2019/02/20 のログ
ご案内:「常世公園」に倉間とろみさんが現れました。
■倉間とろみ > 昼下がりの常世公園。まだまだ春は遠く、薄曇りの空の下を寒風が駆け抜けている。
寒さゆえに人通りはまばらだが、閑散としているわけでもない、そんなこの頃。
公園の中を、ひとりの女性が『漂っている』。文字通りに、ふわふわと。
「………………すぅー………………すぅー……」
その様子は、まるで今しがた起床しベッドから転がり落ちたかのよう。寝ぐせ頭に、パジャマ姿。
とてもとても、昼下がりの公園を出歩く装いではない。
そして、先程描写したようにこの女性、ふわふわとしている。宙に浮いて移動しているのだ。
地面から2〜30cmの高さを上下しつつ、まるで大きなシャボン玉のごとく、のろのろ、ふよふよ。
風に吹かれてゴミ箱から舞い上げられたチリ紙が、後ろから追い抜いていく。
目も閉じられ、周囲の様子が見えているようには思えない。まさしく夢遊病である。
「…………………………………ん〜………」
しかし。公園の出口に差し掛かると、はたりと前進を止める。
そして十数秒の時間をかけて後ろを向くと、また公園の奥のほうへと漂い始めた。
いったい何をしているのか。少なくとも目は見えているようだし、意識もあるにはあるようだが。
■倉間とろみ > 来た道を戻り、再び公園の中ほどへ。
池の周囲をめぐる遊歩道に沿って、あてどなく漂い続ける。
実際、目的地はない。それどころか、なんで自分がこの時間に公園にいるのかすら自覚がない。
「……………………………………すー……………………すー…………………んっ」
正面からスマホを睨みながら歩いてくる男子生徒がやってくる。危ない!
……と、少女は男子生徒の眼前1mほどでくるりと身を翻し、正面衝突を回避する。普通の人がそうするように。
すれ違う時になってようやくとろみの存在に気づいた様子の男子生徒は、その女子の異常行動に目を見開く。
異能と異邦人で溢れている常世島において浮遊する存在は珍しくないだろうが、パジャマ姿であればさすがに目を引くだろう。
「……………………………ふぁ………………ん……………………」
目を伏せたまま、ひとつ軽い欠伸。その間も漂流は止まらない。
周囲の目などお構いなしに、奇妙な少女の『散歩』は続く。
ご案内:「常世公園」にギルゲイオスさんが現れました。
■ギルゲイオス > 「ふはははははは
常世島よ、我は帰ってきたのである!!」
(通りすがりの親子が「ママ、何あれ?」「見ちゃいけません」的な会話をしていたが、魔王様気にしないスタイル。
高笑いと共に、その辺の遊具をビシッと指さしていたのだが。指の先端がへにょりと下向きに垂れた)
「まぁ、戻ろうと思って戻った訳ではないのだがなぁ。まさかまた戻るはめになるとは思わなかったのである」
(なんやかんや上手い事いって、元の世界に戻って10年程。油断した頃にまた事故ってみれば、此方は数年が経過していた。行き来するのに、時間軸が若干と捩じれているらしい。
以前の引き継ぎのお陰で再び住むのに余り手間が掛からなかったのは幸いであるが)
「一度戻れたので、そいういう意味では気楽な所ではあるのだが。この街も変わったような余り変わっていないような――……という話は置いといて、である。
何なのであるか、アレはっ!っておお、回避したぞ」
(さっきから凄い気になっていた存在の方へと、ぐるんと向き直った。
可愛らしい表現を使えば、ぽっちゃり系女子が公園の奥と出口付近を行ったり来たり。しかも超超低速で。普通に歩くにはむしろ大変ってレベルの遅さで。意識の方も、どうやらかなりおぼろげ、というか寝てるじゃねって感じである。
その割に行動が妙に規則的で、しかも今しがた衝突を回避した模様。どう判断すればいいのか非常に困る状況となっていた)
「うーむ、これは適切な所へ連絡して保護してもらうべきなのか。
おーい、おーい、お主よ。そんな恰好でブラブラしていたら風邪をひいてしまうぞ?」
(とはいえ、あの携帯……職員はすまふぉと言っていたが。使い方もイマイチと良く分からなくてあまり触りたくない。
ひとまず近づいてみれば、声をかけて反応を確かめようとする)
■倉間とろみ > ほとんど微睡みつつも実は、さっきから意識の端で気になっていた。
公園の遊具を指差し、なにやら一人で朗々とセリフを紡いでいる存在のことが。
大きな池をあと2周ほどしてまだ居るようだったら少し近づいて様子を見ようかな、と夢心地に思っていたとろみだったが。
「………………………おぬし〜? ………………わたし〜?」
先に向こうから声を掛けられ、それが自分を呼ぶ声だと認識するのに5秒ほど。
くるりと中空で音もなく転回し、声を掛けてきた長身の男のほうを向くと、脚を微動だにさせることなくスライド移動で寄ってくる。
背を丸め、腕をだらりと下げた姿はまるで幽霊のよう。今が夜で、頭に三角の布でもつけてればもっとサマになっただろう。
「………………あはっ。おっきいね〜〜〜、おにーさん………………」
近づきながら、とろみの高度が上がる。相手の目線に合わせるべく。
そして、高さの合った鼻と鼻が触れ合う寸前のところでとろみは停止する。
というか、まかり間違えばパジャマに包まれた大きな胸が相手の胸板に触れてしまうほどの容赦ない近づき方だ。
猫を撫でるような、あるいはとろける蜂蜜のようなねっとりとした鼻掛り声で、まずは相手の長身を褒める。
「だいじょーぶ…………このパジャマ、あたたかいからぁ〜。えへへっ…………。
わたしは、とろみだよ〜。おにいさんは〜?」
柔和な笑みを向けながら、名を名乗る。聞いている側の眠気を誘うような超スローボイスだ。
■ギルゲイオス > 「………………そうそう、わたし~。………………意思疎通は~問題無さそうな~感じであるな~」
(じーっと様子を伺う事5秒。超低速で滑るかのように近づいてくるのを待っていれば、喋り方まで微妙に移ってしまったようだ。
明らかに異邦人っぽい人物が、人間らしき人物に聞き取りをしているという、なんだか普通逆じゃねと言いたくなる奇妙な光景ではあるものの。完全に寝ている訳ではないと分かれば、何か小さく頷く魔王様。
となると、普通の状況という訳ではなさそうだし。異能か何かの関係だろうか、と思考に耽っていたの、だが……)
「此方の人間の平均に比べれば高……というか近っ!お主距離感近っ!」
(視線をひらっと再び相手に向けた途端、文字通りの意味で眼前に顔があった。と息さえも届いてしまいそうな距離というのが何の比喩でもない。初対面でここまで寄るという文化は、こちらの世界には無い筈だが。いや、自分の世界にも無いけれど。
驚きに額にある瞳をかっぴらくと、なんかかぽよんたゆんとした物体の超接近を胸板近くに感じ取り、僅かに半歩だけ後ろへと下がる事とした。
これが彼女の距離なのであれば余り離れるのもコミュニケーションに支障が出そうだが、如何せん近すぎるのである)
「そうか、それならばよいのである。問題の本質はそこではないのだがな。
とろみであるか、我が名はギルゲイオス。異世界の魔王で、…あ……る……ぐぅ――……はっ!」
(自己紹介もしてくれているし、そう問題になる状況ではないのだろうか。
スローボイスにテンポを合わせて受け答えをしていると、思わずと眠気が……割と本気で一瞬、落ちかけた辺りで前に一歩踏み出し意識を取り戻す。お陰で距離感が元に戻ってしまったが)
■倉間とろみ > 「近いぃ〜〜〜〜? そっかなー………にひひ………」
とっさに身を離されると、とろみと名乗る少女は白い歯をみせながら微笑む。
さらに自ら体を近づけていくようなことはしないが、しかし空中で完全に静止することもできないようで。
その豊満な肉体はサイドブレーキを掛け忘れた大型車のように、じりじりと徐々に前方へ滑っていく。
触れ合いを避けようとすれば、自ずとそちらも身を引き続けるしかないだろう。
「ん〜〜〜〜〜………………ぎるげいおす。がいじんさん? …………いせかい? まおう?
そっか………この学校、『異邦人』がいるんだよね。魔王…………ふふっ、かっこい〜〜〜〜♪」
相手の名乗りを聞くと、空中に浮いたままのとろみは首をカクカクと上下に動かす。
がっしりとしたギルゲイオスの威容を頭頂から足先まで検分するように。
その浅黒い肌に赤い瞳は、たしかに人間離れしている。はじめて目にする異邦人の姿に、しかしとろみは臆する様子はない。
再び顔と顔を向き合わせると、とろけるような笑みで応えた。
「………んー、でもぉ。魔王って……………わるいひと?
お姫さまをさらったり〜…………村を焼いたりぃ〜………………つよい魔法をつかったり〜……………………。
ゲームで出てくるの、よく見たけど………………ギルゲイオスも、そういうこと、するの?」
こんなボケッとした奴でもゲームはできるのだ。
そういうフィクションの中で見知った記憶を引きずり出し、相手の姿に重ねて見るが、いまいち合わない。
ふと笑みを消し、唇を尖らせながら、臆せずにそう聞いてみる。
■ギルゲイオス > 「我の、知る、限り、では、初対面、の、距離感、では、ない、と、思う、のであ行き止まりー!!」
(言葉の区切りが、いっぽと後ろへと下がる合図。
戦闘より更に慎重な間合いを計りながら、じりじりと後ろへと下がってゆく。若干焦り魔王様。
笑いながら近づいてくる様は、もしやわざとやってるのでは?という気がしてくる。
なんて、珍妙な攻防が繰り広げられていたのだが。公園だって無限に敷地がある訳ではない。
更に一歩と下がった直後、背中にぶつかる硬い感触。金属の棒を組み合わせたような遊具が、魔王の後退を阻んでいた)
「おや、異邦人、と呼ばれるモノ達に合うのは初めてであるかな?という事は、来て間もないと言う事か。
うむ、がいじんさん、とやらではなく、こことは違う別の世界の住人であるよ、我は。
そして、無数の魔族、その頂点が魔王である! 」
(この街を散歩でもすれば、異邦人とすれ違う事もそう珍しくはないだろう。此方の人間とよく似ていて、見分けが付かない事もおおいだろうが。
そんな環境も鑑みて、状況を自分なりに理解してみたご様子。小さく頷いた後に、自分の紹介をしながら大げさなポーズ……は至近距離で無理だった模様)
「そう、我は残虐非道な魔王である。人々を恐怖のどん底へー!女子供もミナゴロシー!」
(わははははは、と高笑いを交えつつ。なんだかそれっぽい事を口走ってみたその直後)
「というのが此方の世界で一般的な様であるな。実際に我が世界の初代魔王から暫くの間は、人間を侵略したり勇者と殺したり殺されたりしていたらしいが。
共倒れになるのが目に見えてきて和平を結び、今は随分平和であるよ。我もそういう世界の魔王である。あ、強い魔法は使えるぞ」
(彼女の中で噛みあわない感覚は、正しい。
初めて此方の世界に来た時、調査にきた人物に魔王と名乗ると、相当ビビられたのも懐かしい思い出である。
口の端を上げて僅かに歯を覗かせれば、そんな思いでも含めて、くくっと小さく笑った)
■倉間とろみ > 「ん………………………………」
意識せず前へ前へ滑っていくとろみ。後ずさりする魔王。
変わらない相対距離に、まったく相手を追い詰めている自覚がなかったとろみだったが。
男の背がジャングルジムの繋ぎ目にあたり、ガシャンと音を立てると……その瞬間、ぴたりと動きが止まる。
まるでとろみの肉体だけ時間が停止したかのように、ゼンマイが切れたかのように。伏せた瞼もピクリとすらさせず。
そうして5秒程度の沈黙ののち、まるで何事もなかったように再びギルゲイオスの顔を見上げる。静かに高度が下がる。
「……………あー、ごめんなさい。やっぱり、近かった……………ね………………つい、やっちゃうの」
蚊の鳴くような弱々しい声で謝罪の弁を述べながら、スリッパ履きの足をそっと地に下ろす。
未だその肉体に対して重力の効きは弱いようだが、もう相手ににじり寄る動きはない。
「……んふ、ふふっ………………わぁ……………ほんとに魔王だぁ♪ ……………あ、でも今は違うんだぁ………………」
ギルゲイオスが放つ物騒なワードの数々には、なんら恐れおののく様子を見せず。
まるで思春期前の児童のように無垢な笑顔を取り戻しながら、かかとを浮かせて小躍りする。胸が揺れる。
しかしその高揚もすぐに収まり。
「平和な世界の魔王、かぁ…………………そっかぁ。平和だと、つよい攻撃魔法も、あんまり役に立たないよね……。
ギルゲイオス、すごく大きくてムキムキだし、戦ったらすごく………カッコよさそうなのになぁ……」
そんな魔王の現状を聞くと、目を伏せたままのとろみにも明らかに落胆の色が浮かぶ。
「魔族の王…………………かぁ……………………」
■ギルゲイオス > 「む……?」
(後退の二文字を繰り返し、退路も失い。後は迎え撃つのみかと、僅かに腰を下ろして構えを取ろうとするのだが。
急に侵攻がとまれば、何事かなと首を傾げ。それでもやはり暫くと動く様子も無かったが。
此方もたっぷりと五秒ほど、聞いたまま口を開かず思案と。大きめに息を吐き出して)
「ぬぁ~……まぁいいのである、魔王は寛大な心で赦すのである。異文化コミュニケーションである。否定ばかりでは何も生み出さぬのである」
(此方から大きく一歩踏み出せば、敢えてギリギリの距離まで近づいて。それこそファーストコンタクトの時の様に。
鼻先の感覚が僅かになるほどの直前で、むしろ堂々と両目を開いて見下ろす)
「……子供たちと遊ぶ時もそうであるが、怖い方が受けがいいのは何でであろうな。やはりイメージの問題か。
左様、小競り合いはたまに起こるが、大きな戦いは随分と起きておらんな」
(明らかに感情の変化が見て取れるようだ。
期待を裏切ってしまったようで何だか申し訳なさも感じるが、嘘をついても仕方があるまい。
片目を閉じれば、己の顎を軽くと撫でていた)
「そうであるなー、たまに頭のオカシイ勇者が乗り込んで来たりもするが、その程度であるなー。
もちろん、強い魔法でぎったんぎったんにしてやるのである。
ふふふふ、しかし我も男である。女性がこんな無防備に近づいて来たら、何時悪い魔王様になってしまうか分からぬからな。
気を付けないといけないのである、ふははははははは」
(高笑い交えながら両手を顔の両側へ。ガオー、なんて言いはしないけれど。
この危機感が足りない子へと敢えて警戒を植え付けるように、なんとなく襲い掛かるようなポーズを見せた)
■倉間とろみ > 今度は向こうから身を寄せてきて、30cm以上高い位置から見下ろされる。ボケッとした表情のまま、それを見上げる。
城壁を思わせる凄まじい威圧感。気さくな雰囲気で紛れてなければ、女子はすべからく逃げ出すであろう威容である。
でもとろみは、わずか身体を後ろに反らした程度。それは鈍感ゆえか、あるいは―――。
「ん〜〜〜……………。こわいほうがぁ、強く見えるしぃ〜〜〜? 強く見えると、かっこいいし〜〜〜〜。
イメージって大事だと思う。…………うん、平和に越したことはないけど、でも……。
魔王って、魔族って……………悪いことをする人でしょ。なら…………………」
とんっ。スリッパの爪先が再び地を蹴る。宇宙遊泳者のように、再びとろみの身が宙に持ち上がる。
今度は鼻先が触れ合うどころか、そっと両腕を持ち上げて相手の肩から首筋に絡めるように這わせつつ。
「……もし私が魔族なら、怖くて強くてカッコいい王様が傍にいてくれたほうが、頼もしいもの………ふふっ」
スローテンポな口調はそのままに、しかし、声色は低く妖艶に。舌に絡む唾液を鳴らしながらも、流暢に。
真っ直ぐに魔王を見つめながら甘く呟き、そして熱い吐息を吐きかける。
伏せられた瞼がわずか開く。狭間から覗くは、まるで薔薇のごとく鮮やかな赤紫の瞳。日本人のそれではない。
「…………………………なぁん、ちゃって」
伸ばされた腕はすぐに脱力し、だらりと垂れる。それに引っ張られるようにまた高度が下がり、元の位置に。
一瞬地を向いて俯き、再びギルゲイオスに向けられたとろみの顔は、元通りの無垢で無邪気な寝顔の笑み。
「わたしが魔族でー、ギルゲイオスが魔王ならステキだなーって思ったけど…………よくわかんないし。
……………うん。わたし、わたしのことがよくわかんないから、この島に来たんだものね〜………ふふっ。
わるい人には気をつけなきゃ……………おかあさんにもよく言われたよ〜…………」
そう言いながらも真っ直ぐに相手を見つめる顔には、ギルゲイオスを畏れる色はやはり見受けられない。
■ギルゲイオス > (引いて駄目なら押してみろ、敢えて攻勢へとまわる魔王様。それ以上踏み込まない辺りが若干のヘタレ感を醸し出さなくもないのだが。
とはいえ、堂々としていれば長身も相まって存在感はある。此方の服装に合わせているせいで威厳が少々足りぬが、それらしい恰好をすればなるほど納得できる見た目ではあるだろうか)
「こちらの世界では、魔王や魔族ってのがつまり悪者ってのは、一般的みたいであるからな。悪逆非道、人類の敵って感じであるか。
とは言え、我の世界では人間とは生まれや姿、生活の仕方が違うだけで、中身という意味ではそう大きくは違わぬのだよ。人間と魔族の争いについても、ヒトとヒトの国同士が争うのとそう大きくは違わぬモノであったしな。悪い事するヤツもいれば、そうでないヤツもいるのである。
……ま、色々な世界があるのでな。とろみの期待するような魔族や魔王も、何処かに居るかも知れぬが」
(互いに理解が及ばぬ存在を恐怖とみなし、更に栄える為と理由をつけて争う。そいう言ってしまえば、人間の国による戦争とほとんど、変りはなし。
イメージと言えば確かにその通りで、期待されてそれらしく振る舞う事も、あるのだが。自分はこういう魔王であり、そういうものだと、数度頷いた)
「…………恐怖か。もし争いの続く世界であれば、そうなっていたかも知れぬ、がなぁ。
とはいえ、強くてかっこいい王様の姿なら、見せてやる事も出来るかも、であるな。何だかんだときな臭い所もあるからなぁ、この島。
万が一の時は、どんと我に頼るが良いぞ……………ところで、とろみさん?」
(万が一の時は、偉大な魔王として守ってやろうとばかりに、胸を張り。口元には、深くと笑みを刻んで。
万象に対して自信たっぷりな魔王ムーブを決めた心算、だったが。次の瞬間にはうっかりと声が細くなってしまう。
そりゃぁ勿論、急に、こんな。蠱惑な雰囲気で寄られては、そうもなるだろう。
僅かに下がりかけるも、今の魔王に後退はない。変わり様を不思議に思いながら、かかると息に双眸を僅かと細める)
「……びっくりしたのである。
結局、自分の事は自分で見つけるしかないのである。自分探しというやつであるな。この島には色々なヤツがいるからな、見分も広める事が出来るであろう。
そうである、悪い人はどこにいるか分からぬし、良い人っぽくても実は悪い人って事もあるのだ。
…………というか少し位恐れてくれてもいいのだが、豪胆であるな。とろみは」
(距離については相変わらずのまま。むしろ相手の方が先ほどは近づいてきたご様子。
これはコレで、こういう子なのだと。納得してしまったように肩が僅かに落ちるのだった)