2018/11/09 のログ
神代理央 > 「行為が同じであるならば、数が異なる事に意味など無い。そして、必要だから処理が行われる。ただそれだけの話だ」

多数の為に少数が犠牲になるということに、何の疑問も抱かず、それが正道であると教育され、信じて生きてきた。
今更それを変える事は出来ないし、変えることも出来ない。

「……ああ、そうだな。分からんさ。分からぬとも。分かりたくも無い。俺は奪われぬ様に努力した。闘争した。選択した。奪われない為の努力をせぬ者の泣き言等、聞くに絶えん」

彼女の表情が、言葉が、己の感情を軋ませる。

「貴様とて、奪う側に立つ者だろう。それとも、泣いて懇願するまで屈服させてやらねば分からぬか?」

穏やかではあるが、苛烈さを込めた言葉と共に、無警戒に己の前に立つ彼女の腕を取ろうとして―

柊真白 >  
――。

(彼の言葉を黙って聞く。
 大勢を生かすために少数を犠牲にする。
 なるほどそれは正しいのだろう。
 確かに正しいのだろう。)

あなたは。
奪う側の人間だから、わからないんだ。

(自身の姿が消える。
 そう錯覚するほどの速度で、彼の背後へと周り、刀を抜く。)

――なら、腕の一本でも獲れば、理解出来るでしょう。

(その刀で自身の掌を斬り、血を啜る。
 存在感が、爆発的に増す。)

神代理央 > 「…そういう事だ。救う、等と甘い事を言うな。俺と戦い、俺を倒し、屈服させてスラムのゴミ共を救うが良い」

戦闘態勢を取る彼女を見て――と言っても、目で追うことは出来なかったが――愉快そうに笑みを浮かべる。

「奪う者から奪って、奪われる者を救うが良い。その分、俺も奪い返す。そして俺が奪った分、次は足でも首でも取りに来るが良い。実に愉快な茶番だ」

所詮、それしか知らないのだ。
奪う側だからこそ、奪われればその何倍も奪えば良い。
満たされぬ飢えの様に己に住み着いた闘争心と嗜虐心は、闘争する理由さえあれば極論何でも良い。
そして、戦って戦って戦い抜いて死ぬ事が良いことだと、そう信じるように育てられたのだから。

狭い室内で圧倒的に不利な状況で満足気に笑みを浮かべれば、攻撃能力の無い大盾の異形が主を守ろうと遮二無二盾を振り回した。

柊真白 >  
(大盾を振り回す異形。
 それを興味なさげに見上げ、)

邪魔。

(左手一本でその盾をつかみ取る。
 明らかに体格で負けている相手が振り回す盾を、利き腕ではない方であっさりと受け止め、のみならずその本体ごと乱暴に横合いへと投げつけた。)

自分の手を汚さず、自分の意のままに動く下僕を使って。
その力、本当にあなたらしい。

(その負荷に耐えられるフレームを持ってはいない。
 けれど、ぐちゃぐちゃになった左腕は、ギシギシメキメキと嫌な音を立てながら元に戻っていく。)

――左脚。

(宣言して地を蹴る。
 踏み抜いた地面は大きな音を立てて陥没し、直後に横合いの壁が同じように破壊された。
 壁をはね、一瞬で彼の背後へ回りながら、思い切り彼の左脚を刀の峰で打ち付ける。
 彼の異形をぶん投げた膂力で。)

神代理央 > 「褒め言葉として受け取っておこう。下々の者達を統率することも、上に立つには必要な能力故な」

余裕めいた口調ではあるが、状況は全く芳しくない。
何せ、こんな狭い室内では砲撃用の異形を召喚出来ない。盾役の異形で時間稼ぎしつつ、室外に出るべきかと思考するが―

「宣言するとは余裕だな。防御用の魔術くらいは、会得しているぞ?」

左脚、という言葉が耳に届いた瞬間、肉体強化の魔術を起動しその魔力を左脚に集中させる。
直後、凄まじい力で刀の峰が打ち付けられるが、鋼鉄がぶつかり合う様な硬質な音が響き峰を受け止めるだろう。

――だが、左脚にダメージが無くとも、その衝撃を全て受け止める事は出来ない。左脚にかかる衝撃に耐えきれず、体勢を崩して右膝を地につける。

「…チッ。フィジカル面では勝負にならんか」

それでも、その闘争心が消える事は無い。右手に握りしめたままの拳銃を持ち上げれば、狙いをつける間もなく彼女に向けて乾いた銃声を数発響かせるだろう。

柊真白 >  
あなたと私では差がありすぎる。
ちょうどいいハンデ。

(放たれた銃弾をこともなげに弾いて見せる。
 縦横無尽に空間を走る一流の拳や刃ならともかく、一直線にこちらを狙うだけの音速にも満たない銃弾など、通用するものか。)

気を抜けば腕より先に脚が潰れるぞ。

(そのまま連続して彼の左脚を打ち付ける。
 刃での斬撃ではなく峰での打撃だが、それでも寸分たがわぬ同じ個所への連続打撃だ。
 しかも普段の速度だけの軽いものではなく、体格に見合わぬ思い打撃。
 いつまで耐えられるか。)

神代理央 > 「…何、貴様を屈服させ、地に這い蹲せる為ならば、両足でも潰してやるとも」

服までかかった強化の魔術にも流石に限界がある。
込められた魔力が急速に減少し、先程まで無痛だった左脚は峰を打ち付けられる度に鈍痛を訴える。

「…さて、制服が駄目になる前に落ち着いて貰わなければな。貴様ならば心配なかろうが……"埋まる"なよ?」

突如、地鳴りの様な音と共に狭い室内を埋め尽くす様に金属の異形が数体召喚される。
無数の砲身。醜い金属の巨体。しかし、今回必要なのはそのどれでも無い。
必要だったのはその質量。唯でさえロクな整備のされていない室内に、過大な重量を持つ異形が数体召喚されれば―

「狭いのは好かぬ。広くしてやろう」

その言葉と同時に、轟音と共に部屋の床が抜け落ちた。

柊真白 >  
ち。

(舌打ち。
 いくら機動力に優れていようと、異形が召喚された時点で手遅れだ。
 床が抜ければあとは地下の空間へ落ちるのみ――)

――暗殺者を舐めるな。

(スカートの内側から取り出すのは、数本の投げナイフ。
 落下しながら正確に彼の肩口へと投擲。
 一撃では貫けずとも、二本三本と続けて放る。
 ライフル並みの初速を持って、彼の右肩へ音よりも早く。)

神代理央 > 「…ぐ、っ…。流石に、防ぎきれんな」

落下の衝撃と瓦礫に備えて魔術を発動してはいたが、放たれるナイフまでは防ぎきれない。
正確には、一本だけならまだ防ぎきれた。しかし、矢継ぎ早に放たれるナイフは魔術強化を突破し、己の肩に深々と突き刺さる。
漆黒の制服が己の流した血で滲むのを感じながら、それでも尚痛みに耐えて言葉を吐き出す。

「さあ、踊れ踊れ!鉄火に押し潰されるまで、避け続けろ暗殺者!」

轟音と共に、落下した異形達の砲撃が始まる。
瓦礫を砕き、構造物を粉砕し、破壊を撒き散らしながらその銃弾の雨は少女に襲いかかる。

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から柊真白さんが去りました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に柊真白さんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に神代理央さんが現れました。
柊真白 >  
(着地。
 ほぼ同時に襲い来る弾丸の嵐。
 それらが自身の体を貫く――)

遅い。

(――頃には既にそこに姿はない。
 足元の瓦礫を後方へ弾き飛ばし、彼の頭の真横へと跳躍している。
 そのまま縮めた両足を思いきり彼の側頭部へ叩き付ける。
 大砲のような破壊力のドロップキック。)

神代理央 > 俊敏な彼女の蹴りを避けられる訳も無く、蹴鞠の様な勢いで瓦礫に叩き付けられる。
流石に防御しきれない。肉体強化の魔術で使用した魔力は既に枯渇しかけており、追加で発動する必要がある。だが―

「…面で制圧しろ。点に当てようと思うな。空間ごと薙ぎ払え」

防御に回す時間が惜しい。手数を増やし、砲身を増やし、弾丸を増やす。魔術では無く異能を発動し、地下の空間を圧迫する様に追加の異形が現れる。
そして異形たちに発する命令。別段、声に出して命令する必要は無い。これは寧ろ、彼女が放った蹴りで鈍い痛みを訴える己の思考を形にする為のようなもの。

主の命を受け、異形達の砲身は微妙に角度を変えながら砲撃を続ける。彼女という点では無く、彼女が存在する空間全てを弾丸と砲弾で埋め尽くさんと、耳を劈くような轟音と共に鉄火の雨が降り注いだ。

柊真白 >  
(対応が早い。
 一度動きを見ているということもあるだろうが、何よりセンスがいい。)

――もったいない。

(だが、それでもまだ足りない。
 普段ならともかく、自身の血でブーストの掛かった速度だ。
 二筋の青い残光を引きながら、面制圧を面ごと潜り抜ける。
 その上で、足元の瓦礫を蹴り付けて礫の散弾を彼へと叩き付ける。
 その散弾に、投げナイフも混ぜておく。)

……っ。

(僅かな眩暈。
 それを押しとどめるように掌を刀で切り、血を啜った。
 反動を先送りにして、バフをかけ続けて動き回る。)

神代理央 > 逡巡する間も無い。僅かに残った強化の魔術を全て胴体に回し、礫とナイフを凌ぐ。尤も、重い拳で殴られた様な衝撃と、刺さらずとも襲いかかる鋭い痛みは消える事は無かったが。
これで完全に魔術の効力は消滅した。後は生身。再度魔術を発動する余裕は――

「…与えてはくれんだろうな。ならば、物量で押し切るしかあるまい」

痛みから呼吸は荒く、刺さったナイフの先からは未だ血が滲んでいる。異形の数に応じて自己回復する能力によって出血多量は辛うじて防いでいるが、完全治癒には程遠い。

「…真上と真下だ。瓦礫の雨を浴びせ、足場を崩せ。空間が広くなるのは此方に優位だ。建造物ごと破壊しても構わん」

体中が痛みを訴えるが、それでもよろよろと立ち上がり異形達に指示を出す。主を庇う様にその前面に移動しながら、異形達は上下左右のあらゆる方向に砲身を向け、撃てる砲弾を全て吐き出す。
砲撃の衝撃によって脚を軋ませながらも、異形達は主の勝利の為に文字通りその身を焼き尽くしながら少女に鋼鉄の濁流を放ち続ける。

柊真白 >  
(異形たちが狙いを変える。
 足場や天井を崩され、横からだけではなく上からの質量弾が増え、足場も悪くなる。
 それでも速度は緩めない。
 むしろ不安定な足場を利用して、青い残光はどんどん不規則な動きに変化する。)

この……。

(歯噛みするのはそれが理由ではない。
 ここに至ってもまだ被害を抑えることを考えないその態度。
 砲撃の嵐を縫って蛇のような蛇行軌道で肉薄し、体当たり。
 あわよくばそのまま押し倒して馬乗りにならんと。)

神代理央 > 「ぐ、うっ……!」

視認出来たのは、蒼い光が此方に迫る事だけ。
ついで我が身に襲いかかった衝撃に耐えきれず、瓦礫の上に盛大に身体を打ち付ける。
その状況を理解する前に、己の身体にかかる重さに視線を向ければ、仰向けに倒れた自分に馬乗りになる少女の姿があった。

「……ク、ハハハ。此処まで接近されては、俺の異形も木偶の坊に過ぎんな。それで?腕にするか、脚にするか。それとも、後顧の憂いを断つために俺の首を切るか?」

押し倒され、特注の制服はそこかしこが擦り切れ、己自身も満身創痍となりながら尚、高慢な態度は崩さない。
そして、少女の背後で金属の軋む音と共に異形達の砲身が全て二人に向けられる。
自爆は趣味では無いが、降参するのはもっと気に食わない。戦った末にこんな場所で果てるのも一興かと、痛みに耐えながら薄く口元を歪めた。

柊真白 >  
……。

(無言で見下ろす。
 彼に馬乗りになった時点で体力強化の効果は切れてしまっている。
 視界が狭い、頭痛も酷い、彼の顔もよく見えない、汗が冷たい、体に力が入らない。
 それでも弱い姿は見せるものかと必死に背筋を伸ばす。)

たかが小娘一人に乗られたぐらいで、情けない。

(負けても悔しくないのか。
 押せば倒れるような状態の自分に近寄られたぐらいで、そんなにあっさり負けを認めるのか。
 一瞬そう思ったのだが、)

――戦いに命を懸けられないものが戦いの場に顔を出すな、半端者。

(冷めた目で彼を見下ろし、立ち上がる。
 一度ガクリと膝が折れるが、膝は付かずに持ち直す。)

神代理央 > 「…そうだな。我ながら情けない話だとも。だが、闘争の末の結果だ。何を言われても仕方あるまい。それに――」

自分が最も欲していたもの。それは、態勢を立て直し、魔力を練り上げ、現在の戦力を元に新たに戦術を練る時間。
それはある意味、彼女の慈悲につけこんだものだったのかも知れない。数度の邂逅によって得た彼女の人となり。彼女は、自分を殺せる状況になっても決して殺さないだろうという、安っぽく卑怯な賭け。

「では、半端者は半端者らしく、手駒に頼った戦い方に徹するとしよう。前線に出るのは不向き故な」

再び肉体強化の魔術を発動すると同時に、彼女の背後に大盾の異形を召喚する。
昆虫の様な機械の複眼で彼女を見下ろす異形は、その大盾を突き出し彼女を押し倒そうとするが―

柊真白 >  
(背後の巨人を見上げる。
 足は動かない。
 視界も狭い。
 出来るのは――)

が――ッ。

(大盾の下敷きにされ、呻く。
 結局動かせたのは両腕だけだった。
 潰される寸前、その片腕、左の掌を舐め、自身の血を僅かに舐めた。
 それで得られる身体強化は一瞬。

 その一瞬があれば、残った右腕で彼の右腕へ渾身の斬撃を浴びせることぐらい、十分だ。)

神代理央 > 肉体強化の魔術があるからと、奢っていたのかも知れない。
決して油断はしていないつもりだったが、彼女の斬撃を受け止められる自信はあった。
だが、渾身の剣戟は魔術による強化を突破し、己の腕を切り裂く。先程の左脚の様に一部に魔力を集中させていればまだしも、均等に防御した状態では防ぎきれない。

「…っ、がぁ…。……流石、だな。貴様と近接戦等、するものでは、ないな…」

腕は繋がっているが、深く切り裂かれた右腕は暫く使い物にならないだろう。強化魔術と自己回復の異能があれば壊死や出血多量で死ぬことは無いだろうが、これ以上この腕で戦闘する事は不可能だ。

「……しかし、こうして貴様を見下ろせるなら、腕の一本くらいくれてやっても良いな。良い気分だよ。暗殺者」

残った左腕を軽く振り、彼女を押さえていた異形を退かせる。
そして、拘束の解かれた彼女の側に片膝をつき、その白面にそっと触れようとする。
彼女が未だ戦闘能力を失った訳では無く、その闘争心が消えた訳では無い事を理解して尚そう振る舞うのは、奢りでも油断でも無く、傲慢に振る舞う事しか出来ない己の性であった。

柊真白 >  
(押しつぶされるような圧迫感は消えたが、立ち上がらない。
 立ち上がるだけの力が入らないのだ。
 極度の貧血に陥ったような、自己強化の反動。
 しかも何度も繰り返し反動を後回しにしていたのだから、尋常ではない。)

――さわるな。

(それでもなお彼の腕を払う。
 まだやるつもりな訳ではない。
 闘争心もとうに失せた。
 それでも。)

じぶんからみせるつもりがなければ、みせるつもりは、ない。

(仕事をしくじってもいい。
 戦いに負けるのも珍しいことではない。
 だけど、正体を暴かれることだけはどれだけ苦しくてもさせるものかという誇り。
 それが既に明かしている相手でも。
 力の入らない体に渾身の力を込めて立ち上がる。)

神代理央 > 「…成る程?それが貴様の信念か。良い。どのようなものであれ、強い思いや誇り、拘りを持つのは良いことだ。…だが、それを踏みにじるのもまた一興よ」

片膝をついたまま、左腕を彼女に伸ばしてその身体を再度大地に縫いつけようとする。先程の様に異形にさせるのではなく、己自身で、その華奢な身体を抑え込もうとするだろう。

柊真白 >  
――チンピラみたい。

(先ほどまであれだけ近づかせまいとしていた癖に、弱ったとみれば途端に強気になる。
 まるで落第街のチンピラだ。)

すきにすればいい。

(投げやりに、彼の成すが儘に。
 抵抗する気も失せ、彼の下に組み敷かれた。)

神代理央 > 「中々手厳しい。とはいえ、否定も出来んな。何せ、獲物は弱らせなければ捉えられぬ。狩の鉄則であろう?」

己をチンピラと評した彼女の言葉にクツリと笑みを浮かべる。
血塗れで服は擦り切れ、そこかしこが瓦礫の粉塵で汚れた己は、姿也もゴロツキの様だろうなと内心自嘲する。

「…殊勝な事だ。先程までの気勢はどうした?それとも、こうして男に組み敷かれる方が好みだったのか?」

彼女の能力について詳しく知っている訳では無い。それ故に、彼女が能力の反動で苦しんでいる事も、その反動の強烈さも分からない。
急激に抵抗を弱めた彼女に怪訝そうな視線を向けながらも、緩慢な動きで白面を取ろうと再度腕を伸ばした。