2019/03/23 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」にクローデットさんが現れました。
クローデット > この時期、研究施設群の蔵書が整理され、少なくないものがここ、古書店街に流れる。
魔術関連で面白いものが出ていないかと、主に「趣味」のために、クローデットは魔術関連の古書が多く集まると評判の店を訪れていた。

…うっかり「禁書」関連で被害を被らないように、無駄に防護の厚い戦闘仕様で。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」にギルゲイオスさんが現れました。
ギルゲイオス > 「懐事情も限られておるからな、なるべく活きのいい一冊を見つけたい所であるが」

(まるで活魚か何かでも買い求めるかのような修飾を本につけて、書籍にまみれた街角を歩く長身の男が一人。
本漁りに来ている別の誰かとは違い、何時も通りに街中を歩くような軽装で。周囲に視線を巡らせながら)

「ふむ……」

(少しとばかり気になる何か、でもあったのか。
女性が一人たたずむ店の方へと近づいていく)

クローデット > クローデットが見ていたのは、基本的には錬金術方面だった。
元々得意分野の1つではあるが、少し前に気になる案件が発生していたのもあってつい目がいってしまう。

「これは…持っていたかしら…」

そうポツリと呟いて手に取るのは、調合の「別解集」とでも言うべきもの。
特に、《大変容》を経て魔術・魔力における「属性」概念が拡張したことによってもたらされたレシピ群が充実しているが…

「………魔術書を、お探しでいらっしゃいますの?」

視線を落とした先の地面に長い影が差したので、本を開いたまま影の主と思しき方向を振り向き、たおやかな微笑を向けた。

ギルゲイオス > (足を止めると本棚へと視線を巡らせ。これと、コレと…アレと。なんて呟く。
どれもこれも、背表紙が古ぼけた本、にしか見えないのだが)

「ん、先客であるかな。
特にどれと言う訳でもないのだが、そんな感じである。
とは言え、普及している魔術書は見ても余り意味がないのでな。欲しいのは禁書の部類であるが」

(さっくりと、厄い目的を口にする。余程の変質者でもない限り、自分から求めたいモノでもないだろう。
書棚から女性へと視線を移せば、心当たりでも?といった感じに首を僅かに傾けた)

クローデット > 「欲しいのは禁書の部類」という相手の言葉と、軽装のギャップ。
それでも、クローデットは驚いたそぶりを見せず、柔らかそうな唇を綻ばせた。

「…随分積極的でいらっしゃいますのね。
わたしはあまりそういった方面は「今は」探していないのですが…」

そう言いながら、探査魔術を軽く書棚の方へ走らせる。
………柔らかな表情の中で、わずかに眉が動いた。それでも、表情を平静に戻し…

「…あまり詳しくは確認しておりませんが…あちらの方に、曰くのありそうなものがあるようですわ」

そう言って、自分がいるところより少し奥の方、角になっているあたりを白く細い指で指した。

ギルゲイオス > 「何分手持ちが限られておるのでな。どうせ金を出すのならば、有象無象よりも、生きのいい一冊が欲しいところである。
まぁ手間は掛けさせぬよ。自分でも、見て回ればなんとなく分かるのでな」

(相変わらず、食材か何かでも探す気安さである。
何やら始めた相手を暫く眺めていたが、続く言葉に小さくと頷いて)

「我としても、目星をつけておった本命は大体あの辺であるかな。
どれ、折角のお勧めであるから、最初に目を通してみるか」

(ヒラリと軽く手を振れば、足取りの軽さはそのままに。
指示された辺りまで歩いていけば、寸分たがわずと、その本を手に取る)

クローデット > 「「生きのいい」…確かに、「見て分かる」くらいのものであれば、その力に間違いはございませんわね」

クスリと口元だけで笑むが…その青い瞳の奥からは、痛みというか淀みというか、そういうものが読み取れなくもない。

青年が手に取った、奇妙な手触りの魔術書。
青年がもし開こうものなら、獣のような、男のような唸り声とともに、瘴気のような魔力が溢れ出すだろう。

ギルゲイオス > 「表に出せるモノでもないのでな。管理が少々面倒なのが、玉に瑕であるが。
得られるモノも多いのでな。さて……」

(本を手の取れば、まずは指を這わせる。よくありがちなのが、人皮などだ。フェイクであることは珍しくもないが。
そしてペラリと、ページを捲り。
その途端、周囲へと解放される魔力に双眸を細めた)

「ほう、こいつは中々ヤル気に満ち溢れておるな。作者の執念、怨念、情念、どれも申し分がない。
魔王ギルゲイオスの名において許す、お主の正体見せてみよ」

(物怖じする様子もなければ、むしろ口元に笑みを浮かべさえして。
さて、何を見せてくれるのかと期待さえ滲み出しながら。
溢れだす魔力のその中心に佇んでいる)

クローデット > 「ええ…わたしはそこまでして手元に置きたいとなかなか思えないものですから…あまり」

口元の笑みは絶やさぬまま、それでも視線を落とす。
そして…溢れ出す瘴気に他の「当たり」まで触発しないように、密かに防御術式を周辺に展開させた。

瘴気が形作るのは、歪に歪んだ表情を浮かべた男。
影のようになってしまっているので断言は出来ないが…その表情の表れ方からするに、おそらく表皮はなくなっている。

『よこせ…』

瘴気の形が再び崩れ、ギルゲイオスを覆い尽くそうと広がる…

ギルゲイオス > 「ま、普通はそうであるよな。管理を間違えると、保管場所が異界になりかねん。
おぉっと、迷惑をかけるのである」

(くくっと、笑みをならせば肩が揺れて。
そして彼女の予防策に気が付けば、ちょいちょいと小さく掌を振ってみせた)

「ふむ……失せモノ探しであるかな?
モノか、ヒトか、……或いはイノチか。あぁ、もしや面の皮であるかな?」

(浮かび上がった男の顔へと、何か慈しむような仕草さえも交えて。剥き出しになったその表面へと、指先が触れようとする直後。
崩れ去って再び自分へと纏わりついてくる様に、片目を閉じる)

「随分と焦らせてくれるのであるな」

(軽くと腕を振れば、覆いかかる瘴気を指へと絡めた)

クローデット > 「…わたし一人ならば、身につけた分でしばらくは足りるかと存じますが」

「周囲に被害が広がるのが面倒だ」とか「従えるなら早くしろ」とか、淡々とした語りの中にそんな意図が見え隠れする。

男の指に絡まった瘴気は、その体に染み入るように迫る。
「よこせ」と言っていたのは…恐らくその体の、主導権のことだ。

ギルゲイオス > 「…………あーはい、すいません、もうしわけありません。ちょっと遊び過ぎたのである」

(彼女に向けていた視線が、すいっと別の方向へと逸れる。
久しぶりに魔王っぽい事してたら、悠長だと言外に怒られてしまった。反省魔王様。何時も通りに威厳が無い。
という訳で、余り遊んでいる余裕は、ないらしい。
一息とつけば、瘴気の滲みこもうとする手を握り開いて一瞥し)

「なるほど、魔王の身体を乗っ取ろうとは、随分と気概があるな。
何か代わりの器でも用意してやるか……その辺りは後で考えるか。
では、しまいにしようか」

(カツンと、つま先で床を叩く。
渦巻く瘴気、ピタリとその動きが止まり。
己の身から引きはがせば、やがて球体のように空中へと一纏めにする。
魔力流転、周囲の魔力を己の支配下に置く。魔族としての能力だ。
意思の宿った魔力ではあるが、誰のモノでもなければ十分、操れる領域だ)

「このままでは持ち帰れぬのでな、暫く、大人しくしてもらうぞ?」

(立てた人差し指、くるりと回し。
開けたままの本へと、強引に魔力の塊を押し込んでやろうとした)

クローデット > 「…わたしがした分の仕事までお一人でして下さるのであれば、ご自由に…と申し上げることも出来たのでしょうけれど」

魔王様に言外のプレッシャーをかける魔女、只者ではない。
…まあ、彼の魔王ムーブで発生するリスクに対する予防線とか張っていたので、理屈が通ったのが大きそうだが。

男の形と意思を持った魔力は、押し込まれることに多少抵抗を見せた。
それは、その魔術書が「所有者の体を乗っ取りながら永劫の時間魔術を探求し続けることを望んだ男」の魂を宿していたからで…その表紙たる男の表皮が、肉体…所有者としての根拠を多少なりとも有していたからだ。
魔術書には、男の研鑽の結果が刻まれ続けてきたのだろう。

…それでも、特性の差には抗いきれなかったのか。
最後には、魔術書の中に押し戻されてしまうのだが。

「………。」

呆れたような、安堵の息をついて。
クローデットは、防御術式を解除した。

ギルゲイオス > 「ざっくりと区切るような防御なら得意なのであるが。こういう繊細に張るのは苦手でな。いやぁ、技術の高さがうかがえる素晴らしい防御であるよ?」

(はっはっはっは、なんて乾いた笑い声を交えつつ。プレッシャーの矛先を収める為に、魔女をよいしょする魔王様)

「ふむ、少々堪えるか。支配権を完全に奪うのは難しかったかな。だが、往生際が悪いぞ」

(魔力の球体が歪むほどにぐいぐいと押し付けられていたのだが。最後の抵抗が。
やがて痺れを切らしたのか、むんずとそれを片手に掴み取り、強引にぎゅーっと押し込むに至る。
消える瞬間、なんとも無念な男の声が聞こえたのは、気のせいだろうか)

「なるほどな。望みはありきたりではあるが、ここまで形になって残留するのは賞賛に値する。
よかろう、我が所有物の一つとなるがよい」

(チラリ、値札を見る。
魔王様の表情がたっぷりと硬直した気がするが。ふ、っと笑みを鳴らせば改めて小脇に抱えた。
暫く、節約生活であるな)

クローデット > 「…事前の準備があれば、手順は簡略化出来ますので」

淡々と応じる魔女。物腰はたおやかだが、魔王の威厳も純粋な体格差もあんまり効いていなさそうだ。

『そんな ばかなぁぁぁ…』

それこそ魔王のやられボイスか何かのような台詞を残して、かつて男だった瘴気の塊は再度魔術書に封印された。
支配権の移譲を限定すれば「勝手に魔術を研究してページを増やしてくれる曰くつきの魔術書」なので、多分欲しがるもの好きがそれなりにいて、お値段に反映されているのだろう。
魔王様の節約生活に幸あれ。

「………外部からのものを従えるのは、個人的にはあまり気が進まないものなのですけれど」

所有する気満々の魔王様に対して、そんな感想をポツリとこぼす魔女。
直接言葉にしない範囲で、意味を含みまくりである。