2018/11/10 のログ
柊真白 >  
そう。

(返事はうつろ。
 だが視線はしっかり彼を見ている。
 哀れみを含んだ――というより、それだけしか含まれていない視線。)

別に。
好きにすればいい、そう思っただけ。

(どうでもいい男に抱かれるのは慣れている。
 乱暴にされるのも慣れている。
 ことが終わるのを他人事のように眺めていれば、それで終わりだ。
 ただ、一緒に暮らしている彼に申し訳ないな、とだけ思う。
 伸ばされた腕にも反応はせず。
 ただ哀れみの視線を向けているだけ。)

神代理央 > 「……気に食わんな。敵意を向けるのは良い。慈悲を乞うのも良い。だが、その視線は気に食わん。不愉快だ」

これまで己に向けられていたのは、敵意、嫉妬、憤怒、従属といったもの。それ故に、彼女が此方に向ける感情の色は、激しく己を苛立たせる。

「…ならば遠慮はいるまいな。と言っても、別に命は取らんし風紀に引き渡すのも面白く無い。ただ、俺を殺してやりたくなる様にしてやろう」

彼女の白面を剥ぎ取り、その青い瞳を見下ろす。
彼女と正反対の己の真紅の瞳は、今どんな感情を浮かべているのか己でも分からない。
そして、白面を剥ぎ取った左腕で彼女の頬に触れれば、陶器を扱う様に丁寧に、その感触を楽しむ様に己の手は蠢くだろう。

柊真白 >  
気に食わないなら、そう見られない態度をとればいいのに。

(ただそれだけの話だ。
 自分を見る目が気に入らないといって暴れるのは――。
 あぁ、なるほど。)

――子供だからか。

(つまりそういうことなのだろう。
 よく見ればまだまだ幼さの残る顔をしている。
 立ち振る舞いがあまりに堂々としていたので気が付かなかった。
 自身は普段から体温が低めではあるのだが、今は更に冷たいだろう。
 自己強化をすると血が足りなくなるのだ。
 死体に触れているような冷たさを感じるかもしれない。)

神代理央 > 「…この状況で、その不愉快な感情を向けられる意味が分からん。理解出来ぬ事に配慮する必要が――」

フン、と息を吐き出し、その視線を振り払おうと思考を切り替えようとした矢先。

「………何?子供、だと?」

確かにそれは厳然たる事実ではあるが、それを指摘されたのは初めてだったかも知れない。
子供だからかと理解の色を浮かべる彼女に対して、寧ろ此方の疑問は深まるばかり。
というよりも、外見的な年齢は彼女の方が幼く見えるのだが。

「…何を納得したのかは知らんが、納得する前に先ずは自分を鑑みたらどうだ。死体を抱くのは趣味じゃ無いんだがな」

触れた彼女の頬の冷たさに、不愉快そうに息を一つ零す。
彼女の頬に触れていた掌は、そのまま頬から首筋へ。そして、彼女の胸元へと撫でる様な緩慢な動きで這いずる。

柊真白 >  
自分のしたいことだけして、それを指摘されたら頬を膨らます。
それで自分の気に入らない見方をされれば気に食わないってまくし立てて。
子供でしょう。

(わがままな子供そのものだ。
 所作を見ればそれなりの地位のある家の子供だろうに、躾が成されていないように見えるのは――)

――家族の方にちゃんと愛されてなかった?

(胸元をまさぐる手の動きを無視し、問いかける。
 彼の無駄に被害を拡大させる戦い方や、やたらと高圧的で人を不快にさせるような態度。
 今思えば、叱ったり構ったりして欲しくてやっているように見える。)

神代理央 > 「――――」

瞬間、動きが止まる。
言葉は無い。肯定も否定もせず、その表情は理解できないものに直面した事と、怒りと、そして不安がないまぜになった様なもの。

「……子供である事は、認めよう。己の年齢を否定し、誤魔化しても仕方のない事だ。肉体、精神年齢が成熟されていない事も認めよう」

数秒の沈黙の後、絞り出す様に言葉を吐き出す。

「…それで?俺が齢幾つであろうと、こうして貴様を組み伏せている事実が覆る訳では無い。貴様が幾つかは知らんが、そこに何の意味があろうか」

愛されていなかった、という言葉への返答は結局出来なかった。
先程の戦闘で追い詰められていた時よりも、己の真紅の瞳は動揺の色を湛えているだろう。それを振り払う様に、叩き込まれた支配する者としての振る舞いを続ける。
己の宿す嗜虐心や傲慢な本性を正す事なく、寧ろそれを助長させられた教育によって宿った振る舞いだけは、こんな状況でも嫌になるくらい自然なものだろう。

柊真白 >  
そっか。

(腕を伸ばす。
 まだ力は入らないし、血の気がなくて震えるが、そのくらいは出来る。
 しなくちゃいけない。)

つらかったね。

(撫でる。
 彼の金色の髪を梳くように撫でる。
 優しく、いとおしむ様に。)

子供なら、甘えなさい。
背伸びをするのは十分に背が伸びてからで十分だから。
――槍や刀振り回してた時代から生きてるおばあちゃんのいうことは聞いておくべき。

(諭すように。)

神代理央 > 「…やめろ。やめろやめろやめろ!辛くなどあるものか。私は、俺は戦って、理想を叶えるんだ。そうしなければならぬのだ。理想の国家を造らねばいけないんだ!」

思考が乱れる。己の髪を撫でる彼女に反抗する様に首を振るが、その手を振り払う事が出来ない。
そして、千切れる思考が訴える。この混乱は、疲労と出血によるものである。そうでなければおかしい。
この状態を脱却する為には、眼下の少女から奪わねばならない。何を奪えば良いかは分からない。ただ、壊れる程に奪うべきだと、まるで命令を下す様に己の醜い本性が訴える。

「…俺を憎め!蔑め!殺してやりたいと思うほど恨め!」

どんなに我が身に危機が訪れようと、此処まで取り乱した事があっただろうか。
先程までの緩慢な動きとは違い、彼女の服に手をかけると引き裂く様にその服を剥ぎ取ろうとするが―

柊真白 >  
それは、あなたがやりたいことなの?

(理想を叶える。
 そうしなければならない。
 理想の国家を作らねばいけない。
 なるほど、言葉だけ聞けば立派な志だろう。
 だがそれは彼の理想なのだろうか。
 彼自身がしたいことは他にあるのではないだろうか。)

憎まないし蔑まない。
まして恨む理由なんて、どこにもない。

(彼はまだ子供なのだから。
 むしろ、彼をそうした周りの大人の方を恨むほどだ。
 抵抗はしない。
 服を剥ぎ取られ、普段よりも尚白い、血の気の全くない白い肌が露出する。
 それでもなお、腕の動きを止めることはない。)

神代理央 > 「……他に何をせよと言うのだ。俺が、他に何を…」

やりたいことなど、分からない。
父親から受けた教育によって、己は偉大な帝国を造るべきなのだと信じていた。思春期と呼ばれる年齢に差し掛かり、父親と一層不仲になって尚、その目的だけは変わらない。
他の理想など、抱いたことが無いのだから。

「……その余裕が何時まで続くか見ものだな。貴様が何処までその薄っぺらい善意を保てるか、今から楽しみだよ」

高慢な言葉でも、その口調に覇気は無い。それでも、露になった彼女の胸元に手を伸ばせば、その態度とは真逆にゆっくりと。彼女の感度を探る様にその手は這いずり回る。
本来振り払うべき彼女の腕をそのままにしているので、何ともおかしな光景になっているかも知れないが。

柊真白 > ……。

(やりたいことなどわからないほどに、いろいろと叩き込まれて来たのだろう。
 きっと幼いうちから。
 自身もそうだが、自身の場合は自分で決めたことだった。)

――やめなさい。

(そっと彼の腕を掴む。)

今、その状態でそういうことをするべきじゃない。
したいのなら、また今度相手をしてあげる。
だけど、今捨て鉢になってそういうことをしたらダメ。

(強い目で彼を見る。
 先ほどのような憐れむ目ではなく。)

退きなさい。

(有無を言わせぬ、強い口調と目。)

神代理央 > 「………確かに、興が乗らん。死体の様に冷たい女を抱いても、つまらぬだけだ」

一瞬、彼女と己の瞳がぶつかり合う。
強い意志を持った彼女の青い瞳と、複雑に揺れ動く己の赤い瞳。
暫しの沈黙の後、深い溜息と共にゆっくりと。気怠げに彼女の上から退いた。
とはいえ、立ち上がる気力も無く、そのまま瓦礫を背もたれにして座り込む形になるだろうが。

「…俺は、これからも人を殺す。大勢殺す。慈悲も無く、機械的にな。それでも俺を憐れもうとするお前が、俺には分からぬ。理解出来ん」

ぼんやりと、力の無い瞳でゆるりと彼女に視線を向ければ、独り言の様に呟いた。

柊真白 >  
(彼が自身の上から退けば、自分も上体を起こす。
 無残な姿になった服のポケットから小さな金属の瓶に入ったアルコールとハンカチを取り出して。)

少し、染みるよ。

(彼の左肩の傷口にハンカチを当て、刺さりっぱなしだったナイフを抜く。
 そこにアルコールをかけ、ハンカチで縛る。
 もう一枚ハンカチを取り出し、左腕の傷も同じように。)

もう憐れむことはしない。
けれど、君が人を殺すなら、私はそれをやめるように言い続ける。
子供が良くないことをしてるなら、それを止めるのは大人の役目だから。

神代理央 > 「…っ…。敵の治療をするなど、益々持って理解出来ん。ナイチンゲールでも気取るつもりか?」

等と、憎まれ口を叩きながらも彼女の行為を拒否しようとはしない。処置されている間、アルコールから与えられる痛みに僅かに表情を顰める。

「…子供扱いするのは勝手だが、大人ぶるには些か肉体的な要素に不足があるんじゃないか。俺から見れば、貴様も十分子供だが」

フン、といつものように高慢な態度と共に彼女に視線を向ける。
流石に何時ものように、とはいかないまでも、取り敢えず尊大さという仮面を被り直す程度には思考も落ち着きを見せていた。

柊真白 >  
敵じゃないでしょう。
私は友達のつもりだけど。

(年は離れているけれど。
 でも、友人関係に年の差はあまり関係ない。)

年上にはもっと敬意を持って話すべき。
――それだけ言えるならもう大丈夫。

(左腕に巻き付けたハンカチを強く縛って、仕上げにぺちんと患部を叩く。
 立ち上がり、落ちている仮面を拾って顔へ。
 ついでに、手についた彼の血を舐めておく。)

それじゃ、私は帰る。
君も気を付けて帰るように。

(そう言って異形を召喚。
 地上へと続く階段のような高さの違う異形の頭をひょいひょいと跳ねて地上へと。)

――何かあったら、連絡しなさい。

(それだけ言い残して姿を消した。
 自身が彼の能力を借りて召喚した異形も、ほぼ同時に崩れ去って。)

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から柊真白さんが去りました。
神代理央 > 「………友達?」

先程とは違い、きょとんとした様な表情と共に数秒無言になった後、聞き間違えたかという様子で鸚鵡返しに呟いた。
その後、難問を前にする学生の様な、何とも複雑な表情を浮かべる事になるだろう。

「…俺が敬意を払うのは、俺に取って利がある相手だけだ。それを貴様が……っ、こら、叩くな」

患部からの痛みに僅かに顔を顰め、不満げに言葉を漏らす。
だが、己の血を舐め、異形を召喚した彼女に僅かに驚いた様に視線を向け―

「……何かあったら、か。全く、つくづく御人好しが過ぎるというか…」

彼女の力に驚きつつ、口元に浮かべるのは僅かな苦笑い。
そのままふらつく足取りで立ち上がると、召喚した異形の背に跨がり此方も地下の空洞を後にする。
珍しく負傷して帰還した己に本庁では何事かと軽い騒ぎになったものの、詮索は許さないとばかりに睨み付けた己の視線によってこの件は有耶無耶になったとかなんとか。

ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から神代理央さんが去りました。