2020/07/30 のログ
春寺谷 れもな >  
パンッパンである。
どこがと言えば、飲みこもうとしても飲みこむ勇気が1ミリ足りない頬が。
めちゃくちゃ笑ってるんですけど、目の前の人。
こんな辛いのぱくぱく食べてたのは、人としてヤバくないだろうか。
そう感じてしまうのは、辛いものが苦手な味覚のさがである。

「ん゛」

ひからびたモモンガのような動きでお冷を貰う。
美味しいけど辛い!無理!舌の先がびりびりした痛みでどこにいるか分からない。
ごくっと麻婆豆腐を飲みこみ、お冷で追い打ちをかける。

舌があった。よかった。


「なにわわっでんでしか………」

慌てて残り少ないチンジャオロースをかっこんだ。
まだ舌先が痛いせいか、これも辛く思える。騙された気持ちだ。

水鏡 浬晶 >  
完全に飲み込むタイミングを失って吊橋のド真ん中で立ち往生しているアレである。
残りの麻婆をひょいひょいと口に運んで手を合わせ、一頻り吹き出しそうになるのを堪えつつ、
最終的に大きなため息を吐いてなんとか飲み込んだ。

「……は~、面白かった……
 ありがとう、良いもん見れたわ。」

全く悪びれていないどころか、今でも若干思い出し笑いをしている。
辛くないわけではないが、そんなになるほど辛いかな……とも思っているあたり、
やはり味覚の違う人類種は決して分かり会えない運命(さだめ)なのかもしれない。

しかしこいつげっ歯類みたいな動きが多いな、というのが最後に抱いた感想だ。

「悪い、クッソ面白かったから。
 腹も一杯だし美味かったし良いもん見れたし、こりゃいい店だ……
 見た限りそんなにたかくもないしな。言い触らしたら人増えそうだな……」

春寺谷 れもな >  
「どういだじまぢで……」

褒められた(?)ので、返事はしておく。
しかしまだ笑われている気がする。なんでこの人は辛いの食べれるんだろう。
もしかして、特殊な訓練を受けてたりするんじゃなかろうか。
毎日七味をひと瓶舐めているだとか、そういうタイプの。

「最後のは特殊じゃない?
 わたしが辛いのといないと見れないやつ…」

流石にここのお店のオプションとして働きたくはない、という顔で水鏡を見た。
その横では、店員が食べ終わった皿を下げて杏仁豆腐を置いていく。
両手に収まる程度の椀に、白い湖がどーんと広がっている。
赤いしわくちゃの実はクコの実だ。決して、辛味に負けた者の末路が赤い実ではない。

辛い物でしわくちゃになったテンションも、杏仁豆腐でV字回復である。
もっちりぷるっとした白を口に運び、オアシスを得た顔になった。

「んん、杏仁豆腐も美味しい~~~。美味しい中華屋さん探してる人にオススメできる…」

水鏡 浬晶 >  
そういえば、自分が辛いものを食べれるようになったのはいつからだったか。
昔は味の濃いものと言えば、甘いものと塩気のあるもの……だったが。
子供舌というのは、自覚のないうちに消えているものなのだろうか。
少なくとも、目の前の人物からは消えていないようだ。

「何だ、設置してマスコットにでもしてもらえばいいじゃん。
 ……冗談だよ。あぁ、今度来る時は杏仁食おうかな……
 お冷だと後味が消えるから最後に一味欲しいんだよな。」

流石に分けてもらおうなんてことはしない。先輩だしね。
それでも目の前でこれだけ美味そうに食っている姿を見れば、食いたくなるのが人情だ。
だが影響されて食いたくなった等とは言えない。先輩だしね。

「……うし、すんませ~んお会計お願いしま~す。
 …え?いや、俺が食ったのは麻婆とエビチリ……いやホントに……
 アイツに会計押し付けとかじゃなくて……
 いや何何何、だから彼女でもないっていうかアイツが全部食って……
 はい はい そうです。そうです……」

……なんかちょっと揉めていたようだが、会計に成功したようだ。

春寺谷 れもな >  
杏仁豆腐に関しては、ぱくぱくと食べながら「じゃあまた今度来た時だね!」と返した。
また引きずってくる気はあるらしい。

「……???」

水鏡がお会計を済ませたら自分も~と思っていたら、なんかもめている。
こっち指さしたり料理指さしたり、何か忙しそうだ。
めちゃくちゃ食べたのはこちらの学生で間違って無いです。

「何話してたの???」

自分が食べた分の会計をし終えた後に、何でお店の人に絡まれてるの?くらいの顔で見上げた。

水鏡 浬晶 >  
「何でもない。さっさと会計済ませてこい……」

どうして綺麗に美味しかったね、また来ようねで終わらせてくれないのか……
人生とはかくも切なく世知辛いものなのか。
靴に小石も挟まったし。

「……フー。」

空を見上げれば、嫌味なほどに低い雲が広がっている。
これは一雨来そうだな、どうせ傘を貸せとか言い出すんだろうな。
そんな事を予見しながら、後ろで春寺谷の会計が終わるのをぼんやりと待つのであった。

春寺谷 れもな >  
「せーーんぱーーーい、雨降りそうだからばーーっていこ!ばーーって!!」

食べた直後にこれである。
小動物は食べた直後でも移動が出来る。元気いっぱいだ。

傘が無かったら水鏡の異能を頼る気満々の眼が、曇天に光る。

水鏡 浬晶 >  
「横っ腹痛くなるからヤダ。」

どうせ自分は濡れないし、と思っている。
それでもなおその袖を引っ張られたりして、結局走ることになるのであった。

その後、引き起こされた腹痛で食事に行く前より若干げんなりしながら帰ることになるのは、また別の話。

ご案内:「異邦人街 - 中華飯店」から水鏡 浬晶さんが去りました。
ご案内:「異邦人街 - 中華飯店」から春寺谷 れもなさんが去りました。