2016/05/07 のログ
ご案内:「雪城家イベント~氷架の仲直り大作戦~」に雪城氷架さんが現れました。
■雪城氷架 > 「いやだから電話した本人だって!子供じゃない!」
歓楽街の一角、ちょっとドレスコードでも必要そうな…お高そうな…
そんなレストランの前で騒いでいる中学生みたいな少女、氷架である
「雪城氷架で予約入れといたんだけど!」
店員が確認に行き、戻ってくると確かにと頭を下げる
ふんすと鼻息荒く、まだ他に来る人がいるからと伝えて
「まったく失礼しちゃうぞ…。
折角めかしこんできたっているのに」
ご立腹である、が…今日は自分が主役ではない
本命は後から来る二人だ
■雪城氷架 > 二人が仲直りできるにはとりあえず話せる場所と、
共通した時間を過ごせる空間が必要だとの結論に至った
というわけで、とりあえずバイト代をブッちらしてそれなりのお店を確保
括流にはちゃんとそういうお店ってことを伝えて人間モードで来るように、
零にはかなり不安ながらドレスコードとかあるぞと伝えてある
とりあえずこの場は第一段階である
ふたりとも良い所がたくさんある以上、それに触れあえるだけの距離が必要
まずは食事、基本である…というか氷架のお脳ではそれぐらいしか浮かばない
■雪城氷架 > 日も暮れた
歓楽街のイルミネーションがキラキラと眩い
高級レストランに入るお客さんが「迷子…?」みたいな視線を送りながら過ぎ去ってゆく
失礼な話だ
ご案内:「雪城家イベント~氷架の仲直り大作戦~」に霜月 零さんが現れました。
■霜月 零 > 「……悪い、待たせたか?」
少し遅れて入ってくる青年。いつもの制服姿とは違い、ピシッとしたスーツを着てきている。飾り気が一切ないのはやむなしだろうか。
違和感があるとすれば、何故かステッキを持っている事だろう。
後、動きが些か硬い。
緊張している、と言うのがありありと分かる状態だった。
■雪城氷架 > 「やっと来たか…」
はぁーっと溜息をつく
「なんかすっごい迷子?みたいな目で見られまくってて辛かったぞ…。
あとちゃんとドレスコード理解しててホッとしてる…何その杖」
なんか普段のイメージから全く結びつかないステッキ所持に怪訝な顔
■霜月 零 > 「そこまで俺世間知らずに見えてたか……?」
ちょっと傷付いた顔。まあ、しっかりした服を着て来いと言うくらいしか理解していなかったので、間違ってもいないのだが。
そして、ステッキを突っ込まれれば、少しバツが悪そうに口を開く。
「あー、その、な。あれだ、これは……護身具、かな」
……要するに、仕込み刀である。
念のための警戒と、括流へのトラウマから暗器の一つとして所持していた仕込み刀を持ち出してきたのだ。
■雪城氷架 > 「………」
じー、と零の顔を見る、その後、小さな溜息とついて
「没収」
そう言ってステッキを奪い取ろうとする
「あんなことがあったから仕方ないところもあるかもしんないけど。
括流は私の子供の頃からの親友で、家族で、お姉ちゃんで…、
…せっかくこういう場を用意したのに、少しは信用してやってくれないと……辛い」
■霜月 零 > 「……すまん」
素直に手放す。
道中での護身具、と言う意味合いもあるのだが……それは、出た後返して貰えば済む話だ。
確かに、和議の場で仕込み武器は無粋が過ぎるだろう。寧ろ無礼だ。
不安に駆られてこんなものを持ち出したことを反省しつつ、首を垂れる。
■雪城氷架 > ちょっと重そうにしながら、カウンターの店員に預かってもらう
「まったく。今日はできるだけその口癖は禁止だからなー」
スマン、に対しては鋭いツッコミ
「頼むよ。
零には括流の良いところ分かって欲しいし、
括流にも零の良いところちゃんとわかってもらいたいんだからな」
二人共自分の好きな存在、であるなら
その二人が絶対に仲良く出来ない道理はないはずなのだ
「あとは括流か…」
ご案内:「雪城家イベント~氷架の仲直り大作戦~」に雪城 括流さんが現れました。
■霜月 零 > 「あ、ああ……気を付ける」
溜息を吐いて、軽く自分の胸を叩く。
気合を入れる……は、少し違うが、自分だってトラウマを引きずりたくはない。
この場で、溜まってしまったものを清算してしまうのだ。
それが氷架の願いでもあるのだから。
■雪城 括流 > そんなタイミングで括流もやってくる。
ただし、まあフォーマルといえばフォーマルだが、いつもの制服姿だった。
「一番最後、かな。」
軽く駆け寄ってくると、そう呟いて氷架を見て、そして零くんに視線を移し…じっとみる。
■雪城氷架 > 「お、やっと来たか。って制服かよ! …私わざわざドレスとかレンタルしてきたのに」
仲直りに奮走する人間が一番気合入ってしまう、まぁよくあることである
「まぁいいや…とりあえず入ろう」
ようやく受付カウンターを超えてフロアへ
中は流石になかなかのレストランらしく、小奇麗で芸術品とかも飾ってある
店員が案内したテーブルは窓際で、夜景が楽しめる場所であった
椅子は4つ、その一つに氷架が先だって座る
「二人はそっちな」
と、隣り合った席に掌を向けた
並んで座れということらしい
■霜月 零 > 「……!」
じ、と入ってきた括流に視線を向けられ、やはり心なしか動揺してしまう。
蛇睨み、と言いたいわけでもないが、やはり多少なり苦手意識のある相手にじっと見られるのは不安になる物である。
これで敵対していれば斬ればいいのだが、そうではない。
これからそのトラウマのある関係を修復するのだ……色んな意味で緊張が重なる。
「そうなる、よなぁ」
そして、氷架の示した着席位置に小さく溜息。
隣。向かい合って睨まれるのも怖いが、即座に接触できる距離感と言うのも不安なものだ。
とは言え、ここで渋っていては始まらない。
そっと覚悟を決めて……着席した。
「(……こんなんで大丈夫か、俺……?)」
不安たっぷりでは、あるが。
■雪城 括流 > 「うーん、ひょーかは変に気合入れるとは考えたけど、零くんとか制服でくるかもと思ったから。
二人が制服だったら、浮いてしまうよね。予想が外れたみたいだけど…レンタルなんだ。」
じっとみていたのは服のことだったよう…かもしれない。
さくさく進んでしまう氷架にあとに続いてテーブルに向かう。
「ひょーk…気が早いね。仲直り、だっけ。……零くん。」
彼の座った椅子のとなりにこちらは難なくと言った様子で座り、そっと身体を斜めにして顔を寄せる。
「…少し抱きついてもいいかな?」ちらり、とそう尋ねながら氷架の様子を横目で伺った。
■雪城氷架 > 「とりあえず時間とってくれてさんきゅーな、二人とも。
一応コース料理が来るけどマナーとかはそこまで気にしなくてもいいからブッ」
お水を噴き出す氷架
「いきなり何言い出すんだ!?」
どういう意図があっての抱きついていいかな?かがわからない、一瞬で狼狽しはじめる氷架
■霜月 零 > 「ゲホッ!」
こっちもむせた。
意図が読めない。流石に何が言いたいのか全く分からない。
「勘弁してください、と言うか何がしたいんですか!?」
慌てて、思いっきり敬語でツッコミを入れてしまう。
本当に、意図が読めないのだ。
■雪城 括流 > 「こんなこともあろうかとドレスの仕込みだけはしておいたけど、お願いしようと思ってたひょーかがさくさくそっちに座ってしまったからね。
じゃあ仕方ないし、慣れてもらう意味もかねて零くんで補充しようかと思って。
触りすぎはダメだけど、スキンシップというのは大事だよ?」
熱源として…ということのようだった。
しかし氷架にとっての彼氏とペットの関係をどう考えているか、試したという意味もあったのかもしれない。
「魔術で衣装を替えられるけど、エネルギーが足りない、ってことだね。」
何がしたいか、という問いに真面目に答えてみせ…二人の反応を待つ。
■雪城氷架 > 割と理にかなっている(ような)ことを言われてたじろぐ氷架
「う…でも、そうか…。括流のそういうところも、ちゃんと理解してもらわないとかもしれないもんな」
しかし、こう
恋仲の男性に目の前で抱きつかれるというもなかなかの試練である
ハッ、そうかこれは試練なのだ
こんな小さいことでいちいちヤキモチやいてたら立派なレディにはなれないよ?
という括流からのメッセージなのかもしれない、と
勝手に深読みをはじめる氷架
「零、括流は蛇だから、体温が必要なんだ…。
慣れるためっていうのもあながち悪く無い、かもしんない」
顔はこわばっています
「前菜が来るまでには済ませてな、括流…」
顔はとてもこわばっています、そのまま、少しだけ二人から目線を外す
■霜月 零 > 「……火行の符でなんとかなりませんかね」
溜息を吐き、そう提案する。
効力を絞った火行の符は、発火せず熱を放出するだけの礼装として運用できる。
要するにカイロのようなものだ。
その程度の効力の符であれば、材質に拘らなくていいので、メモ用紙とペンがあれば簡単にこの場でも作れるのである。
そこまでして抱き付かれるのが嫌なのか、と言えば、そう言うわけではなく……
「氷架が、いるんで。あんな顔されちゃあ、俺も軽々に『じゃあいいですよ』とは言えません」
自分の恋人を慮って、である。
■雪城 括流 > 「仲直りは互いの意見を吐き出すのも大事だけど、これからの未来を見据えるのも大切だよ。
…こんなことになるとは私も思ってなかったしね。」
これからもデートで仲間はずれは嫌――そんな声が聞こえてきそうな視線を氷架に向ける。
括流のことをどう扱うつもりなのかを氷架にも問いかけているのかもしれない。
「…蛇の蒲焼?」
攻撃用っぽい札の名を提示されて、なにやら物騒な思いつきが。
「うん、まあ…ひょーかの顔凄いことになってはいるね。」
そちらのほうに視線を向けてそう呟くと、今回は諦めたのか席をたって氷架の後ろから抱きしめられるような位置に移動して、
彼女に抱きついていいか尋ねるのだった。
■雪城氷架 > 零の応対はある意味では当然、そして零らしいものだった
ただ、やっぱりどこか距離感を感じる物言いとして受け取れてしまって、複雑な表情になる
「あのさ、括流はその…まぁ蛇、だし。
零にとってはピンとはこないかもしれないけど…大事な家族なんだ。
それで、多分だけど、わかんないけど、近い将来は…れ、零もその、家族になる…気がしてる。
その時は括流も、零の家族だ。…敬語はナシでいこう、少なくとも今日はさ」
括流がこちらに暮れば、抱きつくのを誘うようにその腕に自分の腕を絡めて、抱きつかせる
普通の人よりも高めの、ぽかぽかとした体温が伝わって
体温と一緒に、仲間外れなんかにしないよ、という思いが伝わればいいな、と内心思っていた
■霜月 零 > 「いえ、カイロみたいなもんです」
蒲焼にする気はない。流石にマズい。
軽くツッコんでから、氷架の言葉を受け止める。
「……まあ、そりゃ。俺だってその……家族になるつもりでは、いるさ。
となりゃあ、まあ……そう、だな。そうなる、な」
ふぅ、と溜息。
正直、敬語無しと言うのも些かしんどいのではあるが、ほかならぬ氷架が頼むのであれば仕方ない。
意識しないとポロ、と出てしまいそうではあるが、一応の覚悟は決めた。
■雪城 括流 > いつもの蛇の冷たい指先が氷架に触れる。
ここでもし視線を零くんに向けたりすれば意味深だから、その瞳は静かに伏せられてたまま…幾何学模様の魔法陣が展開して消え、スカートがふわりと沈み。
括流の服装は制服からピンクの鱗を模様にちりばめたようなやや古風な印象を受けるコルセットドレスに換わっていた。
「ありがと、ひょーか。」
名残惜しそうに指を離すと、自身の席に戻る。
「カイロは便利だけど魔術的なものだと…とりあえず今は保留にしておくね。
さて、続きは食事が来てからにしようか。まずは飲み物を頼まないと。」
二人の家族と言う言葉には自然体で肯定するような雰囲気をだしつつ、頷いて…そう促す。
■雪城氷架 > 今は、自分に言われたからという理由でもいい
いずれ自然にくだけたかたちで話せるようにさえなれば、そう思って零に笑いかける
「ん」
便利だよな、と思いつつ。元の席に戻る括流を見送って…
「食前酒が基本らしいけど保護者同伴どころか一応先生引率でもあるからな…」
というわけでノンアルコールのシャンパンをチョイス
ミネラルウォーターからも選べるあたりは客層は広そうだな、と考える
やがて各々のドリンクの注文が終われば前菜…オードヴルの登場である
フォアグラムースと鴨の燻製のルーロー仕立て、マンゴーのクーリー…と先の料理を期待させる構成
コース料理に縁がない氷架は思った
「(少なっ…)」
■霜月 零 > 「了解」
つい敬語が出ない様に短めの言葉で応答しつつ、取り出していたペンをしまう。
筆記具は符術師の必需品と言っても過言ではない。そのため、こっそりといつでも携帯しているのであった。
「ふぅ……」
小さく溜息を吐いて、ここは合わせてノンアルコールシャンパンを。
実は酒を飲んだことはあるのだが、ここで普通に飲むのはマズいという判断である。
そして前菜。
前菜と言えど馬鹿には出来ない。いやむしろ、最初に客の口に入るのだから、コースの与える印象を最初に決める役割があると言っても過言ではないだろう。
……などと考えかけ、これじゃあイカンと軽く首を振ったところで……氷架の顔を見る。
「(あー……)」
そして、一瞬で察する。
コース料理とは、順番にメニューが運ばれてくるシステム。その分、それぞれのメニューの量は決して多くない。いや寧ろ、それぞれは少な目と言ってもいいだろう。
見た目に寄らず非常によく食べる氷架は、この分量を見てこう思っているのだろう。
少ない、と。
「あー、なんだ。単品は少ないけど、コースは総合量だから」
……多分それでも足りないけど。
そう思いつつ、取り敢えず口にする。
こう、分量を自分で決定できないコース料理は、氷架には根本的に向いていないのかもしれないな……などと考えつつ、ここから先に別の不安を覚えた零である。
■雪城 括流 > 「言葉遣いについては私からは気にはしないけど、
敬語は意識して変えていかないと定着しかねないしひょーかにとって微妙な気分になるんだろうと思えば、零くんは頑張れるんじゃないかな。」
先ほどの会話にアドバイスのような一言をはさんでおきながら。
食前酒ということで二人と同じものを頼む。
前菜は蛇姿のときの量と比べれば相当多い。
上品に手をつけながら、コース料理も全体で考えれば結構量はあるはずだが…零くんのひとことに確かにと気づいて。
「…アラカルトで頼んでもいいけど、せっかくだから後でバーによってもいいかもしれないね。」
同じく氷架には足りないだろうな、と思うのだった。
■雪城氷架 > 「だ、大丈夫。今日は食事がメインテーマってわけじゃないし…!」
ちょっと楽しみにしていたといえば間違いないけど、優先度は低い。低いのだ、一応
続いて「オマール海老を燕のラメルで覆い、ほのかな生姜の香り、赤ピーマンのヴィネグレット」
などというサラダ、
「クリスタルコンソメスープ、ふかひれとタピオカをあしらって」などというスープ
割と普段縁がないレベルのネーミングな料理が一定の間隔で運ばれてくる
こうやって、食事と食事の間に談笑を楽しめるようになっているのがテーブルコース料理なのだ
「ところで零って括流のことについてどれだけ知ってたっけ?」
もぐ、とフォークでサラダを口に運びながら、根底的なところを聞いてみる
仲直りには理解がまず重要、ということもあって今更長良に確認である
間違った認識をもっているところがあれば、今日は括流が隣にいるし、的確な訂正が望める
■霜月 零 > 「ああ、それはアリか……」
ここで足りなければ、後で別の所に行けばいい。その発想は確かにその通りだ。
成程、と頷いてから、食事を口に運ぶ。
……これは中々。流石高級料理店なだけあり、しっかりと作られている。
分量もしっかりと調整されている。
氷架がよく食べる方なだけで、普通なら、このペースで談笑を交えつつ食べて行けば、最後には程よい満腹感を得て店を出る事が出来るであろう。
そんな事に感心しつつ、聞かれたことに少し首をひねって考えてみる。
「……氷架の家族、ペット。常世学園教師。後は……蛇の神格である、くらいだな。思ったより細かくは分かってねぇ気がする」
そもそもが唐突に敵意を向けられたという感じなので、そこまでしっかりと把握できていないのだ。
とは言え、蛇の神格と言うだけで物凄い話ではあるのだが。
■雪城 括流 > 「挑戦的な食材だ…。味はきちんと整えてあるね。」
フレンチにフカヒレとタピオカなど扱いだしたのは括流からすれば最近になってからだろう。
ただ鮫系のひとは連れてこれないな、なんて思いながら。
「それだけなら特に怖がる理由はないよね。」
零くんの答えに、それで全部かなと暗にといかけるような一言を投げかけながらサラダを口に運ぶ。オイルの香りが絶妙だ。
■雪城氷架 > 特に食材とかはおかしいとも思わない、そんな氷架
ただただこういう料理がはじめてだから、こういうものだろうと思ってしまっているのかもしれない
「結局、例のことをまだ引き摺っちゃってるんだよな」
仕方ないかな、とは思う
括流の家出に、公園での出来事も…
色々なすれ違いから起こってしまったことだった
「でも、私はあんなこと二度とイヤだ…」
フォークをコトリと置いて
「括流はさ、先生って立場もあるし何より私達なんかよりも長く生きてる。
だから零の人となりとか、客観視とか…ちゃんとできてると思う。
でも零は、以前のことがあってから括流をガラス越しに見ちゃってると思うんだ。
括流の立場は今さっき零が大体言った通り…でも括流が本来どういう性格で、何が好きで、嫌いで…とか、そういうのは全然わかってないと思う」
そこがきっと、一つの壁
少しずつでも崩していけば、壁の先のお互いの素顔はもっとよく見えるようになる
片付いたお皿が下げられ、新たな品…ではなくパンが運ばれてくる
それが終わればようやく魚料理
『舌平目のロンド、トリュフ入りキノコのロープ、パセリのエミュルション』である
料理名を言われても氷架にはなんのこっちゃさっぱりわからない
■霜月 零 > 「……本当に、パーソナルデータとして認識してるのはその位だ。
怖がる理由は……氷架の言う通り、結局のところアレを引き摺ってるんだよ」
情けない、と溜息を吐く。
神話に謳われるケルトの戦士達は、例え親の仇であろうと仕える主が同じならば肩を並べて戦い、例え親友であろうと仕える主を違えれば運命の数奇さを笑いつつ殺し合ったという。
それほどまでに達観した感性を、零はまだ持ち合わせていない。
一度死力を賭して戦った相手。しかも、本気の殺意を向けてきた相手だ。
その相手に気を許すというのは、些か難しいところがあった。
「人となり以前に……自分を殺しに来た相手。そう思うと、流石にな……」
■雪城 括流 > 円柱状に整えられた食材を切り分け、緑のソースを添えて口に運ぶ。
強い香りとこってりとしていながらさわやかな味わいが口のなかに広がっていく。
「でも零くんはそう思いながら、止めを刺すのだけは躊躇った。
あのときの決断はただの行き当たりばったりだったの?それともただの優柔不断?」
あの時点でそこまで考えておくべきではなかったのか、と尋ねてみる。
実際に殺すつもりは、まあほぼなかったとはいえ特にわざわざ否定はしないようだ。
「二度は無いと思うし、無いはずだったし、無いと誓うこともできるけど。
…そう、私にしてみれば終わったことなんだ。」
一方的に二人になにかを問いかけることしかできない、己の立場をただ振り返る。
こちら側からは禍根は無い――レストランでの最初のやり取りのように、と訴えるように。
■雪城氷架 > ナイフをいれれば抵抗なくふわりと分断できる柔らかさにまず驚き、
口に入れるとその芳しい美味がやばい、美味いよりも上の表現なのだ、やばい
「私は、括流が本当に零を殺そうとしたとは今でも思ってないよ。
…子供の頃から一緒に過ごしてたんだ。そうじゃなかったら、困る」
ぱくりと口の中に料理を放り込んで舌鼓を打つ
なるほどな、と思った
零の立ち位置…いわゆる命のやり取りを行う剣の世界に置いて、
殺意に対して敏感になってしまうということもあるのかもしれない
例えそれが偽造した殺意だったとしても
文字通り、そここそが二人の壁だったように思えてならない
「括流がそんなやつじゃない、ってわかって欲しいんだ」
■霜月 零 > 「……俺は、芙蓉のように精神分割の訓練は受けてねぇ。相手を殺したくなけりゃ、迷いも出る」
その芙蓉は、精神分割と戦闘最適化による『弓を番えれば無意識に必殺を狙ってしまう』と言う自身の癖を治そうとしているようではあるが。
零は将来無念無想に至る必要があるため、その妨げとなる精神分割による戦闘思考の最適化訓練を受けていない。よって、当人に躊躇いがあると、それがそのまま出てしまうのである。
「アンタは、どこまでも氷架が大事な人だ。それだけは疑ってねぇ。そして、氷架もアンタを大事にしてる。
……殺せるか。殺しちまって、どんな顔して氷架に会えばいいんだ」
甘い考えと言われれば否定は出来ない。
戦場では、そんな外部要因で剣を止めるなど自殺行為。敵と断じたならば必殺こそが最大の安全策なのだ。その甘さで見逃した敵が、いつ自分の首を掻き切りに来るともわからないのだから。
それを徹底できないのが零の弱さであり、人間らしさでもあるのだろう。
「……と、思って殺しに徹しきれず。でも後を引いてる、って考えると情けねぇなあ、俺……いや、次が無いってのは、分かってるんだけどな」
雪城括流は、どこまでも雪城氷架を大事にする生き物だ。
ならば、霜月零を始末してしまえば、氷架がどう思うか……それを考えれば、最早始末しようと考える事はない。
と、分かってはいるのに。
「直ぐに、ってのはちと難しいかもしれねぇ。メンタルの問題だからな……」
心が無意識に警戒してしまうのだ。
所謂トラウマ状態と言っていいのかもしれない。頭で理解していても、心がどこかで壁を作ってしまうのだ。
それを解消するための場であるのだとしても、はいそうですかと解消できるほど、心とは随意で動いてくれない物である。
■雪城 括流 > 「どっちもか。…困った。二度目は無いと言ったけど、あれが一番答えを出させるのに最適だと思ったんだ。」
氷架に依存した状況にしたがって殺せないという行き当たりと、迷いで振り切れない優柔不断と。
問いかけた二つをどちらも肯定されてちょっと困り顔になる。
そこで少しは成長してもらえてないと茶番を仕掛けておいて胴切り損だという意味で。
「…零くん自身でも理屈では理解しているんだろうから、そこで必要なのは次が無いと言う私への信用じゃない。
相手を見逃しても、見逃したその後を見据える覚悟が必要なんだよ。」
責任を転嫁してるようで言いたくはない――謝罪はしないがあの出来事自体は全て括流の罪ではあるのだから――が、指摘せざるを得ないので言う。
ため息をつきながら、パンを千切って口に運ぶ。やきたての香ばしい香りが牙にしみた。
■雪城氷架 > 「あたまかたいよな、零って」
お行儀悪く頬杖をついて、零をじーっと見る
「括流のやり方も良かったとは言えないけど、私めちゃくちゃ心配させられたし。
でも零がそのままだと、なんか私もなかなか零と一緒に前に進めないよ」
半ばむすーっとしたような表情を浮かべる
しばらくして、口直しのソルベ『レモンのシャーベット』、そして続いてメインの肉料理が運ばれてくる
それが目に入ったので頬杖をやめて姿勢を戻すと
「私は今だと、あれは最初から殺し合いでもなんでもなかったって認識してるからさ」
肉料理は『牛フィレ肉のパイ包み焼きをマデラソースにて インカのめざめのリヨネーズを添え』
というものらしかった
インカのめざめってなんだろう、氷架にはまだわからなかった