2016/09/02 のログ
■癒斗 > 谷蜂が軽く触れたとはいえ、癒斗の男性器は触れずに勃ちあがるところまで登り切ってしまった。
呼吸や意志とは関係なく、時折ピクッとその頭を揺らす程度に。
「も、もう―――」
もう隠して良いですかと、そう聞きたかった。
しかし、えも言えぬような淫靡な表情を浮かべる谷蜂の顔を目の当たりにすると、視線がそこに釘づけになった。
心臓のばくばくという音は依然変わりなく、ドクドクと脈打ち己を悩ます下半身は、まるで分かり切っていたかの如く。
自分とはまた違う紫色の瞳が、唾液の伝う口元が、誘っている。
いや、誘ったのはどっちだろうか。
「た、谷蜂さん、これ以上は……」
"持ちそうにない"です。癒斗の表情が、そう語る。
薄皮一枚とは言い難いくらいにボロボロになった理性で、谷蜂の胸元を、その下を、どこか遠くに見ながら。
己の中の男が叫んでいる。己の中の女がそれを増長させようとする。
■谷蜂檻葉 > 癒斗のソレと同様に、檻葉の乳首も痛いぐらいに腫れ上がりその突起を強調している。
ヌラヌラとした生物的なテカりが唇を濡らして、くちゅりと、背筋を震わす水音を立てる。
葡萄の香りが、充満する。
果実の甘い香りで、室内が満ちる。
どろり、と。
檻葉の股から粘ついた愛液が溢れた。
―――そこで。
「ご、……ごめんっ…!! ぁ…わ、私…… ッ…ごめんね…っ!」
―――魔法の蜜の呪いが解ける。
癒斗の『懇願』に、状況が反転する。
沸騰した思考のまま理性が手綱を取り、意識が散漫になった身体はピクリとも動かない。
癒斗の勃起しきったソレが互いに存在を感じられるほどの距離で手が止まる。
好奇心で満たされた突き刺さる視線は、拒絶に怯える潤んだ瞳に変わる。
■癒斗 > 頭がじんじんと、静かに唸っている。
下半身が脈打っているのか、心臓の勢いに酔っているのかすら、さっぱりだ。
後の事など一切考えずに、谷蜂の身体に触れられたらどんなに良いか。
谷蜂は気づけるだろうか。
癒斗から発されるぶどうの匂いが、僅かにワインじみた香りに変化しているのに。
ふひゅうと、細い息を吐く。
その息にすら、ぶどうの香りが混じっていた。
"どうしよう"という気持ちが濁流の様になっていた癒斗の意識に、一滴の冷水が落ちる。
「だ………」
ちょっと待ってくださいと言う様に、腰を引く。
ヘッピリ腰気味のまま、興奮しているであろう表情をどうにか、にへらと崩し
「だいじょうぶ、です。私もちょっとヘンな気持ちというか、ちょっと、ちょっと興奮してた………ので。
ただ、ここまでなっちゃうとすぐに…おさ、治まらないので、少し時間が…欲しい、ですね………」
打って変って謝る谷蜂に、どこまでも情けない表情を見せる。
強く否定できなかった自分にも非があるのだ。途中から、ずるずると引きずられるままでもあった。
あと少し、ほんの指先分近かったら―――。
■谷蜂檻葉 > ゆっくりと、お互いの距離が半歩離れる。
一つになりそうな二人が、一人と一人に戻る。
「ほ、ほんとに……ごめんね……私、なんか……どうかしてた……。」
心臓に手を当てれば―――その位置とはズレているというのに、未だバクバクと鼓動が肌の表面にまで届く。 息は長距離走をした後のように早く、何度も浅く呼吸を繋ぐ。
匂いに、浸る。
「ドキドキして……頭がぽーっとしちゃって……
おちんちんの本物があるって……気になっちゃうままに……おちんちんに触って……」
呼吸が、早い。
先程までとは違う、今度はグルグルと思考がまわって立ち止まらない。
今自分が何を口走っているのか、口が滑るままに聞こえていない。
思考を遡るままに、口が思っていたことを全て吐き出していく。
「……おちんちん見る機会なんて……ないし……癒斗ちゃんなら……
……お願いしたら見せてくれるかもって……ねぇ……癒斗ちゃん……
……また……見せてくれるかなぁ……?」
―――欲情と、酩酊と、寂寥と、懇願が綯い交ぜになった、『女』の顔で『おねだり』をする。
■癒斗 > 普段の谷蜂からは想像できないような、どこか甘ったるい声。
こんこんと吐き出される彼女の思考に、癒斗はどこか怖いものを感じた。
"妖精"の一面がある谷蜂のことを、深く知らないだけ、なのか。
谷蜂を僅かに見上げるような姿勢のまま、犬の様に急いた短い呼吸を繰り返す。
つるりと滑り、そのままとろけ呑まれるようなおねだりが、癒斗の鼓膜を揺らした。
「え、ぁ……」
さっきまでのじりじりするような感覚が思い出される。
見せるだけ。見せるだけならと甘んじた自分の、谷蜂へ見せた爛れた一面。
「………私の、性別を、他の人に……漏らさないでくれる、なら………」
引いた腰の下で、"男性"がぴくんと跳ねた。
■谷蜂檻葉 > ……こうして、余りにも歪な『契約』が結ばれる。
「私も、癒斗ちゃんが見たい時に、何処でも見せてあげる―――『約束』だよ……♪」
言の葉に魔が乗り、二人を縛る。
二人だけの秘密の関係。
誰にも話せない、爛れた関係。
【誰にも言わない限り、互いに裸を見せ合う】
倒錯の延長、失敗の先延ばし、惰性に続ける誘惑。
それ以上は踏み込まないと決めた、命綱付きの肝試し。
互いに、空気に溺れたまま約束を取り交わす。
―――そうして。
着替えて、一息ついて、折角だから食べましょうと買ってきたパイを食べて。
お互いに落ち着いて。
(……なんで私……あんな……っ!?)
静かに、後悔に浸る。
(―――でも、ほんとに……見せてくれるの……かな……?)
余韻に、浸る。
■癒斗 > ミートパイは、確かに美味しかった。
が、どこか上の空で食べたせいか、食べきった事に気づくのが少し遅れた。
(どうしよう……)
(す、すごい約束をしちゃった気がする……!!)
(あんな約束、ほ…本当にしちゃって良かったんですかね…)
いわゆる身体の関係というわけでもなく、
ただ"お互いに見せ合うだけ"の、まるで互いを首輪で結ぶような約束。
立場的に言うのなら、この約束で弱いのはもちろん、癒斗だ。
どうか言わないでと、自分から鎖を差し出したようなものなのだから。
(……ああでも、まだドキドキしてるのは、何でしょう)
谷蜂との、秘密の約束だから?
――それだけ、だろうか。
ご案内:「女子寮 ***号室」から谷蜂檻葉さんが去りました。
ご案内:「女子寮 ***号室」から癒斗さんが去りました。