2020/06/22 のログ
山本 英治 >  
「良い名前だな……あんたの親父さんは、良い父親なのだろうな」

勘当されても。両親に感謝する気持ちを忘れたことはない。
あまり喋ると彼の集中を切るだろうか。
喋る頻度を減らしながら、要点を押さえた喋り方をするよう心がけた。

「はは…………そう言われちゃ護衛に手は抜けないな」

壊す事には、意味がある。
だが殺す事となると、難しくなる。
俺はアーヴァリティに勝っていたら、彼女を殺していただろうか。
正体不明の怪物を、この手で。
それは正義であっても、善ではない気がした。

一枚、一枚。書類を書き終える。
復元する力。それを目の当たりにすることは。
この世界にまだ、取り返しのつくことがあると信じさせてくれる気がした。

角鹿建悟 > 「――親父は…そうだな、良い父親だと思うよ。」

一瞬、修復する男の手がぴたり、と止まるが…何事も無かったかのように同意する。
会話をしながら修復作業は一切手抜きはしない。まぁ、集中は多少殺がれるのは事実。
だが、語るべき言葉を語り、聞くべき事を聞くのは当たり前の事だろう。
それを捨て去るほどにバカではないつもりだし、同時に修復も全力だ。

「――とはいえ、怪我の身なんだから無理は禁物…と、まぁ俺が言ってもアンタは無茶しそうだが。」

何となくそんな気がする。それに、彼には彼なりの譲れない思いや矜持というものがあるだろうから。
そして、男にとって殺す・殺されるなんてご大層で血生臭い事は答えようが無い。
誰だって――自分だって。死ぬ時は必ず死ぬのだから。

「―――これで10…あと3つか。…山本、書類の方は大丈夫か?もし、何か穴があったら言ってくれ。
流石に手抜きをして後で文句を言われる、なんて事にはなりたくないからな」

と、肩を一度竦めて魅せる。その顔は汗が滴り落ちており、能力で疲弊しているのが分かるだろうか。

山本 英治 >  
「そうか……」

どうして俺は今、会ったばかりの男が親と良い関係を築けていることが嬉しいのだろう。
わからない。ただ、そうあってほしいと願っているのかも知れない。
分かり合えることは素晴らしいが、分かり合っていることはより良い。

「頑丈なんだ……先祖に岩がいてな。それも巨岩なんだよ」

腹部を貫いた触手の傷。打ち身。擦過傷。
魔術的処置が適切に行なわれなければ、今も入院中だったろう。
それでも。体を動かしていないと不安でどうにかなりそうだ。

「今のところ、問題はない……一つを除いてな」

歩み寄って、個包装の塩分タブレットを幾つか差し出す。
グレープフルーツ味だ。

「あんたは疲労している、休憩とミネラルを取れ」
「もう暑いからな……」

夏の風がアフロを揺らした。
仕事は順調で、気持ちの良い男と話しているのに。
どうしてだろう、息がしづらい……と感じた。

角鹿建悟 > 「――先祖に岩、とはまた豪快なもんだな。…うちはただの宮大工ってだけで、そういうのは無いからな」

異能を持って生まれたのも、近親者では自分だけだ。父も母も、祖父母も親類も能力は持っていない。
だから、昔から疑問に思っていた――何で”俺だけ仲間外れ”なのかと。
――つまらない事を思い出してしまった。いまや実家とは縁を切っているのだ。

「――そうか。だが、そのたった一つの問題がデカい…そう言っている様にも聞こえるが?」

彼の悩みは彼にしか解決できない。聞く事も助言する事も出来なくはないが。
きっと、自分よりもっと的確に、彼を導ける存在が居る事だろう。
――もう一度改めて言おう。俺には直す事しか出来ないのだ。

「――ああ、悪い。…そうだな、適度な休憩は大事だ」

素直に彼が差し出してくれた個包装のタブレットを受け取り、早速破いて口に放り込みつつ。
何気なくその銀色の瞳が山本を見据える。…緩く首を傾げながら。

「――勘違いなら悪いが…アンタ、どこか”息苦しそう”だぞ。」

根拠も何も無い。ただ、そんな気がしたからふと問い掛けただけの他愛も無いもの。

山本 英治 >  
「宮大工か……大事な仕事だ」

常世にも神がいる。神社だ。
その仕事もまた、彼らの堅実な作業の積み重ねなのだろう。

「あんたに倒れられたら、俺が背負って帰らないといけなくなるからな…シリアスプロブレムさ」
「俺の背中はレディー専用だ」

息苦しそう、と言われると。
バツが悪そうに視線を下げて。

「この建物を壊したのは、怪物だ」
「俺はその怪物と交戦している」
「負けて、怪我して、取り逃がしたが……」

「勝っていれば……ここで惨劇が起きることもなかったのにな、って…」

首を左右に振って。

「俺も休憩が必要らしい。休暇かな……」

角鹿建悟 > 「――そうかもしれないな」

大事な仕事だ。それでも――自分はそれを捨ててここに一人来た。
だからこそ、決めたのだ――この力を使って直すと。絶対に直すんだと。
タブレットをガリッと、噛み砕いてしまったのは、無意識に力が入ってしまったせいか。

「―――確かに、野郎を背負っても面白くないだろうな」

意外と冗談は解するのか、肩を竦めて淡く苦笑を浮かべる。
とはいえ、また何時もの仏頂面に戻ってしまうのだけれども。
しかし、彼の”息苦しさ”の原因を吐露されれば、少しの沈黙を挟んで…彼へと歩み寄る。

「――アホかオマエは。勝ち負けとか関係ない。
負けた?なら次に勝てるように頑張れ。オマエはまだ生きている。
取り逃がした?なら、次は必ず捕まえられるように努力しろ。出来る事を自分なりにやれ。
――壊してしまったなら俺たちに…俺に言え。どんな物だって俺が必ず直す。
それにな―――」

そこで、肩を竦めてからこう告げようか。

「俺は”落第街を直す男”になるんだ…このくらい大した事はない。
壊すなら上等、むしろやるならやれ。後始末なんて俺たちがきっちりやってやる。
その為に俺たちが居て…その為に俺が居る。角鹿建悟の底力を見せてやるよ」

山本 英治 >  
「だろ? 建悟、あんたも良い体躯をしている、そういうロマンは追求したほうがいい」

冗談を交えて笑って。
歩み寄られると、眉根を顰めた。
が。

「次………?」

アーヴァリティも口にしていた。
次。次なんてあるのか……そう思っていた、破損した心を。
今、直された気がした。

「……あんたモテるだろ?」

鼻の頭を擦って。

「いや、悪い。茶化す気はなかった……」
「次は勝つよ、研鑽を積む……心も鍛える」
「落第街を直す男か……それは、きっと良い未来に繋がるんだろうな…」

「応援させてくれ、建悟。お前の夢を……」

それから作業が再開し、終わるまで色んなことを話した。
建悟は愚直に、真っ直ぐな……俺に響く言葉をぶつけてきて。
それがどれだけ救いになったか。俺はその日、彼と別れるまで語ることはしなかった。

また太陽は昇る。だから、俺は。

角鹿建悟 > 「……いや、俺はそういうのに縁が無いんだが。あと、仕事もあるし」

真顔。否、この男も一人の男子だから、そっち方面に関心がゼロではない。
…ないのだが、優先順位が修復なのでそういうのとはどうしても縁遠い。
…あと、無表情ワイルド顔なので、むしろ不良とかと同類と思われ易い。

「次だ。次が無い…と、アンタが思うなら俺にはどうしようもないが。
まだ、次が目指せるなら目指すべきだ。自分のペースでいい。無理しても良くないからな」

と、そこは一応注意をしておくが…モテる、という言葉に目をやや半眼にして。

「あのな、俺はそういうのとは縁遠いんだよ。こんな仕事一筋みたいなバカを好いてくれる女がいるもんか」

それに、モテたとしてもそれはそれ。自分がやるべき事も目指すべき道も揺るがないのだから。
…いや、何でこんな話になったんだ。まだ3棟修復作業が残っているのに。
どのみち、モテるモテないとかそういうのより、まずは仕事をきっちりこなそう。
親方やチームの名前に傷を付けるわけにもいかないし、何より自分が納得できない。

「――未来なんて大層なもんじゃない。ちょっとした”依頼”でな。
いざ、そういう時が来たら落第街を直してくれと…そう言われた。
だから、俺はその依頼を必ず達成してみせる。それだけだ…ただのつまらない意地だよ」

そう、依頼であり約束だ。破る事は許されないし破るつもりも無い。
独善的、狂人、破綻者…そう言われた事もあるが。ああ、構わないと。
その程度で揺らいで折れる覚悟なら最初から俺はこうしてここに立っていない。

「まぁ、そういう訳で夢は大袈裟だ。ただの俺の矜持と覚悟だよ、山本」

苦笑を淡く浮かべながら、さて…そろそろ再開しよう。あまり長引かせてもまずい。
その後も、ぽつりぽつりと会話をしながら修復作業をきっちり終えて。
帰りも安全圏までは取り合えず護衛して貰いつつ、また何処かで、と告げて別れるだろう。

「―――未来、夢…か。そういうのじゃなくて…ほんと、ただの小僧のなけなしの意地なんだけどな」

そういう言葉は眩しすぎる。そう、思いながら男も報告を終えてから直帰しよう。

ご案内:「崩落した家屋群」から角鹿建悟さんが去りました。
ご案内:「崩落した家屋群」から山本 英治さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にシスター・アリアさんが現れました。
シスター・アリア > 「今日もぉ、いい、天気ですねぇ〜」

ニコニコ笑みを浮かびながら大通りの廃教会を掃除している一人のシスター、落第街には滅多に見ない光景である。

ご案内:「落第街大通り」に松葉 雷覇さんが現れました。
松葉 雷覇 > 落第街大通り、廃教会へと歩く影一つ。
優雅な足取りで歩く白い背広の男だ。
スラムの雰囲気とはかけ離れた、明らかに場違いな空気を身に纏っている。
口元に小さく笑みを浮かべており
掃除中のシスターへと自ら近づき、軽く手を振って会釈した。

「どうも、精が出ますねぇ。働き者のシスター様。」

シスター・アリア > 「あらあらぁ、おはようございますぅ」

ぺこり、と頭を下げる、そうするとこう、揺れた

「そうですねぇ、今日も神様が見ていてくれますからぁ、働きませんとぉ」

松葉 雷覇 > 「ええ、おはようございます。」

朝の陽気にも負けない爽やかな笑顔で挨拶を返した。
実際良く揺れるお胸であるが、男は特に気にした様子もない。
せっかく揺れているし、一瞥程度はしただろう。

「成る程、神様が見てくれているのですか。それはそれは、大変ですねぇ。
 見守っていてくださるならいいのですが、厳しい神様だと、サボったら怒髪天が昇りそうで……。
 貴女が信仰する神様はどうでしょうか?私にナンパされて、お茶をする程度は許してくださるでしょうか?」

笑顔のまま平然と宣った。
穏やかな言動とは裏腹に、中々大体な事を言う。

シスター・アリア > 「あらあら?そぉですねぇ、私の神様は親切は断るなって言う神様ですので〜」

案外付き合いが良い、ある意味落第街でシスターなんかやっているから、強かなのだろうか?

「片付けてしまいますね〜」
掃除道具を片隅に置いて、たったと走ってあわわと転びそうによたよたと

松葉 雷覇 > 「中々気前のいい神様で助かりました。私は天罰を受ける事はなさそうです。」

本気で言っているのかはわからない。
男の笑みは変わらず、静かな足取りのままシスターへと近寄る。
そして、抵抗をしなければよたよたと転びそうになったところを
そっと両手を添えるように支えようとするだろう。

「まぁまぁ、そう慌てずに。私もお手伝いくらいはしましょうか?
 私、フィールドワークもやるような科学者でして、体力には自信がありましてねぇ。
 掃除の方はてんでダメで、自室は散らかりっぱなしなんですけどね。」

ハハハ、ジョークを一つ。

シスター・アリア > 「わ、すいません〜、ちょっと慌ててしまって」

支えて貰いながら、腕の中で、すいません、と、謝って

「お部屋は片付けないと、メっですょぉ?」

離れてからびっ、と指差してお説教ではないけれど、真面目なのだろう

松葉 雷覇 > 「急がば回れ、などと言いますしねぇ。人間マイペースが一番ですよ?
 特に、この辺りは治安も宜しくないので、貴女の柔肌に傷がついては大変です。お気を付けください?」

支えれば自らゆっくりと離れて
悪戯っぽく笑ってキザにウィンク一つ。
しかし、咎められれば笑みに苦いものが混じった。
申し訳ありません、と肩を竦めた。

「如何にも職業上、散らかっている方が集中出来てしまいまして……。
 丁度、行きすがらに良い茶葉を手に入れたのですが、それで一つ手打ちにしてもらえませんか?」

男が右手を空にかざし、左手でパチンッ、と指を鳴らした。
すると、まるで手品のように紙袋がトン、と右手の上に現れるだろう。

「御覧の通り、種も仕掛けもございません。葉っぱはありますけどね?」

シスター・アリア > 「私は〜マイペースだとぉ、言われますょぉ?」

ぼややん、この子大丈夫か?と逆に不安にはなるが

「わあ、すごいです、手品でしょうか?」

華のような笑みを浮かべてパチパチと拍手を

松葉 雷覇 > 「確かにマイペースと言われればそうですねぇ。敢えて言葉を選ばないなら……そう、"鈍臭い"と言う言葉は良く似合うと思います。」

笑顔を崩さず言ってのけた。
返って辛辣さは感じるが、柔らかい物腰は崩さず言葉を続ける。

「いやはや、でも良いんじゃないですか?そう言うのは、男からしたら"守ってあげたくなる"女性ですし
 何より、その豊満な肉体は男好きにさせるものかと。
 あ、誘っているなら別ですけどね?余計な口をはさんでしまう事になりますし。」

マイペース、と言う意味ではこの男も変わらない。
口からペラペラ、ストレートな言葉が若干の悪意が混じって漏れていく。
悪びれるそぶりも一切なく、殴られてもおかしくない。

「ええ、手品です。喝采の拍手、ありがとうございます。
 どうですか?宜しければ、一杯淹れて差し上げますが……
 些か、此処では施設が乏しいですかね?」

何せ廃墟だ。
まともなインフラが生きているかは怪しい所だ。

シスター・アリア > 「あらあら、良く言われますぅ〜」

皮肉が通じないと言うか、こう、痛痒にも感じていないと言うか

「誘って?私は〜つもりは、無いんですけどぉ、良く言われますねぇ、ごめんなさいですね?」

何というか、マイペースだ

「お湯ぐらいなら沸かせますょぉ〜、どうぞ、狭苦しい所ですがあ」

教会へと促す、ひび割れたステンドグラス、床板は朽ちていて、生活できているか怪しいレベルではある

松葉 雷覇 > 「ははは、よく言われるのですか。それは失礼。
 よくよく貴女は、世話を焼かれる方のようだ。
 流石は人々に愛されるシスター様だ。」

マイペースと言う言葉に偽りはないらしい。
表面上だけで言うのであれば、人畜無害というか
"食えない"雰囲気は感じる。

そのまま促されるままに教会へと入り込むと、周囲を一瞥。

「見た目通りですねぇ。生活出来るのも、神のおかげ……ですか?」

外から見た通りの廃墟。
野宿するなら十分すぎるが
此処で毎日生活するとなると自分は勘弁だ。
困ったように首を傾けて、軽くお手上げポーズ。

「ああ、どうぞ。お構いなく。お湯さえあれば、此方がお茶を淹れますので。
 ……ストレートがお好みですか?砂糖は?レモンもありますよ。」

シスター・アリア > 「皆さん非才の身に良くして頂けます、これも神さまの導きですぅ」

祈りを捧げるその姿は、絵画の一枚絵の様にも見え、銀髪がキラキラと、差し込む光に映え。

「はい、少しお待ち下さいねえ」

雨水を溜めたタンクから水を移し、簡易ガスコンロでお湯を沸かして、ポットに入れて手渡し

「紅茶は良くわからないので、お勧めでぇ、お願いします」

感謝を、と呟いて

松葉 雷覇 > シスターの言葉にゆっくり首を横に振った。

「ははは、非才なんてとんでもない。人に愛されるのも、立派な才能です。
 気に掛けられる事もなければ、愛されることも無いでしょう。」

それこそ世間は残酷だ。
才能も無いものには見向きもしない。
特にこの落第街では、力が無いものは蹴落とされるだけの吹き溜まり。
彼女が此処に入れるのは、何かしらの"才能"がある事は男は予測している。

「丁度、祈る姿もお美しい。」

お世辞を一つ。
ポットを手渡されると、人差し指を立てて緩く円を描いた。
すると、独りでに紙袋が開き、茶葉がパックへと詰められていく。
それこそまさに手品のように、何もない宙で下ごしらえをされていき
ポットの中へとゆっくり投入された。
実際は種も仕掛けもある、重力操作の異能だ。

「わかりました。では、ストレートにしましょう。ティーカップは此方でご用意しましょうか?」

シスター・アリア > 「だとしたらぁ、私も微力ですがお役に立っていますねえ、良かったです」

にこぉ、と微笑む。

「あらあら、貴方様もカッコ良いですよ〜、手品師さんですか?」

異能を見ながらも、なんか暖簾に腕押しというか、イマイチ掴みどころが無いというか

「申し訳ないですが、お願いします〜、コップが一人分しかありませんので」

しゅん、と申し訳無さげに

松葉 雷覇 > 「少なくとも、そう言う事なんでしょうねぇ。此の様は吹き溜まりには、貴女の慈愛を求めてくるのでしょう。
 心の支えにもなっているのでしょうねぇ。」

当然お世辞ではあるが、強ち間違いでもない推察だとは思っている。
人間、藁にもすがりたく成れば、例え廃墟でもなんでも
そこに輝く"光"によって来るものだ。
灯蛾の如く、そのまま燃え尽きるか夜明けを迎えるかは、当人次第。

「ただの科学者ですよ。此れは、私の異能のちょっとした応用です。」

パチンッ、指を鳴らせば綺麗な装飾をしたティーカップが
ソーサーに乗った状態で出てきた。

「遠慮せずに、其方も綺麗なカップでどうぞ。……ああ、そう言えばお名前を伺っておりませんでしたねぇ。
 私は松葉 雷覇(まつば らいは)と申します。此の島にいる、しがない科学者の一人です。」

シスター・アリア > 「遍く神の愛を平等にお伝えしているだけですよぉ」

何でもない事のように、ころころと笑う

「私も異能は、ありますが〜怪我人にしかお使い出来ませんので〜」

落第街なら怪我人は多いだろう、彼女が生きている理由もそこにあるのだろうと解る

「ご丁寧に、ありがとうございます、私はアリア、シスター・アリアとお呼びください」

祈りながら受け取る

松葉 雷覇 > 「"平等"を説くことの難しさをご存じですか?
 普遍性へを説くことの難しさ。おめでとうございます。
 貴女は信徒として、とても良い信仰心を持っているようです。」

軽く拍手したのち、ティーカップに紅茶を注いでゆく。
所謂ストレートティー。
飲めば口の中でほのかな甘みと透き通るような茶葉の上品な香りが口に広がるだろう。

「治癒能力ですか。いやいや、慈愛溢れる貴女にはとてもお似合いだと思いますよ?
 私でしたら、闇医者くらいはやって一儲けする所ですけどね。シスター・アリア。」

シスター・アリア > 「難しいと私も、思いますがぁ、やらない善意より、やる善意ですょぉ」

むん、とやる気を出しているらしいポーズを

「美味しいです、出会いに感謝を、雷覇様、ありがとうございます」

「ええ、ただ非才の身には折れた程度ならば治せますが、それ以上は、難しいですねぇ、私は私のできる最大限を〜しているだけです〜」
御馳走様です、とカップを空にして

松葉 雷覇 > 「それには一理ありますね。ええ、自分に出来る事を最大限に行う。
 とても効率的な行動だと思いますよ。」

自らの領分を弁え、身の丈に沿わない事はせず
出来る事を最大限に生かす。
彼女が愛される理由の一つかもしれない。
尤も、それ以外にも色々ありそうだが
男は藪蛇を突く程野暮では無かった。

「いえいえ、ちょっとしたおすそ分け程度です。"アナタ"のお口に合うかはわかりませんが……合うようでしたら何よりです。
 さて、そろそろ此方もお暇させて頂きましょう。色々とお仕事が溜まっていまして……またお邪魔させて頂きますね?シスター・アリア。」

最期の最期まで、男は笑みを崩す事は無かった。
ただ、レンズの奥。何時までもずっと、底を見るような深い眼差しには気付けるかもしれない。
軽い会釈をすれば、男はそのまま踵を返し立ち去るつもりだ。

シスター・アリア > 「いえいえ、ありがとうございましたぁ」

此方もぺこり、と盛大に頭を下げて立ち去るのを完全に見送ってから

「オイオイ気づいた訳でもねーのに観察されてたナア、なんだ?変なトコでもあったか?チッ、まあいいや、重力操作、ちいと惜しいが今回はいいだろう」

ノイズ混じりの雑音で、同じ人物とは思えない声を出し
その影は、おぞましい化け物で、あった。

ご案内:「落第街大通り」から松葉 雷覇さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からシスター・アリアさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に紅月 純さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に咲坂くるみさんが現れました。
紅月 純 > 「だらっ、しゃあオラァァ!!!」

落第街大通り。治安はそれなりに悪くチンピラも多い場所。
そこを少し横に入った場所で破壊音。

この間からやけにチンピラに絡まれてるから大元を潰そうとして、
建物の裏で大乱闘している。

「ここ最近のこいつら、いつにも増して話を聞かねぇ!!なんなんだ全く!!」

殺してはいないが道の先には死屍累々のチンピラ。
ほとんど八つ当たりに近い。

咲坂くるみ > 大通り、巡回中。
喧騒の気配。
見れば大立ち回りがおこなわれている。

たん。

チンピラ風情なので、足を撃ち抜く威嚇射撃。

「これ、警告ね。
 撃たれたくなければ解散」

たん。

即座にやめない輩に一発。

たん。

抗議の声をあげたものに一発。

紅月 純 > 「あ゛!?――――ばっ」

新手が来たと思ったらチンピラ共の足を打ち抜きやがった。
いきなり現れて何を。……警告?

バットを振りかぶったまま硬直してたら俺を殴ろうとしたヤツが撃たれ、周りで騒いでたヤツも撃たれてた。

銃という恐怖に皆逃げ回り、残ってるのは俺と倒れたヤツらとその少女だけで。

(バカじゃねーの……何もんだ、こいつ)

咲坂くるみ > 「公安だけど……まだやる?」

バットを持ったまま、最後まで残った彼に銃を向けて。
戦闘継続のつもりはなさそうだけど。

基本的に、こういう喧嘩を何故やめないかといえば、迷惑をかけているという意識がないから。
なので、迷惑をわからせればいい。
とりわけ、直接的な痛みはわかりやすい。

それだけのこと。

明るく笑顔で、爽やかに。
……ああ、嫌な女だな私。

紅月 純 > 「公安?……あー」

そういやそういう組織あったんだなぁ、と。
風紀も含め全く遭遇しないから頭から抜け落ちてたわ。

銃を向けられているのでゆっくりバットを降ろす。
やけにガツンという音が響いた。

「えーと……帰ればいいのか」

ここに来てからこういうタイプは初めてで、滅茶苦茶やりづらい。
自分でも顔が険しいのがわかってしまう。

咲坂くるみ > 「別に。
 暴れなければ特に気にしないでいいと思うけど」

ああ、これ、フォーの報告にあった男か。
なにがいいんだか……まあ、いいんでしょうね。

暴れないのであれば、これ以上どうということもない。
銃を下ろす。

あからさまに嫌な顔をされるのを見て、にこやかに微笑む。

「ご協力感謝します」

紅月 純 > 「そいつはよかった。面倒の積み重ねはマジで勘弁」

何がどうしてここまで巻き込まれたのやら。
ため息が出てしまう。

立ち去ろうか、と足を浮かせて……また同じ場所を踏む。

(なんだろう。態度とか笑い方に既視感が)

つい彼女の全身を見ようとして。

咲坂くるみ > 全身に、特にどうということはない。
見た目でわかるくらいに魅力的な肢体だというのはすぐに分かるが。

「……なにか?」

にこやかに声に出して、理解した。

ああ、これすこしフォーに嫉妬してるのかもね。
自分だって、せれながいるっていうのに。

なんだこのクソみたいな独占欲。
フォーが幸せになるならそれでいいじゃない。

なのに。
……ただ幸せになるというのも気に入らない。
ああ、本当に嫌なAIだな私。
反吐が出る。

紅月 純 > 「いや、なんでも……」

ない、と言おうとして、服の作りとか、目で見てわかる各部位が知り合いに似てて。

「……フォーの同類か何かか?」

そういや体はこっちで作ったやつとか言ってた。だからつい聞いてしまって。

咲坂くるみ > 「……!」

なにか落ち度はあったろうか。
おそらくは無い。
となるとパーツ類か、公安というところか。

嘘を付く理由もない。

「ええ、まあ」

でもなんで?
と言った顔をしておく。

ああクソ、やめろ関わるな。
フォーを不幸にするだけじゃないか。

ただ、同類、という話が出るということは、素性をそれなりに知られてるということだ。
フォーの奴め。
ベッドで再調整の必要があるかもしれない。

紅月 純 > 「あーいや、見た目が似てたから気になっただけでよ」

どこを見て言ったかはともかく。
同じアンドロイドだということを肯定されたので。

「同類なら聞きたい。お前は公安なのはわかった。が、なんでフォーはポンコツなチンピラみたいなことになってんだ……?」

そちらの事情を知らないのが丸出しだった。

咲坂くるみ > 「そう」

悪い印象は持たれてないみたいなのは、いい。
人は好意の量で態度が決まるから。

「……あれは本人の自由にさせているので」

もともと、特に管理義務があるわけでもなければ、指定があるわけでもない。
姉妹の行動については基本的に自由裁量に任されている。

ただ……役に立たなくなれば捨てられるかもしれない。
という恐怖はいつだって拭えないが。

そういう意味で、フォーは少々危なかっかしいところではある。
なにせ、ボディをまともに扱えていないので。

「なにか問題でも?」

そして親切めかして、聞かなくていいことをにこやかに口にしてしまう。

やめなさいよ、どうでも良いでしょう、そんなコト。
この様子だと、放っておいたってフォーも彼も問題があっても解決する。

お互い悪く思ってない関係なのは、ちょっとした態度からも丸わかりだ。
ああ、こんな私みたいなクズAIにこれ以上情報を与えないでよ。

紅月 純 > 「自由だからああなったのかー……
クセの強いヤツに限ってお前らの同類ってありそうでやべぇな……」

……ないよな?と目で問う。
ポンコツが大量にいたら学園大変そうじゃね?

「問題……問題……あ」

親切に聞かれたので考えたが、忘れちゃならんことがあった。

「お前らの体ってどんぐらいかかるんだ?アンテナ曲げちまってよ。
それでそっちに迷惑かけてたら申し訳ないんだが」

器物破損はとても痛いのだ。

咲坂くるみ > 「どこまで聞いてるかはしらないけれど……まあ、それなりにはそうなんじゃない?」

微笑混じりの含みをもたせた笑みで。
そうかもしれないしそうでないかもしれない。

「高いわよ……?」

ふふ、と意地悪するように見上げて。

紅月 純 > 「うぉぃ……俺何も聞いてないんだけど」

そんなにいるのかよ。
とても渋い顔になる。
とりあえず公安は沢山いそうだから絡まれるのは避けよう。そうしよう。

で、次の答えがそれなわけで。さらに険しくなる。

「マジかよ……」

思わず彼女を見下ろす。……視界に映るものもそうだが、なんかそういう所作がフォーに似てた。

咲坂くるみ > 「……そ、一生モノ。
 頑張ってフォーに返すまで」

女の子の体に傷をつけたんだからそれくらい当然でしょ、と。
半ば冗談めかしておどけてみせる。
……別の意味に勝手に思い当たるぶんには知ったことではない。

フォーのしぐさに関しては、ファミリアを見て学習しているところがあるので、たしかに似たところがあるかもしれない。

ああ、心にもないことをいう自分に反吐が出る
コレ以上深く突っ込ませないで、頼むから

紅月 純 > 「あー……はい。そういうことにしよう」

色々思い当たることはあるので息を吐く。
これ以上は聞くまい。と切り上げて。

「つーことはお前らも大変なんだな……。壊れたら大損害だろ。
アンドロイドにいう事じゃないのはわかるが無理すんなよ」

おかげでチンピラがわんさかだ、と冗談を言い。

「紅月 純だ」

ひとまず公安側に名前を憶えてもらおうと。また巻き込まれたときに助けてもらえるよう。