2016/06/30 のログ
ご案内:「青垣山近くの病院」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 起きたときは、もう誰もいなかった。
記憶はあいまいで、ぼーっとして。
何も考えられず、時計を見る――
2時。
あぁ、なんだ。夢だったのかと思った。
けど妙に明るい。
そこでぞっとする。
――お昼。
時間が経過していない。
つまるところ――
「――まるいちにち、ねてた?」
首をかしげて――意識が覚醒して、数秒。
ふっと振り返る。脳の中によぎる、映像。
首筋の感覚。ぞっとする――
「ぁ……」
何をされたんだろうという。不安不安不安不安不安――
「いやああああああああ!!!!?」
叫んで。
看護婦がやってくる。そして連絡が行ったのは――
「お、おね……おねえちゃん……」
震える、妹がそう呼んだ――
ご案内:「青垣山近くの病院」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > バタバタと廊下を走る音、続いて勢いよく病室のドアが開け放たれて
「はるかっ!」
はぁはぁと息を切らせて、よく見知った顔が病室に現れる
■伊都波 悠薇 >
本当であれば。今日は退院予定の日――
だが、妹に健康そうな様子はない。
頭を抱えて、錯乱したように震えて暴れる妹――
何が起きたのか、何が――
「未熟者、悠薇の未熟者――っ」
自傷するように、自分の首筋を殴る。
「なに? なんで? だれ――おねえちゃん……異能? なにが? どうなって?」
ゴッ……ゴッ……
何度かたたこうとすれば。
『悠薇さんっ!? おちついて!!』
『鎮静剤! 鎮静剤――うおっ!!?』
抑えようと医師、看護師たちは奮起するが。
暴れ方が尋常じゃなかった。
特に、顔に手がやってくると、これ以上にないくらい動揺を大きくしていて――
■伊都波 凛霞 > 病室の中の異様な空気に一瞬、息を呑む
──が、すぐにきゅっと唇を噛んで
医者や看護師を押しのけるようにしてベッドへ、そして
「悠薇!大丈夫、大丈夫だよ。お姉ちゃんが来たからっ!」
そう呼びかけて、その体をぎゅっと強く抱きしめる
「だから、落ち着いて…ね?はるかぁ……」
■伊都波 悠薇 > 「……ぁ。ぇ……?」
急に動きが止まる。落ち着いてる、姉。
だが、妹はまだ興奮していて――
「え、あ、おねちゃ――おねえちゃ――……」
ボロボロと、泣き始める。
まるで”昔のように”――最近では、”久々の”……
■伊都波 凛霞 > 泣き出す妹の頭を抱えるように胸に抱き込み、優しくその髪を撫でる
「…もう大丈夫…お姉ちゃんがいるよ、大丈夫……」
小さい子をあやすようになでつけて、
その視線を医者達のほうへと向ける
「…何があったんですか?」
■伊都波 悠薇 > 何かあったんですかと、聞かれれば。
医師たちは首を横に振った――
ただ……
注射を死ぬほど嫌がったことと、首に手を伸ばしたら暴れたと、教えてくれて――
「……ぅ――ぅ……」
ぎゅうっと、抱き着きながら。胸を涙で濡らす妹は。
まだ、泣き止むことはなく
■伊都波 凛霞 > 「…わかりました、少し二人にさせてください。
家の方には、此処に来るまでに電話しましたから、連絡は不要です…」
医者と看護師にそう言って退室させる
部屋の中にはふたりきりになった
「……どうしたの、悠薇。
最近は全然泣き虫じゃなかったのに、何か、怖いことでもあった…?」
優しくその髪を撫でながら、ゆったりとした口調で声をかける
声色は優しく、温和に…
■伊都波 悠薇 > 大人びた、姉の対応に。
どこか、妹は昔に戻ったようだった。
子供のように泣きじゃくり、甘えるように抱き着く――
そして――
「くび、くびにちゅうしゃ――やだぁ……しらないひとに……」
嗚咽に混ざりながらぽつりぽつりと
■伊都波 凛霞 > ───?
首に注射?
此処の医者がそんなことをするだろうか、いや…知らない人だと言った
医者ではない でも、そんなことが果たしてありえるだろうか…?
「よし、よし…こわい夢でも見た……?
大丈夫だよ、今はお姉ちゃんしかいないから」
注射をする医者も、知らない人もいないよ、と宥めるようにして
■伊都波 悠薇 >
いない? そんなはずない。
いたのだ、確かにいた。そう昨日、昨日いたのにどうして――
誰も見ていないの?
「でもっ……でも……うたれたの。うたれたぁ――。知らないクスリ――」
カシュっという音。
カーテンの音だ――それだけにびくぅっと、過剰に反応する。
「けんきゅうくのひと……やだぁ……」
■伊都波 凛霞 > 「落ち着いて、大丈夫だから…。
まず泣き止んで…それから、教えて?
何があったの…?」
首
知らない人
注射
知らない薬
研究区
「………」
そっとナースコールを鳴らす
看護婦が一人、そっと入ってきた
「……昨日、誰か妹に面会に来ましたか…?」
看護婦に向けて、そう問いかける
■伊都波 悠薇 > 看護師は、首を横に振った。
そんな話、聞いたことがないと――
でも、監視カメラに写っているかもしれないと、付け足して。
「――ひっく……」
妹はようやく、落ち着いてきた。
まるで姉の胸中に浮かんだ並みに、呼応するように
■伊都波 凛霞 > 「…そう、ですか」
看護婦は一礼して退室する
悪い夢を見て妹が錯乱してしまっただけ
そう片付けるのが自然で簡単だった
でも…
「…もう、平気?」
ぽんぽん、と何度か背中を撫でて、妹の肩に手やってその身体を起こしてやり
その顔を覗きこむように
■伊都波 悠薇 >
覗き込めば――揺れる瞳。
頬に涙のあと。どうみても、”普通じゃない泣き方”だ。
髪は乱れて。前髪を隠すしぐさもする余裕もない――
「……ちょ、ちょっと、だけ」
でも、落ち着けば。いつも通りにしようと。
妹が頑張って笑おうとして――
失敗してこわばってるのが見て取れた
■伊都波 凛霞 > 「……ん、無理はしなくても大丈夫」
頭を撫でる
妹は努力家で、頑張り屋だ
こちらの期待には応えようとする
「……何が、あったの?
怖い夢を見たとか…そういうんじゃないんだよね……?」
■伊都波 悠薇 > 撫でられれば、安心したように息を数回はいて――
「……研究区のひとが、来たの。お姉ちゃんの友達って言ってた……」
ゆっくりと、顛末を告げていく
■伊都波 凛霞 > 「……」
友達
伊都波凛霞には友達が多い
……が、研究区の人間だと名乗るような友達は、いない
「───続けて」
優しい声色
妹を不安にサせないように、穏やかに…
■伊都波 悠薇 > 「白衣を来てて、サングラスとフードをした人だった。名前は、たしか――西架って人で。お姉ちゃんに私のことで相談されたって」
思い返す。思い出す。
ゆっくりと――思い出す。
「新薬の、実験だって。私の抱えているものは、もしかしたら、異能かもしれないって……」
ぽつり。ぽつりと
■伊都波 凛霞 > 白衣
サングラス
フード
そして名前
姉が反応したワードは一つ
フード、と言われたところで、表情が強張った
思い当たるものが一つしかなかったからだ
───フードの男の目的は、私と、私の妹
その為に司ちゃんを攫い、人質に…餌にした───
高峰司に注入されたウィルスにのことで頭が一杯で、
そもそもあの男は妹が目的だったことを…忘れたわけではなく、失念
ふらりと立ち上がって、一歩後ずさる
パイプ椅子がロッカーに当たり、ガタンと音がした
姉の顔は───青い
■伊都波 悠薇 >
「……お姉ちゃん?」
不安そうだ。自分がすごく不安がってしまったからだろうか。
思考がだんだん戻ってくる。
急速に冷めてくる頭。未熟者。しっかりしろと――
そんな顔をさせてる。また、お前のせいだ。
この状況だって自分のせい。だから――
「で、でも。99.9%安全は保障するって……だから大丈夫だよね?」
うん、私は大丈夫だよ。と笑った。
「ごめんね? 友だちが今大変なんでしょう? 私は大丈夫だから」
友人を騙った人が言っていた言葉を思い出す。
そう、今はそっちが姉には大切なのだから――
「――頑張ってね、お姉ちゃん」
■伊都波 凛霞 > 突然に、姉が妹の両肩を掴む
そして激しく、揺らした
「違う!!私の友達にそんな人いないっ!
そんな言葉信じちゃダメ!!
すぐに、すぐに検査をして───」
検査をして?
…そのまま、未知のウィルスの保菌者としてモルモットみたいな扱いを受けろというのか
「………」
言葉に詰まってしまって、声が出てこない
崩折れるように、その場にへたりこんでしまう
なぜ妹が、なぜ親友が
そんな思いばかりが巡る
「…なんで、どうして───」
ぽろぽろと双眼から涙が溢れる