2016/06/28 のログ
”マネキン” > そうか、やはり人違いではなさそうだね。
いやいや、個人的な知り合いだよ。彼女は交友関係も広いだろう?

それに財団といっても偉くもなんともない、ただの薬関係の研究者にすぎないんだ。
ただそういう専門の分野については多少が融通が聞いてね…

うーん、リラックスしてもらおうと思ったが、なかなかそうはいかないかな?
いっそ少女なのだからその似合う可愛い服装を褒めてもとは思ったが、パジャマを褒めるのも問題があるだろう。

ああ、本題だったね。

ちょっとした新薬の実験を、してみないか。もしかしたら君の抱えている問題が解決するかもしれない。

【そこらにある丸い椅子を手でベッドのそばへよせて、座る。
膝の上で手を組み、”マネキン”は上半身を少し乗り出す姿勢をとった。】

伊都波 悠薇 >  
個人的――そういわれれば、納得は少し。
姉が一緒に来てないのは、少し首をかしげる点もあるし。
そういう人が来るなら、連絡があってもいいのではとも思う。

疑問点は尽きない。

「――? クスリ、ですか? 先生と相談しないと、何とも言えないです」

自分の独断で、そういったものをもらうわけにはいかない。
知らない人からは、もらってはいけない。
それは親が子供にまず教えることの一つだ。

「――リラックス、するのは初対面ですからなおさら難しいですね?」

笑顔がこわばって、いつも通り怖いスマイル

”マネキン” > 【サングラスが彼女の笑顔のほうを向く。】

個性的な笑顔だね。
初対面とは最もだ。こちらとしても、できればもう少しじっくり説明する時間を取りたかったんだけど…。

(厄介な黒眼鏡のせいで、段取りがまったくずれてしまった。)
…邪魔が入ってしまってね。

担当医師には私から説明するよ。
こう言っては悪いんだが、彼には原因はわからなかったようだしね。
だからこの場で必要なのは、患者である君の決断なんだ。

【針のない圧力式の注射器をポケットから取り出す。アンプルはセットされていない。】

そう、時間の都合が付けば君の姉と共に来るのがよかったんだろう。
でも彼女は他の用事もあって忙しいようだし、こっちもなかなか都合があわなくてね。

もし、薬についての疑問点があればあとで伊都波凛霞に聞くのもいいと思う。
危険性は…医学に携わるものとして、99.9%としかいえないが…無いはずだよ。

(この言葉は嘘じゃない。
彼女はそれに相応しい適正があるはずだ。)

君は君自身に不安を感じたことは、ないかい。

【膝の上で注射器を弄ぶようにする。
”マネキン”は答えを待っている。】

伊都波 悠薇 >  
「……え、そうですか?」

もみもみと、自分の顔を揉む。
そんな変な顔だったろうかと、恥ずかしくて頬が赤く染まる。

「――邪魔?」

何を言ってるのか、よく理解できないが、なにかあったのかもしれない。
例えば、事故にあったとか。例えば、急に彼女が駄々をこねたとか。
例えば、妹がランチに連れて行ってと、言ったとか。
あとは――親が急に入院したとか。お姉ちゃんに、レズの友達ができて、ごにょにょな姿を見てしまったとか。

いろいろ。

「――私の決断」

そういわれると、うーんっと首をひねる。
ベッドのシーツがくしゃりと動いた。

「不安ですか……?」

どんな不安だろうと、オウム返し

”マネキン” > 九九九。
いや、ごめん。変だったとかそう言うわけじゃないんだ。
こういうとき、烏丸秀だと可愛いなんて言うのだろうな。

【独特の含み笑いをもらす。口元を押さえる。
その後手を掲げて、手のひらを見せた。弁明を行う。】

こちらの事情だよ。先輩がね。

原因不明の頭痛や鼻血に対して何か思うことは無いかい。
それで家族に心配をかけていることも。両親は君を愛してくれているだろう?

君の姉はそのことを心配しているとも限らないようだったが…。

【顎に手をやる。首を傾けた。学校のほうへ、視線を向ける。】

伊都波 悠薇 >  
「――あれ、烏丸さんともお知り合い、だったんですか?」

交友関係の広い人だと思う。
そして、狭い世の中だとも。

「――そうですか……それは、その。聞いちゃったみたいでごめんなさい」

申し訳ないことをした。
踏み込んではいけないところだと思った。
なにせ、初対面だ。
これだから友達がすくないのだ――

『へい、ななころびやおっきー、ただじゃころばないぜはるっきー』

急にラップを刻む携帯ストラップ。
うむ、ここで負けてはいけない。

「――なんでだろうとは、思いますけど」

何か無理をしてるからかもしれない。
自分のオーバーペースの修行。隠れての特訓に勉強。
ちょっと睡眠時間を削ったり、お夜食を食べすぎたりで
最近は不健康な生活だったのは自覚してる。
それのせいかもしれない。たぶん。

「――? 姉も、心配してくれてると思いますけど……」

なんだろう、言い回しがすごく遠くて察しにくい。
烏丸さんとは、別の饒舌家だとおもった、うらやましい

”マネキン” > 【首を左右に振る。】
いや、いいんだ。
大丈夫だよ。話したくないことなら、相手も濁してくれるだろう?
そこで謝ることができるのなら、申し訳ないと思うことも無い。気にしないでくれ。

それで、ええと…烏丸秀とも知り合いだったかな。
彼はああいう仕事と性格をしているだろう?仕事柄面倒な仲なんだ。
でも悪い仲でないのなら、そのまま相手をしてやってくれ。

【肩をすくめた。フードの前を押さえて、手前に引く。】

物事には理由があるものだ。誰にでも、なんにでも。
そうでなくては、研究員なんて仕事に意味はないからね。

そうかい?さすが姉妹だね。
それなりに付き合ってみたんだけど、話題にする割にあまり妹の体調を心配する言葉は彼女から聞けなかったんだ。
かわりに、高峰司という少女のことをひどく気にかけていたようだった。

【「新薬」のアンプルを取り出した。先端を折って、注射器にセットする。】

話がずれたね。
このクスリは君の思っているその「なんでだろう」に作用するものだよ。

それはきっと、ただの過労や体調不良なんかじゃない。
異能が、君にもきっとある。
そしてそれは制御しなければ、学園でおきる様々な事件のように…いずれ誰かにも被害を及ぼすかもしれないんだ。

だから僕は、ここに来た。
(ぺらぺらと、自分ながらよく口が回る。)

【準備のできた痛みの無い注射器を見せ付けた。】

伊都波 悠薇 >  
思考が早い。きっと研究者だからだろうか。
それに気遣いもできるし、正直に伝える点はしっかり伝えてくる。
踏み込まないでくれるとうれしことも匂わせる――

すごく、コミュニケーションがうまい人なんだなと思った。
そして烏丸さんが、いい顔をしなさそうな感じだなぁと確かに思ったので苦笑で返しておく。

「因果の結びつき、ですか」

こくりと、頷いた。

「――? なにか、変ですか、それ」

大事な友人と言っていた人だ。
それに悠薇にも、一つの恩がある。なにも不思議じゃないと思った。
自分は自業自得な部分もあるし、今の状況は自分のせい。
姉が薄情なのではなく、自分が愚か者なのだ。だから、それも自分のせいだ。

「……私に、異能が?」

それは研究区に行って調べてみたらと、姉にも言われていて。
可能性は示唆されていたもの。
でも、首を振ったことだった。

そう、自分は確かに嫌がって。姉は尊重してくれた。
疑惑が、深く。濃厚になっていく

「――……」

そうなったら大変なのは、わかるが。
浮かんでしまった疑念のほうが、うなずくのを踏みとどまらせる。

「――姉に、電話、してもいいですか?」

そっと携帯に手を伸ばした

”マネキン” > そう。
いままでは気にもしていなかったんだろうけど、症状と言う形で出てしまっては無視するわけにもいかないだろう?

今回の入院、その怪我だって…正確な検査をしているわけではないから確証はないが、おそらくその異能のせいだ。
君がそれを「なんでだろう」と思うように、不自然な点は一杯あったはずだよ。

それとも…その思考もまた、異能ゆえのものなのかもしれないけどね。
変といえば変だし、変でないといえば確かに、変でもない。だけど何故そう思ったのか、聞いてもいいかな。

【フードから覗く口元の笑みを深まった。
時計の文字盤を見上げるように顔を向ける。】

…そろそろ、学校も時間が空いたころだね。
いいよ。そうしてもらえたほうが、いいと思う。

【手の甲を下に、携帯に向けて指し示す。
注射器を握ったまま、軽く腰を浮かせた。いつでも動くことができる。】

伊都波 悠薇 >  
「……――」

そう、なのだろうか。わりと全部自分のせいのような気もする。
――なにか噛みあわない。要するに、自分は変な子、なのだろうか――

「……え、何故って」

研究職だからかもしれない。
言葉を聞くのは、なにか確証が得たいからなのか――

「……お姉ちゃんは、不器用なんですよ?」

そう、言葉を、告げた。

「何でもできる完璧超人とか言われてますけど、一人の人間ですから。できること限られてます」

目をつぶる。思い浮かべるのは、凛とした、霞のような”姉―あこがれ―”

「頑張っていっぱいしようとして。余裕があるときはぱぱぱっとしちゃうんですけど――」

くすりと、笑った。

「余裕がない時――本当の全力の時は”たった一人”なんです」

注ぎ込む、全精力を。自分の、道。”命―じかん―”をかけて。
だれよりも、だれよりも助けたいと思うから。
二兎ではなく、一をとる。なのに――結果として”とりこぼさないのだ”

「この前、いっぱい心配してくれました。だから、十分です。心配かけさせちゃったのに、呆れないでくれました。”また”」

何度も何度も――

「だからいいんですよ。姉らしいと、そう思いますから。きっと全部つながってるんです」

――姉の、勝利へと。

「ありがとうございます。じゃあ外に出ないと」

ここは病院だ。携帯を使っていい場所じゃないからと。ベッドから立ち上がって、携帯を持つ。

――嘘を、つかれてないといいな

そんなことを想いながら

”マネキン” > でも…

【さらに”マネキン”の笑みが深められる。】

だが、君達は姉妹なんだろう?
本当に「”たった一人”」になる必要はないはずだ。
決断と言うのは大事だ。切り捨てる強さも必要だろう。

もう一度聞いてみよう。姉妹と言うのは、たった一人じゃなれないものじゃないのかい?

(だが同時に、彼女から最も聞きたかった答えではある。推測はいま確信と成った。
もう、用は無い。次の段階を終わらせよう。予定通りに。)

個室でならば気にすることもさほどないかもしれないが、そうだね。
大抵の病院ではそのためにいまだにPHSや今ではタブレットを使っている。

付き添おう。パジャマのままで何だ、何か羽織るものが必要じゃないかい?

【立ち上がる彼女について、席を立つ。
そこらにある衣服を手に取り、肩にかける振りをして背中へと近づく。】

この上着でいいかな。失礼するよ。
(狙うは首筋がいいが、背中や腰、いざとなれば末端でも構わない。)

【最も隙の大きな場所に注射器を押し当てて、パジャマの上から引き金を引く。
空気の抜ける軽い音を立てて、薬液の中身であるディアブロ・ウィルスの素体が彼女の肉体へと押し出された。】

伊都波 悠薇 >  
――何を言ってるんだろうと、首を傾げた。
姉妹というのはたった一人じゃなれないもの?
たった一人になる必要がない?

「――えっと……その、何を言いたいのか、わからないですけど」

苦笑して、すみません。頭悪くてと、謝罪し――

ありがとう、そういおうとしたのに。

刺された、空気の抜ける音。

「――え……?」

振り返って、刺された場所に手を当てた。
首筋――

”マネキン” > すまないね。
アンプルをセットした時点で、打たないと無駄になるんだ。

どうしても僕は研究者らしい。
できれば、患者の同意は得たかったが。

【注射器をポケットにしまう。
両腕を広げて、彼女の様子を伺う。】

君は少し眠くなるはずだ。
安心してくれ。馴染むまでの少しの間だよ。

目覚めたら、世界はきっとその形を変えている。
そうなった時に、また会おう。伊都波悠薇。可愛い可愛い、我々の救世主の片割れ。

そのときに何を言いたかったのか、じっくりと説明してあげる。

【何をされてもただ”マネキン”は抱きとめる姿勢のまま待っている。】

伊都波 悠薇 >  
すまないと、謝られても。
研究者、やっぱそういうことかとも――

あぁ、なんて間抜け。
姉はきっと、彼が”やばい人物”だと気づいていたことだろう。
初めての接触の時も、嫌悪を抱き不用意に近づかなかったろう。
でも――妹はできなかった。”決定的な疑念まで抱いていたのに”

「――悠薇の、未熟者」

ゆっくりと、眠って――崩れ落ちた

ご案内:「青垣山近くの病院 個室」から伊都波 悠薇さんが去りました。
”マネキン” > 【”マネキン”は倒れてくる少女の身体を抱きとめる。】

未熟かな。
君の姉は最初のとき私に疑念を抱いた様子は無かったよ。

いや、仮説の異能は今の状態に依存するのかもしれないな。
しかし、目覚めたなら何を持って「未熟」とするのか、聞いてみたいものだ。

いつ熟すというのだろう。

【彼女の身体をベッドに横たえ、シーツを被せた。
椅子の位置を元に戻す。】

”マネキン” > 【痕跡を消して、個室を出る。
病室の入り口に立っていた警備員風の男に挨拶をした。】

警備ご苦労。
さあ、合流するとしよう。

【どこかにいるもう一人の”マネキン”がコンテナケースの鍵を回す。
病院内にざわめきが戻ってくる。フード姿の男が数名、病院を立ち去った。】

ご案内:「青垣山近くの病院 個室」から”マネキン”さんが去りました。