2021/12/10 のログ
ご案内:「聖セサンタエル教会 常世支部」にシンシャさんが現れました。
ご案内:「聖セサンタエル教会 常世支部」にアガートさんが現れました。
シンシャ >  
ここは異邦人街、宗教施設群、その一画。
白を基調とした、よくある教会の見た目をしている。

目立つのはそんな白を貫くような赤いシンボルマーク。
陽に星が降り、そこの蛇が絡みつく。


──聖セサンタエル教会。


最近この常世島に新たに支部が設立された。
神父たちが生活しているのが見られるようになり、
教会住み込みの信者たちがちらほらと学園に通い始めた。

邪とされることの多い蛇を、彼らは神聖と崇めている。

しかしここは常世島、異の認められる場所。

正規的な手順さえ踏んでいれば、
何を崇めようと、そう咎められることはない。


 
「子供達、そろそろ寝る準備を始めましょうか。」

教会の庭、1人の長身の男性が信者たちに声をかける。

長髪の白髪に赤いメッシュが寒空の夜風で揺れる。
黒い神父服に肩掛けの赤いストラ。

腕や首に一匹、赤眼の白蛇が這っていた。

アガート >  
教会の鉄の門扉が、キと小さな音を立てて開く。
そこに立っていたのは、灰色の髪を高めに結った男だ。
首元に太く白いマフラーを巻き、黒いチェスターコートを羽織っているのが、暗がりながらも分かる。
男は後ろ手に扉を閉めて閂をかけると、庭先にいるシンシャに向かって手を広げた。

「おや、庭先にいたのですね。
 パパのお帰りですよ!子供たちはもう寝ましたか?」

陽気な口調である。
とはいえ、決して酔っているわけではない。
この男はこれが通常運営だ。

シンシャ >  
アガートの柔らかくも良く響く声が聞こえれば、
そちらを見てにこりと男は微笑む。

二人の男の背丈はちょうど同じぐらいと言った所。
まぁ靴とアガートの高結の髪で多少差異は出るだろうが。


「あぁ、おかえりなさいパパ。

 今夜風に当たっていた子供を呼び戻した所で…、
 他の子供たちは、そろそろベッドに入ったかと。」

アガートの陽気さに、落ち着いた声でそう言って歩み寄る。
良かったら後でおやすみの挨拶だけでも、と。

肩から首にかけて白蛇が這いあがり、
男の顔横でそれも彼を出迎えた。

「こちらに来てから少し…。
 学園の面倒な申請関係は粗方片付いてきましたね。

 今日はどちらまで?
 私もそのうち此処の地理は頭に入れないとですが。」

アガート >  
「じゃあまだ、起きている子も多いでしょうね。
 …ああほら足はちゃんと拭いて。はい、ただいま。残念ですが口に入るお土産はありませんよ。
 耳に入るお土産ならばわんさとありますけれど、お土産をひもとくと朝になってしまいますからね~」

そこまで長い土産話があるかはさておき。
シンシャに話をしながらも、その途中で夜風からベッドへと向かう子供たちに手を振る。
子供といっても、シンシャやアガートの実子ではない。
全ては、教会に属する<信者/子供>である。

シンシャの白蛇が顔をもたげると、アガートのマフラーから別の白蛇が顔を出した。
人がただいまと言うように、この蛇もまた舌をちろりとのぞかせる。

「そうですねえ。
 子供たちの勉学の場としても有り難い場所でしたからね。
 冬休みとかぶるそうなので、彼らがちゃんと通えるのは年明けも落ち着いた頃でしょう」

今日はどこにと言われると、笑顔で


「ええ、手続きや挨拶回りを終えてからは、
 宗教黒歴史ポエム会というところに顔をだしておりました」


こう答えたのであった。

シンシャ >  
子供と称される彼ら彼女ら。
しかして年齢層は統一されている訳ではない。
子供というには大きすぎるのも、幼なすぎるのも居た。

唯一共通点があるとすれば、彼ら神父も含め、

 "皆が赤い眼をしている"

ということだった。


「ふふ、パパのお土産は、私が先にいただいてしまいましょうか?」

なんて信者に冗談じみて零す。
ころりと笑えば、傍らの蛇が頬擦りをした。


「彼らも冬の間に島に馴染むでしょう。
 お友達が出来るのは、少し先延ばしになるかもしれませんが…。
 ある意味、この時期で良かったのではと。

 賑やかな所だとは思いますが、その分色々と楽そうです。
 "彼女"たちも、偏見なく過ごしやすいでしょう。」

ちらりと門の外を見やれば、異邦人の街。
住んでいる住人がそれぞれ己の住みやすいように場を作っている。

異が異であると認められた場所。


「まだ残っている手続きが……──。
 なんですかその、そんなのあるんですね…?

 聖句を作ろうとして間違えたとかそういうのです?」