2015/08/22 のログ
■シイン > どうやら不安の様子がバレバレだったようだ。
若干ながら申し訳なく思いつつ。
説明を聞きながら頷き返すのだ。
「魔術、そして呪いの類か。
私は魔法や魔術の類は全くの無能でな。
貴方に完全に任せるしか無い…だからは全てを任せよう。」
それは信頼からの発言。
関わって、会話を交えて極少ない時間を共にしただけの彼を彼女を信頼して。
彼が二つ、自分が一つと。
格というのがあるらしいが、負担をかけてしまわないか。
いや、不安にはなっていけなかった。
そうだ、信用してるのだから、任せるのだから。
彼が、彼女が、名前を呼んで頷き。
既に呪いは唱えられてるのだろうか、アジ・ダハーカと聞き覚えのある単語が聞こえた。
そして単語の意味を思い出そうと考えるのも束の間に。
彼自身が名は告げながら、開示の合図が示された。
グランドマスター。
それが彼の名前。
(それが貴方の名前か…そうか。)
詠唱や呪文の邪魔にならぬように、心の中でひっそりと呟いた。
有名なあの組織の統括者と呼ばれてた者の名前。
驚きはしなかった、怯みもしなかった、退きもしなかった。
なに過去は関係ない。
既に彼とは協力者なのだから。
■『グランドマスター』 > 広げて相手に向けた両手はそのまま。
一つと二つといった、その二つがこれだと言わんばかりに。
「呪われよ!
赤き『龍(ウシュムガル)』よりいずる破滅の因果。
アジ・ダハーカの名を得て、彼方に討たれるべき形を得よ。
権能により、その流れる毒に薬を。
権能により、その齎す破滅に死を。
ここに三者が決する!
呪われよ!
龍を討つ三叉の鉾にてその体を分かたれるがいい!
そして三頭の一つを我に!」
唱える。
同時に檻を挟む二人の――いや三人の間に輝く鉾が浮かんだ。
雷光を放ち空中に立つ鉾。
「呪われよ!
赤き『龍(ウシュムガル)』よりいずる破滅の因果。
アジ・ダハーカの名を得て、彼方に討たれるべき形を得よ。
権能により、その流れる毒に薬を。
権能により、その齎す破滅に死を。
ここに三者が決する!
呪われよ!
龍を討つ三叉の鉾にてその体を分かたれるがいい!
そして三頭の一つを我に!」
そしてもう一度。もう“ひとつ分”が唱えられる。
輝きがシインの体を覆い、そして龍の呪いへ伸びる。
顔を伏せたまま、シインヘ頷いた。
さあ、と。
■シイン > 唱えられた言葉。
一字一字、一句足りとも逃さずに、自身は片腕を差し出して手を広げた。
向けた先はグランドマスターへと。
頷きを見てから、自分が言う番だと理解する。
間違いは許されない。
白炎は燃え盛り、輝きに鼓動するかのように蠢く。
口を開き高らかに唱え始めた。
「呪われよ!
赤き『龍(ウシュムガル)』よりいずる破滅の因果。
アジ・ダハーカの名を得て、彼方に討たれるべき形を得よ。
権能により、その流れる毒に薬を。
権能により、その齎す破滅に死を。
ここに三者が決する!
呪われよ!
龍を討つ三叉の鉾にてその体を分かたれるがいい!
そして三頭の一つを我に!」
牢獄など場所の事など知ったことではない。
彼は唱え終えたのだ。
■『グランドマスター』 > 燃え盛る白炎と輝く光が交じり合う。
もはや太陽のような輝きだけで何もかも塗りつぶされて色もわからない。
だのに。
シインが唱え終えると同時、確かに見えた。
真っ白い視界の中で、確かに白い炎が浮かぶ鉾より伸びるのを。
まさしく体から裂かれたように。龍の首のごとく。
首は伸びる。
一つは元あったシインへ。変わらず呪いは続行される。
ただ三つへ分割されただけだ。
分割し、一つ一つを弱める。
ならば割れた三つが全てシインに戻る道理はない。
だから二つは広げられた左右の手ヘ向かう。
「これにて、“三重呪”を終える!」
呪いは呪われた。
一つと二つ。
告げた通りに。
広げた両手が燃えるように白く輝いていた。
■シイン > 呪文は終えた。
苦しみや痛みはなかった。
炎の重みか、身体が軽くなったのは確かだ。
それは分けられた事によってだろう。
「…終わった、のか。」
瞬きを幾度と繰り返して、手を開き、拳を作りと他の状態を確かめつつ。
以前として白炎は展開されたままだ、だが一つだけ。
"赤龍"の彼女の気配を感じなくなった。
先程までは感じていた気配が全くと。
何処に居るのか手に取るようにわかっていたのに、それがわからない。
■『グランドマスター』 > 「ああ、そのものは難しい原理でもなんでもねー。
ある意味原始的な呪いだからな。
その呪いで呪いを別けて緩めたわけだから、当然火の力も弱まるだろーな」
両手を下ろし、ローブの下へ戻す。
「まあ、大元を取り除きさえすれば、分割した方も一緒に消えると思うよ。
……どうかしたのか?」
違和感を覚えているような様子に、フードの下の頭が動いた。
■シイン > 「先まで龍の…あぁ、私はこうした原因の龍の場所を感じ取れたのだが…。」
今ではそれが全く微塵も感じ取ることが出来ずに、居場所が特定できない。
その説明を行った。
「呪いの力が弱まったからなのか、龍となった原因のモノが取り除かれたからか?
どっちかわからないが…。」
真実はわからず。
■『グランドマスター』 > 「――――――ん?」
奥歯に物が挟まったように、更に首を捻る。
「あー……これか?」
シインが告げる内容に、自身の感覚を探り直して。
「別けただけで消え去るならよかったけど、炎も残ってるしな。
多分、呪い別けたから、それも弱まったんじゃねーか。
こっちはなんとなくだけど、シインが言うものがわかる気が、するし」
そこまで言うと、一歩離れた。
「もし呪いを戻すべき時が来たなら、その時自然にまた会うことになるさ。それが因果ってもんだ。
とにもかくにもこれで限られた時間ってやつは長くなった。
できる助力はここまでだろ。牢を破って逃げる気なんてないだろう?」
かつて存在した違法部活の首領。ならば罪は重ねているだろう。
それでもそう唆す素振りもなく、更に一歩離れる。
■シイン > これかの言葉。
それについ"あぁ"と漏らした。
「つまりはグランドマスター。貴方に移ったということか。
そして原因は自分が抱えてた呪い。
だから白炎は消えないで弱った程度で収まっただけ。」
取り除かれたのがやはり原因だった。
今現状は使う必要もない能力故に、弱まり進行を遅めた方が良い。
一歩、牢から離れた彼へと瞳を向けて。
「そうだとも、逃げれるが逃げる気など毛頭ない。
一時期の間は"グランドマスター"貴方に預ける。
だから…頼んだ。」
小さく頭を下げて、唯一の協力者へ。
■『グランドマスター』 > 「へぇー、なる、ほど、なー」
面倒を抱え込んだ。というような風はなかった。
頭を下げるシインへ、受け入れて頷いた。
「なら破滅のウシュムガルへの因果、一時預かるよ。
あんたはあんたが決めた道を通すといい」
あたりは明かりのない暗い監獄へと戻っている。
ローブが闇の向こうへと融けて消える。
通路を行き、上に向かう階段へと。
■シイン > 「私は私の道を示して通し続けるさ。
あとは此処を出てから、私は貴方の道を示そう。」
対価は忘れてないことを伝えて、白炎龍化を解いた。
姿は灰色の囚人服を着ている、ただの罪人へと。
椅子に戻りながら、手錠に足枷を拾い上げて。
片手首と片足首を火の粉にさせ、手首と足首を枷が通せる位置へ持っていくのだ。
それをあと一回繰り返して、何事もなかったかのように瞳を閉ざす。
「また会おう、グランドマスター。
協力者よ。」
この場から去ろうとしている者へ、別れの挨拶を送り、彼は黙り込むのだ。
■『グランドマスター』 > 「正直な話、あんたが行くなら連れだそうと思ってた。
今までそうやってきたから」
声だけが最後響いた。
「でもそれはあんたには必要なかったみたいだからな。
ここまででも十分、色々と教えてもらったよ。
じゃあまた、シイン。
シイン・ザ・ホワイトブレス」
ご案内:「牢獄」から『グランドマスター』さんが去りました。
■シイン > 「………。」
それは出来ない話だ。
愛する者達を裏切ることは出来ないのだから。
約束は守られるからこそ約束なのだ。
信じて約束をした者達を裏切りは許されない。
音に気づいてか、ようやく看守が小走りながらやって来るが。
既に時は遅い。
事は済まされた。
看守が無言ながら溜息を吐いて徒労だと呟きながら
覚めた夕飯を持っていった。
今日はもう眠るとしよう。
ご案内:「牢獄」からシインさんが去りました。