ちょっかいかけたのには理由があったにしても、零くんへのジェラシー満載、みたいな状態は勘弁して欲しいしね。
……本当に、ただの嫉妬……なのかな?」
ぽつり、と……口にする。
独り言のような、しかし問いかけるような……そんな声。
「外見、かあ……蛇の姿だとあんまり自由にできないのも、そのせい?
そこはちょっと残念かなあ……戻ったりしない?」
こちらは、はっきりと……そして、のんびりと冗談めかせて問いかける。
■雪城 括流 > 「次があっても、どうなるか保障はできないね。」
再びあったとして、あの狂ったような激情が何を引き起こすのかは想像できない。
死よりも厭うべき、こりごりな出来事だというように。
「方向性すらない、純粋な嫉妬が主体だったよ。
零くんにとは限らないものだったから…もしかしたらひょーかに向いてしまっていたかもしれない。
いろんな感情はあったと思うけど、最後にはそこまで影響はしなかった。」
嫉妬以外の感情がはじまりではあったが。
それを説明するとなると骨が折れるので、あからさまに誤魔化す。
「否定が原因だから、零くんが騒動について納得し、在り様を…私を認めてくれるか、
神性について詳しい治療者に話を聞くか…
あとは時間しかないね。特に人型でいない時間、かな。」
あまり長時間こうして話すのは回復には好ましくない、というように。
■雪城 涼子 > 「だよね。
気をつけてどうにかなることでもないとは思うけれど、お互い気をつけたいね。
まあ……最悪、本当にどうしようもなくなったら……"私"に向ければいいよ。
そんな解決しても、誰も幸せにならないのはわかってるけれどね」
やや苦笑しながら、そんなことをいう。
だが何があろうと娘やその恋人、そうでなくても若い面々にそんなのは押し付けられない。
それも確かな気持ちなのだ。
言いながら、括流が誤魔化そうとしていることには気が付かないふりをする。
語らないなら、追及することでもない。
「ああ、そういうことか……ということは、特効薬は零クン……なんだね。
まあ、他の手段もあるようではあるけれど……
んー……」
少し首を傾げて考える。
大体聞くべきことは聞いた。
「そういうことなら、そろそろ切り上げたほうが良さそうだけれど……最後に一個だけ。
私は、どうするといい?」
零に何か働きかけをするべきか否か……他になにか手伝うべきことがあるか……そう、問いかけた。
■雪城 括流 > 「…りょーに向かう可能性も、あったね。
それは…本当に誰も得をしないことになるよ。」
幽霊だからと言って括流がかかれば安心できるわけでもないし。
何も解決しない。その可能性に思い至ってぞっとする。
もし会って、愛しさを感じていたならば…。
「…もうあとはなるようにしかならないよ。
私からはどうしてもひょーかのことを考えて、と言ってしまうし…。
だからりょーは、今の立ち位置がいい。」
どちらにしろ括流はどうしてほしい、とは言わない。言えない。
どう人が選択していくかを見守るのもまた決めた在り様なのだから。
だから。
「…特効薬といえば特効薬だけど、私からそう働きかけるのもおかしいよ。
一番正解で、そして難しい選択肢ではあるね。」
と、積極的に行動することはない様子で答えて、席を立つ。
そろそろ部屋に戻るようなそぶりを見せた。
■雪城 涼子 > 「はぁ……ホント……情けないなあ」
溜息を一つ。
いつだって……いや、違う。
あの時から……そう、自分が死んでしまったあの時から。
自分はあの時から、いつだって何も出来ない存在なのだ。
幽霊であるとかなんとか、そんな簡単な理由ではない。
あれ以来の自分には、決定的に何かが欠けている、
「相変わらず、私はこうやって後ろにいて様子を遠目に眺めるしか無いわけね。
ま、それも先に運命を放棄しちゃったツケなんだろうね……うん」
一瞬だけ、寂しそうな笑いを浮かべる。
「うん、わかった。
大変なところを、色々有り難うね括流……ん。
クルケイア、の方がいいのかな……できれば、括流って呼ばせてほしいけれど。」
そういって、立ち去ろうとする相手の行動は止めないように……
ただ、見送ろう、というように席を立つ。
■雪城 括流 > 「…どちらでもいいよ。
事情を話すときにだけ必要になる名前だから。またね、りょー。」
見送られて、鍵を開けて扉をくぐり…閉める間際に、そう声をかける。
そういえば名前についてあんまり説明できなかったな、なんて思いながら。
括流自身は和解してもしなくてもいいのだろう。
ひょーかさえ… あ。
「…しまった。零くん相手にだけは口止めしておくんだったかな。」
そう廊下で呟いて、氷架の部屋へ戻っていった。
ご案内:「女子寮、涼子の部屋」から雪城 括流さんが去りました。
■雪城 涼子 > 「ん、じゃあね。またお話しよう。
そういえば、最近じっくり話す機会なかったしね」
そういって手を振りながら見送る。
「さて、どうしようっかな……いい加減、蚊帳の外も飽きたんだけれど……」
相手が見えなくなってから、んーっと伸びをして呟いた。
「今の立ち位置でいいって、言われたよね。
ふふ……つまり、どうしたっていいのよねえ……」
くすっと笑ったのだった。
ご案内:「女子寮、涼子の部屋」から雪城 涼子さんが去りました。