2016/05/08 のログ
霜月 零 > 何でこの二人はこうあっさり割り切れるのか。
恐らく、零には見えていない強固な信頼があるからこそなのだろうが……その感覚の差に内心溜息を吐く。
あたまかたい、と言うのは、こういう風にああだこうだと考えすぎる事を言うのだろう。
だが、それがあっさりとなんとかなってくれたら苦労は……と、考えたところで。

「……分かった。俺も開き直る。あるかないか、じゃねぇ。次があったら殴り飛ばす。無い分には気にしても仕方ねぇ。そう考える」

思い切って、ざっくりと結論を用意する事にした。
とにかくこうする。そう言う基準を作る事で、自分の腰も据わるのではと考えたのだ。
開き直った分、堂々と……しかし、マナーは守りつつ……食事を口に運ぶ。
うん、美味い。思えば、しっかり食事を楽しむ余裕も、少しは出来たのかもしれない。

雪城 括流 > 「獣は例え命を奪わなくても、一度打ちのめした相手に恐怖することは無い。
心の問題と言うのなら、零くんは蛇を降したという自覚を得なかったことになる。それは心が迷ったんじゃなく、理性が止めたんだ。」

二又の舌を下品にならない程度にあーんと伸ばして、その上に冷たいソルベをのせる。
程よい甘さの口直しが油脂で疲れた舌の上をさっぱりとさせてくれた。

「だから克服したという自覚が必要だというのなら、もう一度やるしかないだろうね。
精神医学的なアプローチになるけどトラウマを克服するために。…そう言いきるんなら、きちんと殴り飛ばしてもらうよ。」

零くんの出した結論に、さらなる試練をかぶせる括流、じつはどえすなんだろうか。

「零くんのことは何割かは零くん自身の抱える問題が原因のはずだから、ひょーかみたいには認識できないよ。
…ひょーか、それじゃがいもだからね。」

同じようにどうにかしろ、といっても無理だろうと宥めつつ…不思議そうな顔をしているひょーかにひとこと言っておくのだった。

雪城氷架 > 「いやいやいや!」

もう一度やるとか言い出す括流に流石に慌てる氷架
まったくどうしてこうなってしまうのか…

「頼むよ、一応ちゃんと仲直りする意思はあるんだろ?二人とも…」

はぁっ、と大きくため息をつきつつ、シャーベットを平らげたら肉料理に手をつける
不思議なほどに柔らかいお肉をナイフで切り分けていると括流からの教え

なるほど、じゃがいもだったのか
なぜじゃがいもにインカのめざめとかよくわからない名をつけるのだろう
フレンチは奥が深すぎる

霜月 零 > 「やるにしても、これはカウンセリング目的って事だろうよ。いや、積極的にやりたいとは思わんが」

氷架にはそういって安心させようとする。
事実、カウンセリング目的であることは事実だろう。……やるなら本気でやってきそうだが。
そして、恐らくはそれだけでは意味がないのも、なんとなく心当たりがあった。

「……で、それだが……多分、俺の抱える問題だな。思い返して分かったが、確かに俺は勝ったと思い切れてねぇ。俺自身、恐らく『根源接続』を受け入れられてねぇんだな」

腕を組んで考える。
根源接続。この世の根源に接続し、使いこなせば全知にすら至る能力。
実際、括流に勝てたのも、この異能があってこそだ。
だが……

「俺自身が、この力を自分のものと実感出来てねぇんだろうな。根源接続・剣史再生を使う時は、ドーピングしてる気分なんだ。
『自分の力で勝ってない』と、どっかで思ってる部分は、あると思う」

故に……自分の力だけでは敵わなかったと思うから、恐怖する。
勝ったのに、相手を格上に見てしまう。
恐らくは……それが、根底の原因だ。

「それこそ剣史再生無しで勝てばいいんだろうが……それも対症療法だ。この異能を受け入れる所が、全てのスタートなんじゃないかと思う」

雪城 括流 > 「仲直りだけど、理屈的なところは済んでるからね。だから記憶の上書きという意味では即効性があるはず。
もちろん危なげな場所じゃなくて実習区の演習場を使うつもりだよ。…でもひょーかには秘密にしておいたほうがいいかな?」

氷架に向けて説明するような台詞を吐きつつ秘密にすると言う相手が目の前にいるのに、しーっといった仕草を隣の零くんに向ける。
隣同士に座ったのは括流自身の意思ではなく正面の人物のせいだが、どこかしらちょっと近い…気がしたかもしれない。

まあこれが仲直りを考えてあえて近い距離感を心がけている、あたりが括流の計算高さという一面なのだろう。

「そう?でもそうだね、治療なんだから患者の同意…つまり、零くんがやっていいと思ったらやるね。
彼自身別の問題を自覚してもいるようだから。」

なお零くんは恐れているから本気でやってくると思っているだろうと予想しているし、そうでなくてはトラウマとはいえないが
括流自身はそ知らぬ顔でただ殴られる…下手をすれば一刀を受けてほとんど殺されるつもりの覚悟でいる当たりこの二人すれ違いっぷりが凄い。

「と、零くんも言ってるけどそういうことなんだよね。
…でもね、それはさておいて今後の付き合い方は別の問題だよ。敬語とか、スキンシップとか。
二人にとって私は、何かな。」

とりあえず戸惑っている部分については解決の糸口が見えた…と判断したのだろう。
首をかしげながら前菜前に問いかけた、今後の三人の関係をどう定義するか、という問いを再び持ち出した。

雪城氷架 > 「……むー」
氷架としては二人がそういうことをすること自体にも抵抗があるのかもしれないが、
どうやら納得したようで、渋々といった感じに黙りこむ。おにくおいしい

括流は保険の先生としての立場もある
異能に関する体や精神の悩みを効くのは慣れているはずだ
感情論を挟むのは、単なる邪魔になってしまうのかもしれない
決して頭がよろしくない氷架だが、そこはわかっているらしかった

「私にとっては括流は家族、大事な家族だよ。ペットって言ったってそんなの形だけ。
 ちっちゃい頃から、お母さんと一緒に私を育ててくれた、かけがえのない、蛇」
せんせーでもあるからたまに厳しいこと言われるけどな、と苦笑して見せて

全幅の信頼寄せている、だからこそ家出された時には狼狽し、あちこち探し歩いて落第街で危険な目にも遭ったりした

「ずっと離れたくない」

そう締めくくる

コースも終盤にかかり、口の雰囲気を変えるための一品と、デザートが順に運ばれてくる
『フォンダンショコラとベリーのジュレ』『クレメダンジュのパイナップルソース添え』
どちらもこれまでの料理の〆にはふさわしい

霜月 零 > 「ここで言ったら秘密にならんだろうに……」

分かっててやってると分かって、それでも溜息を吐いてしまう。
どうにも、なんだか掌の上で転がされてる気分になるのは、やはり恐れているからなのだろうか。

「まあ、それよりは根源治療を優先で。俺だって、この異能と付き合っていかないといけないんだから」

ぽん、と消えてくれるような異能でもないだろう。そもそも、ここは異能学園。異能との向き合い方を学ぶのが本義の一つのはずだ。
なら、ここの学生として、しっかり向き合っていかなければならないだろう。

「俺にとっては……どうだろうな。まだ適切な距離感は分からん。が、一つだけ言えるのは……」

一度区切って、氷架を見やる。
そして、少し照れくさそうにしながら口を開く。

「……俺が惚れた奴が、無二の信頼を向けてる相手だ。先生だとか、育ての親みたいな立場鑑みるに、目上感は抜けねぇけどな」

恋人の家族。
それが、現状ハッキリと認識できる、霜月零にとっての雪城括流だった。

……デザート、流石の仕上がりだとこっそり感心しているのは内緒だ。

雪城 括流 > 「そっか、うん。かぞk……!?」

自身の存在がそこまで重いとでも思っていなかったのか、まあ思っていたらあんなことできなかっただろうが。
氷架の離れたくない、というストレートな言葉に頬を赤くして口を長い牙の見える半開きのまま、ぱくぱくとさせる。
先生らしくない、何処か蛇姿がくちをあんぐりさせてるようなイメージが感じられるだろうか。

普段澄ましているつもりの姿からは珍しい、かもしれない。
もちろん数秒するとそっと口元に手を当てて牙を隠し、平静に戻ったのだが。

「えーと、その、うれしいけど…うん。ペットは建前なんだね。
一応親と言うにはりょーもちゃんといるんだけど。零くんは己にとってどうか、というのをまだ決めかねてるんじゃないかな。」

いろいろ何を言うか、言葉を選ぶ。蛇の寿命が云々とか、言えない。まあそう短命でもないけど。
デザートには手をつけあぐねつつ…。

「…零くんは私にどうあって欲しいか、言う権利があると思う。
目上感があるとかじゃなくて、目上の存在でいてほしい、なら受け入れるよ。」

雪城氷架 > 「とりあえず、括流と見たら身構えるとか、警戒するとか…。
 そういうのは私もなんか、悲しいしな…少しずつでいいから慣れてよね」
今は、とりあえずそうとしか言えそうにない
異能まで絡んでくるとなればまた根が深い問題である
自分がそうだったからわかるようなものだ

「……何あんぐりしてんの、当たり前だろそんなこと」

括流の顔を見ながらむぐむぐとデザートを頬張る
なんか心しか顔も赤いような気がする、もしかして意外だったのだろうか、と

コース料理も以上で終わり
あとは食後の談笑の時間、と言ったところである

霜月 零 > 「あー……」

決めかねている、と言うのは事実だ。
どういう立場がしっくりくるのか分かっていないともいえる。
今までは、漠然と「苦手な相手」だったのだが、そうもいっていられなくなった。お互いの存在をしっかり定義しないといけない。
首をひねりつつ……ふと思い至る。

「……今すぐ決める必要、あるか?」

そもそも、人と人の関係性なんて言うのは、時間をかけて固定化されていくものだ。
雪城氷架と霜月零が、最初は赤の他人で、色々な段階を経て恋仲へと発展していったように。
これから、変な気を遣わず付き合っていけば、それなりの立場が勝手に定まってくるのではないか。

「立場をしっかり固定化するよりは、これから自然に固まって行くのを待った方がいいんじゃないか、と思う」

自分の中で逃避になっていないか吟味しつつそう口にする。

雪城 括流 > 「うん、そうだね。そうだけど…。」
当たり前、と言う言葉には素直に頷く。

「……意識的に意識していなかったのかもしれないね。」

蛇だから。
変な台詞を言葉にしながら、軽く首を振った。

「今すぐ決める必要はないよ。でもさっきの敬語と同じだよ。
成り行きに任せるのであれば、いま零くんのなかにある一番強いイメージは『苦手な相手』なんだと思う。
だからこそ、ひょーかは今日のような場を整えたんだよね。」

形を持たない積極性を保てるのか――そう問い返すように、その縦長の瞳孔が隣の相手に向けられる。

「だから今すぐでなくてもいいけど、考えることだけはしておくといいよ。」
そう言葉だけ与えて、括流もデザートを頬張った。

雪城氷架 > 「? まぁいっか、括流の変な顔も見れたし」
にへ、と笑ってスプーンを置く
なんだかんだフルコース、お腹は膨れた …5割ほど
時間をかけて食べる、というのも満腹中枢がどうのこうのなのかもしれない

「辛かったからな、正直。
 私はは括流が好き、零のことも好き。
 でもその二人が仲違いしたままじゃ3人で遊べないもんな」

もちろん二人きりじゃないとダメな時もありそうだが、それはそれ

「私は3人で遊びたいんだよ。3人と言わずお母さんいれて4人でもいい。
 ヴァルもいれれば5人かな……?お父さんは、まぁ忙しい人だからアレだけど」

要するに家族ぐるみの付き合いをしたい氷架なのであった

霜月 零 > 「自分なりに、もう少し考え続けてみるか。構え過ぎねぇ程度に、だけどな」

余り構え過ぎると逆効果になりかねないが、分析して理解するのは精神的にも大事な事だ。
苦手意識を横に置き、純粋に相手を見る。
難しいが……やらねばならないだろう。

「それだと、芙蓉とかもくっついてくんのかね」

氷架の言葉にはそんなふうに。
家族ぐるみと言うことは、やはり零としては妹の芙蓉が頭に浮かんでくる。
父や母は……流石に、もう少し先だろう。うん。

雪城 括流 > 「とりあえず会食の意味はあったみたいだね。
ゆっくりしたら次のお店に行こうか。そこでの支払いは私が持つよ。」

ひょーかにご馳走してもらう、というのも特別な意味があったようで。
長居して追加注文というのも負担がかかるだろうから、と場所をかえることを提案する。
そしてふと、氷架の言葉に気付いて…。

「…あ、りょー拗ねないかな…。」
目的と言う事情が事情ではあるが、知られたらどう思うかなどと考えてしまった。

「芙蓉ちゃんも含めるなら、零くんの家族にもご挨拶しておくべきだよね。丁寧に。」
にっこり。


永劫の蛇ヒュクルールクルケイア。
無数の転生と輪廻を経て今生にたどり着く。

幾度も脱皮を繰り返す蛇は、生のために死を繰り返さなければならない。
結果としてその殻は激しき炎の中、短き生を燃え尽きる。


「でも、ずっとか…それじゃあ長生きしなきゃいけないね。」

ぽつりとこぼれる、何の変哲も無い呟き。

雪城氷架 > 「ん、それもいいな」
夜遊びってほどの時間でもないし、たまにはいいかもしれない。保護者同伴だし

「お母さんこんなことで拗ねるような子供じゃないって、…多分」
見た目はともかくおっとりした良い母親像の典型である、さすがにないと氷架は考えるが…
続く言葉にウッと言葉を詰まらせた

「ま、まだ早いんじゃないかな……た、多分…?」
目を逸らしつつそう答える
自分自身、微妙に覚悟が足りていない氷架だった

長生きしなければ、という呟きは単なる意思確認だけにとどめただろうか
神格をもつほどの蛇、その時点で氷架は括流の寿命、というもの自体を考えていなかったのかもしれない

「それじゃ、長居もなんだしそろそろ出ようか」

霜月 零 > 「ま、ほどほどに食うか」

今日摂取した栄養分は……と脳内で計算しつつ頷く。
奢りである以上食べ過ぎないというのは当然であるが、その他にも剣士として、体調管理は重要事項。
その分の調整である。

「……時が、来たらで」

覚悟はもう出来ているが、それはそれとして、親に紹介するのは色々と躊躇う物があるのだ。
恥ずかしさとか。
が。ぽつりと零された言葉を耳にし、考えを入れ替える。

「いや……早めにするだけしても、いいかもな」

蛇は古来より、脱皮や地中に潜り出てくることから、輪廻転生や永遠の象徴とされてきた。
その体で円を描くことができる事から、循環の象徴として扱っていた民族もいる。
生命の循環。それは、死と生の繰り返し。
それを体現する神格であるなら……純粋な『永遠』ではなく、あくまで輪廻を経由する不死なのかもしれない。
つまり……一度死ねば。次があってもそれは遥か先である可能性があるという事。
そして、その一端の寿命は、案外近い可能性があるという事。
多くの妖怪や神格を見てきた経験を踏まえ、その可能性に行き当たったのだ。
家族への紹介と言うのは一つの区切り……『紛れ』が起こる前に、それを見せてやる方がいいのかもしれない。
急いた話かもしれないが、そんな風に考えが及んだのだ。

「食べ終わった後にグダグダ話続けるのもな。取り敢えずここは出るか」

少し考え込みながら、それでも取り敢えずと立ち上がる。

雪城 括流 > 「時間も遅いけど、バーの案内くらいは…ううん……りょー呼んでおいたほうがあとあと安心かもしれないね。」

お酒は飲めないけど雰囲気くらいは味わえるだろうし、氷架がつまむものもあるはずだと思いつつ、
流石に娘のバーデビューまで奪ったらどうなのかなと思考する。

「…ああ。うん、そっちはまだ気が早いんじゃないかな。」
括流自身は何を考えていたのか、氷架 が零くんの親に会いに行こうとしているのを理解してぱたぱたと否定した。

そんな会話をしながら、揃って席を立ち出口へと向かう。
氷架の支払いの間、ちょっと寄りかかるように零くんにくっつりたりしたかも…しれない。

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