2016/08/15 のログ
ご案内:「>落第街、地下施設書類倉庫」に”マネキン”さんが現れました。
■”マネキン” > 【明りの消えかけた薄暗い一本道の地下通路。
罅の入ったコンクリートの床に朽ちたベンチが一つ置いてある。ベンチの向かいには古びた鉄の扉があった。
フードの男がそこにいた。光の届かない場所にいくつかの存在の気配がある。
先日と時刻はさほど変わらない。】
……?
【フード姿の男子生徒が暗闇に視線を向けた。
地下施設の存在を知っているもの、高峰司に関連した人物及び感染者がこの場所に侵入できていい。】
ご案内:「>落第街、地下施設書類倉庫」に蕎麦屋さんが現れました。
■蕎麦屋 > 鉄の扉の向こうから、ぼへぼへと間の抜けた排気音。
何が来たかは、きっと言うまでもない。通路の向こうに、明かりが一つ見えた。
時折何かを引きつぶす鈍い音を立て、扉の前で排気音が止まれば。
「はい、毎度―。かけそば一丁お待ち―。」
通路の横に待機していた男に、声をかけた。
居るかもしれない、居ないかもしれないが。なんとなく当たりだろうと、そんな予感で蕎麦持参の運びです。
■”マネキン” > 【薄暗い通路の向こうから”マネキン”にとって招いた覚えのない客が来る。
通路のシャッターがこじ開けられた。開く扉に合わせて周囲から黒い影の獣が殺到する。】
注文した覚えも呼んだ覚えもない。
…連れはどうした?認めた人間…英霊、とでもいうのかもしれんが。
高峰司の能力を使ったのでないとしたら、落第街をしらみつぶしにでもしたのかよ。
【ベンチから立ち上がって”マネキン”がそちらを向く。】
■蕎麦屋 > 「細かいことはいいじゃないですか。
とりあえずせっかく持ってきたのでどうぞ?」
おかもちから蕎麦の器を取り出して、割り箸と纏めて渡す。
意地でも蕎麦を食わせる心算だった。何も仕込んでいないのも間違いないだろう。
飛びかかる黒い獣は柳に風と、軽くあしらいつつ――いや、数多いですって、汁こぼれるのは困る。
「連れ――?ああ、司君は現状ダメダメでお話になりません。という奴でして。
そもそも彼女の連れはともかく、本人こういうのてんでダメですから、虱潰しですが、案外早く見つかったので問題はないでしょう。
で――ここはいったい何です?」
普通の人間の生活圏を省いて怪しい所から順繰りに。
気配がすれば大当たり、という――要するに虱潰しだ。
厳重な鉄の扉をみやりながら、聞いてみた。
■”マネキン” > 今日のところは遠慮しておく。
蕎麦さえ良ければいいと考える君は日本の蕎麦打ちとしては二流だな。
場を整えてこその料理だ。風流を解せ、と我々が言うのも可笑しいけど。
ついでに、私より飢えているものたちがいるのでね。
手ごと食われ無いように、というが、ここまでにも旧型とはいえtnD-04たちが群れていたはずだから無用な心配か。
【フード姿の男子生徒が右手を挙げて前に振る。
黒い影上の獣型生物兵器、tnDr-05が蕎麦うつわに飛びかかる。】
案外早く、か。そこにあることさえ知っていれば、可能か。
いや、解明という意味ではあることを知っているだけ、容易な確認作業にすぎない。
餌の彼女はダメダメかい?
一応誘ったのは彼女なんだがね。一応連絡くらいしておいたほうがよくないか。
あったのは以前以来だが、また問題でも起こしているんじゃないだろうね。
【肩をすくめた。】
…そういえばあの時に質問を投げたままだったな。
なぜ彼女に肩入れし君のような存在が思うままに実力を振るうような真似をする、と。
【”マネキン”が居住まいを正す。】
■蕎麦屋 > 「あら残念。――まぁ、食べてくれる方がいるならそれでいいのですけどね。
まぁ、世の中血だまりの中で蕎麦うめぇ、って啜る方もいらっしゃいますから。
風流も人それぞれ、なら蕎麦を提供するのは蕎麦屋の仕事でしょう、と――。」
蕎麦の器をひょいと、放り投げて一歩下がる。
正確に飛びかかった獣に蕎麦は器ごとかみ砕かれるだろう――本当に食べるのかは知らないが。
「在るか分らない物を探すよりは在るとわかっている物を探す方が難易度的には数段落ちますからね。
――あー、まぁ、喋らなくても貴方なら調べればわかるでしょうから言っちゃいますけど。」
「あの姉妹の異能が判明しましてね?
それを知ったらもう、あの子ゲロ吐くくらいに取り乱してしまいまして。宥め役の友人も一緒に取り乱しているものですから――
まぁ、あの一件片付くまでは、ウィルスだ感染だまで頭回らないんじゃないですかね。」
ちょっと悩んだようなそぶりを見せるが、結局バラしてしまう。
あの主人は友人に半ば以上依存しているわけで、その友人が機能不全ならなし崩しに主人も機能不全である。
「思うが儘?思うが儘好き勝手、に見えます?
人の世に墜ちた以上柵はございますが――。まぁ、不便なものですよ。」
■”マネキン” > 【”マネキン”が指示すると黒い獣は通路の奥の薄暗がりの陰に向かう。
姿は見えなくなるが、獣が器ごと蕎麦を咀嚼する音が聞こえる。】
残念だがそういう感性は持ち合わせていない。
衛生観念というものが必要な仕事だったからね。
本の散らかった職場で喰うものもいるというが、理解はし難いよ。
物を調べるとはそういうものだ。
ああ、そうだったな。伊都波悠薇とは会話したが、あの姉妹もずいぶんとすれ違いが激しいようだ。
その割に二人だけで世界が完結してしまっている。
うん?その言いようだと嘔吐したのは高峰司のほうか。
直接は関係なかったはずだが…なにかあったんだろうな。知らないかい?
【バラす様子に対して平然とこたえる。
気軽な様子で問いかけた。】
不便なようには、人から見て見えないが。
それはそういう存在たちとしての在り様の話か。
そういう形で頸木があることについては理解がするが。
その通りの処理を行われたら人にとってはただの未知の脅威に過ぎないんだよ。
人の領分に踏み込むな、と…まあ、望んでいるだけだ。無駄だろうが。
■蕎麦屋 > 「案外常識的な感性で逆に安心しますね、ホント。
うちのお得意様にも三日に一回くらい、飯を買いに出るのが面倒くさいから、などという人もいらっしゃいますし。」
溜息一つ。
まっとうな注文は割と少ない。
いや、面白い客が普通の感性をしていないだけかもしれない。
「今まで見たことのない価値観は受け入れ難かったようですよ。
二人だけで完結する英雄譚など、傍から見れば異常ですから仕方がないとはいえ。」
もう少し視野は広く持たないと困ると思うんですけどね、などと付け加えて。
別段隠す必要もなければ平然と答えを返す。
「関わるな――と言われても。忘れられても困りますし。
何より関わってしまった後で手を引け、は少し寝覚めが悪くありません?
望まれて、はいそうですか、とそれで済めば非常に楽なのですけれど――ね。」
見放す、のは心情的に中々、難しいものがある。
悩んだ様子で、首をかしげて見せた。
■”マネキン” > 【片手を制服のポケットに手を入れる。】
人の範疇を超えた非常識な連中が最近多くてね。
まったく、腹に槍弾を受けたなら倒れていてくれるぐらいはしてほしいものだよ。
それはまた人としてどこか壊れているね。
そそのかして戦乙女に対抗する手段を聞いても役に立たなさそうだ。
やはり忘れられるのは怖い、か。
【もう片手でマネキンの顎をこする。
少し考え込んでいた。】
では、どこまで関わるつもりだ?
高峰司が英雄になるまでかい?ヘルヴォル、とかいったか。
戦乙女ならその魂を回収するのか?
理解できない話だよ。まったく。
それで、ああ。姉妹の英雄譚の話だったか。
伊都波妹の価値観に触れたということかな。あの硬い扉の奥を覗けたというのなら、興味があるところだが。
あの彼女だ。推測するに表面だけなぞって終わり、というのが関の山かな。
【動作として目の前で手のひらを返す。そう答える。】
■蕎麦屋 > 「腹に銃弾くらいならちょっと気合の入った人間なら普通に動きそうですけどねぇ。
んー……戦乙女への対抗手段ですか。
そんなものは必要ない気がしますけれど……まぁ、忘れ去られる、というのは怖いですね。当然ですけど、」
神が人を生かしているのではない、人が神を生かしているのだ。
忘れ去られる、というのは本質的な死の一つともいえる。
「どこまで、と聞かれても。頼まれれば手伝える範囲で、ですけれど。
もう戦乙女は開店休業しておりますけれど、隣人に頼まれれば手伝うものでしょう。
――そもそも聞かせてくれ、とか言われてなければ探してませんよ?私。
いやぁもう、あっちこっち探す羽目になるわ、見つけたと思ったら入れ違いで居なくなるわ、大変でしたね、ホント。」
ヘルヴォル、の名には碌な反応を返さない。が、廃業ではなく、開店休業、営業したところで意味がない。
おかげで島内の地理にはだいぶ明るくなりましたけれどね、と笑いながらそんなことを言ってのけた。
「ご名答のアイスクリーム、ってまだあるんです?
表面――というか、司君との会話からの推察だけですけれどね。
あの子がどう転がるかは。その重い扉を開ける鍵を持っている方にお任せしましょう。喧々諾々と青春しているようですし。
――あ、蕎麦屋としての見解じゃなくて、別の方の見立てが聞きたいですかしらね?」
■”マネキン” > 血の一滴も出ない人間はそうそういまいよ。
だから騒ぎを起こすか。そうすれば注目だけは集められる。
【わずかに上半身を仰け反らせ、顎を引く。
下を向いて首を振る。】
隣人に頼まれれば、か。
高峰司の召喚について精査はしていなかったが…いろいろといたな。
その言いようでは彼女自身ではないし、彼女の友人、などというありえない存在を仄めかすのも下手な手だろう。
気まぐれかと思ったが、何か理由があるようだ。
策は練り直すことにするよ。
…聞かせてもらうことについては、いずれまた会うことは必然だっただろう?
高峰司の前で懐柔の手が打てれば、極めて有効だったと思わないか。もちろん面倒だから相手をしたくなかったというのも本音だ。
【手のひらをみせる動作を行う。】
懐かしいものを。ホームランを打ちたければコンビニにでも行ってこい。
そうか、君は姉妹については干渉しないんだな。
別の見立て?
言うつもりがあるなら聞いておこうか。他者の見解というものはそういう前提でならば価値がある。
【フードに包まれた頭部を傾けた。】
■蕎麦屋 > 「死なない人間も、血の出ない人間も、ビルを殴り飛ばす人間も。
そうそうは居ないですが、居ないわけでもないのがこの島でしょう。そういう場所ですよ、此処は。
あ、あー……ええと、その。騒ぎの方は割と不可抗力なんですけど。」
騒ぎ、の単語には、露骨に目をそらした。
つい最近にも思い当たることがあるらしい。
「頼まれれば、です。いや、貴方も含みますからね?言っておきますけど。
いやもう、頼まれたら『仕方ないな、ちょっと手伝いますか』ってなりません?
頼まれなくてもおせっかい焼いたりしますけど。
――ああ、とりあえずこの場所、司君に知らせておきましょうか?いつ来るかはわかりませんけど。」
一度戦ったら友達です、とでもいうのだろうか。
「ああいう素朴な味は時折ほしくなるものですよ。最近見ませんけど。
私個人としては、あまり関わる気がない――というよりも関わる余地がない、といったところでしょうか。
あの主人がどういう判断下すのかは自明の理ですし、実際守れとか何とか非常にファジーな頼まれ方してますし。
――その時はまぁ、諦めてもらえると。」
肩をすくめた。
多分当人はもう行ったことすら忘れているであろう話ではあるが、律儀だなと自分でも思う。
「あ、まぁ、あれほど異常にマトモな人間、まだ居たんだな、と。
そんな益体もない感想でございますよ。見立て違いだと恥ずかしいのですけどね。」
蕎麦屋ではない――開店休業中の感想。
直接『視た』わけでもないが。懐かしいものを見た、そんな様子である。
■”マネキン” > それは嘘だな。
あんたは力技で解決するしかできない奴だ。騒動を起こさないほうが可笑しい。
平穏を与えてやろうといった時も、それをあっさりと断った。曲げられないことがあったとしても、柔軟さの欠片もないことは否定できないだろ?
【視線がフードの布の影から見上げる。】
好きにしろ。
話が終わったのなら、この場は処分させてもらう。
主人の頼みはさほど大したことはないんだな。
関わるのが極めて難しいことには同意するけどね。
…誰の感想かな。参考にはとどめておこう。
【動きを止める。しばらくのあいだ視線をまっすぐに固定した。】
頼めば聞くのか。
じゃあ伝言でも一つ頼もうか。
高峰司に対しては好きにしたらいいが、姉妹のうちどちらでもいい。
この場所に来るように、招待状を出しておいてくれないか。
もしかしたら貴方たちの抱えている事情を解決できるかもしれません、とね。
【ポケットに入れていた手をだし、両手を広げる。】
■蕎麦屋 > 「まぁ、力技ですけどねぇ。解決方法。――生憎とほかは良く知りませんので。
ですけどまぁ、騒動起こすつもりもあまりないのですよ?」
本当ですってー、と手をひらひら。
「まぁ、誰かの感想です。蕎麦屋以外の。
ん?処分した後になるかもしれませんが――。伝言の方は承りましたよ。
――私ゃ伝書鳩か!」
何処からか取り出した赤い帽子を床に叩きつけた。
そして回収した。しまう。――なにやらあったようだ。
「と――まぁ、本当に伝言するだけですけどね。
来るかどうかは自由意志。私は強制も強要もしませんし。
――あ、そうそう。伝言承るお駄賃でもないですけど、一つ聞いてもよろしいです?」
固定された視線を受け止めた程度で性質は変わりはしないが。
承った、と言った以上は確実に言伝は通るだろう。
大仰な動作は――あ、なんかあの黒眼鏡思い出す、とか思いながら、そういえば、と首を傾げた。
■”マネキン” > 騒動を起こしたくはない、というのと
騒動を起こさないようにする、というのは全く異なる。
何度も言っているが、その実力で力技を振るえば騒動は起きる。
まともな解決は望むべくもない。
人が蟻の巣をいじれば、そこに秩序は残らないだろう?
事を成すときは、せめて人の範疇で行うべきだと忠告しておく。
【人差し指を下に向けて、かき回す仕草を行う。】
知らないよ。
君から言ったんだろう。いっそそれぐらい慣れているのなら、生業にでもしたらどうかね。
なに、対して期待していない。どうせまたそれで騒動を起こす気もするしな。
…なにかね?
【”マネキン”が身構える。手を軽く振る。
壁を伝って黒い獣の影がベンチのそばに戻ってくる。】
■蕎麦屋 > 「あー、ご忠告はありがたく。
肝に銘じておきましょう。」
軽くうなずき――視線は戻ってきた獣の方へと向いた。
「あ、お帰り。蕎麦はお口に合いましたか、
と。いえね?
姉妹を何かに使いたい、目的がある。うちの主人はおまけだろう。
――ここまでは私程度でも分かるのですよ。
で、人を変質させる、そんな悪魔の領分に踏み込んでおいて、『人』であるあなたが結局何をしたいのか。
あのウィルス自体は別の目的がある、ような気もしますけど。」
そんな身構えなくてもいいですって、蕎麦持ってきただけですし。と思い出したように手を振りながら。
結局そこが、理解の範疇の外なのである。
「――まぁ、誰も知らぬままでよい、というなら無理に、とは言いませんけどね。」