2017/03/20 のログ
百鬼 > 「……成る程、限定条件付きで他者の力を使う、という事か」

少女の端的な説明に把握したようで仮面はゆっくりと頷いた。
ちらり、と右手を見ればこれはもう回復も何も無いだろう。
丁度、足元にあった男の死体の手にある黒刀をもぎ取るように左手で拾い上げ。

「……まぁ、こうするしかないだろう」

そのまま、無造作に左手に握った黒刀で炭化した右手首から先を切り落とした。
床に落ちたソレはまるで砂塵のように溶けて消えて行く。
そして、彼女の方へと顔を戻し緩く肩をすくめてみせる。

「……一応、再生はする体なので問題は無い。瞬時に、とは行かないだろうが」

この肉体の問題もあり、再生能力がある者と比べればやや時間は必要だが。
さて、報復がメインとはいえタダ働きもアレなのでこの黒刀は貰って行くとしよう。
鞘が無いので、抜き身のままそれを左手に持ち。

「……どうする?ヤツの部屋だから金くらいなら隠してあるだろうが」

柊 真白 >  
そう。

(彼がそう言うのならばそれで良いのだろう。
 元よりそう言うこともある仕事だ、気にした様子も無く。)

金には困っていない。
元々何か得るつもりも無い仕事だし。

(刀を鞘へ収め、言い放つ。
 部屋を探る気もない。
 ただ部屋のいたるところに刺さった自身のナイフを淡々と回収していく。)

百鬼 > 「……まぁ、そういうものか」

正直、殺し屋をなぜしているのか、と聞かれたら仮面としては答えようがない。
ただ、惰性か向いているのか…目立たぬ裏家業なら何でも良かったとも言える。
戦利品と言えなくも無い黒刀は、抜き身のまま外套の下に仕舞い込み。
彼女がナイフを淡々と回収している間に、こちらもこちらで
右手首の傷口を軽く止血などしてから衣服の切れ端で縛っておく。

「……後始末くらいはしておくか」

そう呟けば、左手を軽く横に払いのける仕草。それだけで男の胴体と切り飛ばされた首が風化するように干乾びて。
やがて、砂となり崩される。それを、左手の指先で窓の外を示せば、砂がすべて勝手に風に吹かれるようにして外に流されて行く。
とはいえ、下に転がる有象無象の死体の後始末は面倒臭い。あくまで、ここのボスだけを処理しておく。

柊 真白 >  
(ナイフを全て回収し終えれば、男の死体は消えていた。
 彼が何かしたのだろう。
 他人の手札を詮索するような真似はせず。)

――これで解散?

(この組織への報復は終了した。
 このまま次の組織へ続けて報復するのか、それとも今日はこれで終わりかを問う。
 彼の右手の事を考えれば解散でも良いだろうが、他に何か用事があればそちらにも付き合うつもりだ。)

百鬼 > 「そうだな……続けて行けない事も無いが。今夜はこの辺りでいいだろう。
……嗚呼、用事という訳でもないが、互いの利害の一致で組んだとはいえ助かったのは事実だ。…何処か屋台で軽く奢ろう」

この辺りの屋台は色々と訳ありの者でも食事や酒を提供してくれる場所もあるにはある。
少女が付き合うか否かはあくまで任せるとして、解散前に軽く奢って行くつもりではある。

まだ、報復するべき組織はあるにはあるが右手が一応再生してこちらが万全にしないと思わぬ足を引っ張る可能性もある。

「……そうだな、次の報復標的の誘いは君から私に連絡をくれると有難いのだが」

一つ、頼みがあるとすればそれだ。今回はこちらが報復する組織を選択させて貰ったに等しい。
ならば、次の組織は彼女が潰しておきたい組織を優先しておくのがスジだ。
実際、ブッキングは一度や二度ではなかったのだから。

柊 真白 >  
このぐらいで良ければいつでも。
こっちも助かった。
――じゃあ遠慮なく。

(こちらも助かったのだからお互い様だ。
 とは言え奢ってくれると言うのなら付き合わない道理は無い。
 金に困っているわけではないが、それはそれ。)

ここが一番大きい組織だった。
――でも、助けが必要な時は言う。

(正直ここが潰せたなら後は一人でもなんとかなる。
 しかしそれでは彼の方が借りを作りっぱなしと言う事になってしまう。
 報復か仕事のヘルプかは分からないが、こちらが困れば連絡する事にしよう。)

百鬼 > 「……この業界だけに限らないが、裏切り等は日常茶飯事だからな…君のように信用出来る同業者は貴重で助かる。」

それは紛れも無い本心だ。そもそも、今まで同業者と利害が一致してもまず組まなかったのはそこだ。
彼女は己と近いというより仕事とそれ以外をきっちり割り切っているので、変に気を割かずに済むのが有難くもあり。

彼女は金に困ってはいないだろうが、そこはそれだ。金銭の云々ではない。
それに、仕事外の殺しというポリシーを曲げてまでやった後だ。
気分的に軽く一杯やっておきたい気持ちが無い訳でもない。ナリがこれだが無感情の人形ではないのだ。

「……そうか、そうなると後はお互い単独でどうとでもなる、か。
…勿論、報復のアシストでも仕事のヘルプでも構わない」

頷く。気分的な問題なのかもしれないが、貸し借りはきっちり清算しておきたいのだ。
さて、もうここには用もないしそろそろ行くとしよう。歩き出しながら思い出したように、一度少女へと顔を向け。

「……今更だが、君は酒とか平気なのか?」

見た目通りの年齢とは限らないし、気になったのは酒に強いか否か。
無論、ただ食べるだけでも別にいいのだが…屋台であるし。
後は、少女が何か食べたい物のリクエストがあればそれに沿った屋台へと案内するだろう。

偶には、同業者と組んでみるのも案外悪くないとは思いつつ。

柊 真白 >  
こういう仕事は顔で売るもの。
裏切れば仕事にならない。

(こういう世界だからこそ、裏切るやつに仕事を回すやつなどいない。
 だからこそ仕事の途中での鞍替えや裏切り行為はこうやって報復へ乗り出すのだ。
 他はどう思っているか知らないが、少なくとも自身はそう考えている。)

わかった。
何かあれば、連絡する。
――飲めない事はない。

(部屋を出ながらそう告げる。
 強いわけではないが弱いわけでもない。
 むしろ食べる事の方が良い。
 と言うか自身の種族はとても燃費が悪いらしい。
 特に食べたいものは無く、連れて行かれたところにホイホイ付いていくだろう。)

百鬼 > 「……私の場合は”顔”ではないがな」

彼女の考えは分からないでもなく、同時に仮面の場合は素顔や身辺情報を絶対に漏洩しないという徹底さを付け加える。
実際、いまだに素顔を含めその素性は知られていない。…知った者は始末しているからだ。

「……なら、食べる中心の方がいいだろうな」

彼女の燃費の悪さに気付いたかは謎だが、仮面が連れて行ったのは、多分味はそこそこボリューム満点の店だっただろう。

そうして、血生臭い一幕を淡々と終えて、二人の暗殺者は生きる者が死に絶えた廃ビルを後にするのだった。

ご案内:「廃ビル」から柊 真白さんが去りました。
ご案内:「廃ビル」から百鬼さんが去りました。