2016/06/13 のログ
ご案内:「地獄炉」にルギウスさんが現れました。
■ルギウス > 落第街の地下に作られた地下空間。
そこには神殿風の建物が色とりどりの花に囲まれた、楽園が形成されていた。
魔術で空間を拡張されているのだろう、その広い神殿の中央には大きな大きな釜が鎮座している。
その釜こそが、地獄炉の入り口である。
「いやぁ、知識としてはありましたが実際に作るとなると手間でしたねぇ。
材料から何から結局ほぼ特注になってしまいました」
その傍らに いい仕事したなぁ とばかりに満足そうに頷いている司祭が一人。
「とりあえずは、そこらの浮遊霊でも動作確認はしましたが。
やはり人間を放り込まないと醍醐味になりませんよねぇ?」
そういって、後ろを振り返れば 明らかに堅気ではない職業の方が数名縛られて転がっている。
意識はあるようでうーうー唸ってはいるのだが。
声がでないようだ。
■ルギウス > 「あー これが何かわかりませんか。
わかりませんよねぇ?
これはね、地獄炉って言うんです。どこぞの宇宙にいる螺子の外れた科学者の成果」
振り返って、教育のお兄さんのような態度をとり始めた。
「貴方は勇者や魔王ってご存知ですかぁ?
そう、ゲームでおなじみのアレですねぇ。
不思議ですよねぇ……彼らの力はどこからくるのでしょう?
努力の賜物? 否、彼らの強さは努力だけでは到達できない
天性の産物? 突然変異すらも飛び越える。しかも、ある日突然に目覚める方もいる……これも、否
彼らの力を誰もが使うにはどうしたらいいか。
ある人は考えました。考えて考えて……一つの仮説に至ったのです」
■ルギウス > 指を鳴らせば、骨でできた兵士が男達を担ぎ上げて移動を始める。
釜の両脇に設置している突き出た場所。
平たく言えば飛び込み台。いや、突き落とし台。
「彼らの特異な原因は、魂から得られている力なのではないか と。
で、あるならば……普通の方の魂も、文字通り地獄の責め苦を与えて負荷をかければ匹敵する力を抽出できるはず」
うんうん、頷いて。
「いやぁ、螺子が外れたなんて言いましたが もう 狂ってますねぇ?
実に素敵ですねぇ。アメイジングですねぇ。
ああ、勘のいいスーツの方は察しているようですが……貴方達は栄えあるルギウス版地獄炉の被験者1号と2号と3号に選ばれました。
おめでとうございます」
クラッカーをパーンと鳴らす。
実に白々しい紙吹雪が宙を彩った。
「まぁ、簡単にすり潰れないでくださいね。
できるだけ苦しんで苦しんで死にたくても死ねなくてやっぱり苦しんで苦しんで―――ただの“力”になってください」
■ルギウス > 「それでは、また来世……ああ、もう金輪際会いませんが、お達者で」
ルギウスが指を鳴らせば、骸骨兵士は男達を釜に放り込んでいく。
全員が釜に放り込まれたのを確認してから。
「ああ、しまった。
最期の懺悔くらい、聞いてあげるべきでしたねぇ。
次からは気をつけましょう。……覚えていたら、ね」
ストック用の洗剤を買い忘れていた程度の軽さで。
覚えていようと心に決めた。
「さて、これで外部リソースの確保は完了……と。
どこかの人買いと渡りでもつけますか。経済は回しておかないと」
■ルギウス > そして、舞台のスポットライトが消え。
今一度の幕間に戻る。
ご案内:「地獄炉」からルギウスさんが去りました。
ご案内:「地獄炉」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ >
落第街・某建物・地下――の、数刻後。
乱暴に扱われた身体の汚れを拭いて落とそうと、
人気のない箇所と水辺を求め落第街にある廃屋を漁っていたのが運の尽き。
うろついていた魔物からやり過ごし、ようやっと開けた場所に出た。出たの、だが、
「何よこれッ!
誰がッ!こんなものを本当に造った――ッ!」
其処にある炉は異様であった。
その上、理不尽なものであった。
故に、吠えた。
■水月エニィ >
――鏡花ハルナにも其れは見える。
水月エニィも、それを見ようとしないだけで見る事が出来る。
……あの路に於いて、霊が、心がどのように使われているか、良く分かる。
……とは言え、見せ付けられたら見てみぬフリは出来ない。
見ざるを得なければ、そうしなければなれない。
「このッ! ……まさか本当にこんなことをやるだなんて……!」
ご案内:「地獄炉」に隼人さんが現れました。
■水月エニィ > ――拳を叩き付ける。
当然びくともするはずがないが、執拗に殴りつける。
「――ッ!!」
八つ当たりのように何かを叫ぶ。
苛立ちすぎて、まともな声にはなっていない。
――その呪いめいた怨みに引かれた霊が集う端から地獄炉に放り込まれているのも、己が責と気付いてすらいない。
ご案内:「地獄炉」に黒装束の女さんが現れました。
■隼人 > (いつの間にこんなんできてん……)
こつ、こつと道を歩く。
襲ってくる魔物を踏みつけ、脳天を拳銃でぶち抜き、更に踏みつけて殺しにかかり。
そんなことをしているために足が汚れたが気にした様子はなく。
少しすれば、広い場所に出た。
「おーおー、なんじゃこりゃ」
圧巻というか、なんというか。
どうやら既に先客はいるようだが。
■水月エニィ > 「……ッ!」
徒労と諦めたのか、地面を叩く。
そうしてから、声に気付けば――
――オートマチック型の拳銃を構え、隼人に照準を合わせた。
■隼人 > 慌ててこちらに照準を向ける少女に、隼人は落ち着いた様子で、同じくオートマチックの拳銃を向ける。
「――」
お互いが銃を向け合い、どちらが先に撃つか。
隼人はなにも語らず、鋭い目つきで少女を見ている。
■水月エニィ >
激昂・必死・窮鼠ならぬ窮犬。
――躊躇わずに発砲した。3発程。
■隼人 > 同じく、ほぼ同じ瞬間に発砲する。
こちらはただ一発。
それで十分と言いたげに。
彼女の頭――より少し右。
後ろから来ていた魔物を狙い、撃つ。
■水月エニィ > 「ち、ィッ!」
発砲に動じないと見れば、何かしらの防護をしているのだろう。
先日の保険課の友人を想起しつつ、意図に気付かず肉薄し、押し倒しに掛かった。
後ろに何処からか沸いた魔物がいたなどとは、気付いている素振りはない。
■黒装束の女 > 楽園の片隅、深淵なる影に骸骨兵、そしてそれと重なるようにひっそりと咲く
黒薔薇が一つ。
骸骨兵の《姿》が黒薔薇から離れ、残像のように消えていく。
その黒薔薇は、人であった。
黒衣装に成熟した身体をぴっちりと収めているその妖艶な婦人――遠目には影に隠れて
その輪郭すら見えないが、もし同じ暗闇の中に溶け込んだのならば、
その年齢を窺い知ることもできよう。
年齢にして25、6。
目元は仮面で隠されており、その表情は分からない。
だが、その口元は面白く無い見世物を目にした後の観客のように、きゅ、と結ばれていた。
ルギウスの意味深な発言を気にしていた彼女は、彼の行動を観察
していた。
そうして骸骨兵の姿を写しとり紛れ込むことでここに行き着いた訳だったのだが、
果てに目にしたのは彼女の想像を超えた代物であった。
『地獄炉』。実に興味深い代物である。彼女の好奇心は今、燃え盛る炎のようにその胸の内で踊っていた。
ルギウスの行動を観察していた成果は、此処にこそ
あったと言って過言ではない。故に彼女は何処かへ消え去ったルギウスを追わずに、
この場に留まったのだ。
さて。
見やれば、眼下に二人の乱入者。
仮面の奥の冷たい視線を、興味深そうに動かしながら。
黒装束の女は二人を観察することとした。
暗闇の中で、誰にも知られることなく。
■隼人 > 当然、銃弾は隼人を貫通する。
肩に二発、わき腹に一発。
適度な痛手だが、このぐらいならば動きに支障はでない。
(後ろのは片付けた、と……お?)
突っ込んでくる少女。
まさか、後ろのに気付いてなかったのか。
「おい、ちょぉ待て――っど!」
特に抵抗もせず、少女に押し倒される巨体。
わざと倒れたところはあるが。
■水月エニィ >
「お前かッ! お前が……!」
半ば理性がトんでいる。我も忘れて、否、
諸手で逸脱した握力で首と締めに掛かろうと、伸ばす。
■隼人 > 「がっ……!」
流石に首はやめろ!
そんな声を出そうとするが、先に絞まっていく。
(しゃあないのぉ!)
こんなときだ、一発ぐらいは許してくれるだろう。
右手を強く握り締め、少女の無防備なわき腹を殴る。
■水月エニィ > 「――ぐぅッ!」
押し倒しているとはいえ、
まともに振り抜けぬ姿勢であれ、当たれば少し呻く。
手が緩んだ事を確かめれば、即座に身を離して銃を回収し立ち上がり、
再び銃口を向けるだろうか。
「っ、はぁっ、はぁっ……」
■隼人 > 少女が騎乗の姿勢から立ち上がれば、隼人は少し咳き込みつつも少女を見る。
再び銃口を向けてくる少女に、手の平をむけ、静止を促す。
「ごほっ、おい、まて。
こっちとしちゃぁ、殺しあうつもりはないんやけど。
少し落ち着けや、な?」
■水月エニィ >
「ちっ……」
銃を構えなかった故に下す。
苛立たしげに仕舞い込み。
「なら、何よ。……世界でも滅ぼしたくなるぐらい機嫌が悪いのだけれど。」
一目見ただけで苦虫を噛み潰すように歯を軋ませている事は見て取れる。
あまりにも理不尽な扱いに、尋常ではない苛立たしげを見せている。
「……貴方が著者?」
■隼人 > 「んなこといわれんでも、子犬が気絶しそうな顔向けられたら分かるわ」
大変不機嫌そうな顔でいる少女に首を振り、肩を貫通した側の腕を動かす。
よし、痛みはない。彼女は人間だ。
「チョシャ?
何のことかはしらんが、本なら書かんぞ」
少女の問いにはそのように答え
「逆に、お前さん、なんでこんなとこにおんねん。
なにもんじゃ」
と、問う。
■水月エニィ >
「良く見れば、本を書きそうにない顔をしてるわね。」
大分気が立っている。張り付くような怨嗟と呪いが口から漏れる。
立っている故に、問い返されれば――
「……振り回される方の人間よ。
乱暴されたから人気のない所で身体を拭こうとしたら魔物の巣窟に迷い込んだ。貴方は?」
煙に巻く訳にしては、やや力みすぎている語調。
当たり前のように理由を答えてみせてから、再び問うた。
■隼人 > 「……ああー」
納得の言ったような声。
確かに、そんなナリじゃあ乱暴もされるだろうと納得。
いや、納得というよりも、そういうことにしておこう、ぐらいだが。
こちらを再び問われれば、少し黙ってから
「……知り合いの、バ……女……の子が、の。
ここにいるであろう知り合いにお礼参りしたいから、捕まえとけ言われてな。
まぁ、要するにつかいっぱしりや」
はぁ、とため息をつき。
前半はかなり言い難そうだったり考えたふりをしていたが、後半のほうはスラスラといっていた。
■水月エニィ >
「……とてもじゃないけれど、今は隠し事を見ないフリをする気分じゃない。
けれど、埒が明かなそうね。」
首を振って銃を仕舞う。
大分参った様子で頭を抱えながら遠くを見上げ、息を吐く。
「その女の子はきっと、随分強いのね。
はぁ。……まぁいいわ。ここには誰が居たの?」
■隼人 > ようやく仕舞った銃に、こちらも銃をスーツの内側に仕舞う。
「ああ、アホみたいに強いよ。
それはまぁええとして。
ここに誰がいたか、ちゅう話やけど」
一拍置き、周りをみて
「わからん。
わしもさっきついたとこやし、お前さん以外の人間はみてない。
一足遅かった、ちゅうとこやなぁ」
■水月エニィ >
「……分かるのならば推察を話すけれど。」
今は疑って掛かるべきだ。
建前の善を真にしてみせるではない。
話しで釣ってみせようと、思わせぶりに告げるだろうか。
■隼人 > 「ん?
なんや、なんかわかるんか嬢ちゃん」
正直、手柄なしで帰れば何を言われるかわかったものではない。
とりあえず推察だけでも、もってかえればお咎めはなくなるかもしれない。
故に、
「聞いてみにゃわからんが、言ってくれるなら助かる」
と、推察を聞く姿勢。
■水月エニィ > 「流石にそれは無理よ。
……普段ならばともかく、今はダメ。信用できない。」
首を横に振って、軽く拒否する。
目の前の彼はまだ信用できるが、その先の誰かを信頼したくない。
持っている可能性を匂わせているが、本当に持っていない可能性も有り得る。
「……これだから裏を疑いたくないの。人を疑いたくないの。
この地獄のような世界に善意が残っていると信じたいの。
ほんっと、疑い出せばキリがない。それなら疑わない方がマシだった!
信じていた方がマシだった……!」
昂った感情を散らすように地団駄を踏む。
冷静に戻ったかと思えば、唐突に激昂してみせた。
■隼人 > 「おいおい、なに急に怒りだしとんねん。
ちょい、落ち着けや」
急に怒り出した少女をなだめるように声をかけ。
「なんや、誰かに裏切られでもしたか?
話ぐらいなら聞いたるぞ」
タバコを咥え、火をつける。
一服モードに。
■水月エニィ > 「……っ、悪かったわね。
ちょっと不安定だわ。前にもこんなこと……いや、初めてよね。」
妙な既視感を振り払い、呼吸一つで精神を整える。
「……流石にそれは悪いし、話してくれないならもう帰るわ。
確証がないし、信じる気分になれないもの。だから疑うのは嫌い。
そうしなければ世界は回せないのに。……まぁ、また今度にしましょう。
貴方も私も、準備位は出来るでしょうから。」
踵を返し、出口へと歩み始める。
魔物がいるだろうが――まぁ、疵を覚悟すれば逃げ切れるだろう。
此処にいるよりは、多分良い。
■隼人 > クスリでもキめられたかのように精神不安定に見えるが、その指摘はせず。
乱暴されたといっていたが、大丈夫だろうか。
「おう、悪いな。
また今度、会ったときにでも、な。
スラムにおるならまたいつか会うやろ」
去る背中に、そんな言葉を投げかける。
隼人はもうしばらくいるだろう。
なにか痕跡でも見つけなければ、かえるにかえれない。
■水月エニィ >
――そう評するなら、一息のみで精神を安定させ切った異常さも把握出来るだろう。
まるで、"無理矢理にでもリカバリーしてみせた"ような逸脱さとでも言うべき復調ぶりだ。
ともあれ、そのまま、立ち去った。
ご案内:「地獄炉」から水月エニィさんが去りました。
■隼人 > 「……さて」
そう呟き、しばらくは地獄炉周辺を調べるだろう。
だが、なにもないとわかるとそのまま去ってしまう。
大変、かなしそうに何か呟きながら。
ちらりと、なんとなく、上空を見上げてから。
その場を去る。
ご案内:「地獄炉」から隼人さんが去りました。
■黒装束の女 > 『地獄炉』。あれ程いけ好かなくて、それでいて興味をそそられる物もない。
黒手袋に覆われた細い人差し指を、自らの唇へあてがう。
地獄炉に放り込まれた者達。哀れとは思うが、おそらく救い出す手段は無いだろう。
もしあったとして、その手段を彼女が実行するかと言えば――NOだ。
彼女は正義の味方などではない。得体の知れない代物に近づいて、
自分の身を危険に曝す気など毛頭無いのだ。
英雄《ドン・キホーテ》は、彼女の担う役ではない。
此処には元々自分の正体を見透かしているかのような発言をした、あのルギウスの情報を得る為に
来ただけであり、それ以上の何かをする予定は無かった。
ただ、眼下に在るいけ好かない『牡丹餅』には思わず足を止めてしまう程に興味津々であったのだが。
さてルギウスに関してでも、この『地獄炉』に関してでも、
眼下の二人が何かしらの情報を吐いてくれればいいのだが、と。
希望的観測から観察を続けていたのであるが、どうやらそれは叶わぬことらしい。
一人が去り、一人が残った。
男が上空を見上げても、そこにはただ影が在るのみ――。
「さて? ミステリアスな男って、どうしても探りたくなっちゃうのよねぇ」
誰も居なくなったのを確認してから、女は自らの懐に手を忍ばせた。
取り出したのは幾本ものカクテル・ピン。白、黒、茶、赤、青、黄――様々だ。
その内、周囲に生えている花の色に近い物を何本か選ぶと、彼女はそのピンを地面に突き刺した。
無論、今しがた彼女のした行動は地下空間の花を更に彩る為ではないし、
況してや無意味な行動でもない。
「収獲ナシで帰るのも、ねぇ? じゃあ後は、適当に『覗かせて』貰おうかしら。
こっそりと、怪盗らしく……ね?」
■黒装束の女 > 周辺の気配は察知済み。これ以上の長居は得策ではない。
深い闇の中、妙齢の婦人の姿が掻き消えたのは、最後に彼女が言葉を口にしてから、数瞬後のことであった。
ご案内:「地獄炉」から黒装束の女さんが去りました。