2019/09/28 のログ
ご案内:「浜辺」に水鏡 浬晶さんが現れました。
■水鏡 浬晶 >
少し冷たい風が辺りを吹き抜ける、秋の海。
辺りに人は疎らで、海水浴やバーベキューで賑わったことなど、誰もが忘れてしまったかのよう。
「……………。」
『水鏡、お前もう少し周りとの距離をだな』『そんなんじゃ社会に出てから』『協調性を』
『手紙読まずに焼いたって』『いくら美人だってなぁ』『調子に乗ってるんじゃ』『性格最悪』
「……うるせぇよ。顔しか取り柄のねえ俺の顔目当てに近付いといて。
顔が良けりゃ性格も綺麗だって決め付けてんじゃねえぞ…」
足元の石を掴んで、波間へ放り投げた。
白波の中に黒い影が飲み込まれて消え、波紋も立たずに失われた。
ご案内:「浜辺」に春寺谷 れもなさんが現れました。
■春寺谷 れもな >
ぽちゃん、ぽちゃん、ぽちゃん。
水に硬い物が落ちる音がする。波の音がそれを僅かにかっ消す。
人気のない海辺に、アンニュイな思いを抱えた青年がひとり。
その少し離れたところで、女子生徒がしゃがみ込んでいる。
「里芋~さといも~」
ぽちゃん、ぽちゃん、ぽちゃん。
「こんにゃく~」
たっぽん、たぽん。
「あと…なんだっけ、こんにゃく~」
それは波間に消える石ではない。
可愛いパステルカラーの鍋に材料が投入されていく。
ふつふつと湯が沸き始める音が、秋風に紛れた。
■水鏡 浬晶 >
「いや何やってんの春時谷。」
まったく横を見ずに問を放り投げた。
こんなところで煮物をやらかすような女がそう何人も居てたまるか。
ただでさえ頭が痛いのにますます頭が痛くなる。
何をしているのか、と聞いたがまぁ…何をしているのかは見ればわかる。
芋煮だろう、多分。秋から冬にかけて食べる芋煮は美味い。知っている。
■春寺谷 れもな >
ペティナイフをごりごり動かしながら、水鏡の背中に声が返る。
「芋煮の動画みたら美味しそうだったから、芋煮!」
予感の通りである。芋煮。
里芋とコンニャクをよく煮こんでいるところだ。
「ちょうどよさそーな川原がねー、分かんなかったから……。
同じ水辺なら海でもいいかなって思って~」
小さいパックの料理酒をトポトポ注ぐ。
アルコールが飛ぶまで何をしよう。豚肉でも解体しようか。
「てゆーか、アキ先輩こそ何してるの?芋煮の気配感じた?」
■水鏡 浬晶 >
「春時谷はなんでそう脊髄で物考えて生きてるの…?」
行動力に手足が生えて走り回っているような女だ、と改めて思う。
というかレシピはちゃんと調べて覚えてきているのか。あるいは適当なのか。
「あぁ、芋煮って河原でやるもんな……まぁ海でもいいんじゃないの。
割と海でもやるらしいぞアレ。」
もう順応したほうが楽だ。
「……あぁ、俺は…アレだ、気分転換。」
■春寺谷 れもな >
「違うよー、脳みそで物を考えるんだよー。
え、海でもいいんだ?じゃあここでやるの正解じゃん!」
アキ先輩は物知りだねえと笑いながらもう1個鍋を立てる。こちらは何故か金色に光っている。決して純金では無い。
レシピは調べて来たついでにタブレット内に保存されている。
分からなくなったらその場で調べられるとは、なんと便利な時代だろうか。
「気分転換かー。…じゃあ芋煮食べようよ芋煮。
私ねー、ちょっと材料買いすぎた気がするんだよねー…牛肉の芋煮と豚肉の芋煮とあるし」
流派というかレシピ派閥の問題である。
醤油味か味噌味か、という部分も大きい。戦争が起きるレベルだとも聞いたことがある。
砂に石と木で組まれた即席の炊事場に、金色で時々ブラックフェザーなエフェクトがふわっと漂う鍋が輝く。
れもなはその鍋に水を入れて火をかけた。こっちで豚肉を煮るつもり?らしい。
1kgちょっとありそうなのをもぞもぞ切っている。
■水鏡 浬晶 >
「例え話だ例え話。本気にするんじゃないよ。
…まぁ、正解かどうかなんて知らないけどな。地元のやつに聞け。
俺は醤油も味噌も好きだ。」
どうしてこう無駄に準備がいいのか。
というか年頃の娘が平然と準備できるものじゃないだろ大鍋2つって。
……しかし、レシピだけはきっちりしている辺り奇妙な感じだ。
「………。何でそうなるのかは分かんないけど。頂く。」
まさか、春寺谷はこれを見越してここに来たのか。
材料を多く買い揃えて、自分と食べるために……
「(無いな、うん。)」
目の前で肉の塊を切り始めたのを見てあっさり仮説は瓦解した。
多分本当に買いすぎただけなんだろう。
■春寺谷 れもな >
がこがこと豚肉の塊を解体しているが、ペティナイフでキコキコやっている。
持ってくる刃物を間違えたことには薄々気づいているらしく、むうと声を漏らす。
買いに行った肉屋で、こまよりも塊肉が安いサービスを行っていたのが運のつきである。
「ご飯食べると気持ちが幸せーってなるじゃん?じゃあ手元で作ってる芋煮かなぁって思ったから~。
……だめだ、ナイフじゃ切りにくい。――エンチャント!<魔法少女☆付与>」
異能の無駄遣いが始まった。
いや、既に鍋に魔法少女が付与されているのだから、無駄遣いもクソもない。
ペティナイフは光の帯をまとい、ぱぁっとシャボンを割ったような音と共に白銀のナイフになった。
肝心の刃渡りはといえば、少し伸びた。3cmくらい。ちょとだけ、のびた。
ぷりっぷりの魔法少女デザインのナイフで肉塊をもりもり切り分け始めた。
一口より大ぶりな豚肉が、片っ端から湯の中へぽっちゃんぽっちゃんぽっちゃん。
■水鏡 浬晶 >
何やってんだこいつ、という目だ。精肉場の豚肉を見つめる目だ。なにか違う。
とりあえず、異能の無駄遣いによって助け船を出す必要もなくなったので、相変わらず傍観である。
「……まぁ、な。確かにそうだけど。…一時凌ぎだろうけどさ。」
根本的に、未来が見えない。未来を見たくない。
こうして何も考えずに馬鹿をやっているほうが気楽なのだ。
そんなことよりいつも思うんだけどあのエンチャントの見た目なんとかならないかな。
あとちょっと大きすぎる気がするけどまぁ食いでがあるならいいか。
この男も似たりよったりで雑であった。
■春寺谷 れもな >
豚肉に大体火が通ってきたら、アクをとる。アクは砂浜に穴を掘ってぺいぺいと捨ててしまう。
里芋とコンニャクを煮ている鍋に豚肉を移すと、今度は牛肉の塊を取り出した。
「…?」
水鏡の一時しのぎという言葉が気になったのだろう。
牛肉の塊肉を解体しようとした手を止めて、憂いを背負う青年をじっと見ている。
「ずーっと一時しのぎ出来たら、一時しのぎは未来まで続くのかな?」
難しそうな顔をしてそういうと、牛肉を切り始めた。
こちらも1kg程度はありそうである。里芋とコンニャク、豚肉だけですでに10人前を超えていそうな量だが。
時々、手を止めて細かいアクを捨てる。アホの子ではあるが、料理はまあ、うん、出来る。
■水鏡 浬晶 >
アク取りもちゃんとやっているのだ。なんという出来た調理。
家庭科の授業でキャイキャイ言いながら失敗する女子やハナからバカをやる男子よりよっぽど高尚である。
飯は粗末にしてはならないのだ。
「って牛ブロックも買ったのか。そっちは流石に高かったんじゃないの?
……あ?」
妙な質問を投げかけられ、首を傾げる。
一時凌ぎを、永遠に続けられたら…それは確かに、解決と言っていいだろう。
目を背けているだけだろうが、背けても問題ないなら背けて生きたい。
「……どうだろ。文句付ける奴は出てくるんじゃないの。
わざわざ苦労に突っ込みたがる根性論大好きな奴とか。」
ふぅ、と小さくため息を付いて海を見る。
海には白波、遠くに船。そして浜辺には何故か芋煮。
……一時凌ぎには、まぁ丁度いい。
ご案内:「浜辺」にルギウスさんが現れました。
■ルギウス > 何かの予感に誘われるようにふらりと散歩していたら。
カップルっぽい若者が大きな鍋(エフェクトが散ったりするものを鍋というかは別問題)を二つも調理している現場に遭遇。
「……最近の若い人はよく食べるんですねぇ」
元気でよろしい なんて付け足して、勝手に頷いている。
■春寺谷 れもな >
「アキ先輩はツッコミ入れる方だもんねー。ツッコミ入れられても困るよね~」
こちらも大ぶりな切り方をされたものが――ああっと、面倒になって里芋たちの鍋に直接入った。
くっつかないようにお玉でつつき、使ったペティナイフ(魔法少女)とまな板代わりの牛乳パック(これも魔法少女付与されている)の処理をする。
牛乳パックは火の中へ消え、ペティナイフはタオルで拭われてどこかに消えた。正確に言うと、れもなの背後にあるバッグへ。
海を見る水鏡に、声だけが返る。
「私はアキ先輩と遊ぶの好きだし、遊ぶのが一時しのぎだったらそれでもいいや~って思っちゃうなぁ~。
勉強は嫌いだけど、みんなの異能や魔術を知るのは好きだしー。知らないとこに行くのも好き~。
…あ、七味わすれちゃったー…」
れもなの視線は手元を見たまま、味付けをしていた。
そして、話に答えが返ってくる前に、いつもの調子で
「行ったお店がねぇ、ブロック肉のがお安い日だったんだよ。だからつい多くなっちゃった」
■水鏡 浬晶 >
「そのツッコミじゃない。っていうか俺をツッコミ役にするな。そう思うならボケを控えろ。」
言われるがままにツッコんでしまった。
なんかだんだん面倒になっている気がしてならないが気にしないでおこう。
牛乳パックをまな板代わりにするのはいいアイデアだ。屋外ならそのまま焼ける。
「……そうかい。まぁ春寺谷は勉強しなさすぎだけどさ。
…そんなもんかな。そんなもんかねぇ……」
ちら、とその姿を見る。
…普段と何も変わらない。変わらないのだ。一時凌ぎを繰り返しても。
「へぇ。また安売りすんのかな。今度買いに行くか……
…ん?」
ちらっと、浜辺の上の道路を見てみれば…変な丸いグラサンの男だ。
はて、どこかで見たような…見てないような。
■春寺谷 れもな >
「ボケてるつもりはけっこうない!」
夕焼け色の瞳がドヤァと歪む。
と、水鏡と視線の先がかぶった。あれ?えっと、どっかで見たんだけど。
ああいう恰好の生徒は滅多いないから、先生とかだった、っけ?
とりあえずめっちゃ手を振っておこう。挨拶は大事だ。
■ルギウス > 「やぁやぁお二人さん。とても芋煮に向いた天気ですねぇ。
……調味料は足りていますか?」
手を振り返しながら、ゆっくりと近づいていく。
「量がとても多いのですがこれからパーティーでも?
デートでしたらお邪魔して申し訳ありません」
■水鏡 浬晶 >
「若干はあるのか。」
またツッコんでしまった。
「……ところで春寺谷。あの…先生?って知ってる人?」
ごにょごにょ。目の前で内緒話とは随分失礼である。
「ああ、いや……別にそういうのでは。
あと総勢2名です。調味料は七味がないとかで。」
とりあえず素直に答えておく。敵意や悪意は…なさそうだ。多分…おそらく。きっと。
それを抜きにしても怪しいし胡散臭いが。
■春寺谷 れもな >
「こんちゃあ~~。調味料は…七味を忘れたのが痛恨の痛み…」
醤油味の芋煮に仕立てながら味見をする。しょっぱくない。大丈夫!
ことこと煮立つ鍋に、既に刻んである長ネギの便利パックをパサパサと放つ。
パーティか、デートか、という言葉に、れもなの何もわからない顔がさく裂する。
水鏡の言葉にも、顔見知りの記憶はないらしい。やはりわからない顔がキまった。
「……?」
静かに、おごそかに…首を、傾げている……。
■ルギウス > 「おや、七味ですか。
それならここに……」
袖から出てくるのは業務用七味の袋。
ただし、中身は自分で作ったオリジナル配合の七味である。
危ないものは使っていない。
「よろしければどうぞ」
にこりと笑い。
「……そこの貴方。こちらのレディがフリーズしたようなのですが電池が切れるかプログラムにバグでもありましたか?」
■春寺谷 れもな >
「七味!」
再起動した。
■水鏡 浬晶 >
「…………。」
なぜ七味を持っているのか。辛党なのか?マイ七味?
いやそれにしたってなぜ業務用の袋?なんか怪しい。
「……どうも。」
でも受け取る。ここで何か変な物が入っていても足が付きやすいしメリットがない。
そう判断した。吉と出るか凶と出るか。
「やっぱ知らないか……あー、お気になさらず。
えーっと、貴方誰です?校内で見たような気が…しないでもないんですけど。」
■春寺谷 れもな >
まったく気にしていないらしく、警戒する水鏡をよそにれもなはばんざーいと手をあげている。
でもとりあえず、海水で手を洗いに行こう。タオルで拭くだけでは、手につく脂を取り切れない。
2人が話しているのをよそに、とことこと波打ち際へいき、手を…波が…手を…波が……。
■ルギウス > 「趣味が料理でしてね。
凝ってしまい調合したオリジナルブレンドなんですよ、それ」
ははは と笑いながらも。
「ええ、宗教学なんかを教えています。“自由なる”ルギウスと申します。
カウンセリングなんかもやっていますよ。これでも神に仕える身ですので」
■水鏡 浬晶 >
「七味にオリジナルブレンドとかあるのか……まぁ、どうも。
おい春寺谷、お前もお礼」
なんか手を洗ってた。フリーダムすぎる。
「……気にしないでください。
宗教学ねぇ。俺の専攻じゃないな…まぁ、機会があればお願いしますよ、カウンセリング。
機会があればね。」
■春寺谷 れもな >
……洗えた!ずぶぬれは回避だ。
ご機嫌で戻って来て、汚れたタオルをバッグの中へしまいこむ。
トドメにウェットティッシュで手を拭い、一仕事終えた顔になっている。
ルギウスと水鏡を交互に見た。
「んぇ、あ!七味ありがとうございま~す!
…それで、誰だっけ。先生だっけ?それとも~、サングラス先輩?」
全然聞いて無かった証拠だ。