2020/07/12 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にアンティークさんが現れました。
アンティーク > 閲覧室の片隅に本の山が聳えている。
その中央、本に埋もれるようにして幼い少女―――のように見える魔法使いが惰眠を貪っている。
ドレスのようにヒラヒラとしたワンピースは、あちこちに本が落ちて引っ張られている。

「すう……すぅ……」

そして眠っている顔にまで開きっぱなしの本が乗っており、本を読んでいる最中に落ちた、
という状況を見た人は理解するかもしれないが、生憎今は未だ起こしてくれるような親切な人はいないようで。
ゴロンと寝返りを打つと、そのまま高く積み上げていた本がバサバサと音を立てて崩れる。

「……んぎゃ!?」

潰れた声を上げたのは実際に本に潰されたから。
あっという間に小さい体は大量の本に埋もれた。

アンティーク > 暫くは静かだった。
暫くしてからようやく本の山がまた崩れて、そこから小さな体で這い出る。

「……寝ちゃった?……いけない、怒られ……ちゃう……」

一体いつから自分は寝ていたんだろう。
周りを見渡しても分からないから、とりあえず崩れた山を先にどうにかしよう。
袖に隠れた両腕を持ち上げると、本がゆっくりと宙に浮きあがる。
他の来館者を驚かさないように静かに本を魔法で動かし、また、塔のように積み上げた。

ご案内:「図書館 閲覧室」に萌良 さだめさんが現れました。
萌良 さだめ > (”門”についての研究は全く未知のものである。立派なエビデンスすら存在しない。
 レポートの作成は、困難を極めていた。 かくして、図書館の閲覧室で資料を漁っていたのだが。)

な、何の音だ?!
(資料を探していた時に轟音が響く。 書籍流…本雪崩とも呼ばれる、
 積み上げた書籍の崩落現象の音によく似ていた。
 慌てて音がした現場に駆け寄ると、外見は自分と同じぐらいであろうか…。
 幼い少女が、静かに、魔術を持って本を積み直しているのが目に入った。)

あー、怪我とかはなかったのかな。
(魔術を文字通り手足のように操ることから、かなりの技術を持っている事がわかる。
 びっくりさせないようにそっと声をかけながら彼女に近づいた。) 
 

アンティーク > 「あらぁ……あら、あら……あら……?」

近付いてくる少年?に、床に座ったまま顔を上げて首を傾げた。

「貴方……妖精の匂いが……するのね……」
「あぁ、それに……あら、そう……そうねぇ……見覚えが……あるような……ないような……」

いっそ薬物を疑われそうな程ぼんやりとした様子で少年を見上げて首を傾げていた。
これでも魔法学で教師を引き受けているような魔法使いだ。

「ごめんなさいねぇ……驚かせるつもりは……無かったのだけど……」
「いつのまにか……寝ちゃって……ああ、今、何時かしら……?」

本を一冊手に取る。
特定の魔法使いや魔術師にしか読めない魔法文字で書かれた本。
ページを開きながら彼へとまた首を傾げて問いかけた。

萌良 さだめ > (床に座っている彼女はどこかおっとりした調子だったけれど、
 自分が近づいただけで何者かを看破する知識から、只者でないことはすぐにわかる。
 そして、付け加えられた言葉。 ゴクリと息をのむ。 口の中が乾いた。)

あの…自分に似た誰かをご存知なのですか?
ああ、いえ、怪我が無いならいいんです。
時間は…。ええと…。 だいぶ夜ですね。
(たった今本雪崩に巻き込まれかけた彼女の方が大事だ。
 ”見覚えがある誰か”の話を聞く前に、怪我がなさそうなことを確認して胸をなでおろす。
 端末を取り出して時間を確認する。 深夜というほどではないが、日はとっくに暮れていた。
 図書館の中ではわからないのも、むべなるかなといったところだろう。)

時間、図書館の中じゃあわからないでしょうしね。 外までお送りしますよ。
あの…魔術書が読めるのですか? それも、かなりの高度なやつを。
(何気なく本を手に取る彼女の態度は、「読めない本を持った」という素振りではない。
 明らかに内容を理解しているかのような動きだ。 確認するように問いかけた。)

アンティーク > 「……あらぁ、貴方……誰か覚えがあるの……かしら……?でも、多分……授業かしら……」
「それとも……他の先生が……持っていた資料かしら……?」

魔法学の教師をしていると言っても生徒数が膨大なら教師もそれに伴って増える。
自分以外にも魔法や魔術の教師はいる訳だから、お互い出会っていても覚えていない、
なんてあってもおかしくはないし、そもそもこの魔法使いがひとの顔を覚えている方が異例。
単純に、妖精の匂い、に反応しただけだった。

「……怪我?……怪我、ああ……ああ、怪我、ね……平気平気……治るから……」

していないとは言っていないが、自分の体にすら無頓着な為どうでも良さそうに答えた。

「……ええ?……大丈夫よ……まだ本を……読み終わっていないから……」
「ええ、そう……読めるから、持ってきてるのよ……?読めない本を……独り占めしちゃ……駄目だもの……」

首を傾げて不思議そうにしながら、ふわりと体ごと本を持って浮き上がり、空中で寝転ぶ。
カウチに寝そべっているかのような体勢を取りながら、またページをめくる。

「……ああ、忘れて、いたわ……私は、アンティークと……呼ばれているの……」
「これでも、魔法学の……教師で……長いから、アン先生、って……呼んでちょうだい、ね……」
「……貴方の、お名前は?」

生徒がいる時はちゃんと生徒と話しなさいと言われているのを思い出して、彼に向き直って自己紹介。

萌良 さだめ > あ、ああ…? 先生…先生なんですか。
(得心がいった。 それなら自分のことを何かの資料で見ているかもしれない。
 姉のことではなくて少し残念だけど、彼女の正体がわかっただけでも上出来だ。)

そりゃあ怪我ぐらい時間をかければ治るかもしれませんけど…。
おお、おおー……。 なるほど、すごいな…。
(投げやりというにはそっけない彼女の態度は、まさに「無関心」と呼べるもの。
 ちょっとびっくりするけれど、ここで「そうですか良かったです」とは言えないだろう。
 頑張って説得しようとするけれど、それよりも感心は彼女の魔術の方へと向いてしまった。
 空中に寝そべるように”浮く”彼女からは、詠唱や魔術の兆候が一切感じ取れなかった。
 それだけの魔法をノーモーションで行使できる実力たるや、凄まじい使い手であることは間違いない。)
 
…アンティーク? あの、アンティーク先生ですか…?
(噂に聞いたことがある、魔法学の教師。 魔術を学ぶものの中では、
”碩儒”と呼ばれるほどの絶大な知識を持つ存在にして、学園内のどこにいるかは不明。
 そんな謎めいた存在が幼い少女の姿だったことに半ば唖然としながらも、
 名前を問われて素直に口を開いた。)

あ、ええと…萌良です。 萌良(もいら) さだめ…。
お会いできて光栄です、アン先生。
(深く頭を垂れる。 何しろ先生であるし、自分よりはるかに高位の魔法つかいだ。)

アンティーク > 「……あらぁ、あらあら……あの?あのぉ?……どんなあの、かしらぁ……」

偉大な魔法使いと称えられる一方で、どうしようもなく最早手の施しようがないほどのダメ人間とも言われている。
食事も睡眠も疎かなせいで、時折スイッチが切れたように何処でも構わず寝落ちするのが主な原因。
本人はそれすらも気にしていないようで、首を傾げる姿はとりあえず聞いてみた、みたいな雰囲気が出てる。

「ふぅん……モイラくん、モイラくん……覚えられたら……覚えるわねぇ……」

一応生徒の顔を覚えようという意欲を見せた後、本を一番上に積んで、少年の前へと降りる。

「……ところで貴方は……どんな魔法を使うの……かしら?」

だがやはり優先順位が魔法一択で、彼に体を寄せるとそのまま袖に隠れて見えない両手で、
無遠慮に彼の体を探ろうとする。

萌良 さだめ > あの、って、そりゃあアン先生は有名ですよ。 ”聡慧”のアンティークですとか、
”知らぬものなしの”アンティークですとか。 とかく先生の知識にかけてはまさるものはいないっていう話で…。
(小首をかしげ、今日の天気でも聞くかのようなのんびりした調子での問いかけに
 鼻息荒く、若干早口になりながら答える。 目の前にいる存在は雲上人もいいところだ。
 興奮しないわけがない。)

ありがとうございます。 名前覚えていただけると嬉し…。
あっ、魔法ですね。 全般を学んでいますが、得意という意味ではものを変える変成術です。
現在研究中の魔術は2つ。”門”をコントロールする魔法と、各世界の絶対座標を導き出す魔法です。
あの、先生…アン先生…? ちょっとくすぐったい…。
(自分の体を探ろうとする彼女にあらがわないように両手を上げる。
 布越しとはいえ、小さな手が体を這い回るとくすぐったくてしかたない。
 それでも真面目に問いかけに答えた。)

アンティーク > 「ふぅん……?買いかぶり過ぎ……ね……。知らぬものが無ければ……本を読む必要は……無いでしょう?」
「もし私から……知らないものを取り上げたら……とっくに自殺してる……ものね……」
「……正確には、食べる事も寝る事も止めて……ああ、今も止めてるようなもの……だけど……」
「とにかく……とっくに死んでる……わ……」

おかしげに笑う顔は何気ないようでもあり、自嘲するようでもあり、どう見えたかは彼次第。
少なくともこの魔法使いに、それを気にするような感情はとっくに欠落している。

「ああ、やっぱり……ええ、覚えるわ……覚えたわ……」
「魔法を使う子は……大事にしないと……いけないもの……」

途端に魔法使いの目に生気が宿ったように、ハッキリと少年を見据える。

「面白い物を……調べているのね……それにとても、難しい……けど、それが出来れば……」
「ええ……きっと、たくさんの人が……貴方を賞賛……するわね……」
「………………あら、ごめんなさい。……うん、魔力の通りも……良さそう……」

彼の体を一通り探った後、最後に袖から手を出して優しくその頭を撫でる。

「とても、良い子……」
「ところで何か……お探し物……?私で良ければ……手伝うわ……」
「魔法に関する本なら……覚えているし……もしかしたらここに……あるかも……」

そう言って高く積みあがったままの本の塔を見上げる。
意図せずして彼の探している本を占領している可能性は高い。

萌良 さだめ > そりゃあそうかもしれませんけど…。 アン先生から知らないものを取り上げて自殺しちゃうっていうなら、、
この世界のあらゆる研究者は100回自殺したって足りませんよ。
(彼女を動かしているのは、文字通り無限の知識欲であるということを思い知る。
 食事も睡眠も全て”知識を取り込む”ことで賄おうとしているのだから、
 人間という範疇で言えば彼女は「死んでいる」のだろう。
 学術への献身といえば聞こえがいいが、微かに空恐ろしいものを感じて、小さく身震いした。)

ありがとうございます。魔術についてはもっと学ばねばならないと思ってます。
あー…、そのですね、アン先生。 称賛がほしいわけではないんです。 自分の為に使いたくて。
(魔術に関しての話になった途端、瞳に光が戻る。 はっきりとこちらを見、
 魔術の内容について言及する様は正しく碩学の二文字だ。
 研究内容についての言葉には微笑みを返しながら、小さく首を横に振った。)

…。頭を撫でてもらうの、すごく嬉しいけど恥ずかしいな…。
あっ、良いんですか? その…”門”を開く際に必要な魔術式をとにかく探しているんです。
もちろん成功確立や魔力の消費や安定性等の差はあるのでしょうけれど、そこあたりからきっちり調べたくて。
(小さな手が頭に振れる。 それだけで心地よい幸福感が自分を満たす。
 まるで魔術そのものに祝福されているかのような、澄んだ心地よさだった。
 問いかけに我に返ると、自分の必要な資料について彼女に説明する。
 人間は”門”を未だに安定して開くことも、閉じることもできない。
 少しでもそういった資料がほしかった。)

アンティーク > 「ええ、とても……とても良い子……よく分かっていますね……」
「そう、魔法は……魔術は……いいえ、それに限らず……全ての学問に於いて……」
「学びに終わりは無く、果ては無く……だからこそ、目的を見失ってはいけません……」

自分の為とハッキリ告げる事に対して、褒めるように口元を柔らかく持ち上げた。
そしてまた優しく頭を撫でる。

「あぁ、ごめんなさいね……私より年上の方なんて……見た事がないもの……」
「だから……ああ、ついつい……そう、ついつい……子ども扱いをしてしまって……」
「同じ学問の徒ですもの……フェアにいかなくては……なりませんね……」

スイッチが入っているのか喋り方も変わってくる。
咳ばらいをひとつして気持ちを切り替える。

「……けど、それは……ああ、とても……とても、危険な事なのですよ……」
「こんなろくでなし、ですが……先生ですからね……生徒を危険な目には……合わせられません……」
「門の研究をするという……ことは……悪用しようとする……人達にも……」
「狙われるかも……しれませんよ……?」

異界と繋ぐ門。
今は未だ不安定だとして、もしそれを安定して開く事が出来るなら。
異界の存在を利用しよう、異界そのものを利用しようと画策する者にしてみれば、それは喉から手が出る程欲しいもの。
かくいう魔法使いも門に関しては手を付けていない。

「それに……魔法もまた……実験の積み重ね……」
「その過程で……貴方自身が……門に呑まれる可能性も……あるのですよ……?」
「心得て、いますか……?」

ハッキリ言ってこれ以上なく無駄な問答をしている。
その覚悟が無ければ手を付けたりしないだろうとは思っている。
だが言葉としてハッキリ彼の覚悟を聞かなければならない。
魔法使いの先達として、学園の教師として。
彼の両手を取り、色違いの瞳で真っすぐ見つめる。

萌良 さだめ > はい…。 目的を見失ったりは、絶対に…。
(頭を撫でてもらうこそばゆさと恥ずかしさに頬を染めながらも、
 彼女の薫陶に耳を傾ける。 ”目的を見失ってはいけない”
 その言葉が重く心に刻みつけられ、厳かに頷いた。
 咳払いに顔を上げると、改めて、という調子で問いかけられる。)

危険なことであることは、もちろん承知です。
悪用や、あるいは研究をさせまいという人もそのうち現れるでしょう。
先生のおっしゃるように、実験中に落命するかもしれません。
でも…ですが、それ以上に救いたい人がいるのです。
(彼女の質問は制止しようというものではない。
 リスクを理解し、覚悟を問うものだ。
 それなら是非もない。 力強く答える。)

どうしても、姉を…。 もう一度お姉ちゃんに会いたいんです。
(赤と緑の美しい瞳が、自分の真意を覗き込まんと見つめてくる。
 その視線をまっすぐ見つめ返しながら、静かに答えた。
 自分の両手を包み込む先生の手は、まるで自分を引き止め、保護するかのようだ。
 それでも、自分の道を曲げるわけにはいかなかった。)

アンティーク > この魔法使いは魔法バカなんて揶揄されるくらいに魔法に対して強い興味を持つ。
然し厳密に言えば区分し、優先順位をつけているだけであって、魔法の事しか考えていない訳ではない。
あまりにも些末過ぎて誰も気付かないだけで、一応は、他人を気遣うだけの興味はある。
でなければ人に言われて食事を取ることも、人の言葉を聞く事すらも無い。
今は本心から少年を気にしている。

「………………そうですか……ええ、それなら……」

門の研究、再会を願う姉、とくれば流石に理解する。
そしてだからこそそれ以上は何も言わず、彼の頭を優しく撫でて微笑んだ。

「ならば、私は貴方を……応援しましょう……先達として、教師として……」
「貴方の求めるものを……教えられる限り……」

そう言って彼の頭を撫でながら、彼の手を握りしめる。

「けれど……ものがものですからね……恐らくは禁書庫でしょう……」
「困難を極めるとはいえ……一般の目に触れていいものでも……ないですからね……」
「ああ、けど……」

そう言って左手をゆっくりと持ち上げれば、本の塔から一冊だけ抜き取られてゆっくりと手元へ。
それを彼へと差し出す。

「……どんなものも……多角的な視点が必要ですから……」
「この世界では使えないけれど……知識にはなるでしょう……」

異世界の言葉で書かれた本で、それはある異邦人が異世界に居た時点で門を研究した際のレポートだ。
世界が違う為にそれをそのまま利用する事は不可能だが、彼の知恵や知識を刺激出来ればと思いそれを差し出す。
……そもそも図書館の本であって、魔法使いもただの来館者の一人にすぎないが。

萌良 さだめ > …アン先生…。
(頭を撫でてもらう。 ただそれだけの行動のはずなのに、
 先達としての慈愛が、心配が、そして自分の覚悟に対する理解が伝わって来る。
 小さな小さな声で彼女の名前を呼びながら、頭を垂れて頷いた。
 小さな手をそっと握り合うと、暖かさが伝わって来る。)

やっぱり、禁書ですよね…。
(”門”に関する術は危険過ぎるのだ。 未だに発生も、終了もわからない。
 どこからどこにパスがつながっているかも一切不明。 その研究をするとあらば、
 彼女の言うように困難を極めるし、資料については一般の目に触れるわけもない。

 静かに頷いたところで、彼女のアドバイスにはて、と小首をかしげた。)

あ…ありがとうございます! いえ、アン先生のアドバイスがあるだけで百人力です!
絶対に…どれだけ時間がかかったとしても、”門”を…そして、安定した転移を、成功させてみせます…!
(差し出された本を両手でうやうやしく受け取り、頭を垂れる。
 タイトルを見れば、自分と同じように”に門”を研究した異世界の書物であることがわかる。
 むろん、彼女のいうように直接使う事はできないまでも、アイデアのサポートになることは間違いない。
 瞳をきらめかせ、彼女の方をみやって力強く頷いた。)

アンティーク > 「門による研究は……個人だけじゃなく……組織的にも……必ず行われてるわ……」
「貴方が……貴方の為に、調べるなら……油断しては、駄目ですよ……?」

個人的な問題であれば自分が力を貸す事だって吝かではない。
然し組織的な相手となれば話は別だ。
力任せに強引に、とはいかない。
それだけは念を押すように告げて、首を傾げた。
返事は聞かない。必要が無いから。
幾ら無頓着な人間でも、約束を違えるほどの無能ではない。

「魔法、天文、科学、化学、歴史……あらゆる観点から……探りなさい……」
「貴方にささやかな……幸運を……祈りを……」

そう言ってまた頭を撫でる。
フェアにと言っておきながら、癖のようで止める気配はない。
だがそれを遮るように魔法使いの腹が鳴った。
不老不死でも、無頓着でも、身体は当然のように欲するし、当たり前に主張してくる。

「…………そういえば……今日は何か……食べたかしら……」

スイッチが切れたようにまたぼんやりとして、ひとり呟いた。

ぐぅうぐぐぐ、ぎゅるるるる……ぐるるぅ……ぐううう……

腹の虫は無頓着に過ぎる主にこれでもかと主張してくる。

萌良 さだめ > 組織的にも…。 はい、アン先生。 油断せずに研究に励みます。
(彼女の言うように、組織ぐるみで禁術を研究している組織だってあるはずだ。
 もしかしたら、自分がそこに狙われるかもしれない。
 彼女の心配を受け止めながらも、はっきりと自分の意思を伝える。
 問うの彼女は「告げましたけど」みたいな平然とした態度なのが、少し面白かった。)

…先生、俺の頭を撫でるの、気に入ったんですか…?
先生さえ良ければ、こうして頭を撫でてもらうことについてはやぶさかではないのですけど…。
(彼女に幸運を祈られて、うまくいかないわけがない。
 心身に気力が充実していくのを感じながらも、頭を優しく撫でる手は心地よい。
 自分と同じくらいの背丈の彼女だけれど、撫でる手はとても優しくて、まるで慈母かなにかのよう。
 さっきからずっと頭を撫でてもらっているのが楽しくて、思わず彼女に尋ねながら微笑んだ。)

あー、そういえばアン先生、食べ物も食べずに本を読むって聞いてます。
お菓子であればものすごく甘いやつがありますけど、どうしますか?
今なら…食堂も空いていると思いますし、案内差し上げた方が…。
(お腹がなった途端、彼女は出会った時のふにゃふにゃした感じに戻ってしまった。
 おそらく時間切れ、もといエネルギー切れである。 お腹がすごい勢いで喚くのだから、
 きっと空腹もいいところなのだろう。 間に合わせのお菓子はあるけれど、
 これではお腹は満たされなさそうなので、食堂でのご飯を提案する。)

アンティーク > 「……気に入った……?」

少年の問いかけに不思議そうに首を傾げた。

「……そうね。……とても、心地が良いもの……」
「それに私には……子供が居ないから……初潮の前に……成長が……止まってしまったから……」
「貴方みたいな子は……とても、気掛かりだし……」
「……ふふ、そうね……ええ、とても……気に入ったわ……」

自分の行動を淡々と分析しながらも、最後には柔らかく微笑んだ。

「ええ……睡眠は……勝手にとれるけど……」

そもそも睡眠は勝手にとられるようなものではないが、少なくともこの魔法使いにとってはそうなのだ。

「いいえ……他の先生に……世話をしてくださる方がいて……」
「その先生に……お腹が鳴ったら……きちんと食べるように言われているから……」
「ああ、そうだ……そうね……ちょうど、いいわ……」
「モイラくんも、食べましょう……一緒に……ええ、それが……それが、いいわ……」

両手を合わせて緩く微笑んだ後、ゆるりと振り返って本の塔に両手をかざす。
そうするとふわふわとゆっくりと、本はあるべき書架へとそれぞれ戻っていく。
それが終われば彼の方へとまた振り返り、その手を緩く取る。

「では、いきましょうか……先生が……奢って、あげましょう……ね……」
「…………」
「……お財布は……どこだったかしら?」

自分の服を探るが出てこない。
だが胸元に手を突っ込むと、服の中、首から提げていた。
しかもガマ口財布で、明らかに他人から与えられたものな上、「アンティーク先生のです」と刺繍されている。

萌良 さだめ > 心地よいですか。 それならいくらでもやってもらっても構いませんよ。
…先生、そんな昔から、その…知識を蒐集してらしたんですか。
(相手の回答に楽しげな表情を浮かべる。
 同じぐらいの背丈の先生に撫でてもらうのは、なんだか一風変わった心地よさが在るのだ。 
 彼女の幼い時が垣間見れる発言に一瞬驚くけれど、もっと驚いたのは睡眠についてだった。)

…あの、アン先生がご無事で本当に良かったです。
ええ、そうですね! ご飯を食べましょう、きちんと!
ぜひご一緒させてください、せっかくアン先生にお会いできたんです!
(彼女にご飯を食べるように仕向けた先生に感謝する事仕切りだ。
 ちょっとだけ急かすように彼女に語りかけながら、本を片付けようとして…。
 ふたたび、彼女の魔術の腕を見ることになった。)

アレだけ本があったのに、全部まとめて元の場所に戻すなんて…。
(精密さと正確さについては、まさに超人だ。舌を巻く他にない。
 ついほんの数秒前にそんな様子を見せた彼女ではあるが、
 お財布を探し始めたのを見て、思わずううむと唸るしかなかった。)

あ、お財布…先生、お財布見つかってよかったですねえ。
うーん…なんだか、先生って不思議ですねえ。
親っぽさと姉っぽさと妹っぽさが全部同時に出てるみたいな感じで…。
(自分を優しく見守ってくれるのも、奢ってくれると豪語するのも、
 自分の助けが必要なのも全部彼女だ。
 しみじみとその事を考えながらうなずく。)

お財布があれば食堂で食べ放題です。 本も片付けて頂きましたし、
食堂に行きましょう!
(元気よく宣言して彼女を促すことにした。 奢ってくれると彼女はいったけれど、
 色んな意味で危うい気がする。 とりあえず先に食堂についてから考えよう。
 そう自分に言い聞かせた。)

アンティーク > 「ええ、そうよ……私が知る中では……最も偉大な魔法使いが……母だったから……」
「母に倣って……私も……」
「あぁ、いけない……年寄りは……すぐに過去を振り返るの……」

言葉の途中で気付いたように首を左右に振って謝った。

「…………?不老不死だから……傷付く事はあっても……死には……しないわ……」

無事でよかったという言葉にきっとこの魔法使いは頓智気な事を言っている。
常識はすっかり置き去りだ。

「本の記憶よ……読まれる時間より……仕舞われる時間の方が……長いもの……」

それぞれの本が本自身の記憶を頼りに戻っていった。
いうなれば、本自身に帰るように言っただけに過ぎない。
魔法使いは本の場所を一つだって覚えていないだろう。

「ええ……よく、言われるわね……ふふ、だから、畏まらなくて……いいのよ……?」
「みんな私と少し知り合えば……どっちが人として優れているのか……理解するもの……」
「それに私も……親しみを以て……世話をしてくれる人の方が……助かるわ……」

世話をしてもらう事前提で話している辺り、本当に手の施しようがない。
然し何を言われても怒らないのだから、ある意味地雷も無い。

「ええ……そうね……」

そう言って彼の後ろをついていくが、たまに何かに気を取られて歩みが止まったり、逸れたり。
食堂についてからは大量のご飯を食べたりと、きっと彼を驚かせてしまった事だろう。
ちなみにお金はちゃんと入っていた。勿論、この財布を作ってくれた世話役の先生が入れたのだが。

ご案内:「図書館 閲覧室」からアンティークさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」から萌良 さだめさんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」にレナードさんが現れました。
レナード > 「……やっぱ涼しい環境の方が集中できるし。」

寒さには弱い。だが、噎せ返るような暑さの前では話は違う。
こんな夜も更けてきた頃にも関わらず、彼は図書館で読書に勤しんでいた。

ソファで寛ぎながら読むその本は、公園で出会った彼女が持っていたもの。
伝承と祭事に関するものだったか。返す予定ではあるが、
それまでに読み切っておかないともったいない。
次にいつ会うのかもわからないままなので、速やかに読んでおいた方がいいだろう。

折角の宿にあのベンチを選んだものの、気になってしまったものがあるならそちらを優先する。
何とも享楽的なものだが、これが彼の生き方なのだから。
気が済んだら、またあの場所に戻ればいい。これくらい柔軟な発想の下に生きてきた。

「………祭事、伝承、こういったところには何かしら所以があるわけ。
 それを紐解く際にはたいてい、超常的な存在を崇める現地の風習に倣うことが多いけど…
 ……そういったところに、アレがいるなら………」

その内にぼそ、ぼそ、自分の考えが口からぽろぽろと出始めてしまう。
どうやら読書へ向けた集中の深さのあまり、周りが見えてないようだ。
幸いなことに、今の時間に人は殆どいないだろうから、騒音で迷惑する人はいないのだろうけれども。

レナード > 「祭事に読み解く伝承と、その由来……
 大よそ共通してそうなのは、その土地に由来する神へ向けた祭祀であること………」

ぱら、ぱら、頁を捲る音に紛れて、自分の考えをぽつぽつと喋っている。
誰も注意する相手がいないものだから、すっかり自分の世界に閉じこもっているような雰囲気だ。

「……ここでいう神とやらに、あの蛇がいたとすれば…あるいは。
 いや、そんなこじ付けみたいなこと、流石に起きっこないと思うけど……」

そもそも、この祭りという文化はこの世界のものだろう。
自分の元居た世界でどういう扱いになっていたか、なんて、もう覚えてさえもいない。

「……白くて、大きな、蛇。僕が探すのは、そういう存在……
 どこかに手がかりがあればいいんだけど……なかなか尻尾がつかめねーもんだし。」