2020/06/27 のログ
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
■神樹椎苗 >
立ち入り禁止のわりには、多くの人が出入りしている時計塔。
とはいえ静かな場所には変わりなく、一休みやサボりたい学生にとってはよい場所だろう。
(でも死ぬにはあまりいー場所じゃねーんですよね)
椎苗は階段の一番上、扉の前に腰を下ろしながらクリップボードの上でノートを広げてぼんやりとしていた。
現状、飛び降りても首を吊っても多数に目撃されることは少なく、即死に近い状態で死ねるために椎苗としてはありがたい場所なのだが。
いかんせん、目撃されることが多いのだ。
(もっといい場所でもあればいいのですけど)
人が少なく、尚且つ即死できる舞台が整っている場所というのは、どちらかと言えば貴重な場所だろう。
椎苗にとって自殺はすっかり癖になっているものなので、やめようと思ってやめられるものではない。
時計塔の上に出てしまえば、ふとした瞬間に自殺してしまうことだろう。
(まー、ここでも死ねないわけじゃねーですけど)
階段の手すりを乗り越えれば、結局下まで真っ逆さまだ。
途中、時計塔の機構に引っかかる可能性もあるが、それにしたって死ねる事には変わらないだろう。
ただ少しだけ、死ぬまでに壁があるため多少はましになる……かもしれない。
■神樹椎苗 >
ノートの上には、昨日見たロケットを飛ばすための様々計算式が書かれている。
ページを捲れば、無人ロケットが宇宙まで到達するために必要な強度や重量、飛ばすための機構や構造などが数式や図形で描かれていた。
退屈しのぎには丁度いい頭脳労働だった。
椎苗が座っている横には、かつて個人レベルでロケットの打ち上げを行った人の残した書籍が数冊積まれている。
(マンジュウはどこまで飛ばしやがりますかね)
ロケット自体にはさほど興味はなかったが、ロケットを飛ばしたいと願う人間がどれだけやれるのか、その点には興味があった。
■神樹椎苗 >
とはいえ、椎苗にとってはすでに『どうすれば結果に至るか』が分かっている事である。
そういう意味で科学は特別興味を惹かれる分野ではない。
答えが出る事が分かっている問題であれば、少しの時間『解析』する暇があればそれで終わってしまう。
『解析』しなければいいだけの事かもしれないが、それでもしばらく時間があれば答えに辿り着けてしまうだろう。
(そういう意味では、扱い切れてねーんですかね。
異能を持て余す生徒が多いのも納得できなくもねーです)
なんて考えながら、椎苗は本をバッグにしまい、ノートの白いページを開く。
気分転換もほどほどに、試験勉強に戻ることにした。
ほどほどに『ふつー』の点数を取るには、『ふつー』の学生らしく勉強してみるのが一番だからだ。
参考書や問題集なんかをみれば、『ふつー』はどこで間違えるのか、どこを覚えられないのかが丁寧に書いてある。
椎苗の勉強は、そういった間違えやすいところを覚えて、適度に点数を減らすための勉強だった。
ご案内:「大時計塔」に日下 葵さんが現れました。
■日下 葵 > 島全体を見渡せるほどの高さのある塔。
一般人なら誰もが危険だとわかるこの場所だが、この島にはおよそ並みの人間とはかけ離れた存在も多い。
そのせいか、立入禁止という文字を無視して上ってしまう輩も多いのが現実。
上る当人からすれば危険じゃなくとも、規則で禁止されている場所だ。
そんな輩に注意をするのも、また風紀委員の仕事である。
「やっぱりいるんですねえ。ダメだといわれているのに入っちゃう人。
ここ、立入禁止ですから、危険かどうかに依らず降りてください」
カツン、カツンと金属の階段に音を響かせながら来てみれば、そこには10歳ほどの児童がいた。
この島にいる以上、見た目で判断することにあまり意味はないが、
相手が誰であれ注意はしなければならない。
かなりの高さを階段で上がってきたので、少し息を切らして、注意をするのだった>
■神樹椎苗 >
問題集を片手にノートをとっていると、下から響いていた足音が近づいてきて、声を掛けられた。
姿を見れば、それが風紀委員だとわかる。
「見回りごくろーさまですよ。
人が来ねーところで勉強したかっただけですけど、やっぱり奉行所的にはダメですか」
クリップボードを置いて、バッグからペットボトルのレモンティーを取り出す。
「お仕事でも、慣れない人がここを登るのはおすすめしねーのですよ。
まー慣れても結構疲れますけどね」
息の切れている風紀委員をしり目にレモンティーを口にしながら、椎苗は普段と変わらない調子で話す。
スカートから覗く病的に白い両脚には包帯が巻かれており、その何か所かは小さく血が滲んでいるだろう。
■日下 葵 > 「いやはや、全く疲れて仕方ないね。
私も瞬間移動や空飛んだり、あるいは凄まじい体力を持つような異能や魔術が欲しいところだよ。
人が来ない、とはいえここは結構人来るでしょう?
理由は何であれ、決まっていることです。
我々風紀委員がその決まりを破る訳にはいきませんからねえ」
バッグからレモンティーを取り出して飲み始める彼女。
いやはや全く緊張感も悪びれる様子もないから困ったものである。
はてさてどうすれば逆に困らせることができるだろう。
「シフトで偶然引き当ててしまったものですから。
もちろんなかなか古いこの塔にエレベーターなんてある訳ないですしね。
仕方ありません。私個人としてはこんな場所に来るような奴は落ちても平気な奴か、
落ちても話題にすら上がらないような奴しかいないと思っているので、
別にここで誰が何をしていようとも関係ないんですけどね?」
なかなか辛辣なことを言ってのけると、彼女の隣に腰を下ろした。
そして不意に足を見ればその怪我に目が止まる。
「まぁ、報告書には
『人がいたため注意をしたところ、おとなしく要求に応じ降りてくれた』
とでも書いておきますよ。ちゃんと降りてくれたらですけど。
ところで、その怪我は暴行でも受けたんですか?それとも異能や魔術の訓練絡みで?」
そんな質問を投げかける。
事件性があるようならこちらとしては立ち入り禁止に入られたことよりも重要なことだったりするのだ>
■神樹椎苗 >
「空が飛べたら確かに便利かもしれねーですね。
昨日と今日でも数人ってところですかね。
一人は研究のために必要で来てたみてーですから、それくらいは見逃してやってほしーですけど」
とは言ったが、風紀委員からすればそれで事故でも起こされたら堪ったものではないだろう。
「お前、くじ運わりーのですね。
まあしいもお前とどー意見ですよ。
こんなところ、死なねーやつか、死んでもいーやつしか来ねーのが『ふつー』でしょーし。
ほら、お前にもやります、感謝しやがれですよ」
隣に座った風紀委員に別のレモンティーを差し出す。
季節柄すっかり常温になってしまってはいるが、飲めない味でもないだろう。
「要求には応じてやりますよ。
しいも別に、奉行所と揉めたくはねーですし。
……あー、これですか」
怪我の事に触れられれば、少しだけ眉をしかめた。
怪我は脚だけでなく、レモンティーを差し出す手にも手首から指先まで包帯が巻かれている。
近づけば顔や、首にも包帯が巻かれているのが分かるだろう。
「なんていうか、古傷みてーなもんです。
まるで治りやがらねーので、運動したり、こんなところに登ったりすると傷口が開くのですよ。
事件性はなくはねーですけど……もー終わった事件ですね」
話す表情はあまり明るいとは言えない。
常世島の医療機関で治らない傷と言えば、どれだけの目にあったか想像に難しくはないだろう。
■日下 葵 > 「まぁ飛べたとしてもここに来る以外に活用方法なんて思い浮かばないし、
『飛べるんだから塔の見回りよろしく』
なんて言われるオチが見えるからそういう能力はいらないですけど。
やっぱりなかなか来るんですねえ。
いやはや、いっそのこと問題が起こる前に警備用のドローンでも置いといて欲しいものです。
立入禁止の札一枚で責任を逃れようなんて考えが甘すぎますよ」
風紀委員のくせに、身内への愚痴が尽きないようだ。
いや、むしろ内部がわかっているからこそかもしれないが。
「断ろうと思えば断れるんですけどねえ?ほかに飛べる風紀委員なんてたくさんいますし。
ただまあ、ちょっとさぼったところでバレないですから、甘んじてるだけですよ。
それにどんな奴がいても大抵は我々の知ったところではないというのが本音ですし。
仕事してるふうに見せるのが大事なんですよ。
おやおや、嬉しいですね。ちょうど喉が渇いていたので、助かります」
レモンティーがカバンから出てきて、それを差し出されると遠慮なくもらう。
ペットボトルのふたをパキパキと音を鳴らして開ければ、ゴクゴクと2,3口飲み下した。
「聞き分け良くて助かります。つまらないことで喧嘩するのはいやですからね。
……おやおや、事件性がうっすらにでもあるんですか。
時効ならそれでもいいですが、困っているなら私でも、他の風紀委員でもそうだんしてください。
にしても、痛々しいですね。まるで事故にあったみたいだ。」
古傷というが、明らかに治りが遅い。もしくは新しい傷の様に見える。
これは素人目に見てもそうだし、
今まで信じられないほど身体を痛めるつけてきた身としてはなおのこと怪しい。
「その傷、”現在進行形で新しく作ってませんか?”」
作っている、という言い方。これは意図して放った言葉だ。
傷の様子を見れば、何となくわかる。
少なくともすべてが他人からつけられた傷ではないと確信して質問したのだ>
■神樹椎苗 >
「それはマジでそー思うですよ。
せめて鍵や錠前の一つでもつけやがれってもんです」
今まさに立ち入ってる張本人が言うことではなかった。
「うまくサボるのも仕事の内ってやつですよ。
面倒なことさせられてんですし、役得ってことでいーんじゃねえですか」
それほど真面目な風紀委員でもなさそうだと思えば、気安く話……もともと気安い態度であった。
「そう、ですね。
でもどーせ過去の事件ですし、今更相談もなにもねーですよ。
事故みてーなもんですし……たしょー傷が増えることもなくはねーですね。
でも新しい傷は割とすぐ治りますし、『わざわざ治らない傷なんて作らねえ』ですし」
椎苗は風紀委員の様子を窺いながら、当たり障りがないように答える。
風紀委員となれば、椎苗が助け出された事件の事を知っていてもおかしくはないだろう。
しかし、どうやらそういうわけではなさそうな話しぶりだ。
椎苗の自殺癖についても知らない様子を見ると、勘というものだろう。
(別に知られて困ることもねーですけど……)
自分の経歴はすべて、常世島のデータベースに登録されていることだろう。
それこそ、いつ生まれて、どこから来たのか、どんな事をされてきたのか。
調べればきっと誰だって辿り着ける情報には違いなかった。
■日下 葵 > 「君、なかなか図太い性格してますね?いやー、いいと思いますよ。
それくらい振り切っていた方が楽しいってもんです。
そうそう、真面目になるところと、真面目じゃなくていいところ。
その棲み分けとメリハリが大事だと思うんですよ」
いやはや、この女児、わかっているじゃないか。
そんな顔をしてまたレモンティーを一口飲み下す。
「あらあら、そうなんですか?
なら私はこれ以上干渉しませんけど。
まま、風紀委員たるもの助けを求められれば助けるのが務め、
今後困ったならぜひ頼りにするといいですよ」
個人的な趣味としては困らせる方が好きだったりするが、それは私情。
仕事中にたすけを求められれば助けよう。オフの時は……気分次第である。
「まるで治る傷なら作っても構わない、みたいな言い分ですねえ?
もしかして新しくできた傷はぜんぶ治っちゃうとか?」
もしそうなら、この子は割と私に近いのかもしれない。
もしそうなら、この子は私と同じく生死観とか、恐怖心が歪なのかもしれない。
もしそうなら、この子のことを傷つけてしまうかもしれない。
もしそうなら……それはそれで非常に『良い』。
どこか飄々としていて、イマイチ嘘くさい表情に、
うっすらと”本物”の笑みが浮かんだ。>
■神樹椎苗 >
図太い性格というよりは、いろんなことに鈍くなっているのだろうと椎苗は思う。
「困ったことなんてないに越した事ねーんですけど。
その時があれば、考えてやらねーでもないですよ」
風紀委員と言えばこの島では警察機構に当たる存在である。
そこの世話になるほど困ることは、普通に生活していたらそうはないだろう。
そう、『ふつー』であれば。
「なにおっかねー顔してんですか。
しいはふつーに痛いのは嫌だし、苦しいのも嫌いですし、傷なんてできないに越したこたねーだろ、ですよ。
別に治療する魔術とかも使えねーですし、そんな異能もないですから、治るって言っても自然治癒です。
しいは、ただの『ふつー』の学生ですよ」
答えながら、少し厄介な相手かもしれないと、椎苗は目を細めた。
今の表情は、加虐的なソレだ。
背筋が震え、体も竦んでしまいそうだが、そんなそぶりを見せたら嬉々とされそうで恐ろしい。
(――再生能力が異能ですか。
なら今の顔はどーるいを見つけたから……ちげーですね。
むしろ、獲物を見つけたようなって方が近そーです)
となれば、これ以上探られる前にさっさと離れた方がよさそうだ。
「そういうわけですから、しいはちょっと古傷が目立つだけの一般人です。
ここにいたりゆーも話してやったですし、早いとこ下りればいーですか。
試験もちけーですし、ここがダメなら別の場所見つけねーといけないのです」
乱雑にバッグへ荷物を押し込んで、立ち上がった。
■日下 葵 > 「ええ、ええ、そうですね。困りごとは無いに越したことはありません。
……っと、そんなに怖い顔をしていましたか?それは失礼しました。
その口ぶり、回復系というよりかは、”死に難い”といったところでしょうか。
おやおや、まるで私があなたを傷つけたくて狙っているみたいな言い分ですね。
そんなことしませんよ。私はいま風紀委員ですよ?」
いま。今。そう、今。
プライベートならその限りではない。
どうやら表情に出てしまっていたようで、
彼女は逃げるように荷物をバッグにまとめて立ち上がった。
「そうですね。
特に反抗的な態度も見られませんし、報告書には書かないでおきましょう。
別の場所、見つけられるよう頑張ってください。
私以外の風紀委員は堅物もおおいですから、見逃してはくれませんからね」
そう言って彼女が塔を降りて、姿が見えなくなるまでその場にとどまるのだった。
どうやら心の内を知られてしまったようだし、下手に後ろをついていくよりいいだろう。
適当に時間がたったら、こちらも立ち上がって塔の上から立ち去るのであった。>
■神樹椎苗 >
「残念ながら、外れですよ。
しいの異能は、少しだけ頭がよさそうに振舞える程度のもんです。
察しがよくふるまえる、って言った方がいーですかね。
だからじゃねーですけど、お前が『風紀じゃねーとき』には出会いたくねーって気分です」
もし、相手のタガが外れている時に出会ったら。
もし、次に会ったとき自分の事を調べられていたら。
万一に備えて、すぐに死ねるような準備もしておいた方がいいのかもしれない。
「お気遣いどーも、です。
お前も、見回り頑張りやがれ、ですよ」
それだけ一声かけてから、まるで逃げ出すように階段を下りていくのだった。
ご案内:「大時計塔」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にレナードさんが現れました。
■レナード > 大時計塔に忍び込む、悪餓鬼が一人。
「いっぺん登ってみたかったんだし、ここ。」
なんて些細な動機で立ち入り禁止を破る素行不良ではあるが、
蛇の眼の持つ透視能力を活用し、監視の有無や構造の把握を楽々と済ませて
悠々とてっぺんまで登ってきたのだった。
「バカと煙は高いとこが好きって、誰が言ったわけ?
僕はそんなのになった覚えはねーし。」
登りながら、ふとどこかで聞いたことわざを思い出す。
質が違う馬鹿には違いないだろうが、自らそれを否定したり。
そうして寂しさを紛らわすように独り言ちていると、やがてこの島を一望できるエリアに辿り着いた。
「……ほゎー……
こりゃ絶景だし……」
ひとたび何かに集中すると、周りが見えなくなるのが悪い癖。
目の前に広がる常世島を見下ろす形になりながら、感心しきりな様子で眺望に興じている。
ご案内:「大時計塔」に持流 童男さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に烏丸 九郎さんが現れました。
■持流 童男 > 「気分転換にここに来てみたでござるが」
と扉を開けつつ中から一昔前ののオタクのマントを羽織った男が入ってきて
「む?何やら、先に来た方がいる模様・・・・」
■烏丸 九郎 > 時計塔に先客がいることは多々あったが…
登る階段の時点でその姿が見えていることは稀だと思う。
上からは声が聞こえる。
風にのって耳に届いている。俺は音界の覇者たる男なのでそれくらいはわかる。
どうやら大盛況のようだ。
まぁ、構いはしないが。
先に登りきった男の背後マントがひらひらとしている。
「おう、あんた。つかえてるんで早く先に行ってくれ」
■持流 童男 > 「おお!、すまないでござる!」
と言いつつこの島の景色を一望できるエリアに出てから
「・・・おお、綺麗でござる・・!」
と感嘆な声をマントをひらひらさせながら漏らしつつ、
■レナード > 後ろからやたらとむさい声が聞こえる。
蛇の眼を使うまでもなく、後入りの登頂者ということくらい理解できた。
「お先だし。
なに、ここって立ち入り禁止って言葉が通じてないわけ?」
視線はやはり島中に。
特に敵意もなさそうな雰囲気なのは、声で分かる。
■烏丸 九郎 > 「なんだよ、あんた、初めてか?
俺はここによく来るんだが、なかなか…」
大きな男の体のを避けるように歩いて行くと、声が投げられる。
先程の声の主。同じ音だ。
「おう、邪魔するぜ。
別に立ち入るか立ち入らねぇか決めるのは俺だからな」
べいーんっと、手にしたアコースティックギターを奏で
■持流 童男 > 「おおう、ここは来るのは初めてでござるからな。普段は、パトロールを落第街とスラムでしているでござる。」
とわたわたしながら。
前にいるアコースティックギターを奏でてる男の人にたいして
「おお!?かっこいいでござる!しびれるでござる!」
と喜びつつ、
「立ち入り禁止だったでござるかここ!?」と少年の声に対して
ガーンとショックを受けたように
■レナード > 「ここに来たのは確かに初めてだし。
……有名無実化してるのは、何となく察したし。」
こんなところで声とは違う音の響き。
楽器のそれだろうか、音源は背後の男だろう。
「こんなとこで楽器の演奏とか随分気楽なもんだし。
ここ以外にイイとこなかったわけ?」
そして、自分と同じように景色を眺めている大男に横目で見やる。
あの注意書きが見えてなかったのかと、呆れるようにちょっとため息を吐いた。
「…なるほど、立ち入り禁止って注意書きが見えてなかったわけ。
ま、これもパトロールでいいと思うし?
寧ろ、僕らもそういう要件ってことにしといてもらえると、理由作んなくていいから助かるし。」
■烏丸 九郎 > 「パトロール?と言っても風紀にゃ見えねーな。
まぁ先に来てるやつもああ言ってるし
気にしなきゃいいじゃねぇか」
どこか座れるとこはないか。
くるりと回りを見渡し
階段から黄色のメッシュの少年…その中間地点の段差に腰掛けて
演奏を始める。
「気楽?別にいいとこもわりぃところもねぇよ。
俺が歌いたいところで歌うし、それがどこであってもいい
どこであっても俺の歌は最高だからな。
そっちのでかいやつはわかってんじゃねぇか」
太った大男の言葉に気を良くする。が、まだまだしびれるにははやいと歌いだして
「~~~~~~~♪」
■持流 童男 > 「うおお、なにかいいところがないか考えてて、全っ然見てなかったでござるぅ・・・!」
と頭を抱えながら、少年のパトロールという言葉に対して
「うむ!そのようにしておくでござる!」
と冷や汗を垂らしながら、サムズアップをしながら
■レナード > 「……ま、どこで何しようが勝手、ってのはその通りだし。
…まさかここで歌い始めるとは、思ってもみなかったけど。」
ほんとに何しようが自由なんだな、と、少し呆れ気味。
「……とはいえ、歌か。
僕はどちらかといえば、落ち着いた感じの環境音が好きだし。
風の囁き、水のせせらぎ、火の揺らめき……そういうのを聴きながら寝るのがたまんねーし。」
なんて言ってると、隣の男が音色に痺れてたものだから。
「ていうか、おめーはそういうの、理解するタイプだったわけ?
やべーし。この場で共感できてないの、僕だけだし。」
■持流 童男 > 「風紀委員の方ではないでござるよ。」
と、なんでも無いように言いながら、
「ヒーローをやってるものでござるよ」
とニット笑いながらいいっつつ。黄色のメッシュの少年に歌を聞きながらがワクワクして、
「そりゃ!こういうかっこいい曲は好きでござるよ!」
目をきらめかせながら、それにと一言付け加えて
「景色と一緒に聞くのも乙でござるよ」
■烏丸 九郎 > 「お前さんは思って無くても俺が歌うのは俺にとっては常識だ。
むしろ、俺が歌で歌が俺だからな」
呆れる少年をよそにギターを掻き鳴らす。
だが、大男には受けが良いものの、メッシュ少年は不服そうだ。
「まぁ、そうあせんなよ。俺の音楽が環境音と合わねぇなんてこたぁありえねぇんだ。
自然も俺とセッションできる、りっぱなアーティストだしな」
太った男が好むヒロイックなフレーズを一旦〆にして
こんどは静かな、透き通った声。
風の音に乗せるような緩やかな演奏。
■レナード > 「えー。それならそれで、この塔というシチュエーションに合った楽曲を提供してほしーもんだし。」
景色と一緒に楽しむというところは、否定しない。
ただ、それなら景色に合わせろというフリである。
「……とか言ってたら、今度はマシな曲になったみてーだし?
これこれ、こういうのがいいわけ。
僕はこういうテイストの方が映えると思うし。」
今度はこちらが絶賛だった。
思わず後ろを振り向いて、男に音の立たない程度の拍手を送るくらいに。
■持流 童男 > 「うおお・・!ヒロイックなセリフから一気にこの塔に合うような透き通るような曲を・・!」
と両手で一生懸命になって拍手をしている
「こちらもこちらで、自然とセッションしてるでござるな・・!こっちも好きでござる!」
と言いつつ、大絶賛を送っている。
■烏丸 九郎 > 二人の拍手を受ければどやぁと満足げ。
だが、演奏を続けつつ、歌を一旦途切れさせ
「拍手にはまだはええな
本番はこれからだ」
少しだけ曲調を変化させ、声をすこし強くする。
自然に調和する曲調から、自然の音とともに奏でる音楽へ
その歌は、この時計塔から見える町並み、青空、ながれる風、太陽
そして、3人の男。
情景をありありと表す歌だった
■レナード > 「やっぱりシチュエーションを活かす方のがそれらしーわけ。
やたら勇ましいのはパレードと映画だけでじゅーぶんだし。」
どうやらその場その場の空気を大切にしたがるタイプの模様。
隣の彼みたく、音自体を楽しむというていではなさそうだ。
すると、いよいよ演奏している彼の本領が発揮される…
「…………へぇ……。」
流石に、これにはケチをつける語彙力がなかったようだ。
それ自体が賛辞なのだと、彼は気づいてくれるだろうか。
■持流 童男 > 涙を流して、鼻水を流しながら、感嘆の声を押し殺しながら
「・・・・最高でござる・・!!!」
と尊いものを始めてみたような顔をしながら
賛辞の言葉を送り、声裏返っている。
■烏丸 九郎 > 一通り歌い終えれば、最期のワンフレーズを奏で演奏を止め
二人の顔を見る。
かたや、言葉なく息を漏らす。
かたや、感涙に噎び、賛辞を口にする。
「どうだ?いいもんだろ。こんなところで歌ってのもな」
黄色メッシュの少年に向かってニヤリと笑って見せて。
■レナード > 「…こうくるとちょっと文句がつけられないと言うkうわっ!?」
見た。隣が、すごいことになってる。
「なんかとんでもねー見た目になってるし?!
感動してるのは理解するけど、そろそろ抑えないとおめーの尊厳的に大丈夫なわけ?!」
あまりの感情表現に、ちょっと引いてる。
そして、感動やむなしの一時は、歌と共に終わりが訪れて…
「……ま。今日のところは何にも言わないでおいてやるし。」
ぷい、そっぽを向きつつ、感想はそれだけに抑える。
ちょっと粗を探してやろうと思ったのだけど、見当たらなかった。
そんな悔しさと、彼の技量の高さを讃える気持ちが、こうして表れている。
■持流 童男 > 「ううう・・ずびっずびっ尊いもの前には尊厳もクソもないでござる・・」
ティッシュで鼻を押さえながら、
「最高の時間でござった。ありがとうござる!!!えーっと・・・そちらとそちらの名前を聞かせてもらってもいいでござるか?某は持流 童男でござる。こうして会えたのも何かの縁でござるし」
と黄色メッシュの少年とミュージシャンの人に対して。少し自信なさげに
■烏丸 九郎 > 「そうだぜ?俺の歌が抑えられない魂の音であるように
こいつの涙も鼻水も、こいつの魂が俺の歌で震えた結果だ。
抑えられるもんじゃねぇさ…けど、すっげぇ顔だな!」
とはいえ、ものすごい顔なのは事実。カラカラ笑ってギターの腹をたたく。
「俺の名前?そうだな
俺は、音楽シーンの最頂点をとる…音界の覇者となる男
烏丸九郎だ」
大男の言葉にそう答えつつ、黄色の少年の方に向き直り
「おぼえときな、次はもっと…そうだな…
最高だったくらいは言わせてやるからよ」
なにも言わないという賛辞。だがそれでは足りないとばかりに笑う。
■レナード > 「……あれがオタクってイキモノなわけ……
そういや、あまり聞いたことのない喋り方してるし。」
ウワサには聞いていた、そういう趣向にすべてを捧げる者たちのこと。
何かにつけて感情が限界になってる様を見て、忙しいやつだなあとか思ってたり。
すると、自己紹介な流れになったものだから。
「…僕はレナード。それだけ知ってりゃ、問題ないし。
音楽好きなのは大したもんだけど、僕は隣の…持流…だっけ?
持流と違ってオタクじゃねーから、最高のハードルはたけーし?」
くす、と口許を小さく歪ませる。
挑戦のようなものだろうか、受けて立つのも悪い気分ではない。
やれるものならやってみろ、と、そういう心持だ。
■持流 童男 > 「烏丸殿にレナード殿でござるか。よろしくお願いするでござるよ」
と笑いながら、
「仲がいいのでござるな!お二人共!!その時はぜひとも某も聞きに行きたいでござる!」
と言いつつ、その時をワクワクしながら、どんな曲が次は来るのだろうと言う顔になっている。
■烏丸 九郎 > 「おう、お前も来いよ。
人前で歌うってのは最高だからな。
そんで、俺の歌で魂を震わせてくれるってならそれだけで極上のオーディエンスだしよ」
申し出る大男…童男に対しては首肯し
レナードには一度ギターを掻き鳴らし笑みを深くした
「そうだ。
震える魂があるってなら、オタクとかそうじゃねぇとか関係ねぇさ。
お前も俺の歌を聞いただろ?
こいつも、お前も変わりゃしねぇ。歌でつながる魂があるってことはな!」
童男とレナード、二人に歩み寄れば、その胸元、心臓のあるであろう箇所を軽く叩いて
そしてギターを抱え直せば階段に向かって歩きだし。
「なかなかたのしかったぜ。また聞けよ?俺の歌」
ひらりと手をふるままに姿を消した。
■レナード > 「仲良いも悪いも、おめーと一緒でさっき初めて会ったばっかだし。
別にこいつが僕に迷惑かけたわけでもねーし。ふつーこんなもんだし。」
仲良いと言われて、思わずツッコミを入れたり。
ただ、話がまともに通うレベルには仲がいいと言えるのかもしれないが。
「くっ………あまり否定のしにくいことを言いやがるし。」
魂がどうたら、と言われると。確かに先の音楽にどこか震える自分がいたものだから。
そこに蓋をするつもりは毛頭ない、震えてしまった自分を抱えて、彼に接するのが誠意というものだろう。
大人しく胸を叩かれるのも、その証左と言える。
「ま、次のチューンに期待だし。精々裏切ってくれるなし?
……僕も、今日はここでおさらばだし。じゃーね。」
ひらひら、と、彼の去った後に次いで手を振りながら、塔を降りて行った。
■持流 童男 > 「おうでござる!!!、かならず行くでござるよ!!!!」
と烏丸さんとレナードさんに笑いながら
「やはり最高でござる!魂が震えたでござる!!」
と言いつつ、
「むむ!!?パトロールの時間が過ぎてるでござる!ではお二人共お元気で!!また会おうでござる!次の曲楽しみにしてるでごzるよ!」
急いで嬉しそうに塔を降りていく。
ご案内:「大時計塔」からレナードさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から烏丸 九郎さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
■紫陽花 剱菊 > 立ち入り禁止された時計塔の頂点。
大きな満月を背中に、男は静かに島を見下ろしていた。
穏やかな風が、糸のような黒髪を靡かせる。
■紫陽花 剱菊 > 『────それで、公安の連中は動いているのか?』
男の肩には、小さな箱型の何かが浮いていた。
白を基準とし、角が黄緑色の塗装がされた10cm程の箱型。
大きな黒い瞳のようなカメラレンズが、男の瞳を覗き込むようにズームする。
機械の言葉を受けても、男は表情一つ変えず
相も変わらず不愛想な仏頂面。
既に件の事情は耳に届いていた。
此の街の秩序を護るものは風紀だけには留まらず
公安委員会である己の耳にもまた、同様。
「……青田刈りだな。採れるものは……義か、欲か、或いは……。」
毒か。
尤も、毒を撒いたのは当人だろう。
何を以てしてあの少女は動いたか。
此処までは全て織り込み済みか。
丹念に仕込まれた毒は一矢に底の国に届いたに違いない。
「……如何様にして動くかは分からない以上、今は"見"かと……。」
あらゆる人徳を無視すれば、青田どころか稲を焼き払う事は簡単だ。
だが、用いる権限を一重に変えてしまう結果になり得る。
公安の連中も、其処まで馬鹿ではない。
『まぁ、そうだろうな。しかし、ある種の"祭り"だな、此れは。
此の先浮足出すぞ?誰も彼もが、此れを理由に動き出す。
私みたいな静かにしたい連中には、いい迷惑だ。』
■紫陽花 剱菊 > 祭り。的を射た言葉だと思う。
此の島の秩序は、ハッキリ言って歪だ。
石一つ投げ込めば、波紋一つで薄氷は割れる。
文字通り均衡が崩れる。然れど、今の今迄燻っていた輩が動き始めるかどうかは、不明だ。
人の心十人十色成れば、鉄は打てば響くもの。
隣の機械から、深いため息が聞こえる。
『……まぁ、お前に教えたい事は教えた。後は自分で勝手にやれ。』
『……風紀の連中と違って"司法権の一部"がある事を忘れるな。』
『斬って終わりの戦国の世とは違う事を考えろ。』
宵闇にドローンが飛び去っていく。
男の黒い双眸が追いかけるも、雲に陰った月明りに姿は消えた。
「…………。」
斬って終わりとはいかない。
最期に嫌味を言われるとは思わなかった。
だが、それしか出来ない自分には嫌に響いてしまった言葉だ。
「……配属早々、嫌な場所に腰を据えてしまったか……。」
■紫陽花 剱菊 > ある狼の少女が言った。
『此の島は、自分の想像もつかないような事が何度も起きた』、と。
此れもまた、島に起きる宿業の一つか。
成れば後は、成るがままに、成すがままに。
刃が抜かれる日は近い。
「──────……。」
座して、待つ。
願わくば、此の刃が抜かれない事を願うのみ。
二本指を口元に立て、腰に拳を据えて静かに座り込んだ。
────座禅。精神統一だ。