2016/10/03 のログ
シング・ダングルベール > ≪聞こえるか。そこはもういい。東200m地点に移動してくれ。旗色が悪い。≫

通信機越しに聞こえた指令は、下にいる俺なんかよりも遥かに状況を掴んだもの。
これでマシになったというのだから、今夜の落第街はわからない。

「すいません。援軍、行ってきます! 一人だけど! でも、頑張ってきますよ!
 あとは任せましたからッ!」

呼吸ができれば次の足が出る。踏み出せばさらに一歩と進むことができる!
俺は長剣を傍らに、この惨状を駆け抜けた。
伸びる魔手を打ち払い、阻む怪異を焼き滅ぼしながら。

「俺はシング。無事ならまた!」

俺よりもすごい魔術を行使する彼女に言葉を残し、場を去った。
次の場所へ。次の怪異を祓うために。

ご案内:「落第街」からシング・ダングルベールさんが去りました。
ソニア > 「之で仕舞だ! 特上カルビ 報酬に追加。」

サーロイン、ささみ 特上カルビ、と近くにいる先ほど 報酬のやり取りをした風紀委員に 
後日寄こせと住所の書いた紙を渡したり。ピンチヒッターなのだから金銭よりは物品でいいだろうと
やたら現金だった赤髪の少女は 最後は おまけと称して 特大の爆散をやらかして 怪異を焼失させた。

…いやいや、場所を移動する前にだな、やっておかないと拙いのは。

「主 に 治癒をかけておこう。 これの礼はいらん。
 我は ソニア 。明日 生徒予定だ。」

びしっと セシルに指さしたと同時に 体力と魔力を格段に回復させる何かをかけたかと思うと
ではなと言葉を残して 去り際に また 怪異を爆散させながら去っていく。

ご案内:「落第街」からソニアさんが去りました。
セシル > 「ああ…貴殿も武運を!」

何やら、連絡を受けて去っていく男性に、大声で激励の声を投げる。
そうこうしているうちに…ピンチヒッターの女性が、派手にこの場を片付けていた。
それから…彼女に指を指されたと同時に、体全体に、活力が満ちるのを感じる。
治癒魔術だと、すぐに分かった。

「…ソニアか、助かった。
…貴殿も、武運を。よほどの事がなければ大丈夫だと思うが」

そう言って、少しだけ和らいだ笑みを浮かべると…怪異を爆散させながら移動していく様を、若干苦笑いで見送る。

(………凄腕の術師には、敵わんな)

そんな事を考えながら。

セシル > そうして、落ち着いたこの場。

「さて、次はどちらだ?」

支援要員に確認をとるセシル。
ソニアの活躍を目にして既に次の段取りを確認していた彼は、

『さっきヤバかったところは公安からの助っ人が何とかしてくれたらしいんで、俺らはあっちの避難警護だってさ』

と、端的に行動方針を告げた。

「そうか…分かった」

ソニアが爆散させていったり、最初からいた助っ人の彼も怪異を打ち払いながら進んでくれているおかげで、周辺の気配は大分落ち着いている。
………改めて、遠くで、広範囲浄化の術式の気配やら、それに混じって破壊の魔力の気配やらが派手にやっているのが伝わってきた。

ご案内:「落第街」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
「大分忙しそうですね」

ふわりと空中から舞い降りる。
セシルの様子を見て、袖の中からお札を十二枚取り出した。

「よければどうぞ、退魔術符です」

一応同僚だ、多少効く道具を渡しておこう、程度の心持。
あとは、還すべき者たちを破壊されないようにしたいという想いも。

セシル > 「…アキ先輩、ですか。お疲れ様です。
私程度の退魔の腕でもないよりはいいような状況ですから…なかなか、周囲への目配りが大変です」

その場を移動しようとしたその時、空中から舞い降りる嘱託委員。
そして、退魔の心得の持ち主にかっちりと頭を下げるセシル。

「ああ、ありがとうございます…
………彼らにも配って構いませんか?私には一応有効な手段がありますが、彼らにはありませんので、護身程度にでも」

丁寧な手つきで術符を受け取りながら…視線で支援要員を指して尋ねる。

寄月 秋輝 >  
「……あれ、僕の名をご存じでしたか?
 ああいえ、その技術があるというだけで十分です。
 あなた一人が居るのと居ないのとでは、大きく違いますよ」

その礼に対しては小さく手をかざしながら会釈をして返す。
戦場では人数が全て、という状況も少なからずあるものだ。

「ええ、どうぞ。
 それは彼らを倒すものではなく、あるべきところへ還すためのものです。
 むしろ、退魔技術の無い方に使わせてあげてください」

この場の指揮を任されている人間だと思ったから、真っ先に降りて来て渡したのだ。
それを活用できる人間に渡すのが一番だ。

セシル > 「ええ、立場上お名前は伺っています。
…そうですね、ただの「破壊」では、人に憑かれてしまった場合にどうしようも出来ませんから。
この「魔法剣」を学ぶ故郷の慣習に、助けられました」

そういって、白い光の弱った警棒に視線を向ける。
本格的な戦闘作戦なのにもかかわらずセシルが警棒を使っているのは、黒い塊自体の実体は希薄なこともあるが、万が一人に憑かれた場合に迅速に対処出来る、というのが大きい。

「「倒す」ではなく「あるべきところへ還す」…ですか。
…技術を学ぶのに必死で、あまり、深く考えた事はありませんでしたが」

セシルはあくまで魔剣士だ。退魔は本業ではない。
故郷の血塗られた歴史が、たまたまセシルに退魔の技術を要請したに過ぎなかった。

「…ありがとうございます、それでは」

そう言って改めて秋輝に頭を下げると、支援要員の方を向いて、

「退魔術符を頂いた。何かあったときのために一人2枚くらいずつ持っておけ」

と言いながら歩み寄っていく。
支援要員に一人2枚ずつ配ったら、丁度2枚余った。

(これは…魔力切れのときのために私も持っておくか)

余った2枚を、自分の上着のポケットに押し込んだ。
セシルの魔力量はそこまで多くはない。いくら消費の少ない魔法剣で、一度回復を受けたとはいえ、逐一対応していたら保たない可能性は十分あった。
それから、改めて秋輝の方を向く。

「…重ね重ね、ありがとうございます。
この作戦、何としても成功させましょう」

真剣な瞳で、頷いてみせる。
委員会の建前としては、「表の街に影響がないように」ではあるが。
セシルとしては、この街の住人のため………そして、秋輝の示唆から、「妖怪もどき」達のため、とも思うようになっていた。

寄月 秋輝 >  
「彼らも、自然の権化の一つ。
 そして悪意に飲まれてしまった、人間の感情の姿の一つです。
 なればこそ、ただ破壊するのではなく……静かに、綺麗な場所に導くのもまた退魔師の仕事です」

戦場で軍人をしていたとはいえ、生まれは退魔師の家。
何より、母から教わったこの考え方が全てだ。
倒すだけではなく、救うことを考えていく。

「礼は結構です。
 大丈夫、なんとかします。
 ……こんなに多くの者たちが、道を見失っているのは……あまりに悲しすぎる」

目を悲しげに細め、再び空へと舞い上がる。
秋輝の目には、きっと敵など映っていないのだろう。
行き場を失くした子供を誘うための戦いをしにいくのだ。

「では、お気をつけて、セシルさん」

去り際、そう告げて、光の軌跡を残しながら飛び去った。

ご案内:「落第街」から寄月 秋輝さんが去りました。
セシル > 「………悲し過ぎる、ですか………」

少し、思案するように軽く目を伏せる。
退魔師ではないセシルには、「彼ら」に対して「悲しい」という感情を抱く気持ちはよく分からなかった。
しかし、本業と言っていいような人間だからこそ、思うところは色々あるのだろうし、それは汲むべきだと思った。

「そうですね、出来る限り、単なる「破壊」では終わらせないように気をつけましょう。
…色々と、ありがとうございました」

深々と、頭を下げて秋輝を見送る。そして…

「それでは、移動するぞ。「ヒト」も、「そうでないもの」も、助けを待っているのだからな」

そう、支援要員に声をかけ。
セシルが率いる風紀委員の一団はその場を後にしたのだった。

ご案内:「落第街」からセシルさんが去りました。