2015/07/14 のログ
雪城 括流 > 「ひょーかのため?何がどうひょーかのために?
そう望まれたなんて、エゴに過ぎないよ。結局のところ自分のためにやるものなんだ。」

自身もまた、ひょーかのためと嘯きつつも多分そう望まれてはいないんだろうなどとは分かっている。
それでも、全てが上手くいく未来を妄想して。
じゃあ彼は何を持ってひょーかのためと言うのだろう。
叫ぶように、そう問いかけて、さらに続ける。

「乱れた思考?違う。悩むのは人間の正しい振る舞いだ。
フラットを維持できるなんてのは、異形の振る舞いなんだよ。
戻されるなんていうのは、変わろうとしても変われないそんな存在の言うべき言葉だ。」

そう、アリスみたいな妖怪もまたそうだ。きっと忘れようとしても妄想に関連するレベルへ引き戻されるのだろう。
復讐などという物事は…断片的にしか知らない。
でも復讐鬼になりつつある、文字通りの羅刹たらんとするその思考の形に不安を覚える。

「…っ!」

任せようとしたのは間違いだったのだろうか。
でももう戻れない。障壁の再展開はしない。零くんを睨みつけ、鱗のリソースを全て最後の魔術に回す。

構えた零くんを中心に、追尾型の魔法円が展開されていく。
それは今までのどれよりも枚数が多く、複雑で、前後左右上下に絡み合うように展開された人体に直接干渉する立体複合魔法陣。

魔術の発動まで、後わずか。

霜月 零 > 「はっ、俺の我儘と妄想だよ、こんなものは。
俺が信じる氷架は、きっと今どうなってようが、こういう選択をしたがるんだろうなって思うだけさ」

言いながら、脳は冷静に周囲を観察する。
……包囲されている。魔術に。このままじっとしていれば、恐らくそれに貫かれて霜月零は死亡するだろう。
ならば、やるしかない。

「もしかしたら、俺はどうかしてるのかも知れねぇな。
だけどいいんだ。俺はこうなる前に、氷架にイカれてるんだから。
だから……アイツのための結論だ、受け取れ!」

言いながら、駆ける。
目が一際強く輝き、体中に力がみなぎる。
使う技は、現実には存在しない技。
有名なナーサリーライム「不思議の国のアリス」にて、ある少年が怪物「ジャバウォック」を斬り倒す際に使った必滅の剣。
この時「 One, two! One, two! And through and through.」と言う描写がなされており、これを概訳すると「1、2!1、2!貫きて尚も貫く」となる。
これ自体は空想、幻想の剣技にすぎないが、その幻想を再現するために人々が想像し、そして理論上の再現に至った剣技。
「右手で全力の突きを放ち、それを引きざま剣を左手にパス、引いていた左手でそのまま全力の突きを放つ」と言う「威力」と「連続性」を両立した必殺剣。
「化け物を打ち倒すには全力の突きでなくてはならない」「あの掛け声を再現するには、少なくとも二度突かなくてはならない」と言う条件を満たすために、一応理屈の上では奇跡的なタイミングと身体操作の上で可能ではある、と言う剣技として人々の空想、妄想が作り出した絶技。
全てを記録する根源は人々の空想が作り出した剣技すら記録しており、根源に接続する器を持つ零の体を以て、人々の空想を現実のものとする。

さあ括目せよ。今から放たれるは人の空想、願いの具現。
怪物を打ち倒し、アリス(ひょうか)を救い出すために放たれる理想にして幻想。

「One, two! One, two! And through and through!」

一度目の突きは目の前にある障壁を。

二度目の突きは……括流の急所を「外した」箇所を狙う。

……雪城括流は、きっと大事な事を忘れている。
雪城氷架の幸せに、もし霜月零が必須だとしても。
雪城括流もまた、必須であるという事を。

故に「連れ帰る」。
痛めつけはする。怪我くらいはして貰う。
だが、氷架のために連れ帰る。
手遅れだったとしても……あの愛しい恋人は、きっとこういう結論を欲すると思うから。

――幻想剣技 vorpal sword

ご案内:「深夜の常世公園」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > …とにかく走った
全力疾走なんていつぶりだろう
体育の授業もまともに受けていればよかっただろうか……

ぜぇぜぇと息を切らせて、たくさんの汗を額に浮かべて
辿り着く、そこへ

公園を"巻く"蛇の体
ギリ、と噛み締めて、最後の力を振り絞ってそれを登り……べちゃ、と公園内落下した

痛い、痛い、けど……そんなことよりも、今は───

「やめろよ括流!!やめろよ、零ッッ!!!」

目の前で、大太刀を持つ零と、それと対峙する、蛇に向かって叫んだ

霜月 零 > 「氷架……!?」

聞こえた、愛しい人の声。
だが……vorpal swordは全身全霊を以て放つ絶技。今から止める事は出来ない。
寧ろ……

「危ねぇ、逃げろッ!!」

刹那、声を絞り出す。万が一ここにある術式に巻き込まれでもしたら……!

雪城 括流 > 「…!?」

それは愚かな選択だ。
魔術は空間ではなく、零くんを対象にその動きを追いかけて動く。
スピードで回避できるようなものじゃない。抵抗するか、魔術的に乱すかしかない。

だから本来は。

「ひょーかのために、死にたくなければ殺して魔術を止めるしかない筈だ…!」

そう叫びながら蛇姿が霊体と化し、突きの前に人姿の括流がその急所をさらけ出して両手を広げた。
己の命か、括流の命か。そう言う選択しかないはずだ。

その切っ先が急所へときちんと向かうことを祈って目を閉じ。
打ち払わなければ魔術が効果を発揮する。急所を貫いても、最後の力で何とか発動できるだろう。


それは零くんへ、括流が奪った氷架のトラウマの記憶を注ぎ込もうとする、医療魔術。
言葉で聞くだけじゃない、実感で分け合えるよう、相手の気持ちも理解できるように。

「…零くん。君は常に誰かの兄でいなければならないわけじゃない…。」

かけた意図にはそのことを利用してしまったことに対するちょっとしたいらつきも実は混じっていたりしたが。

雪城 氷架 > 「危ない?危ないことやってるのはお前らだろ───!!!」

再び叫ぶ
昂った精神が、異能の力を無意識に発露させる

一瞬
本当に一瞬で括流と零の間に氷の壁が発生する

ただの氷ではない、まるでガラスのように透明で曇りのない氷壁
一分の不純物も混ざっていない
完璧に結びつき結合した水の分子

その強度は、チタン合金すら凌駕する───

霜月 零 > 「それでも、俺は兄で、氷架の恋人だぁぁぁ!!!!」

叫びながら、vorpal swordが向かう先は……括流の右肩。
死を賭して、誓いは守る。
愚かと蔑まれようが、もうこの選択肢しか見えていなかった。
苦悩の記憶、それがなんだ。
だったら……今目の前から、雪城括流が消えてしまう事の方がよっぽど辛いと何故わからない!!

雪城 括流 > ぎぃん!

零くんの突撃が氷架の生み出した氷の壁に突き立つ。
渾身を込めた盾と、全力を振り絞った矛の一撃。
一瞬だけ拮抗するものの、大太刀の力の分だけ勝ったのか刃はその壁を貫き、
そして一枚だけ残っていた括流の障壁を砕きながら上にそれて…その右肩を浅く切り裂くにとどまった。

氷の壁に突き立ったままの大太刀。
その前で両手を広げたままの括流。

魔術はそのまま何の問題もなく効果を発揮して、零くんの記憶と思考をかき乱し。
もしかしたらその異能へとアクセスして自覚させることもあるかもしれない。


…そして。相手のためといいつつも一種害をなす形で使われたその魔術は括流の在り様に負荷をかけて。
氷の壁の向こうで、こふっ、と口元から血を吐き出して倒れた。

霜月 零 > 「お、おい……!」

壁を回り込んで駆け寄る。
なんだ、どうしてだ。
脳裏に悲劇の記憶がフラッシュバックして思考がかき乱されるが、それにおもねっている暇はない。
目の前の女性教師を助け起こす事が、現状の最優先だった。

「なんでだ、vorpal swordは外れただろう!」

必死の形相で声をかける。

雪城 氷架 > 「く……」

氷壁は、傷を浅いものには出来たのだろうか
大きな出血が見えず、慌てて駆け寄ろうとしたその時に

括流が倒れた

「括流っ!!!」

元から集中力など高まっているはずもなく、氷の壁は一瞬で砕け散る

既に足はガクガクだけど、それでも走る
倒れ伏した、大事な家族の元へ

「括流、括流…!」

駆け寄り、その体を抱き上げるようにして名前を叫び続ける

雪城 括流 > ああ、上手く行かなかった。
せめてちゃんと傷つけばトラウマの記憶と合わせて零くんを一時的に茫然自失とさせるくらいはできただろうに。

二人に揃って心配されるなんて予定通りじゃない…。
でもそれが人間らしいってことなのかもしれないな。

そんなことを思いながら。
上手くいったのは『零くんが最後の魔術を害あるものだ』と思い込んで、受け入れずにくくるがそのフィードバックを受けたことくらいだ。
魔法陣は相手が望まない形でその肉体を改変すれば、その分括流自身の在り様が歪む。

「…ひょーか。いいんだよ。
こうでもしなかったら、私は元の括流に戻れなかったから。」

…とりあえずシナリオどおりに、台詞をはきながらその顔に手を伸ばす。
役者根性はまだ生きていた。

雪城 氷架 > 「何がいいことあるかよバカ蛇!!
 元の括流ってどういうことだよ、ちゃんと説明しろよ、ちゃんと…!」
ぼろぼろと双眼から熱い涙が零れていく

「あれだけ人には相談しろ相談しろって言ったくせに自分は一言だけでいなくなって、
 私には何も言わないまま、こんな……なん…私に、言わないんだよぉ……」

そのまま、続きの言葉は声にならなくなる

霜月 零 > 「……」

黙って、苦虫を噛み潰したような顔で二人を見ている。
……掛ける言葉などありはしない。これはきっと二人の、家族の問題だ。
一抹の疎外感を感じながら、しかし現状に歯噛みして沈黙を続ける。

雪城 括流 > 「こう…ええと…悪い意思に乗っ取られていて。
もしひょーかに会ったら傷つけてしまいそうだったから。だからね…。」

抱き起こされた姿勢で演技…と言う名の言い訳を続けようとしながら。

死ねるかどうか分からないような感覚にどうしようか迷う。
なんとなくダメージがぎりぎりの境界線を漂っているような…おそらく、最後に死を賭してでも受け止める覚悟をされてしまったから。


「相談かぁ…ひょーかは、誰かに頼れた?
零くんとは……上手くいってる?」

結果として…気になっていることをつい尋ねてしまう。

雪城 氷架 > ぎゅう、と抱きしめる、全力疾走の後に大きな力を浸かった、熱い体温と、早い脈拍が伝わっていく

「乗っ取られたヤツが何で私のこと案じるんだよ、ばか…。
 それに、私が括流の職員寮の部屋にいた時…来たんだろ…?
 いいよ、別に気遣わなくても……私は、ホントのことが知りたいんだ……」

おそらく酷なことを言っているのは承知している、でも、それでも
今すぐにとは言わない、回復してからでも、いい

「……最後は兄貴に頼ったよ。いつもなら困ったら括流に頼るのに…いないんだもんな……。
 零とのことは、大事だ…だから、もし括流が反対してるんだったら、ちゃんと認めてもらって───」

おめでとう、と言って欲しかったのだ


くるりと零に顔を向け、ぐしぐしと制服の袖で涙を拭う

「零も何馬鹿正直に戦ってるんだよ…逃げるとかすればいいのに……」

氷架は知らない
自分が生贄と称した人質として嘯かれていたことを
そういう大きな事情があったことを

霜月 零 > 「……お前を、人質にとったって言われたんだよ。
理性は怪しいと言っていた。直感も違和感を訴えてた。
だけど、万が一事実だったらと思うと……やるしか、なかったんだ」

項垂れる。どれだけ言っても、何と言い訳がましい事か。
それを責められても仕方ない、甘んじて受けるしかない。
そう思って、力なく項垂れる。

雪城 括流 > 「ああ…。」

結局宗仁くんに頼ったのか…。恋人がいるのに。
せめてルームメイト…芙蓉ちゃんとか経由でも。こんな二人が恋人で大丈夫なのか困る。
どちらもどちらで、自身のことは自身で済ませてしまいそうだ。

かふっ、と血が吐ける。この吐血はきっと心労だ…きっとたぶん。

「その…嘘じゃないよ。完全に乗っ取られるまで時間があっただけで…。
反対は……。」

先ほど感じた零くんの思考に対するちょっとした違和感を除けば。

「…ないよ。反対しない。」

そういう、素直に祝福したりする役割はたぶんりょーにずっと押し付けていて。
でもきっとひょーかはずっと私にもそうして欲しかったんだな、と思う。
自身の役割はちゃんと諭すこととばかり考えていて怠っていた…のだろう。

「………おめでとう。」


バカ正直に戦った零くんには…まあこちらに都合がよかったし下手にいろいろしゃべるとこちらに火の粉がかかりそうだから…
…とりあえず黙っておく。心の中でちょっとだけ謝りながら、でもこういうのも恋人だよねとちょっとだけ舌も出して。

雪城 氷架 > 「………なんでそうなったか、っていうのは、わかってるんだよな、括流。
 でももういい、今はここまでだ、その話は今でなくったっていい」

「……‥ばぁか、なんでこんな時に言うかな…。
 血吐きながらじゃなくて、元気に笑顔で言ってくれよ……病院で、治るのか?」

わからない、どうなのだろう
括流の体のことは謎が多い……


「…括流が私に危害を加えたりするわけないよ。
 零を。逃がさないようにするためのブラフだろ……そっか、
 だから私の携帯、もってったんだな…括流」

こればかりは、零の性格を考えればやむなしと言えるだろう
だから勿論、責めるつもりは欠片もなかった

霜月 零 > 「すまん……」

それでも首を垂れる。結果として、自分は殺さないで済ませるつもりだったとはいえ「死合」を演じたのだ。
一番心労が深いのは氷架だろう。
……目の青い輝きは、いつの間にか消え去っていた。

雪城 括流 > 「…スマホ、返しておくね。」

そういえば借りたままだったと、懐から出したそれを差し出して。

「病院じゃちょっと無理だね…。
だからね、その…。」

ここでがくり、死んだ振り…と言うわけにはいかないんだろうな、と思う。
真剣にそうなるならともかく、演技でそこまでは…。
それに結局ひょーかのためということも見抜かれてしまっている、気がする。

「……しばらくただの蛇になるかもしれない。ごめんね。」

制服を残して、うっすらと姿が透けつつある。小さな蛇の姿に戻るのだろうか。
ちょっとした演出としてこれくらいは許してもらおう…と、心の中で思いつつ。

雪城 氷架 > 「また謝ってる」
零はすぐに謝る、すまん、が口癖なのかと思うくらいである
「…私の為なんだろ、わかってるから、大丈夫」
大事な家族に刃を向けたこと、責めるわけにはいかない
今回のことは括流が作り出した一つの舞台のようなものだと、なんとなくだけどわかってきた

「メールとか見てないだろうな…?」
からかうようにそう言って、スマホを受け取り

「……そっか。
 うん、ちゃんと良くなるなら、わかった……。
 大丈夫だよ、静佳や芙蓉も、もちろん私も…小さい蛇1匹くらい面倒みてやれるからな」

透けていくその姿を抱きしめるようにして、頭と頭を合わせた

霜月 零 > 「う、す、すま……じゃなくて、ああと……」

謝るのが癖になってきている気がする。
と言うか、今もついつい謝ろうとしてしまった……駄目だ、謝罪を安売りしすぎている。反省せねば。

そんな事を考えつつ、二人の様子を見る。
……あるべきところに収まってくれただろうか。
いや、きっと収まったのだろう。なら、命懸けで戦ったことも、無駄ではなかったのかもしれない。

雪城 括流 > 成長していくひょーかが、寂しかった。
そこに自分自身でつけ込んだ。それだけの自作自演の、小さな舞台だ。
後のことを考えて撒いておいた種明かしの欠片もこう見透かされた様子だと、きっとすぐに芽吹くのだろう。

あとは二人の恋人の問題だ。

そう思ってすっと意識を失い…
残された制服に包まれて、いつものピンク色の小さな蛇が寝息を立てていた。

雪城 氷架 > 「不器用だよな、ほんと」

それは謝罪癖にわたわたしている零に向けての言葉か、
それともこういう形をとってしまった括流に向けての言葉か

まだ温もりの残る制服で包むように、小さな蛇に戻った括流を起こさないよう、そっと抱きかかえる

「…零は、怪我とかしてないか?」

霜月 零 > 「あ、ああ、なんとか……と、言いたいんだが」

実は立てない。
いや、立てなくはないが相当ギリギリだ。
……vorpal swordの代償。
重い大太刀でこんな力技を実行に移すための代償として、脳のリミッターを少し外していたのだ。
故に、反動で筋肉が悲鳴を上げている。歩くのもかなりしんどい。

「……ちょっとマズいな。怪我はねーけど、筋肉に無理させ過ぎた。歩くのもキツい」

雪城 氷架 > 「参ったな…少し休めば歩けそうか…?
 ダメそうなら…芙蓉にでも迎えに来てもらおうか」

それはまずいんじゃないかと思う提案をする
氷架一人では抱えられないだろうとはいえ、
恋人と妹に支えられるというのも如何なものか

霜月 零 > 「最悪、刀を杖にすれば……っと、そうだ」

ポケットから符を取り出し、よろよろと地面に置いて念じる。
と、凍月が鞘ごとその場から消滅した。

「流石に、家宝を杖にするわけにはいかねーしな……」

持ってる太刀を杖にする他なかろう。

雪城 氷架 > 「別に無理することないよ、零、危なっかしいな…」
少し休んでいれば良いのに、と思うけど
なんだろう、男の子だからかな

「…迷惑かけちゃったな、零。
 でも、多分……これも必要なことだったのかもしれないから。
 私にとって零は大事な相手だ、でも括流も何にも代えがたい家族なんだ…。
 軋轢があるなら、ちゃんと分かり合って欲しかったから」

眠る括流を起こさないように、制服の包みをきゅっと抱きしめる

霜月 零 > 「わーってる。
……万が一さ。
万が一俺が死んでも、きっと氷架にはいい相手がまた見つかると思うんだ。
だけど、括流先生は、きっとどうあっても代え難い存在なんだ、と思う。
だからまあ……しゃーねーさ。ちょっとばかし、何か言いたいにしてももっと素直に言ってくれよ、って括流先生に不満はあるけどな」

苦笑する。結局、最後まで雪城括流を殺すという選択を取れなかったのも、それが理由。
雪城氷架にとって、間違いなく代え難いのは、雪城括流の方だと思ったのだ。

雪城 氷架 > 零の言葉に表情をむっと変えて

拳で零の胸板をドスンと少し強めに叩く

「馬鹿言うな、零だって掛け替えのない相手なんだ。
 万が一なんて0.01%だろ、ネトゲのレアドロップよりもあり得ることじゃないか、そんなのコト言うなよ」

少しだけ悲しげな目線を落として

「括流と零、どっちも天秤になんか乗せれないんだ。
 そういうのは比べるものじゃないんだよ。
 零は、『傷ついても取り返しがつくから』って理由で私と芙蓉を天秤にかけれるのか?」

霜月 零 > 「ごふっ……」

痛い。筋肉痛で痛いところを殴られたのだから余計痛い。
が、それ以上に……その後の言葉に、心が痛む。
自分の事だから、と軽く考えすぎた。浅慮極まる言葉だった。

「……そう、だな。無理だ、お前と芙蓉を秤になんてかけられない。
すまん、後……ありがとな」

詫びる。そして……掛け替えのない相手と言ってくれたことに感謝する。
ああ、なんて愛おしい。この女性と巡り合えた事が何よりの幸運だったと、そう思えるくらいには。
……ネトゲのレアドロップは、ちょっとよくわからなかったが。

雪城 氷架 > 「だろ?
 大事な人間で取捨選択なんて、できないんだよ」
苦笑する、わかってくれたようだ、ならそれでいい

「…そろそろ歩けるか?
 もう時間も遅いし、帰ろう、零。
 私もここまで全力疾走したからさすがにヘトヘトだよ」

ありがとう、という言葉には笑みで返した
精神も体も疲れきっているけど、
完全に無事、とは言いがたいけれど、
こうやってまた括流とちゃんと会えただけでも、心のつっかえがとれた
そんな笑顔を向けて

霜月 零 > 「ああ、大丈夫だ。ちょっと遅くなるけど歩ける」

言って、ちょっとしんどそうにではあるが立ち上がる。

「(……小太刀、使わなかったから持ってこなくてよかったかもなあ)」

そんなしょうもない結果論を考えつつ、その重さに若干辟易しながら太刀を杖にして立つ。

「氷架も、お疲れ様だな。いい運動になったか?」

少し冗談めかしてやる。いつも通りに日常に戻ってきたんだ、と言わんばかりに。

雪城 氷架 > 「起きたら多分筋肉痛だよ、寮の部屋に呼びつけて足のマッサージでもさせてやろうか」

冗談めかしたその発言にこちらも冗談で返してやる

胸元に抱えた制服と括流を、大事なものを抱えるようにして、公園の入り口へとゆっくり歩きはじめる

心なしか、零の歩調に合わせたような、そんなスピード

霜月 零 > 「その前に俺にマッサージが必要だぞ、脳のリミッター外したからな。
つーか女子寮は男子禁制だろ、氷架が来るんならわかるけど」

くつくつと笑う。
そのまま、肩を並べて歩く。頑張ってちょっと急ごうとするが、合わせてくれるのを見ると無理のない速度に。
そして、ちょっと体を氷架の方に寄せて歩いていく。

雪城 括流 > 少しだけいつもより冷たい、ひんやりとした蛇の胴体がその存在を主張する。

人間のようになって。
別の何かのようになって。
夜を誤魔化していた大蛇は。

今は夜に冷えるただの括流に戻ったのだ、というように。

ご案内:「深夜の常世公園」から霜月 零さんが去りました。
ご案内:「深夜の常世公園」から雪城 括流さんが去りました。
ご案内:「深夜の常世公園」から雪城 氷架さんが去りました。