2016/08/28 のログ
ご案内:「病院」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >  入院3日目。
 再検査を受ければ医師は神妙な顔をする。
 治癒能力の早いものはいくらでもいるし分からない訳でもないかもしれない。
 それでも医学的には不可解な話ではある。

 いずれにしても検査の結果は"ほぼ快復"。
 医学的なお墨付きを貰い、食事や行動の制限が緩和された。

「ふう……。」

 ベッドに腰を預けながらスマートフォンを弄る。
 手続きと経過観察の兼ね合いで、退院まではもうちょっとかかる。
 

ご案内:「病院」に柴木 香さんが現れました。
ご案内:「病院」から柴木 香さんが去りました。
ご案内:「病院」に柴木 香さんが現れました。
柴木 香 > こんこん、と控えめなノックが響く。
続いて小さく扉が開いた。ひょこりと見えたのは犬の耳。

「わふー……?」

右見て、左見て。
受付で病室だけは聞いてきた。けど、どうもお目当ての人を探している様子。

水月エニィ >   
「あら。柴木クン。」
 
 姿が見えれば声を掛けて手を挙げる。
 髪を下し、病衣に身を包んだ姿は普段と大分違うものだ。
 派手さのない装いには何処か清さを覚えるかもしれない。
 病衣・病院である故のモノもあるとはいえ。

  

柴木 香 > 「わふ。あ、居たです。」

声にぴこん、と耳が動いて、振り向いた。
ひょこひょこと病室に入ってくれば――

「ん、こんにちはです。――体の方は問題ないです?
 あ、これお見舞いです。」

はい、と袋をベッド脇の棚に置く。
袋の中身は安定のコンビニお菓子です。
念のため日持ちのするスナック系ばかりで、生菓子は選ばなかったりしたけど。
――そもそも、食事制限とかあるのではなかろうか、そんな心配は頭になかった。

水月エニィ >  
「ええ。3日も経てばマシになるわ。
 もうちょっとはご飯作ってあげられそうにはないけれど……

 差し出された袋をがさごそと漁りつつ覗く。
 ついついつまみたくなるようなお菓子の山だ。

「あら、ありがと。
 今日から好きに食べて良い様になったから、嬉しいわね。
 大部屋だから、あんまり盛大には出来ないけれど。」
 

柴木 香 > 「大丈夫ならよいですけど――後遺症とかの方も大丈夫です?
 あ、そのきなこチョコとかおすすめです。」

病院送りにされました、とかあんまりいい話ではない。
大体は、何してたのか想像ついてしまうのがこまりもの。

おすすめしたのは戦争が起きそうな某チョコの期間限定版。
サクサクなクッキー生地にきなこチョコの和テイストな味わいが中々。
チョイスが地味に渋い。

「ん、まぁ病院は騒ぐところじゃないですし。」

大丈夫、とこくこくうなずく。
前に思いっきりお菓子食べて騒いでたけど。
などと過去を反省しつつ、来客用の椅子にちょこんと座る。

「で、落第街で大怪我するだけの成果はあったです?」

小首をかしげた。

水月エニィ >  
「ええ、特には。」

 身体的には問題ないし、
 精神的には元々の話だ。

 勧められたチョコをいわゆる"パーティ開け"で複数人が取りやすい様に開け、
 きな粉チョコをもぐもぐ。きなこのテイストは割となんにでもマッチする。
 少し主張の強さは有るものの、全てを壊すものでもなく。

「特にないわよ。
 副産として言うならば、友達が一人増えたぐらい。」
 

柴木 香 > 「ん、大丈夫ならよし、です。」

こくこく。
広げられたチョコをひとつつまむ。もぐもぐ。

「ん?お友達出来たです?
 落第街でお友達とはめずらしいよーなそーでもないよーな。」

あ、でも話通じる人は通じるしなぁ、などとひとりごちて納得顔。
――怪我した時の話も聞こうかな、と少し思ったけど、聞くとまた地雷かも。

ううん。

水月エニィ >  
「殴り合ったら友達だって言われたわ。
 悪い気はしないけれど、週刊の漫画雑誌を思い出すわね。
 ……ぁ、持ってきてる?」

 悪い気はしないものの、大袈裟に肩を竦めて落す。
 言葉に出せばふと思い出し、ダメ元で尋ねた。
 そう言えば彼が買ってくる早売りのソレやバックナンバーを彼の部屋でよく読んだ。
 
 

柴木 香 > 「おー、番長。」

聞いた率直な感想がそれ。
めんちびーむとか撃てそう。

「あ。当然のようにあるですよ。
 ――えーと、はい。」

ごそごそ。てれってーと取り出したのは今週号です。
ちょっとだけ草臥れているところを見ると一通り読んだ様子。

水月エニィ >  
「とても丈夫だったから、アイアン番長って感じだったわね。」

 冗句めかしてみせる。
 怪我の原因について遠回しに触れていると事にもなるのだが。
 引き摺らず、重くしないようにする意もあるのだろう。

「ふふ、ありがと。
 入院生活は退屈なのよね。
 今日からは歩き回れるから復活したようなものだけど、手続きや経過観察があるからもうちょっとだけ続きそうよ。」

 入院生活の事を指しているのだろう。

 このようなご時世である。
 回復魔術の存在や回復力の高い者は認識していても治ったら即解放、と言うことにはならないらしい。
 少なくとも、この病院ではそうらしい。
 

柴木 香 > 「おー。空飛んだりはします?します?
 なんか盾振り回して投げる番長とかも居ませんです?」

きらきら、しっぽぱたぱたー。
番長にはあこがれるもの、なのかもしれない。

「ん、せっかくなのでこってり先生に絞られるとよいのです?
 実際どんな症状出るかなんて分らないですし。うん。」

即退院にならないのは当然なんだろうなー、と何となく。
お医者さんも大変だろうなぁ。

「まぁ、今度からは気を付けること。
 ――うん、言うだけ無駄の気もしますけど。」

ぽりぽりもぐもぐ。
止めたところで。とっくにあきらめている様子。

水月エニィ > 「分からないけどかねないわね。
 柴木クンはそう言うのに、あこがれる?」

 なにげはなしを装って問う。
 尻尾が揺れている辺りから読み取れるものも多い。

「もう十分絞られたわよ。
 手術翌日に売店に行こうとした際にまとめてこってりと。」

 肩を竦めて思い返す。
 流れて喧嘩の彼女相手も同室に居る事を思い出すものの、今の所言及する必要もないだろう。
 席を外しているかもしれないが確認もせず。視線を追って分かる事も色々ある。

「善処はするけど、優先して欲しい?
 それを捨ててどうなるかなんて、考えも出来ないけれど――」
 
   

柴木 香 > 「うん?格好いいですけど、うん、あこがれる……です?」

ぴたりと斧動きが止まり――何で疑問形。
あこがれは別にしないような気もする。

「うん、当然だと思いますです。
 普通は絶対安静なのかもしれない。ですし。」

どのくらいの怪我の程度だったかは知らないけれど。
けが人が動くな、は当然の理屈。

「んー、どっちでもよいですよ?
 ただ僕には無為に危ない事やってるだけ、に見えるだけです。」

もっきゅもっきゅ。
ついでにきなこもち味の一個20円チョコもばらばら取り出した。
きなこ尽くしですか今日は。

水月エニィ >  
「……そう。」

 疑問に思えばさらりと流しつつ菓子に手を進める。
 きな粉棒を見つければ開けてもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。

「そりゃ、そうでしょうね。
 私の感情そのものが無為みたいなものだもの。
 でも、無為って言うのは、どういうことなのかしらね。」

 溜息を付いて窓の外を見る。
 ……本来ならば激情してもおかしくない類ではあったのだが、
 柴木に激情を向ける事はなかった。付き合いの長さと為人の理解に因るものだ。
 

柴木 香 > 「んー?僕にはよくわかりませんでしたけど。
 得るものがないなら無為なのだと思うです?」

もっきゅもっきゅ。チ●ルチョコむきむき、もぐもぐ。

「――そもそもエニィさんの場合。
 うーん?目的はあるけどわかんないから危ない事やってるだけに見えるですし。

 結果を出すなら過程を考えないとダメだと思うです。」

難しいのかもしれないですけど、と小さく。
そもそも何を目的に足繁く通ってるのかは知らないし、もしかしたらあるのかもしれないけど。
傍から見ていて、なんとなく、そういう風に見えてしまっていた。

ご案内:「病院」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 > (廊下が騒がしい。
 喧騒はだんだんと近付いてきて、やがて病室の扉がズバァンと乱暴に開け放たれた。)

――うっせーなぁ、俺の身体は俺が一番知ってんだよ!

(飛び込んできたのは同じ病室に入院している筈のアイアン番町。
 自分のベッドのサイドテーブルに置かれた財布やスマホなどの僅かな荷物を引っつかみ、そのまま窓へを開ける。)

おっすエニィ。
先帰るわ、じゃーな。

(窓へ脚をかけつつ、彼女とその見舞い客らしき青ジャージの少年へ片手を上げながら挨拶。
 そのまま窓を飛び越えて、すったかたーと脱走して行った。
 直後にナースが数人病室へやってきて窓から逃げる自身を発見。
 騒がしく病室から出て行った。)

水月エニィ > 「でしょうね。
 でも、勝ちを得る事が出来ないものが勝ちを望む事が無為になってしまうわね。
 過程だってずっと考えているし、手を替え品を替えている。
 結果が出ないだけで。……まぁ、最近は行く回数は減っているわよ。
 このままなくなっちゃうかもしれないわね。」

 大きな溜息。
 今の所、頑張った所で意味を成していない。
 少なくとも、異能を乗り越えるだけの力にはなっていない。
 

ご案内:「病院」から龍宮 鋼さんが去りました。
水月エニィ >  
「請求費水増しされるわよ、番長」

 妙な事を口走りながら見送る。
 相も変わらず自分の意志を通す様には眉を顰めた。
 

柴木 香 > 「―――おー、豪快。」

ぱちぱち。
医者のおっちゃんが大慌てで駆け込んできたので、窓を指さしておいた。

「勝てないと思ってるから勝てないですよ?
 できないと思ってるのにできるわけないじゃないですか。」

かくん、と首をかしげた。

「だから僕は、先にその考え方やめた方がいいと思うですけど。
 うん、異能の類だというのは聞きましたけど、そんなのは知ったこっちゃないですし。
 そもそも勝つのに危ない橋に吶喊するのも変な話ですし。」

うーん、うーん、と左右に首が揺れる。
なんかおかしいなー、とか思いつつ言葉を悩んでいる様子。

水月エニィ >  
「殺す気は無かったけど殺してしまった。
 そんな話は枚挙に暇がないわよ。それと同じで思う事は絶対になってくれないわ。
 そんなつもりで言っている訳でもないんでしょうけど――ともあれ、そうね。
 "思わなければ出来ない"じゃなくて、"やらなければ出来ない"とは思うわね。」
   
 首を振り、話題を仕切り直す。

「少なくとも、しなければ出来ないと思っているわ。
 少なくとも、鍛錬を積まなければ出来ないと思っているわ。
 少なくとも、知識を蓄えなければ出来ないとは思っているわ。」

 小さく首を振る。

「勝って噛み付くために落第街をうろついている訳ではないわよ。
 いや、0とは言わないけれど、あくまでそれは副産物や不幸の結果よ。
 ただ単に逃げないし、腹立つだけ。……最近は"必要性が減った"から、減ってはいるわよ。
 あのような場所の方が、調達するにも蒐集するにも能力を活かせるだけ。
 だから、"最近は必要性が減った"。」
 

柴木 香 > 「ほへー……なるほど。」

止まっていたしっぽがぱたぱたと揺れだした。
正確な意味は理解していないが、大雑把にでも語感は把握したような様子。

「事故は誰にでもあるものですけど。
 事故で勝ってもそれはえにぃさんにはきっと意味がないですし。その話はたぶん無意味。うん。

 ただ、必要性が減った、のはよろこばしい事だと思うのです。きっと。」

ごそごそとちいさなペットボトルのお茶を二つ。
きなこチョコにはお茶も案外いけるものです。一つはエニィさんに渡しつつ。

「まぁ、変な話でした。
 うん、とりあえずアイアン番長みたいに脱出しないこと。大事。」

きゅっ、とふたを開けて、こくこく。ぷはー。おいしい。

水月エニィ >  
      《みとめてくれる》
「ええ。双方が納得する形で勝って漸く勝利。
 事故でも屁理屈でも横紙破りでも、そんな勝利をしたって誰も認めない。」

 小さく首を振る。
 考え込めば難しい話にはなるし、そこで答えを出したところで何かが解決する話でもない。

「少なくとも情報と交友、物資の目途はついているもの。
 沢山ひどい目にもあったけど落第街を含めてこの島の地理も余す所なく把握した。
 暴力と不幸は向こうからやってくるけれど、それから死ぬまで逃げ続けるなんて絶対にゴメンだわ。
 だからこのような事もゼロにはならないでしょうね。」

水月エニィ >   
「そうやって逃げて逃げて。
 かち合えば認められないから逃げて。
 衝突すれば勝てないから逃げて。
 誰にも負けなくて済む誰も居ない所まで逃げて、
 何を言っても誰にも聞かれない所まで逃げて、

 こんな運命は厭だ誰にも聞こえない場所で呪い続けるなんてまっぴらよ。
 ……たとえ勝てなくたって、世界に私を認めさせてやる。
 善意で回されもしない世界だけが真理じゃないと、認めさせてやる。」

 続けてまくしたてるように言い切る。 
 呪うし恨むがそれでとどまる事は本意ではない。
 "それだけでは何も為さないから"、それを救い上げて動かねばならない。
 体現しなければ認められない。

 ……純粋な激情を吐き出した。
   

柴木 香 > 「あー……うん?」

こくこく……とお茶を啜る。
なんかまたいけないスイッチ踏み抜いたような気がする。いわゆる地雷。
最初の頃はうろたえもしたけれど最近は柳に風でした。

「うん、小難しく考えるのも大事です。
 けどこー、もうちょっと気楽に考えてもいい気もするです?

 世界とか相手にしたってしょーがないですし。」

世界のすべてから認められるとか、誰がやっても無理だと思う。
言葉の綾かもしれないけど。

「――うん、とりあえず、今日はこの辺でお暇するです。
 あんまりお医者のおっちゃん困らせないよーに。」

言いながら、椅子から立ち上がる。
飲み干したペットボトルと食べたあとのごみはまとめてコンビニの袋に入れて。

柴木 香 > 「あ、退院したらまたおやつ食べに行くですよ。」

などといいながら、尻尾ふりふり。
病室を後にする――。

うん、とりあえずいつも通りだったので良かったです。

ご案内:「病院」から柴木 香さんが去りました。
水月エニィ >  
 軽く流された気がする。
 そもそもどうこうなる話でもないし、流せど私に付き合ってくれるだけ有難い話だ。
 目頭を押さえた後に気を取り直す。
 
「……ええ。また。」
 
 とは言え改めて無力を痛感する。
 だからこそ、と思う所も多い。

 ……落ち込んでいても仕方ない事は分かっている。ので。
 お菓子を食べながら借り受けた漫画を読み始めた。
 勝てないこと/勝てると思えないことを除けば、水月エニィは恵まれているのだろう。
  

ご案内:「病院」から水月エニィさんが去りました。