2020/07/11 のログ
■園刃 華霧 >
目の前に笑顔が咲く
穏やかというだけではない
その笑顔
慈母とも悲哀ともなんともつかない……その笑顔
「そっカ……」
全ての気持ちを一言に込めて、吐き出す。
ああ、もう
どいつもこいつも……
どいつもこいつも……っ
「はぁ……バッかみて …」
ぼそり、とつぶやく
本当に、クソッタレのお人好し共だ
なんて丸くなっちゃったことだろう
なんてぬるくなってしまったことだろう
ああ、もう……
「アー……ちょっと待っタ。
あトちょっとダケ、いいカい?」
通り過ぎるレイチェルに
背中越しに声をかける。
■レイチェル >
海を背に。
華霧を背に。
『あの日』を背に。
振り返らず。
歩き始めていたレイチェルは、彼女の声を聞けば立ち止まる。
「……何だよ?」
流れる金は、黒のリボンは、静かに揺れる。
静かな筈の波の音が、耳障りなくらいに辺りを包み込んだ。
■園刃 華霧 >
「こレで最後。
レイチェルちゃん、『あの日』から割ト無理シてルっしょ。
貴子ちゃん居なクなってサ。
……足りテないダろ?」
長い付き合いだからわかる、変化
詳細は知らない
知るわけがない
けれど、付き合いで想像もつくというもの
そして、それが意味するものも、よくわかっている。
だからこれは、蛇足
いや、たぶん冒涜といえるだろう
でも、それでも――
きっちりと着込んだ制服を緩める
無防備な肌が露出される
「……吸ってク?」
■レイチェル >
「ありがとな、華霧。本当に、ありがとな――」
空を見上げる。雲一つない青空が、そこには在った。
何の曇りも、そこにはありはしない。
ただ、風が吹き抜けるだけだ。
そこに、『あの日』の風は、吹いていない。
新しい風が、流れ行くだけだ。
背後では、着込んだ制服を緩める音がする。
ダンピールのレイチェルにとって、血は必要なものだ。
あれから何度意識を失いかけたか、分からない。
真剣な表情で、レイチェルに向かって言葉を放った医者の顔が脳裏を過る。
『あんた、何に成り果てるつもりかね……?』
男は、そう言っていた。
吸ってしまえば、楽になる。
吸ってしまえば、力も戻る。
吸ってしまえば、寿命だって伸びる。
甘えてしまえば。誘いに乗ってしまえば。
あの柔肌に、牙を突き立てさえすれば――
「――要らねぇや」
レイチェルは、振り向かない。
ただ、曇りも翳りもない透明な風だけが、二人の間を吹き抜けるだけだ。
■園刃 華霧 >
答えは、一言
ただ一言
それは、曇りなき空間に静かに響いた
「……そか。
うん。わかった」
二人の間を吹き抜けていく風は――
それは二人を分かつようでもあり
それは二人を包み込むかのようであり
ただ静かに流れていく
「じゃあな、レイチェルちゃん。
また」
見つめていた背中は振り返らない
振り返らないその背に、こちらも背を向けて
見ていようがいまいが
手をあげて、ひらひらと振る
………
……
…
ご案内:「浜辺」からレイチェルさんが去りました。
■園刃 華霧 >
「ァ―、クソ。
処分、しそコねた……」
悪態をつき、手元のカードを眺める。
――親愛なる友へ 佐伯貴子
「……クソ」
あぐり、と口を開けて
カードねじ込んだ。
ご案内:「浜辺」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に角鹿建悟さんが現れました。
■角鹿建悟 > 住宅街を抜けた先、開けた海辺と砂浜が銀色の瞳に映る。
この辺りには修理や復元の依頼で足を訪れた事もある――確か船の修繕の依頼だっただろうか?
ぼんやりとそんな事を思いながら、ゆっくりと砂浜に作業着姿で降り立つ――とはいえ、今日は珍しく非番だ。
「――やる事が無いと、どうにも時間を持て余すな…。」
趣味や生き甲斐が仕事に直結しているような生活なのでしょうがない。
友人や知人が少しずつ増えてきた今、変わりつつはあるが矢張り根っこはブレない。
――”直す事”が己の生き甲斐であり、やりたい事であり、やるべき事なのだ。
ザッ、ザッ、と安全靴で砂浜を踏みしめて歩く仏頂面の作業着少年。
ご案内:「浜辺」に紅月 純さんが現れました。
■紅月 純 > 「くぁ……」
こっち側には全然来ていなかったので、今度誰かさんと遊ぶ時の下見にやってきた。
とても綺麗な海で、泳ぎ甲斐がありそうだ。
「こっちは治安がいいなぁ……」
持ってきたバットなんかは役に立たなそうで。
何か面白いものがあればな、と砂浜を歩く。
■角鹿建悟 > 「―――?」
特に目的も無く、純粋に非番ゆえの時間を持て余して浜辺に来た男であるが。
視線をふと向けた先、歩いてくる男子に気付いて何気なくそちらに意識を向けるのだが。
(――何だ、あの真昼間から金属バットを持ち歩いている不良じみた不審者は)
と、至極見た目からしての印象を脳内でストレートに感想として漏らす。
口に出していないのが幸いといえば幸いかもしれないが…。
ともあれ、こちらもこちらで無表情がデフォルトで、体格もガッシリしているからあまり人の事は言えない。
もしかしたら、互いに視線がばっちり鉢合わせになったりするかもしれない。
距離としてはもうお互いの表情くらいは分かるくらいには近付いただろうか?
■紅月 純 > 「……あ゛?」
海のこと考えながら歩いていたら前から人が。
思ったより近くにいたのに気づかなかった。
(なんだ、あのカタブツ職人気質みてえな仏頂面は)
こっちはチンピラ顔なので人のことが言えない。
お互い、むすっとした顔で向き合っている状態に。
そして初対面なので沈黙。
「……よう」
このまま日が沈むまで睨み合いそうで、思わず声をかけた。
■角鹿建悟 > お互いが割と遠慮の無い第一印象だが…少なくとも、互いの外見的にはあながち間違いでもないのが困りモノか。
今更方向転換をするのもそれはそれでどうかと思うし、別に擦れ違うくらいなら問題ないだろう。
と、思っていたのだが…。
「――ああ、どうも。…そちらは……野球の練習か?」
結局、彼からの挨拶が先でこちらも答えるように仏頂面で会釈を。ついで、とばかりにバット?を持つ彼にそんな質問をしてみようか。
まぁ、そもそもバットもだが彼の手甲にもどう突っ込みを入れるべきか地味に悩んでいたのだが。
何はともあれ、会話が無いとお互いガンの飛ばしあいは不可避なので選択としては間違っていない、かもしれない。
■紅月 純 > 「野球……いや、野球か……?」
悪霊をボールにしてるのは間違いない。
「いや、まぁ、普段の活動に使ってる、っていう感じだな。
主に人とか殴ってる。
だがこっちは想定外に治安が良すぎて使いどころがねぇわ」
そんなこと言ってるからチンピラと言われる。
「お前はお前でそんな仕事着で何してるんだ?」
できるとしたら海の家の設営準備か?予定なしとは思っておらず。
■角鹿建悟 > 「…その金属バットは野球で使う目的じゃないのか?
…普段の活動で、主に人を殴るのに使っている……悪い事は言わないから風紀に出頭した方がいいぞアンタ」
と、真顔のまま一応そう自首を呼び掛けてみる。彼の装備と言動から完全に誤解しているようで。
チンピラどころか犯罪者扱いである。地味に酷い。
「…いや、これと制服とジャージしか手持ちが無いからだが?あと、一応は生活委員会の所属だ。
そこの傘下で修理や復元を専門にしたチーム、というか部隊?に属している」
今日は非番だけどな、と無表情のままで軽く肩を竦めてみたり。
■紅月 純 > 「あ゛?こいつは悪霊とか怪異とか専用だが?人相手じゃ隙だらけだわこんなん。
つーか殴ってるのも、人ん家の前で花火してるから黙らせてるだけだし」
歓楽街側のドンパチはある程度黙して。
出頭する気は全くない、と言わんばかりの。
「あ、生活委員会。いつもお世話になってます。
修理専門チームがあるのも驚いたが……服がそれだけってのが驚くな……」
軽く頭を下げて、服の少なさに半目になる。
「で、非番と。……暇人二人かぁ」
■角鹿建悟 > 「…俺はそっちには詳しくないんだが…悪霊とか怪異はバットで殴り倒せるものなのか?」
もしくは、バットに何か細工や機能でもあるのだろうか?退魔方面は生憎と知識が薄い。
そして、彼が黙っていれば当然初対面の男が彼の歓楽街側のドンパチを知る事も無く。
「――俺はただ直しているだけだし、先輩や同期に優秀なのは幾らでも居るぞ。
世話になってるとしたら、インフラ関係だと思うんだが…というか周りが”壊しすぎ”なんだ。
壊すことは別に俺は構わないが――壊したらきっちり直せと言いたいな。最低限のマナーだ」
そして、それが出来ないから自分たちみたいな集団が居るのだ。
とはいえ、この男の場合は狂気のレベルで直す事に全振りしているのだが。
ともあれ、軽く会釈を返しつつ半目で見られて不思議そうに―私服は別に無くてもそれはそれで、という感じらしい。
「――まぁ、そういう事もあるだろう。…俺は1年の角鹿建悟。さっき言ったように生活委員会に一応は所属となってる。そっちは?」
■紅月 純 > 「そういう加工をしてある、という感じだな。元いた世界の」
見るか、と前に出してみる。
ただの金属バットにしか見えないが、深く見れば、細かい傷にしか見えないものが記号のように合わさっているのがわかるだろう。
「壊しすぎは……何とも言えんな。俺以外のヤツのドンパチを知らねぇ。
お前あれか。壊れてるもの見ると直したくなるタイプか」
職人なやつ。おまけにジャンキーなやつ。前の世界でも一定数いたがこっちにもいるか。
「俺は紅月 純。そのうちなんか部活を作りてぇなぁって思ってる無所属。
……暇なら肉食いにいかね?何もなく海に来た男二人はなんかこう、シュール」
■角鹿建悟 > 「…ふむ、興味深いな…これは傷、ではなく…文字…いや、記号のようなものの集合体、か?」
彼がバットをこちらへと見せるようにしてくれれば、もっと近付いてそのバットを観察するように覗き込んだ。
最初はただの傷かと思ったが、それら細かい傷に見えたそれは一つ一つが何かの記号か文字の複合だ。
これに特殊な性質があるのだろうか、と思いつつ。
「――まぁ、否定はしないが少し訂正させて貰うなら…。
――どんな物でも俺は”必ず直す”。それが俺の信念で生き方だ」
きっぱりと、彼の目に視線を戻して真正面から言い切る。
必ず、というのは無理があるのは承知の上。それでも迷い無く言い切り、己の在り方を貫く生き様。
――角鹿建悟は直し屋である。
「…部活か。学生らしくていいと思うぞ。紅月が立ち上げたら見学くらいはさせて貰おうか」
と、無表情ながら彼の漠然とした思いは素直に応援しており。
見た目はこれだが、それなりに話は分かるタイプらしい…直す事に関してはそれこそ職人気質で頑固だが。
「……肉か。構わないが何を食いたいかによるな。ステーキ、焼肉、丼物、しゃぶしゃぶ、焼き鳥…」
と、羅列していたら腹の虫が鳴った。そういえば昼飯をまだ食べていなかった。
■紅月 純 > 「ま、そんなわけだ。
手甲の方は物理手加減と魔法触媒、魔法耐性特化の加工だな」
ある程度見せたら、バットを担ぎ直す。
「信念で生き方……なるほど。芯が通ってていいな。
俺は好きだぞそういうの」
一人の男友達を思い浮かべて。あいつと少し似てるなと。
「俺がやりてぇのは元の世界での生活を再現することなんだよな。
みんな誘って鍋やりてぇ。」
そんな話をしていたらこっちも腹が減ってきた。
端末を取り出し、最寄りのレストランを調べ、
「よし、ガッツリステーキでもいくか」
■角鹿建悟 > 「…成る程、俺の仕事は建築物や器物の修繕・復元だからそういう魔法の品も直した事があるが…中々面白いな」
当然、魔法の道具を直すのは相応の準備や技術が要るのだけれど。
信念については、そういう生き方をすると既に決めた以上、諸々の困難も既に覚悟完了済みだ。
「元の世界…異邦人だったか。まぁそれは別にいいとして。
元の世界の生活を再現、となると…割とこっちの世界に近いと見ていいのか、紅月の居た所は」
再現が望めるという事は、相応に近い文化や文明、世界観でなければまず無理だろうし。
彼は再現すること、と言っている以上は実現可能なラインなのだろう。
「鍋とかは悪くないな…うん、やるなら俺も手伝おう」
と、無表情ながら頷いたが初対面の相手の前で腹の虫を鳴かせるとはまだまだ未熟だ。
と、彼が端末でなにやら調べ始めれば、それが終わるまでは無表情のまま突っ立って待機中
「ステーキか…そうだな、じゃあ行くか。店の案内はそちらに任せる」
と、言いつつ野郎二人でステーキを食べに繰り出そうと。
ちなみに、道中で折角だから連絡先交換とかはしたかもしれない。
■紅月 純 > 「こっちの言葉で説明するなら、『大変容がない、異能魔法といったものが隠蔽されたままの世界』だからな。
手伝いも入部も歓迎だぞ。部員候補が一人しかいねぇし」
異能なしで色々やるのは新鮮かもしれないぞ?と笑う。
「おう、任された。まずはそこを右だな」
二人でしょうもない話に花を咲かせながら、ステーキを堪能したとか。
ご案内:「浜辺」から角鹿建悟さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から紅月 純さんが去りました。
ご案内:「浜辺」にテさんが現れました。
■テ > ピシャンと小さな音がして、妖精が現れる。
落第街で出会った風紀に委員会街まで案内してもらい。
機械に詳しい人にあたってみたものの、欲しい情報は得られなかった。
「あーあ……無駄骨か」
機械というものに興味を持って。
具体的に言うと、自分の世界にも魔導ゴーレムのようなものはあったが、
小型で便利そうな端末はかなり興味をそそったのである。
自分も頼めばもらえたのだが、この妖精の身体には大きすぎる。
だから、小さいものを作ろう、あるいは作ってもらおうとおもったのだが……うまくはいかなかった。
話を聞いてみれば、流れる電気の状態で切り替わる部品を板に貼り付け、それで計算を行う、という高度なものだった。
いくらプロセッサの小型化が進んだとは言え、限界というものが有る。
保存領域(ストレージ)、作業領域(メモリ)、演算装置(CPU)の3つを基本とする、
という情報までは得られたものの、自分が便利に使えるサイズまでの小型化は厳しいとの見解だった。
またしても"人間サイズ"に阻まれる。
■テ > 「ここは……海か」
海。塩分を始めとした多数ミネラルが含まれる水。
陸地以外の場所を占める空間。
自分が元いた所は内陸の国だったため、見ることはなかった。
あのまま勇者に付いて旅をしていれば、渡ることも有ったのかな。
なんて戻れない場所のことに思いを馳せる。
■テ > 砂浜に適当に落ちるように着地して、そのまま座る。
『はあ。人間様の役に立った所で、
妖精信仰なんてしてもらえないしなぁ』
人が居ないことを良いことに、自分の世界の言語で独り言を言う。
テが住んでいた世界は、妖精信仰という文化がある。
人々が妖精を信仰をすることで存在を強固にし、代わりに恩恵を授ける。
……いわば理。神……あるいはそれに類する存在だったのだ。
そんな存在が世界から追い出されてやってきた。
当然、妖精信仰なる文化はない。
普通の妖精であれば、存在がゆらいで霧散してしまうだろう。
テが未だ尚存在を保っている理由は、その"異能"にあるのだ。
■テ > 《記録者》。元いた世界でも異能扱いとされている。
自分が勇者であると認めた存在の行動や起こした出来事を体に記録することが出来る、というものだ。
身体にある紋様は、この異能によって記録されたものだ。
『……いつまで持つかな』
身体に記録として持っている"勇者"が妖精を信仰している。
それが彼女の存在を維持する、唯一のものだった。
体育座りで遠くを見ながら、不安な顔をする。
■テ > 信仰の対象である以上、マイナスに働くことは出来ない。
殺人、嘘、その他様々な悪徳。
困ったことに、悪い評価は妖精信仰を持たない者からでも
彼女の存在に影響を与える。
バレなければいいものの、バレてしまえばそれは存在に多大な影響を及ぼすだろう。
『はぁ……』
落第街で難癖つけてきた彼も、路地裏の目立たない場所で会ったなら、
こっそり消していたかもしれない。運のいいヤツめ。
■テ > この世界に、理解してくれるものは居るだろうか。
居たとして、妖精を信仰してくれるだろうか。
自分は居た世界で最初に信仰を得た妖精は、どう振る舞ったのだろう。
自分の知識にも、身体に刻まれた紋様にも、その情報はない。
『……』
夜の海を見る。
街は電気の力であんなに明るいと言うのに、
真っ暗になった水平線は自分の未来のようだ。
『……《非常食》』
何処からか木の実のような物を取り出し、一口だけ齧った。
■テ > 『見ていても憂鬱になるだけだね』
拠点に帰ろう。
すくと立ち上がり、独特な音を立てて飛翔する。
そして空中でポーズをとると、ピシャンと音がして、その場から消えた。
ご案内:「浜辺」からテさんが去りました。